工事担任者 第一級デジタル通信

工事担任者デジタル通信の試験内容と受験者データ

第一級デジタル通信 試験内容全般 工事担任者デジタル通信(旧区分:DD種)の試験内容

第一級デジタル通信の試験

スケジュール 年2回
試験項目 学科3科目。電気通信技術の基礎 /  端末設備の接続のための技術及び理論 / 端末設備の接続に関する法規
合格ライン 学科各科目で60点以上(100点満点)
合格制度 受験資格は全級制限なし
科目合格あり、科目免除制度あり
問題種類 計算問題 / 正誤問題 / 空欄補充問題

試験日程と受験までの流れ 工事担任者デジタル通信の試験は年2回。基本的に5月下旬と11月下旬に開催

第一級デジタル通信も第二級デジタル通信も、受験資格はとくに定められていません。所定の手続きさえ踏めば、第二級を受けずに第一級デジタル通信から受験できます。
試験は毎年2回の開催頻度を予定していて、2023年の試験スケジュールは以下の通りです。免除可能な科目がある場合の受験申請は受付期間が短いので、間に合うように早めに申請を行いましょう。

2023年 : 工事担任者デジタル通信 定期試験スケジュール

試験日 【第1回】2023年5月21日(日)
【第2回】2023年11月26日(日)
申込み受付期間 【第1回】2023年2月1日(火) ~ 2月21日(火)
【第2回】2023年8月1日(火) ~ 8月22日(火)
合格発表 【第1回】2023年6月12日(月)
【第2回】2023年12月18日(月)

試験形式 第一級・第二級デジタル通信の試験はマークシート式の学科試験のみ

2 端末設備の接続のための技術及び理論

出題範囲 端末設備の技術、接続工事の技術、ネットワークの技術、情報セキュリティの技術
問題数・配点 第一級:25問
第二級:20問
試験時間 試験全体
1科目受験:40分(14:00~14:40)
2科目受験:80分(14:00~15:20)
3科目受験:120分(14:00~16:00)

3 端末設備の接続に関する法規

出題範囲 第一級:電気通信事業法及びこれに基づく命令、有線電気通信法及びこれに基づく命令、不正アクセス行為の禁止等に関する法律、電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令
第二級:電気通信事業法及びこれに基づく命令の大要、有線電気通信法及びこれに基づく命令の大要、不正アクセス行為の禁止等に関する法律の大要
問題数・配点 第一級:25問
第二級:20問
試験時間 試験全体
1科目受験:40分(14:00~14:40)
2科目受験:80分(14:00~15:20)
3科目受験:120分(14:00~16:00)

試験時間は第一級・第二級デジタル通信ともに共通で、1科目の受験ごとに40分の回答時間が与えられます。免除できる科目が多いほど試験時間が短くなっていくので、免除申請は勉強時間の短縮だけでなく当日の負担軽減にもつながります。

科目合格制度はありますが、資格取得のためには3科目すべてで合格点である60点を獲得しなければなりません。ほかの科目でカバーするという手段が取れないので、下記記事で提案しているスケジュール例を参考にして3科目を効率的に学習しましょう。

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各級で実施できる工事の範囲 工事担任者デジタル通信の各級で行える工事の範囲

第一級 デジタル伝送路設備に対する端末設備などの回線接続工事すべて(デジタル信号の入出力速度の制限なし)。
※総合デジタル通信用設備を対象とするもの以外。
第二級 デジタル伝送路設備における回線接続工事のうち、下記条件に当てはまるもの。
※第一級と同じく総合デジタル通信用設備は対象外。
・デジタル信号の入出力速度:1ギガビット/秒以下
・工事の目的:基本的にインターネットの回線接続公示のみ

工事担任者デジタル通信はデジタル伝送路設備の回線接続工事に必要な国家資格です。
担当できる工事の種類・範囲によって、基本的に制限のない第一級デジタル通信と公示対象設備が限定される第二級デジタル通信に分けられています。

第一級デジタル通信

第一級デジタル通信を取得していれば、総合デジタル通信用設備を対象としたものを除いてデジタル伝送路設備における回線接続工事をすべて実施可能です。

扱える回線接続工事の種類が多いため、試験範囲も第二級デジタル通信と比べて広くなっていて取得が難しい資格です。電磁妨害・雷サージ対策や工事の設計管理・施工管理など、第二級では範囲外だった専門性の高い領域まで出題されます。

旧区分であるDD第一種のときの合格率(3科目受験者)は、改正前最後の5回で12~20%程度と低い水準で推移していました(免除者を含めると26~33%)。

2021年に開催された第1回試験でも3科目受験時の合格率は13.2%でしたので、DD種からの改正後も試験の難易度は大きく変わらないでしょう。

第二級デジタル通信

第二級デジタル通信取得者は、工事対象設備におけるデジタル信号の入出力速度が一定以下の場合に限り接続工事を実施できます。第一級より試験範囲が狭いとはいえ、通信設備や通信技術に関して幅広い知識が問われる点は共通しています。

出題内容は電気工学や電気通信における基本的な原理・原則から回線接続工事に関連する法律や命令などさまざまです。電子署名や情報セキュリティ管理など、第一級デジタル通信で扱う一部の項目は試験範囲に含まれません。

旧区分であるDD第三種試験を含めた直近5回の合格率は3科目同時受験でも35~44%程で、全体では40%を切った試験回がありません。3科目同時受験者の合格率が20%を切ることも多い第一級デジタル通信と比べると取得難易度は格段に下がるため、DD第三種と同じく工事担任者を初受験する方向けの資格です。

各級の受験者数および合格率 合格ラインは100点満点中60点以上。第一級は合格率30%前後の高難度試験

第一級 デジタル通信

 

【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。

第一級 デジタル通信試験
2023年(第1回)の合格率

27.4%
過去3回の平均
29.3%
年度 総受験者数 合格者数 合格率
2023年度 第1回 1,171 321 27.4%
2022年度 第2回 1,669 469 28.1%
2022年度 第1回 1,419 458 32.3%
2021年度 第2回 1,946 608 31.2%
2021年度 第1回 1,917 528 27.5%
2020年度 第2回 2,669 766 28.7%

第一級合格ラインは60点以上です(100点満点)。

個別の科目それぞれについて60点以上を取らないと合格できないため、苦手科目を捨てて得意科目を伸ばすという作戦が使えません。

令和3年度第一回試験において、第一級デジタル通信の合格率は1~3科目受験者全体でも28.1%と低い水準です。そのうえ、3科目同時受験者に限ると13.2%まで合格率が低下します。

一方、免除制度を活用すると合格率は2科目受験で22.7%、1科目受験で70.4%まで上がっており、3科目受験時と明確な差が認められました。免除条件に当てはまる場合は迷わず免除申請しておくと合格に大きく近づけます。

第一級デジタル通信の科目免除条件の例やおすすめの勉強方法については下記記事にまとめてあります。無駄なく勉強を進めたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

SAT教材で短期集中で合格を目指す勉強方法

 

試験問題の種類 工事担任者デジタル通信における試験問題の種類

工事担任者デジタル通信の学科試験は記述式ではなくマークシート形式のみで、試験問題は「計算問題」「正誤問題」「空欄補充問題」の3タイプに大別されます。面接試験、実技試験など、学科試験以外の試験は実施されません。

01

計算問題

基礎分野で主流の問題形式です。
電気工学、電気通信で使われる公式・法則などを用いて、設問で提示された条件で計算を行い、計算結果と一致する選択肢を選びます。割合は少ないものの、技術及び理論分野でも出題されます。

02

正誤問題

設問や選択肢として記述された文章について、内容の正誤を回答する問題形式です。
選択肢のうち誤った文章のみを選ぶ問題や、各文章についての正誤の組み合わせが適切な選択肢を選ぶ問題などがあります。

03

空欄補充問題

設問の文章を読み、空欄に入れるのに適した用語や文章を選択する問題形式です。
法規分野で出題数が多く、条文や用語を正確に暗記できていないと解くことができません。

試験対策とテクニック 4つのテクニックで合格率を高めましょう。

合格率を高めるためには相応の対策が必要です。以下の4つの対策は必ず実践しましょう。

対策
01

試験時間のペース配分を考えておく

第一級デジタル通信の試験では、回答順・ペース配分を意識して問題を解くのが大切です。

すでにお伝えした通り、第一級デジタル通信では各科目につき40分で20問以上の問題を解かなければなりません。単純計算すると一問あたりにかけられる時間は2分もありませんので、解ける問題は手早く確実に解いておくのが合格するコツです。

計算問題のように時間がかかる問題は後回しにし、選択肢を選ぶだけの空欄補充問題を先に解くなど、過去問に取り組みながらあらかじめ作戦を練っておきましょう。

対策
02

すぐに解けない・新傾向の問題に執着しすぎない

先ほどのペース配分にも近いですが、すぐには解けそうにないもしくは新傾向の問題についてはある程度諦めるのもポイントです。

デジタル通信技術の進歩は速いので、とくに最新技術についての知識も求められる技術及び理論分野では、過去問にない問題が出題されるケースも想定しておくべきです。また、解法や公式、用語などが思い出せず回答できない場合もあるでしょう。

第一級デジタル通信では合格点が60点ですので、最大40点分の問題は落としても構いません。1問や2問解けない場合でもほかの問題で挽回できますので、満点を狙う場合を除き、難問に時間を取られすぎないようにしてください。

対策
03

わからない問題でもマークだけはする

上記の対策02とあわせて行ってほしいのが、わからない問題でも何かしらマークだけはすることです。

第一級デジタル通信では記述式の試験が存在せず、マークシート方式の学科試験のみで合否が決まります。すなわち、どんな問題でも当てずっぽうで番号を選んでおけば何分の1かは正解できる可能性があります。

選択肢を2~3択まで絞り込めている場合はさらに正解の確率が高まりますので、ダメもとでマークしておいて損はありません。

対策
04

選択肢をもとに解き方を推測する

選択肢式の計算問題に使える一般的なテクニックではありますが、選択肢をもとに解き方を推測するのも効果的です。

たとえば、使えそうな公式2つのうちどちらで解けばいいかわからない場合、まず片方を用いて計算を行います。この計算結果と選択肢の数値のいずれかが一致すればそれを選び、不一致ならもう片方の公式を使って計算し直すなど、選択肢を解法のチェックに利用するのです。

ひっかけとして間違えがちな解法で出した計算結果が入っている可能性はありますが、少なくとも的外れな選択肢を省いたり、計算ミスがないかを確かめたりするには有効です。