建築物環境衛生管理技術者の難易度と合格率はどのくらい?

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一定の広さを持ち特定の用途に使用する施設を運営するには、建築物環境衛生管理技術者の選任が必要です。郊外の広いショッピングセンターや都心のオフィスビルには、必ず専任者がいます。需要も高いので、受験希望者も多いでしょう。

そこで、今回は建築物環境衛生管理技術者の難易度や合格率をご説明します。建築物環境衛生管理技術者は、実務経験がある人しか受験できません。しかし、合格率は決した高くはないのです。その理由は何でしょうか?答えはこの記事を読めば分かります。

  1. 建築物環境衛生監理技術者の基礎知識
  2. 建築物環境衛生管理技術者の難易度や合格率は?
  3. 建築物環境衛生管理技術者の合格率が低い理由
  4. 建築物環境衛生管理技術者の資格取得方法
  5. 建築物環境衛生管理技術者の勉強方法は?
  6. 建築物環境衛生管理技術者に関するよくある質問
  7. おわりに

1.建築物環境衛生監理技術者の基礎知識

この項では、建築物環境衛生管理技術者とはどのような資格か、ということを解説します。取得するとどのような職務を行うことができるのでしょうか?

1-1.資格概要

建築物環境衛生管理技術者とは、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づいて、建築物の維持管理と衛生管理の監督業務を行うことのできる国家資格です。建築物衛生法に基づいて床面積が3,000m2以上ある建物(特定建築物)に選任が義務づけられており、有資格者を求めている企業はたくさんあります。

なお、建築物環境衛生管理技術者は「ビル管理士」という通称があり、こちらの方が呼び方も簡単ですので通称の方が有名です。

1-2.仕事内容

建築物環境衛生管理技術者の仕事は、ビル管理の統括業務です。不特定多数の方が長時間にわたって使用する施設では、

  • 清掃
  • 害虫・害獣駆除
  • 水質・空気の定期検査
  • 電気設備・消防設備などの定期点検
  • 上下水道設備の定期清掃

などの仕事があります。建築物環境衛生管理技術者はこれらがスムーズに行えるよう、業者との契約や折衝を行うのです。また、テナントとの交渉や苦情処理・自治体との折衝も仕事になります。そのため、若い年代だけでなく、ある程度社会経験を積んだ年代でも活躍できるでしょう。求人も年齢制限が高めに設定されていることが多いのです。

1-3.資格を取得するメリット

前述したとおり、建築物環境衛生管理技術者は、床面積がが3,000m2以上ある建物(特定建築物)に選任の義務があります。ですから、常に一定の求人があるのです。ビルメン(ビルメンテナンス業務)の仕事を一生の仕事とするならば、昇進や昇給のために取得しておくに越したことはありません。取得すれば、ビルマネジメント業務を任されることもあるので、給与もアップするでしょう。

2.建築物環境衛生管理技術者の難易度や合格率は?

建築物環境衛生管理技術者は、一定の広さを持つビルを総合管理できる国家資格です。合格率は毎年変化していますが、ここ10年ほどは17%〜23%の間で推移しています。つまり、4人にひとりしか合格できていません。しかし、国家資格の情報サイトを見ると難易度は「普通」で、難関資格ではないのです。合格率が一桁の国家資格も珍しくありませんから、合格率が二桁ならば「難しくない」と判断されるのでしょう。

建築物環境衛生管理技術者は、実務経験がある人しか受験できません。同じように実務経験がある人しか受験できない国家資格の中に「衛生管理者」がありますが、こちらの合格率はもう少し高くなっています。

3.建築物環境衛生管理技術者の合格率が低い理由

ではなぜ、建築物環境衛生管理技術者の合格率は低いのでしょうか? この項では、理由の一例をご説明します。

3-1.出題範囲が広い

建築物環境衛生管理技術者は、通称「ビル管理技術者」や「ビル管理士」と呼ばれています。通称の方が、職務の内容をよく現しているでしょう。この資格を持っていると、一定の広さを持ち、特定の用途に使用する施設の空調、水質、衛生管理などをすべて監督することができます。本人が直接すべての整備や点検をすることはありません。しかし、専門業者を依頼したり結果を確認したりするために、知識は必要です。建築物環境衛生管理技術者の受験資格には実務経験が必要ですが、清掃や電気設備の管理など業務の一部しか行ったことがないという方がほとんど。ですから、実務経験のない分野から出題されると、正解率が下がるのです。

3-2.受験者の年齢が高い

建築物環境衛生管理技術者は、2年以上の定められた実務経験が必要です。そのため、学生や10代、20代の若者より30代以上の方が受験することが多いでしょう。建築物環境衛生管理技術者の仕事も、業者との折衝(せっしょう)やクレーム処理など、高いコミュニケーション能力が必要なものが少なくありません。ですから、壮年以降の年代に人気が高いのです。しかし、働きながら受験勉強をするのは想像以上に大変なこと。また、年をとるほど新しいことが覚えにくいでしょう。ですから、難易度に比べて合格率が低くなりやすいのです。

3-3.科目ごとの合格がない

建築物環境衛生管理技術者の試験は7科目の筆記試験です。午前と午後に分かれて1日で行うため、かなりの長丁場になります。また、試験は年に一度しかなく、科目ごとの合格もありません。合格基準は一科目につき40%。一科目でもそれを下回ると、ほかの科目が満点でも不合格になります。ですから、得意科目で点数を伸ばして不得意科目を捨てるという、大学受験のようなことはできません。すべても科目をまんべんなく勉強するのは思っている以上に大変でしょう。

4.建築物環境衛生管理技術者の資格取得方法

この項では、建築物環境衛生管理技術者の資格を取得する方法を解説します。資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

4-1.資格取得方法

建築物環境衛生管理技術者の資格を収録するには、医師や薬剤師といった一定の資格を取得した後で、日本建築物環境衛生管理教育センターが主催する103時間の講習を受講するか、資格試験を受けて合格する必要があります。講習を受講するために必要な資格はセンターのホームページに詳しく記載していますので、確認してください。試験は、2年以上ビル管理の実務経験があれば受験できます。そのため、40代以上受験者もたくさんいるでしょう。

4-2.試験科目や申し込み方法

建築物環境衛生管理技術者の試験科目は、

  • 建築物衛生行政概論
  • 建築物の構造概論
  • 建築物の環境衛生
  • 空気環境の調整
  • 給水及び排水の管理
  • 清掃
  • ねずみ、昆虫等の防除

以上7科目です。それぞれの科目が40%以上、総合で65%以上の得点ならば合格になります。試験は、毎年10月に行われ、6月から願書の配布が開始されますから、試験に挑戦する方は6月になったら試験の準備を始めましょう。なお、願書は日本建築物環境衛生管理教育センターのページからもダウンロードができます。電子申請は行っていません。受験料は13,900円です。

5.建築物環境衛生管理技術者の勉強方法は?

では、これまでご説明してきたことをふまえて、合格の確立を上げる勉強方法をご説明します。ぜひ、参考にしてください。

5-1.暗記は毎日コツコツ続ける

建築物環境衛生管理技術者の試験は、法令などを覚える必要があります。実務経験を積んだ人でも、法令などが分からない人は珍しくありません。しかし、たくさんの分量を一度に覚えようとしても無理です。暗記は毎日くりかえして覚えることが大切。休日に長時間勉強するより、毎日短時間勉強していった方が力はつきます。1日10分でもよいので、勉強する習慣をつけましょう。また、遅くても試験3か月前には勉強を始めてください。直前になって慌てても時間は戻りません。

5-2.隙間時間をうまく使おう

建築物環境衛生管理技術者を受験する人は、すべて社会人です。そのため、学生のように決まった時間を勉強に充てることは難しいでしょう。しかし、通勤時間や昼休みなどのあき時間を有効に使えば勉強時間を確保できるはずです。時間があいたら、すぐに参考書を開くくせをつけてください。10分あれば参考書を数ページ読めますし、法令のひとつくらい暗記できます。

5-3.参考書は一冊にしぼる

参考書をたくさん買いそろえると、勉強した気分になれます。特に、自分で参考書を選ぶとなると、目移りする人もいるでしょう。しかし、参考書はあちこち浮気をするより、一冊をくりかえし読みこんだ方が力はつきます。また、分厚くて文字が細かい参考書は、持ち歩くのも大変。それならば、要点が大きな字で書かれている薄い参考書の方がよいでしょう。文章よりも表や図の方が覚えやすいという方は、イラストが多めの参考書がおすすめです。

また、最近はDVDを利用した講義形式のテキストもあります。黙読するより耳で聴く方が覚えやすいという方には、そちらの方がおすすめ。音声を持ち歩いて常に聴き続けてもよいでしょう。

5-4.通信教材という選択肢もある

建築物環境衛生管理技術者の資格取得を目指している方は、独学で勉強する人が多いです。しかし、分からないことを質問したいという方もいるでしょう。その場合は、通信教材がおすすめです。通信教材は、模擬試験を実施してくれたり質問に答えてくれたりする特典がついています。最近は、メールで質問もできますから、返事を長時間待つこともありません。中には、「中身を確認してみて、合わない場合は返却可能」というものもあります。これならば、「通信教材を申しこんだけれど、内容が悪くて高いお金をむだにした」という失敗も防げるでしょう。独学で勉強して不合格になったという方は、通信教材の方が向いている可能性があります。

6.建築物環境衛生管理技術者に関するよくある質問

Q.建築物環境衛生管理技術者の試験は、どの位の合格率なのですか?
A.合格率は23%前後と決して高くはありません。

Q.建築物環境衛生管理技術者は独学でも合格できますか?
A.はい。参考書なども充実していますので独学でも可能ですが、自信がない場合は通信教材などを利用しましょう。

Q.2年の実務経験というのは、ビル管理の実務経験ですか?
A.はい。ビルメの仕事をしていれば積むことができるでしょう。

Q.建築物環境衛生管理技術者は、女性でも取得可能ですか?
A.はい。女性でも取得される方は増えています。

Q.建築物環境衛生管理技術者を講習で取得する場合は、どのくらいの金額がかかるでしょうか?
A.約10万円です。詳しい金額は日本建築物環境衛生管理教育センターのホームページを確認しましょう。

7.おわりに

いかがでしたか?
今回は、建築物環境衛生管理技術者の難易度と合格率についてご説明しました。
まとめると

  • 建築物環境衛生管理技術者の合格率は4人にひとり程度。
  • 難易度は「普通」だが、合格率は高くない。
  • 試験科目が多いので、計画的に勉強していこう。
  • 通信教材の利用も考えてみようということです。

建築物環境衛生管理技術者の資格が取得できれば、再就職にも有利でしょう。ですから、長年ビル管理の仕事に就いてきた人は資格を取るに越したことはありません。年齢制限はありませんから、何歳でも受験できます。

また、難易度の「普通」は「全く勉強していなければ合格できないけれど、独学でも合格できる」という感じです。ですから、仕事の合間に勉強して合格する方も少なくありません。「合格率が低いから、自分には無理だ」とあきらめてしまわずに、勉強方法を考えて挑戦してみましょう。