粉じん作業特別教育

粉じん作業特別教育とは?概要から必要場面、資格まで解説

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設備や環境に危険源が多い、製造業や建設業の作業現場は危険が潜んでいるため、危険を適正に排除し、あるいは回避しながら作業を進めていかなければいけません。

そのためには人は現場に潜んでいる危険を知り、回避するために考える力を身につける必要があります。

その考える力を身につける場として設けられているのが「特別教育」で、「粉じん作業特別教育」はそのうちのひとつです。

ここでは、「粉じん作業特別教育」とはどのようなものなのかを解説いたします。

 

1 粉じん作業特別教育とは

粉じん作業特別教育とは、粉じん作業の中でも特に危険性が高い現場で作業をする場合に必要な教育を指します。

「粉じん作業」とは、細かいホコリなどが舞い続けるような現場での作業のことです。

細かいホコリは、長時間吸うと人体に悪影響を与える可能性があるため、作業従事者はその粉塵を防ぐための知識を身に着けなければいけません。

中でも、人体に与える悪影響が特に強いものは「特定粉じん」とされ、「粉じん作業特別教育」を受講しなければ関連する業務に従事することができない労働安全衛生法に定められています。

 

下記のような現場がその例です
・トンネル内で発生する、岩を破砕した際に生じる細かいほこり
・建設現場などで発生するコンクリートの細かいほこり
・砥石を使用して研磨作業をする際に発生する細かい粒子

 

また、事業者は労働者を「特定粉じん作業」に従事させるのであれば、粉じん作業特別教育を修了させる義務を負います

粉じん作業特別教育を修了した人を「特定粉じん作業者」と呼び、一定の教育を受けたものとして業務に就くことができるようになるわけです。

なお然るべき機関で粉じん作業特別教育を受講した場合は、受講者に対して修了証が交付されます。

「粉じん作業」および「特定粉じん作業」の定義については「粉じん障害防止規則」に定められていますので参考にしてください。

 

・粉じん作業:「粉じん障害防止規則」第2条1項1号に掲げる作業のうち、いずれかに該当するもの

(参考:https://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-2/hor1-2-37-m-2.html

・特定粉じん作業:粉じん作業のうち、その粉じんの発生源が「粉じん障害防止規則」第2条1項2号に掲げる「特定粉じん発生源」であるもの

(参考:https://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-2/hor1-2-37-m-3.html

 

2 粉じん作業による起こる疾患

2-1  粉じん作業では「じん肺」を発症するおそれがある

じん肺とは、粉じんなどを長期間にわたって吸入することが原因で発症しやすくなる肺の病気です。

咳や痰などの初期症状から始まり、肺機能が低下することから肺炎などの感染症や気胸、さらに症状が悪化すると肺がんなどの重篤な肺疾患にいたることがあります。

そのため、粉じん作業を行うにあたって、安全の確保が法律で義務付けられているのです。

 

2-2 じん肺は治療方法が確立されていない

じん肺は職業性の疾患であることが多くのケースですが、現代医学において完全に治すことができる治療方法が確立されていないため、病気にならないように予防することが重要です。

そのためには粉じん作業に従事する労働者が、粉じんを吸引し続けることの危険性を認識し自ら予防するため、粉じん作業特別教育が重要な役割を果たします。

 

3 粉じん作業の具体的な対策

粉じんを吸入することで発症するじん肺は深刻な病気です。

じん肺を発症しないようにするためには徹底した予防策が必要となりますが、現在講じられている具体的な対策は下記の通りです。

・作業環境の改善
・換気の徹底
・呼吸用保護具の適正使用
・法令の整備やその他関連対策

 

3-1 作業環境の改善

粉じんをできるだけ発生させないような環境をつくることが最も効果の高い対策となります。

具体的には密閉化や湿潤化など、発生源に対する工夫することで粉じんの発生を大幅に抑えることができるでしょう。

ただし現場によっては難しいケースもあり、粉じんが発生しない資材を使用するなど根本的な見直しによる対策も必要となります。

 

3-2 換気の徹底

粉じんを発生させないようにすることは限界がありますが、拡散しないようにするためには換気を徹底して行うことが効果的です。

また、粉じんを発生と同時に吸い込む特殊な換気装置などを使用することで、労働者による粉じんの吸入をかなり防ぐことができます。

一定の設備投資が必要となりますが、対策としては大きな期待が持てます。

 

3-3 呼吸用保護具の適正使用

粉じん作業において、前述のような対策を講じることができない、或いは講じた場合でも限定的な効果となる場合があります。

粉じんが舞っている環境下でも、吸入しないようにするためには、呼吸用保護具を着用します。

その際は、適切な保護具を選択し、正しく着用することが重要です。

呼吸用保護具には粉じん対策の防じんマスクや有毒ガス対策の防毒マスクなどがありますが、近年においては電動ファン付き呼吸用保護具の普及が進んでおり、高性能で他のマスクよりも呼吸が楽であることから使用が推進されています。

厚生労働省が進める「第9次粉じん障害防止総合対策」においても電動ファン付き呼吸用保護具の活用が奨励されており、その効果の高さに期待が寄せられています。

 

3-4 法令の整備やその他関連対策により、じん肺発症が大幅に減少した

粉じんに関わる労働者の健康被害を防止するために、国としても法令を整備し、さまざまな対策を講じています。

 

それらの内容はおもに3つ挙げることができます。

・じん肺法(昭和35)
・粉じん障害防止規則(昭和54年)
・粉じん障害防止総合対策(昭和56年)

 

「じん肺法」はじん肺に関する適正な予防や健康管理、またその他必要な措置を講ずることによって労働者の健康を保持することなどを目的として制定された法律です。

「粉じん障害防止規則」は特定粉じん作業に従事するにあたり、被害を防ぐことを目的として制定されました。

「粉じん障害防止総合対策」は「じん肺法」と「粉じん障害防止規則」の一体的運用を図るため厚生労働省によって策定され、その後複数回にわたって強化、推進策が実施されました。

このように粉じんに対する被害から労働者を守るために、国としても積極的にサポートする体制を整えてきた歴史があります。

じん肺は現在でも少なからず発生していますが、法令整備の結果として新規にじん肺が発生することは大幅に減少し、一定の成果があがっています。

 

現在も引き続き対策を強化、推進していくことが必要として平成30年には「第9次粉じん障害防止総合対策」が厚生労働省から関係団体に対し新たな要請がありました。

今後においても、粉じんによる健康被害から労働者を守るため、状況に応じて対策が講じられることになるでしょう。

ただし最も重要なのは事業者と労働者が危険性を認識し、自ら防止策を講じることであることは間違いありません。

 

4 「粉じん作業特別教育」の科目概要

「粉じん作業特別教育」の具体的な内容は下記の通りとなります。

 

粉じん作業特別教育8【合計4.5時間】

・粉じんの発生防止および作業場の換気の方法:1時間
・作業場の管理:1時間
・呼吸用保護具の使用の方法:0.5時間
・粉じんに係わる疾病および健康管理:1時間
・関係法令:1時間

 

 

5 まとめ

製造業、建設業には様々な危険源があり、他の業種と比較して労働災害の数が多いことからも危険が多いということがわかります。

確かに危険が伴う業務ですが、社会にとっては必ず必要で、また多くの人の生活を支える非常に大きな意義を持つ仕事です。

いずれの作業現場においても安全は自分で確保していく必要があります。

不安全な状況を発見した場合は放置することなく、現場責任者に報告し速やかに排除してもらうことが必須です。

そのうえで不安全な行動をとらないという意識で作業にあたることで多くの労働災害は防ぐことが可能です。

粉じん作業についても危険な作業のひとつとして位置付けられており、環境や設備、さらに作業方法にさまざまな対策を講じるように法令で指示されています。

さらに作業者自身が粉じんの危険を知り、粉じんからの危険回避方法を習得し、これらを実施しないとどうなるかを十分に理解し、自ら予防することが最も重要な対策となります。

そのことからも「粉じん作業特別教育」が作業者が自ら安全行動をし健康確保する大きな役割を果たしているといえるでしょう。

粉じん作業に関連する職業の社会的意義の大きさと危険性の両面を理解したうえで、「粉じん作業特別教育」の受講を検討してみてはいかがでしょうか。

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