空調メンテナンスに必要な資格とは? メリットや取得方法などを紹介

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オフィスビルや商業施設には、大型の空調設備が整っています。空調は湿度や温度を自動調節するために必要な設備です。定期的にメンテナンスを行わなければ、設定温度のとおりにいかないなど不具合や不調が出てしまいます。正しく稼働するためにも定期的なメンテナンスが必要です。しかし、メンテナンスをするためには基礎知識や必要な資格を取得しなければなりません。そこで、本記事では、空調の働きやメンテナンスの方法・必要な資格などについて詳しく説明します。

  1. 空調設備の仕事について
  2. 空調のメンテナンスとは
  3. 空調メンテナンスの方法
  4. 空調メンテナンスに必要な資格とは
  5. 空調のメンテナンスに関してよくある質問

この記事を読むことで、空調メンテナンスの基礎知識や必要な資格などについて知ることができます。メンテナンスについて知りたい方や設備管理の資格取得を考えている方は、ぜひチェックしてください。


1.空調設備の仕事について

空調のメンテナンスについて知る前に、働きをきちんと理解しておかなければなりません。空調設備とはどんなものか、働きや必要性について詳しく説明します。

1-1.空調設備とはどんなものがある?

温度・湿度管理に必要不可欠な空調設備は、熱源設備・熱搬送設備・空気調和設備の3つから成り立っています。熱源設備は冷温熱源、熱搬送設備は機器から機器、または機器から室内へと熱を搬送するための配管です。空気調和設備は、名前のとおり、空気を調和させるための機器となっています。

  • 熱源設備:ボイラー・冷凍機・ヒートポンプ・蓄熱槽・吸収冷温水機など
  • 熱搬送設備:配管・ポンプ・送風機・ダクトなど
  • 空気調和設備:加湿を行う加湿器・熱交換を行う冷却コイルや加熱コイル・エアフィルターなど

1-2.空調設備の働き、必要性とは

室内で私たちが快適に過ごすためには、空調設備の働きが必要です。空調設備は新鮮な空気を外部から取り入れ、室内を快適な室温・湿度に保ち続けることができます。室内空気の汚れを取りのぞくのも、空調設備の大切な働きです。また、業務内容によっては、わざと温度・湿度を上下させるなど、使用目的によって変化させます。たとえば、冷蔵食品を生み出している現場では、食品の新鮮度を保つために最適な温度・湿度に設定しているのです。

2.空調のメンテナンスとは

空調設備を正常に稼働し続けるためには、定期的なメンテナンスを行っていかなければなりません。メンテナンスの必要性・タイミング・法定点検・メンテナンスをしないとどうなるかと、それぞれ詳しく説明します。

2-1.メンテナンスの必要性とは

空調設備が急に故障してしまうと、オフィスビルや商業施設・工場の最適な環境が維持できなくなります。室内が異常に暑くなる・寒くなるという事態に陥ってしまうのです。空調設備に使われている部品は年々劣化しています。突発的に起こる故障を防ぐためにも、メンテナンスは必要不可欠です。きちんと定期的なメンテナンスを行っておけば、劣化している部品が交換でき、早めの対処が可能となります。また、空調設備の寿命を延ばす・ランニングコストの削減になるなど、さまざまなメリットがあるのです。

2-2.どんなときにすべきか

定期的なメンテナンスはもちろんのこと、空調設備がいつもと違う様子であれば、すぐに点検をする必要があります。たとえば、温度・湿度の設定どおりに稼働しない・空調設備から異音がする・運転が途中で停止する・水がもれているなどです。異変に気づくためにも、毎日状態をチェックしておかなければなりません。

2-3.法定点検について

平成27年4月1日に施行された「フロン排出抑制法」によって、業務用の空調機器を所有・管理している方は、定期点検が義務づけられました。高い温室効果を持つフロン類の機器は、オゾン層破壊や地球温暖化につながる物質を排出しています。そのため、排出を抑えるためにも、法定点検が必要と判断されたのです。業務用の空調機器(ビル空調用ターボ冷凍機・パッケージエアコンなど)は、年に1回、または3年に1回の定期点検が必要となります。詳細は、以下のホームページをご覧ください。

東京都環境局

2-4.メンテナンスをしないとどうなるか?

メンテナンスをしなくても、空調設備は稼働し続けます。しかし、急に停止する・突発的な故障が起きるなどのトラブルにみまわれる可能性が高くなるのです。メンテナンスをしなければ、不具合・不調が起きやすくなるため、すぐに寿命もやってくるでしょう。また、熱交換率が下がってしまい、エネルギー消費量が大きくなります。その結果、コストが余計にかかってしまうのです。困ったことにならないためにも、メンテナンスを続けていかなければなりませんね。

3.空調メンテナンスの方法

それでは、実際に、空調メンテナンスはどうすればいいのでしょうか。方法や作業手順・頻度・実施者について詳しく説明します。

3-1.どんな方法があるか

空調設備のメンテナンスは、簡易点検と定期点検の2種類があります。簡易点検は、すべての業務用冷凍空調機器が当てはまり、基本は‟目視による外観点検”です。室内に取りつけられている業務用エアコンなどの設備を直接見て、異常がないかどうかを確認します。異常に気づくためにも、空調設備の仕組みや構成を把握しておかなければなりません。そして、もう1つの定期点検では、目視確認のほかに、機器の運転状況の記録を見ながら、発泡液・蛍光剤で異常がないかどうか確認します。ほかにも、水漏れの有無や配線の損傷などもチェックするのです。

3-2.作業手順について

具体的な作業手順は、設備機器の種類や点検内容によって異なります。ほとんどの場合は、室外機や業務用エアコンのカバーなどを外して、内部を点検する流れです。

  • 圧縮機(コンプレッサー)の圧力点検:専用の圧力計を使用して、圧力の正常値のチェック・異常音の有無・圧力機自体の起動状態の確認など
  • 室外機・室内機の点検:配管のガス漏れや損傷の有無、内部の減圧装置の点検など
  • 熱交換器の点検:汚れや異臭の有無など

部品や配管に異常が見られた場合は、すぐに交換作業を行います。汚れがある場合は、キレイに洗浄するなど、状態によって作業内容が異なるのです。

3-3.頻度について

簡易点検の場合は、1年に4回、季節が変わる時期に行います。なぜなら、季節によって、温度・湿度の設定を変えることが多いからです。切り替えを検討したときに実施するといいでしょう。定期点検の場合は、空調設備が50キロワット以上の場合は年に1回、7.5~50キロワットの場合は3年に1回の実施となります。

3-4.実施者は?

空調設備の点検が義務づけられている者は、管理者です。フロン排出抑制法によると、第一種特定製品の管理者が行わなければなりません。空調設備を持っている者・レンタル契約で管理責任を有する者などが挙げられます。しかし、実際に点検を行う者は、空調設備に関する専門知識を持っておかなければなりません。電気工事・管工事が必要となるため、電気工事士・冷凍機械責任者などの資格が必要となります。

4.空調メンテナンスに必要な資格とは

空調設備のメンテナンスに必要な資格は、たくさんあります。何の機器を扱うのか、どんな内容を行うのかによって、必要な資格も変わってくるのです。空調メンテナンスに関係する資格をいくつか紹介します。

4-1.資格紹介

空調メンテナンスに関連する資格は、冷凍機械責任者・電気主任技術者・電気工事士・ボイラー技士などが挙げられます。それぞれの資格概要について見ていきましょう。

4-1-1.冷凍機械責任者

空調設備の管理・メンテナンスに最も役立つ資格といわれているのが、冷凍機械責任者です。業務用の空調・冷蔵庫・冷凍庫の管理ができる資格となります。冷凍機器を管理するだけでなく、高圧ガスを製造する施設での保安業務が可能です。資格種類は、第1種~第3種があります。それぞれ、扱える冷凍機器の区分が異なるので注意してください。

  • 第1種:すべての製造施設における保安が可能
  • 第2種:300トン以内の冷凍機器の保安が可能
  • 第3種:100トン以内の冷凍機器の保安が可能

4-1-2.電気主任技術者

空調設備は電気工事を行うこともあります。そのため、電気工事が行える資格を取得しておくと、業務用の電気設備の保守点検が可能になるのです。電気主任技術者は、工場・ビルなどの配線工事ができます。工事・保守・運用など保安監督の立場として働くことができる資格です。電気主任技術者の資格種類は、第1種~第3種があります。こちらも、種類によって扱える電圧が異なるので注意してください。

  • 第1種:すべての事業用電気工作物
  • 第2種:電圧が17万ボルト以内の事業用電気工作物
  • 第3種:電圧が5万ボルト以内の事業用電気工作物

4-1-3.電気工事士

電気主任技術者と同じく、電気工事士もビル・工場などの電気設備で工事が行える資格です。電気主任技術者と異なる点は、保安監督ではなく、電気工事だけを行う資格となります。第1種・第2種があり、それぞれ扱える工事内容が異なるので要注意です。

  • 第1種:第2種の範囲と最大電力500キロワット以内の工場・ビルなどの工事に従事できる
  • 第2種:一般住宅や店舗など600ボルト以内の受電設備工事に従事できる

4-1-4.ボイラー技士

燃料の燃焼で生み出した熱で水蒸気やお湯にする熱源機器を扱うためには、ボイラー技士の資格が必要です。ボイラーの設置・定期検査は、必ずボイラー技士を取得している者が行わなければなりません。ボイラー技士の資格種類は、特級・1級・2級があり、それぞれ扱える範囲が異なります。

  • 特級ボイラー技士:すべての規模の伝熱面積が可能
  • 1級ボイラー技士:伝熱面積が500平方メートル未満
  • 2級ボイラー技士:伝熱面積25平方メートル未満

4-2.メリット・就職先

空調設備のメンテナンスができる資格を取得しておけば、就職に有利です。ビルメンテナンス業務を行っている企業・会社では、無資格者よりも有資格者を採用する傾向があります。また、1つだけでなく、複数の資格を持っておいたほうが有利といえるでしょう。さらに、有資格者は経験を積むほど、スキルアップを目指すことができます。より上位の資格を狙い、商業施設やオフィスビルなど大型施設で働くことができるのです。主な就職先としては、ビルメンテナンス会社・空調設備管理会社などが挙げられます。

4-3.試験について

資格を取得するためには、試験をパスしなければなりません。資格の種類ごとに、試験日程や内容が異なります。主催者のホームページを確認して、受験資格や試験概要をきちんと把握しておかなければなりません。

冷凍機械責任者:高圧ガス保安協会
電気工事士・電気主任技術者:一般財団法人電気技術者試験センター
ボイラー技士:安全衛生技術試験協会

4-4.受験取得方法について

仕事をしながらの資格取得は、なかなか難しいものです。「勉強したくても時間がない」「時間が有効利用できない」など、悩んでいる方は多いでしょう。そんなときに、おすすめしたいのがSATの通信講座です。SATの通信講座は、試験のポイントを押さえたテキストとDVDがセットになっています。DVDはスマートフォンでも再生できるため、移動時間や休憩時間でも勉強できると好評です。また、わからないところがあれば、先生にメールで質問できます。ぜひ勉強に利用してみてはいかがでしょうか。

5.空調のメンテナンスに関してよくある質問

空調のメンテナンスに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

5-1.空調設備はどんなところにあるのか?

大型商業施設やオフィスビルの場合は、地下に空調設備があるケースが多いのです。地下以外にも、1階部分や屋上にある室外機など、さまざまな場所に設置されています。

5-2.メンテナンスでチェックすべき項目とは?

簡易点検では、機器の異常振動・異常運転音の有無、機器および機器周辺の油のにじみ、機器の傷や腐食の有無などをチェックします。部品が劣化していないかどうかは、重要なチェックポイントです。定期点検では、簡易点検よりも細かく確認するために専用機器を使うことがあります。より入念に、細かい部分までチェックしなければなりません。

5-3.毎日できるお手入れ法とは?

日常的にできるお手入れも、空調設備を正常に稼働させる大切なポイントです。毎日できるお手入れ法としては、フィルターのこまめな清掃が挙げられます。フィルターは室内機に取りつけられており、グリルを自動で昇降させると簡単に取り外しができるものもあるのです。汚れがついていると、稼働率が下がってしまうため、エネルギー消費量が増えてしまいます。できるだけ、こまめに清掃しましょう。

5-4.冷凍機械責任者の難易度が知りたい

冷凍機械責任者は、講習会検定試験と国家試験の2種類があります。講習会検定試験における合格率はおよそ50%で、2人に1人が受かっている試験です。一方、国家試験は合格率が40%前後となっており、それほど難しくはありません。しっかり基礎を固め、勉強をすれば合格できる試験です。

5-5.試験に合格するポイントとは?

わかりやすいテキストと過去問を用意して、毎日勉強を続けましょう。テキストを数冊用意する方は多いのですが、1冊だけで十分です。逆に、何冊も用意してしまうと、本当に必要な内容が理解できなくなってしまいます。1冊を何度も読み返したほうが覚えやすいのです。

まとめ

いかがでしたか? 空調設備のメンテナンスは、簡易点検と定期点検の2種類があります。決まっている頻度で実施することで、突発的な故障を防ぎ、正常に稼働し続けることができるのです。また、定期的なメンテナンスはランニングコストの削減や空調設備の寿命にもつながります。メンテナンスの効果を高めるためにも、正しく行わなければなりません。空調設備の専門的な知識を持ち、点検作業を行うために必要な資格を取得してください。資格を有する者は、就職や仕事のスキルアップにも役立ちます。働きたい現場に合った資格を取得しましょう。