労働災害とは何か?~労働安全コンサルタントの資格取得法も解説!

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工場が最も恐れているものは、労働災害です。実際、大規模な工場では安全管理を行うための監督者を置かなければいけません。

また、世の中には工場の外側から安全管理をサポートする労働安全コンサルタントという資格も存在します。

そこで、こちらでは労働災害の基礎知識に加えて、労働安全コンサルタントになるための方法も掲載することにしました。

  1. 工場・作業場における最大の問題~労働災害とは?
  2. 労働災害を防ぐための法律~労働安全衛生法とは?
  3. 労働者を保護する制度~労働者災害補償保険とは
  4. 労働災害防止の要(かなめ)~労働安全コンサルタント
  5. 労働安全コンサルタントになるには~資格試験の概要
  6. 労働安全コンサルタントになるための勉強法は?
  7. 労働安全コンサルタントに関するFAQ

労働災害を防止するスペシャリストを目指すなら、まずはこのページを読んでください。労働安全コンサルタントの重要性、そして資格取得の極意が見えてくるはずです。


1.工場・作業場における最大の問題~労働災害とは?

労働災害というのは、分かりやすくいえば“労働中に発生した事故”です。しかしながら、労働時間内に発生した事故がすべて労働災害になるわけではありません。逆に、労働時間外に発生した事故が労働災害になるケースも存在しています。

では、労働災害の明確な基準とは何なのでしょうか?労働災害には2種類の定義があります。それぞれ、業務災害と通勤災害と区分されているのです。そこで、まずは業務災害と通勤災害の定義を解説することにしましょう。

1‐1.業務災害とは…?

労働災害のうち、業務中に発生したものを業務災害と呼びます。業務災害に認定されるためには、次の2つの条件が不可欠です。

  • 事故に遭(あ)った労働者が業務遂行状態であること
  • 業務における危険性・有害性が原因であること

要するに、雇用主・責任者に使役された状態で、業務に起因する事故が発生した場合に労働災害になるのです。雇用主・責任者に使役されている業務時間であることを“業務遂行性”、業務が原因であることを“業務起因性”といいます。労働災害が認められるには業務遂行性と業務起因性の2つが条件になるわけです。

ただ、先ほども説明したように、一見して労働時間外であっても労働災害になるケースがあります。つまり、“一般的な観点から見た労働時間”と“法的に業務遂行性が認められる時間”には違いがあるということです。そこで、次に“業務遂行性が認められる条件”を確認することにしましょう。主に以下のような時間が、業務遂行性の認められる時間です。

  • 労働における作業中
  • 作業に関連する準備・片付け・待機中
  • 事業主の私用を手伝っている時間
  • 水分補給やトイレなど生理的行為による作業中断中
  • 事業施設内での休憩中
  • 火災など緊急事態における緊急行為中
  • 業務上の出張中
  • 業務の性質が認められる通勤中・イベント参加中

基本的には“雇用主の都合、業務上の都合で行動しているとき”と考えて構いません。出張に関しては、業務上の都合で遠くに移動するわけですから、移動時間に関しても業務中と扱われます。また、休日に急な仕事で会社に呼び出された場合、業務上の都合で会社に向かうので、やはり移動時間も業務中です。会社外でのイベント(懇親会など)に関しても、会社側が参加を指示したのであれば、会社都合なので業務の性質が認められます。

例外にあたるのは、“生理的行為による作業中断中”と“事業施設内での休憩中”でしょうか。

しかし、“生理的行為による作業中断中”は長い休憩時間を取っているわけではありません。業務を円滑にこなすために、水分補給やトイレ休憩が必要なだけです。そのため、生理的行為に関しては業務時間と認められます。

次に“事業施設内での休憩中”です。実のところ、休憩時間の事故に関しては、何もかもが業務災害になるわけではありません。事業施設の設備に欠陥があった場合など、工場・事業場の過失が認められたときだけ業務災害になります。

1‐2.通勤災害とは…?

労働災害のうち、通勤中に発生したものを通勤災害と呼びます。当然ながら、通勤中の事故は雇用主・使用者の責任ではありません。しかし、労災保険の適用範囲には含まれるのです。

仕事の行き帰りに発生した事故などが通勤災害と認められるためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 住居と仕事場の往復中であること
  • 仕事場から、ほかの仕事場への移動中であること

ただし、住居というのは、必ずしも自宅でなくても構いません。たとえば、残業で夜遅くなったときに、仕事場の近くにあるホテルに泊まったとします。残業で自宅に帰れなかったのは、明らかに仕事の都合です。翌日、ホテルから会社への出勤途中に事故に遭ったとすれば、通勤災害が認められるでしょう。

また、“仕事場から、ほかの仕事場への移動中”というのは、労働者が属する会社の施設でなくても構いません。仕事場を退社して、打ち合わせのために得意先に立ち寄ったなら、“ほかの仕事場への移動”です。

ただし、通勤災害が認められるためには、住居と仕事場を往復するときに“合理的なルートを移動していること”が求められます。プライベートな用事で寄り道をすると、寄り道の時点で“通勤を終えた”と見なされるのです。とはいえ、日用品の購入など“通勤途中の行動として合理的な範囲内”なら、通勤を終えたことにはなりません。再び、通勤ルートに戻れば、そこからは通勤時間として扱われ、労災保険の範囲になります。(通勤ルートを外れてから、通勤ルートに戻るまでの時間は通勤に含まれないので要注意)

もちろん、仕事帰りに同僚と飲みに行った場合などは、通勤ルートを外れた時点で労災保険の適用範囲ではなくなります。

1‐3.労働災害が認められた事例、認められなかった事例

こちらでは、労働災害として認められた具体例、認められなかった具体例をそれぞれ確認することにしましょう。主にどんな事例が労働災害になるのか…を知るための一助になるはずです。

1‐3‐1.偶然、暴力を受けて負傷したケース

業務中に、職場にやってきた人物から暴力を振るわれて、ケガを負った場合は業務災害になるのでしょうか?

理由が個人的な恨みだったり、暴漢がだれかれ構わず襲いかかったりしたケースでは、原則として業務災害にはなりません。業務とはまったく無関係な負傷だからです。

ただし、業務と関連して暴力を受けた場合は業務災害になります。たとえば、警備員が酔っ払いに暴力を振るわれたときです。普通、怪しい人物に声をかけたり、不審な行動を取った人物を注意したりするのは、警備員の警備業務に含まれています。以上のように、“業務に内在する危険が現実になったかどうか”が重視されるのです。

1‐3‐2.上司の指示で欠勤者の家を見に行ったケース

上司の指示を受けた従業員が、無断欠勤している従業員の家に様子を見に行ったケースです。ふだんの出勤時間より30分早く家を出て、出勤前に別の従業員宅に向かいました。そして、途中で電車にはねられて亡くなっています。

一見すると通勤災害に見えるかもしれませんが、今回のケースでは業務災害となりました。上司の指示であったことに加え、本来の通勤時間より早く家を出ているのが理由です。明らかに会社の命令で、本来なら必要のない移動をしていますから、業務扱いになります。

1‐3‐3.会社の帰りに食事、美容室、医療機関に立ち寄ったケース

通勤中の寄り道に関するケースです。前述したとおり、日用品の購入などで店に立ち寄ったとしても、通勤ルートに戻って以降は通勤時間と扱われます。それでは、食事、美容室、医療機関に立ち寄った場合はどういった扱いになるのでしょうか?

退社したのが夕食を食べるのに合理的な時間であれば、短時間の食事は問題ありません。また、美容室に関しても、“日常生活上、必要な行為”と認められました。医療機関への通院も、当然、問題ありません。

基本的に、日常生活において当然必要な行為であればOKと考えてください。ただ、通勤を中断してから、通勤ルートに戻るまでの間に起きた事故は通勤災害になりません。どんな事情で通勤ルートを外れたとしても、通勤ルートに戻るまでは労災保険の範囲外なので注意してください。

1‐3‐4.通勤中、自宅の敷地内で事故に遭ったケース

通勤しようと家を出て、敷地を出ないうちに負傷した場合はどうでしょう?通勤における往復というのは、公道や公共交通機関などを移動することです。自宅の敷地、専有部分を移動するのは通勤ではありません。以上から、自宅の敷地を出ないうちに事故に遭った場合、労災保険の対象外となります。

実際、玄関で転倒したケースにおいて、“私有地内での事故だから…”と労災保険が不支給になった事例があるくらいです。