潜水士が発症しやすい圧外傷とは?原因や治療法、予防法は?

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水の中では、空気中よりも高い水圧がかかります。
この水圧の影響で体内の気体が影響を受け、血管や組織を傷つけるのが圧外傷です。
今回は、潜水士やダイバーが発症しやすい圧外傷についてご紹介しましょう。
潜水士の資格を取得するには、圧外傷に関する知識が不可欠です。
発生の原因や治療法さらに予防法をしっかりと学んでおきましょう。
また、症状が現れやすい器官も一緒にご紹介します。
潜水士を目指す方だけでなく、レジャーでダイビングを楽しみたいという方も、ぜひこの記事を読んでみてください。
知識があれば、素早く対処することも可能です。

  1. 圧外傷とは?
  2. 圧外傷の治療法とは?
  3. 圧外傷を予防する方法とは?
  4. おわりに

1.圧外傷とは?

まず始めに、圧外傷の原因と症状をご紹介します。
なぜ、潜水士に圧外傷が発生しやすいのか、その理由もご紹介しましょう。

1-1.圧外傷の原因とは?

圧外傷とは、体内の空気が気圧や水圧の変化によって膨張することにより、体を傷つける症状全般を指します。
気体の体積は、気圧や水圧によって変化するのです。
圧力が高いと、空気をはじめとする気体は圧縮され、より多くの分子が肺の中などに取りこまれます。
水深10メートルまで潜水をすると、一回の呼吸で地上にいるときの約2倍の空気分子が肺の中に取りこまれるのです。
この状態で息を吐かずに地上に戻ると、肺の中の空気が急激に膨張して肺胞が破れ、空気が肺胞外にもれて肺の虚脱を引き起こします。
また、空気が血管の中に入ると血液の流れを妨げ、空気栓塞症(くうきせんしょくしょう)を引き起こすのです。
外圧症は圧力の変化が原因ですので、本人の体調や体質などは関係ありません。
ちょっとした不注意で発症することもあるでしょう。
圧外傷は手術後のケアの最中などにも起こりますが、日常的に高い水圧を受ける潜水士が最も発症しやすいのです。

1-2.圧外傷の症状とは?

潜水による圧外傷は、肺に症状が出ることが最も多いです。
前述したように、肺に水中で吸った酸素がたくさん残っていた場合、肺の中で空気が膨張して肺胞が破けます。
命の危険は少ないですが、激しい痛みを伴い口から血の混じった泡を吐くこともあるでしょう。
また、血管の中に空気が入り脳の血管などをつまらせると、意識が消失して最悪の場合は死に至ることもあります。
さらに、耳や鼻、目、歯でも圧外傷の症状が出ることがあるのです。
特に、耳に圧外傷が起こるとめまいや吐き気などが起こるでしょう。
さらに、鼓膜が破れる可能性もあり、そうなると中耳炎が起きたり突然失聴する可能性もあったりします。
そして、忘れてはならないのがゴーグルによる圧外傷です。
ダイビングを行うときは、ゴーグルをつける人が少なくありません。
地上でもゴーグルの圧力ははっきりと感じられますが、水中に行くとそれがより強くなるでしょう。
その結果、ゴーグルが目の周りの皮膚に強く押し付けられて、内出血や白目部分に出血が起こることがあります。
通常は視力に影響は出ません。
しかし、出血が眼底(がんてい)で起こると、視力低下が起こる可能性もあります。

2.圧外傷の治療法とは?

圧外傷は、発症した場所によって治療法が異なります。
それほど深く潜っていない場合は、圧外傷が発症しても軽度のことが多いでしょう。
ですから、耳や鼻に症状が出た場合は耳鼻咽喉科へ、目に症状が出た場合は眼科で治療を受けます。
ダイビングスクールや潜水士がいる職場では、近場の病院と提携しているところも少なくありません。
圧外傷と同じような症状が出る病気も少なくありませんが、潜水の後で前述したような症状が出た場合は圧外傷の可能性が高いのです。
ですから、診断もすぐにつくでしょう。
しかし、圧外傷の中には早急に治療をしないと命にかかわるものもあります。
ひとつは、塞栓が脳の血管などをつまらせた場合。
もうひとつが、胸腔(きょうくう)内圧が異常に上昇した結果起こる緊急性気胸を発症した場合です。
このようなときは意識を失ったり肺に激痛がはしったりします。
こうなったらすぐに救急車を呼んでください。
なお、そのときに潜水をしたことを忘れずに伝えましょう。

3.圧外傷を予防する方法とは?

では、圧外傷を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
この項では、その一例をご紹介します。

3-1.体調を万全にしてから潜水する

圧外傷は体調に関係なく起こると前述しましたが、風邪などでのどがはれていたり鼻がつまっていたりするとより圧外傷が発生しやすいです。ベテランのダイバーでも呼吸器官が万全でないと、空気が肺に残りやすいでしょう。
特に、旅先でダイビングをする場合はホテルの空調などでのどなどをいためやすいです。
よくケアをして、それでも不調の場合はダイビングをやめましょう。

3-2.ゆっくりと浮上すること

圧外傷の多くは、急激に浮上することによって発生します。
特に、水深が深いところまで潜った場合は時間をかけて浮上しましょう。
急浮上を防ぐには、酸素の残量と潮の流れをよく確認してから潜ってください。
酸素の残量が少なくなると、息が苦しくなるのですぐに浮上したいと思うでしょう。
しかし、その結果圧外傷になってしまう方が多いのです。
また、海に潜る場合は水深が深いところで流れが急になっていることも珍しくありません。
ですから、潜る前にしっかりと確認しておきましょう。
また、満潮と干潮の時刻も確認しておかないと、潮の満ち引きで潮流が大きく変化することも珍しくないのです。
深いところまで潜る場合や潮流が激しい場所に潜る場合は潜降索(せんこうさく)を設置して、それにつかまって潜水したり浮上したりしてください。
さらに、水面から1m~3mのところでいったん止まり、全員で呼吸などを確認してから浮上しましょう。

3-3.耳抜きをする

耳抜きは、潜水に欠かせないテクニックです。
鼻から空気を送り込んで中耳とのどの奥をつなぐ耳管を開きましょう。
そうすることで中耳と外耳の圧力が均等になって圧外傷が起こりにくくなるのです。
この耳抜きは鼻がつまっているとかなり難しくなります。
ですから、鼻づまりが起こっている場合は潜水を中止するか適切な治療を行って鼻の通りをよくしてから潜水してください。

3-4.ゴーグルや耳栓をつけない

水圧が高くなるほど、ゴーグルや耳栓は体にぴったりとはりついて体を圧迫します。
ですから、深く潜るほどゴーグルや耳栓はつけない方がよいのです。
ダイビングの場合はゴーグルをつけることもありますが、水深の深いところまで潜って作業をすることも多い潜水士の場合は、ヘルメットのような余裕のあるものをつけることが一般的。
ですから、準備できなかったからといって、ゴーグルで代用するのはやめましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は圧外傷の症状や原因、さらに予防法などをご紹介しました。
潜水士の試験には、圧外傷に関する問題が出ることも少なくありません。
それだけ潜水をする人にとって圧外傷は身近な疾患なのです。
また、ダイビングをする人も圧外傷に関する知識は持っておきましょう。
特に、旅先でダイビングをする人は要注意です。
鼻がつまっているだけで耳抜きができなかったりすると鼓膜が破れたりすることも、珍しくありません。
また、耳の場合は後になって症状が強く出ることもあるでしょう。
ですから、潜水後少しでも異常を感じたら、できるだけ早く病院へ行ってください。
ダイビングなどが盛んな地域では、圧外傷の診断や治療にたけた耳鼻咽喉科などもあります。
そのようなところを利用できれば一番ですね。

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