2級建築士を取得するとどのようなメリットがあるのか、またそもそも受験するためにはどのような条件を満たす必要があるのか、などについて解説します。
目次
2級建築士の仕事とは
2級建築士の仕事内容は、主に設計と工事監理です。1級建築士は世間で難関資格として認知されていますが、2級建築士との違いは設計、工事監理できる建物の高さと延べ面積です。
2級建築士の場合、高さ13m、軒高9m以下、木造は延べ面積10,00㎡以下、鉄筋コンクリートは300㎡以下と制限されています。1級建築士資格と比べると2級建築士資格のほうが難易度が低い分、このような制限があるのです。
ただし、2級建築士資格も難易度が低いわけではなく、また需要も十分にあります。
2級建築士の資格を取るメリット
次に、2級建築士資格を取得する具体的なメリットを紹介します。
1級建築士の受験資格につながる
2級建築士を取得してから4年以上の実務経験を積むと、1級建築士の受験資格を得ることができます。建築士の資格を取得するなら、最終的には1級建築士資格を取得したい、と考えている方は多いでしょう。
2級建築士資格は1級建築士資格の受験資格につながりますが、内容としても1級建築士の土台となります。ただし、1級建築士の受験資格を得る方法が2級建築士の取得だけというわけではありません。
他にも大学で指定科目を履修した後に現場経験を積む、建築設備士として実務経験を積む、といった方法でも1級建築士の受験資格を得ることが可能です。最終目標が1級建築士であるなら、2級建築士は通過点のうちの1つといえるでしょう。
就職、転職で有利になる
企業によりけりですが、2級建築士資格を採用の必須要件にしている企業もあれば、2級建築士資格を持っていることで優遇される企業もあります。例えば、ハウスメーカーやゼネコンは建築士資格を持っていて当たり前と考えられており、その結果2級建築士以上が採用の必須要件になっているケースが多々あります。
2級建築士資格は優遇されるための資格ではなく、ボーダーラインに立つための資格ということです。一方で、建築資材の商社や不動産販売会社、リフォーム会社などでは2級建築士資格が優遇されます。
なぜなら、建築士資格を保有している社員自体が少なく、専門的な知識を有する社員に希少価値があるからです。建築士資格を活かして直接的に設計する機会はないものの、1級建築士等とやり取りした際に知識不足による食い違いが生じにくいです。
これらの企業の営業などの職種で建築士資格を持っていれば、かなり重宝される可能性が高いでしょう。もちろん営業の場合、専門知識以外のスキルも求められるので、コミュニケーション能力等が備わっている前提です。
建築士としてのステップになる
建築士を生業とする場合、最終的には1級建築士を目指すケースがほとんどでしょう。そして、2級建築士はそのステップになります。上で説明したとおり、2級建築士資格を取得してから実務を4年以上経験すると、1級建築士の受験資格を得られます。
2級建築士を取得しなくても1級建築士の受験資格を得られる方もいますが、単に受験資格の問題だけでなく、スキルアップや周囲の評価にもつながるということです。
1級建築士の前段階として2級建築士を取得するのは有効な選択肢です。
昇給や昇格につながる
詳細は企業によって異なりますが、2級建築士の資格を取得することで昇給や昇格につながるケースは多いといえます。特に資格手当で毎月の給与に上乗せされる企業は多いでしょう。
また、2級建築士を取得したらすぐさま昇格するということはなくても、同じ条件なら資格を保有している人のほうが有利になると考えられます。資格取得という目に見える形でスキルや努力を証明できるので、そういった意味でも資格取得の価値は大きいでしょう。
顧客からの信頼度アップ
2級建築士の資格を保有していると、取引先から信頼されます。少なくとも無資格の人よりも知識、経験があると思われるでしょう。実際は資格がなくても知識、経験が豊富で、むしろ有資格者よりも仕事ができる人も多いはずです。
しかし、第一印象として資格のインパクトは大きいので、印象面でも資格取得には大きなメリットがあります。
2級建築士の年収は?
2級建築士の年収は業界によって異なりますが、おおよそ440万円~520万円程度です。一番高給なゼネコンだと500万円程度、設計事務所や建築会社は480万円程度、ハウスメーカーは470万円程度となっています。
ちなみに1級建築士は平均で600万円~700万円の年収で、独立すれば1,000万円超えもめずらしくありません。1級建築士へのステップアップの一環として2級建築士を取得することはいろいろな面でメリットがあります。
2級建築士になるための方法
2級建築士になるには2級建築士の試験を受けて合格する必要があるのですが、無条件に誰でも受験できるわけではありません。2級建築士の受験資格は以下です。
建築に関する学歴又は資格等 | 実務経験年数(試験時) |
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大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者 | 最短0年 |
建築設備士 | 0年 |
その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) | 所定の年数以上 |
建築に関する学歴なし | 7年以上 |
引用:https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/exam-qualifi-2kmk/index.html
以上の条件を満たしたうえで、2級建築士の試験に合格する必要があります。
まとめ
2級建築士を取得することで、スキルアップ、待遇アップ、信用力アップなどのメリットが得られます。また、制度や知識、モチベーションにおいて1級建築士へのステップになるでしょう。
2級建築士は誰でも受験できるわけではないので、受験資格のある方はぜひ受験を検討してみてください。