シックハウス症候群の原因、室内空気汚染物質とは? 調査方法はあるの?

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室内空気汚染物質とは、文字どおり空気中にあって健康に悪影響を与える物質のことです。一時期大きな問題となったシックハウス症候群も、室内空気汚染物質が原因となっています。現在の建物は気密性が高いので、室内空気汚染物質が空気中に放出されていれば、人体にも影響が出やすいでしょう。そのため、不特定多数の人が利用する建物では、定期的に空気の検査をすることが義務づけられています。

そこで、今回は室内空気汚染物質の種類や調査方法、調査する職務などを解説しましょう。

  1. 室内空気汚染物質の基礎知識
  2. 室内空気汚染物質の測定について
  3. 建築物環境衛生管理技術者について
  4. 室内空気汚染物質の調査に対するよくある質問

この記事を読めば、建物の環境を整える仕事についてもよくわかりますよ。建築物環境衛生管理技術者の資格取得を目指す方も、ぜひ読んでみてくださいね。


1.室内空気汚染物質の基礎知識

始めに、室内空気汚染物質の種類や人体への影響などを解説します。どのような物質があるのでしょうか?

1-1.室内空気汚染物質の定義

室内空気汚染物質とは、前述のとおり空気中にあって体に悪影響を与える物質の総称です。現在は、厚生労働省によって13の物質が「室内空気汚染物質」に制定されています。これらの物質は主に建築資材や建築資材の接着剤などとして利用されており、室内の空気を汚染し、シックハウス症候群の原因としても有名です。また、室内空気汚染物質は目に見えず、影響の出方も個人差があります。ですから、厚生労働省や文部科学省・国土交通省で室内濃度が定められており、学校やオフィスビル・商業施設などは定期的に空気の検査をすることも義務付けられているのです。

1-2.室内空気汚染物質の種類

現在、室内空気汚染物質には、トルエンやホルムアルデヒド・パラジクロロベンゼンなど13種類が定められています。これらの物質は前述のとおり厚生労働省によって基準値なども定められているのです。空気の調査をした結果室内空気汚染物質の値が基準値を超えた場合は、対策を講じなければなりません。

1-3.室内空気汚染物質の問題

室内空気汚染物質は、建築材や建築材の接着剤として使われているので、ごく一般的な家屋や室内にも存在しています。そのため、中で過ごす人も危険な物質が空気中に漂っているとは思わないでしょう。また、前述のとおり、室内空気汚染物質が体に影響を与えることは確かですが、症状の出方は個人差があります。同じ室内にいても全く体調が変わらない人もいれば、シックハウス症候群のように、頭痛・吐き気・めまい・咳などの症状が出る人もいるでしょう。また、症状が出なくても、長年室内空気汚染物質を体内に取り込み続ければ、健康被害が出ることもあります。

1-4.室内空気汚染物質が発生する場所

前述のとおり、室内空気汚染物質は建築資材や建築資材の接着剤などとして使われています。ですから、建築物であればどこでも発生する可能性があると考えてよいでしょう。特に、気密性が高い新築の物件では、室内空気汚染物質の濃度が高い傾向にあります。近年は、室内空気汚染物質に指定されている物質を使用しない建材も登場しましたが、その数はまだ十分ではありません。ですから、新築の建築物・リフォームしたての建築物は特に注意が必要です。

2.室内空気汚染物質の測定について

この項では、室内空気汚染物質の測定基準などについて解説します。どのような建物で測定が必要なのでしょうか?

2-1.どんな建物に測定が義務化されているか?

前項で、室内空気汚染物質は新築や改築を行った際に濃度が上昇しやすいと説明しました。そのため、文部科学省では「学校環境衛生の基準」に基づき、学校を新築や改築した際は室内空気汚染物質を測定するように定めています。また、国土交通省では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の中で、住宅や建材の性能表示を行う場合は、ホルムアルデヒドなど5物質の室内濃度を測定するように定めているのです。
さらに、労働安全衛生法では、事務所の新築や改築を行った際、6か月以内にホルムアルデヒド等の濃度測定を行うことを義務づけています。
これと似たような規則は、建築物衛生法という法律でも定められているのです。3,000m2以上の床面積(学校の場合は8,000m2以上)を持つ建物には、建築物環境衛生管理技術者を選任し、建物を新築・改築した際は同じように6か月以内にホルムアルデヒド等の濃度測定を行わなければなりません。

2-2.測定方法

室内空気汚染物質は、厚生労働省が定めた室内空気汚染に係るガイドラインに基づき行います。
測定方法にはアクティブ法とパッシブ法という2つの方法があり、パッシブ法の方が簡易的に測定を行えるので、集合住宅などでの検査で行われることが多いでしょう。こちらの方法は、室内に測定器と収集器を24時間吊るして測定します。時間はかかりますが、室内空気汚染物質の平均濃度も測定可能です。
アクティブ法の場合は、測定対象の部屋の扉を30分開け放して空気を入れた後、5時間以上密閉してから行います。気温が高くなる14~15時に、床から1.2m~2mのところで空気の採取を行うなど、制約が多い分、短時間で正確な測定が可能です。現在のところ、測定方法まで定められている建物はありません。

2-3.測定する業者

室内空気汚染物質を調査する場合は、専門の業者に依頼するのが一般的です。報告書まで作成してくれますので、利用してみてください。ホームページを開設している業者もたくさんあります。

3.建築物環境衛生管理技術者について

前項でご紹介したように、3,000m2以上の床面積(学校の場合は8,000m2以上)の建物には建築物衛生法に基づき、建築物環境衛生管理技術者(通称、ビル管理技術者)という資格の保持者を選任しなければなりません。この項では、建築物環境衛生管理技術者の職務や資格取得方法を解説しましょう。

3-1.建築物環境衛生管理技術者の職務

建築物環境衛生管理技術者は、ビル管理の総括者として、ビルを安全かつ衛生的に使用できるように清掃やビル内の空気や水の検査・貯水槽などの定期点検などを行います。実際は、それぞれの専門業者が職務を担いますが、建築物環境衛生管理技術者は、業者と契約したりきちんと仕事を行ったのか、確認したりするのが主な仕事です。
ビルメン(ビルメンテナンス業務)を一生の仕事とする場合は、ぜひ取得しておいたほうがよいでしょう。ビルによってはオーナーから全権を任され、自治体などと折衝をすることもあります。

3-2.資格取得の方法

建築物環境衛生管理技術者の資格を取得するには、医師や薬剤師などの資格を取得した後で、日本建築物環境衛生管理教育センターが主催する103時間の講習会を受けるか、同センターが主催する試験を受けて合格する必要があります。
こちらの記事に試験の内容や受験勉強方法なども詳しく記載されていますので、ぜひ読んでみてください。
なお、試験は2年以上ビルメンテナンス業務に関する実務経験があれば、受けることができます。

3-3.資格を取得するメリット

建築物環境衛生管理技術者は、ビルメンに関する資格の中でも最も難関な資格の一つであり、その分需要も高くなっています。給与アップはもちろんのこと、取得すれば転職にも役立つでしょう。

4.室内空気汚染物質の調査に対するよくある質問

Q.一般住宅は、室内空気汚染物質の調査義務はないのですか?
A.現在のところはありません。しかし、希望すれば有料で調査を請け負ってくれるところはたくさんあります。

Q.室内空気汚染物質が基準値を超えていた場合は、どうしたらよいでしょうか?
A.すぐに対策を取る必要があります。最悪の場合は、工事をやり直すことになるでしょう。

Q.室内空気汚染物質が減少することはありますか?
A.時間と共に揮発して減少していきますが、空気中に漂って体内に取り込まれてしまうので危険です。

Q.古い家屋ならば、室内空気汚染物質の危険はありませんか?
A.リフォームしたような場合は濃度が一時的に高まる危険はあるでしょう。

Q.室内空気汚染物質は、常に検査をする必要はありますか?
A.前述のとおり、時間が経つにつれて室内空気汚染物質は揮発して減少していく傾向にあるので、定期的に検査をする必要はありません。新築や改築時に検査をしましょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は室内空気汚染物質やその調査方法について解説しました。室内空気汚染物質による健康被害は、一時期に比べると大分減少してはいます。しかしまだ、新築や改築などを行った直後は濃度が高くなる時もあるでしょう。新築や改築の折には検査を行い、健康に影響がないかどうか確認を行ってください。