無線従事者の資格を取得する方法は? 国家試験受験は必須?

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無線従事者とは、電波法に定められた無線設備の操作や監督を行うことができる資格です。飛行機や船と通信をする通信士が有名ですが、その他にも携帯電話の基地局やテレビ局・ラジオ局で設備の操作を行うのも、無線従事者の資格が必要になります。有資格者を必要としている職場は皆様が思っているよりも多く、取得すれば転職や就職にも役立つことでしょう。

そこで、今回は無線従事者の国家試験などについて解説します。

  1. 無線従事者の基礎知識
  2. 無線通信士・無線技士・特殊無線技士の種類
  3. 無線従事者の資格を取得する方法
  4. 試験勉強のコツ
  5. 無線従事者に対するよくある質問

この記事を読めば、無線従事者の求人や資格を取得するメリットなども分かることでしょう。無線従事者の資格に興味がある方や資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。


1.無線従事者の基礎知識

はじめに、無線従事者とはどのような資格なのかを解説します。無線を扱うのに国家資格が必要な理由などもご説明しましょう。

1-1.無線とはどのようなもの?

無線とは、電波を利用して情報をやりとりする無線通信のことです。私たちの生活には欠かせない携帯電話も無線通信機器の一種になります。無線は目的に応じて周波数が変わり、テレビとラジオを並べて置いても混線が起こらないのは、受信できる周波数が異なるためです。

地球上の上空にはさまざまな周波数の電波が飛び交っており、「電波法」という法律で管理されています。無許可で無線機器を使用し、通信を行うと電波法に違反した罪で懲役刑や罰金刑が課せられますので注意しましょう。

1-2.無線従事者とはどのような資格?

無線従事者とは、前述したように無線設備を操作したり監督したりできる資格です。現在、無線通信には無数の種類があり、使用できる電波の周波数は電波法によって細かく定められています。そのため、無線設備を使用して無線通信を行うには、専門的な資格が必要です。

かつては、有資格者でなければ無線通信設備の操作は行えませんでしたが、1990年に「主任無線従事者」という国家資格が新たに作られ、有資格者の監督下の元ならば無資格者でも限られた操作なら行えるようになりました。しかし、モールス信号など一定の操作は有資格者しか行えません。

1-3.アマチュア無線技士とその他の資格の違い

無線従事者の資格は、アマチュア無線技士と無線通信士・無線技士とにわかれています。インターネットが発展する前まで、アマチュア無線は外国に住む人々と手軽に交流を楽しめる唯一の手段だったため、取得する方もたくさんいました。アマチュア無線技士は、アマチュア無線局の開局や一定のw数以下の無線設備を扱えますが、船舶や航空機・陸上に設置された無線設備の操作を行うことはできません。
無線通信士や特殊無線技士として働きたい場合は、改めて資格を取得する必要があります。

1-4.無線従事者の資格を取得するメリット

無線従事者の資格を取得すれば、陸上の無線局同士・航空・船舶と無線通信を行うことができます。陸上の無線局の中には、携帯電話の基地局やテレビの中継局なども含まれるため、無線従事者の資格保持者を求めている職場も豊富です。資格を取得すれば無線機器の操作はもちろんのこと、無線基地局で整備や点検などの仕事をしている職場からも求人があるでしょう。資格手当をつける職場も豊富です。また、無線通信はこれからも多くの場所で利用され続けますし、新しい用途が開発される可能性も十分にあります。有資格者の需要は高まり続けるでしょう。

2.無線通信士・無線技士・特殊無線技士の種類

無線従事者の資格は、大きく分けて総合・海上・陸上・航空の4種類があります。(アマチュア無線技士を含めると5種類)総合無線通信士の資格を取得すると、陸・海・空すべてに設置されている無線設備の通信操作や技術的操作が可能です。総合無線通信士には、1級~3級まであり、それぞれ扱える周波数やw数が異なります。

2-1.陸上無線従事者

陸上無線従事者には、陸上無線技術士と陸上特殊無線技士の2種類があります。無線技術士は特殊無線技士の上位資格です。無線技術士はさらに1級と2級、陸上特殊無線技士は、1~3級と国内電信級陸上特殊無線技士にわかれています。陸上無線従事者は、主に携帯電話の基地局やテレビ局・ラジオ局などで無線設備の操作を行いますが、特殊無線技士は放送局や海岸局などの無線設備は操作できません。

2-2.海上無線従事者

海上無線従事者は、海上無線通信士と海上特殊無線技士があります。こちらも、無線通信士の方が上位資格です。無線通信士は1級~4級まであり、特殊無線技士は1級~3級とレーダー級海上特殊無線技士にわかれています。
海上無線従事者は、主に船舶同士の通信や船舶と地上との無線通信を行うのが仕事です。大型船だけでなく、小型船舶にも無線設備は供えられているため、船を持っている方や船舶で仕事をする方は取得しておくとよいでしょう。

2-3.航空無線従事者

航空無線従事者は、航空無線通信士と航空無線特殊技士があります。等級はわかれていません。主に、航空機と管制塔間で無線通信業務を行います。航空会社のパイロットや航空交通管制の業務に就くためには、取得が必要です。

3.無線従事者の資格を取得する方法

この項では、無線従事者の資格を取得する方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.資格取得の方法

無線従事者の資格を取得するためには、

  1. 養成課程を受講する方法
  2. 国家試験を受験し、合格する方法
  3. 認定講習を受講する方法

の3種類があります。国家試験などはすべて日本無線協会が主催しており、養成課程や認定講習の内容などもすべて協会のホームページから確認可能です。

養成課程を修了すれば、一部の無線通信士や特殊無線技士、2級~4級までのアマチュア無線技士の資格を取得できます。一部の無線通信士の資格や第一級特殊無線技士の資格は受講資格が必要ですが、その他の資格の講習は誰でも受講可能です。
なお、養成課程は短期と長期があります。長期養成課程とは、大学・短期大学・専門学校のことです。

認定講習を修了すれば、第一級・第二級総合無線通信士・海上無線通信士・陸上無線技術士の資格が取得できます。認定講習は受講資格が必要であり、すでに無線従事者の資格を取得し、無線設備の操作の実務経験を行っている方が対象です。

国家試験は、どの資格も受験資格は必要ありません。国籍・年齢・性別問わずに受験することができます。ただし、上位資格になるほど試験内容は難しくなりますので、全く知識がない状態から受験する場合は、特殊無線技士の3級から挑戦するとよいでしょう。国家試験は、特定の資格や学歴・職歴があると試験の一部が免除になります。

3-2.試験の申し込み方法

国家試験は、毎年2~4回行われます。試験の日時などは資格によってすべて異なるため、必ず日本無線協会のホームページを確認してください。試験の申し込みはすべて協会のホームページから電子申請で行うことができます。資格が複数あるので間違えないように申し込みましょう。

3-3.養成課程や講習の申し込み方法

養成課程や講習は全国で行われており、やはり協会のホームページから養成課程の受講会場などが確認できます。受講会場が家から遠いという場合は、インターネットを通じて自宅で受講することも可能です。ただし、最低でも数十時間はかかりますので、時間に余裕がなければ受講は難しいでしょう。

4.試験勉強のコツ

無線従事者の国家試験は、前述したように受験資格は必要ありません。ただし、総合無線通信士など上位資格の試験に合格するには、無線の知識だけでなく電波法度法律の知識や数学・物理・英語・電気などの知識も必要です。実際、無線従事者の試験のうち、特殊無線技士の3級や4級は合格率が30%~40%なのに対し、総合無線通信士の1級は、合格率が数%しかありません。
大学や専門学校で電気や電気通信の勉強をした方や、すでに特殊無線技士として実務経験を積んだ方以外は、まず特殊無線技士の資格取得を目指しましょう。

無線従事者の試験科目には

  • 工学の基礎
  • 無線工学
  • 電気通信術
  • 法規
  • 英語

などがあり、資格区分によって出題される科目が異なります。試験科目は2~5科目で、取得している資格区分によっては科目免除も受けることが可能です。解答方法は択一式ですが、計算問題もあります。また、無線工学や電気通信術では電気の知識が必要です。さらに、英語の試験もありますので語学能力も必要になります。験科目が少ない場合は1問ごとの配点が高く、1問のミスで不合格になることも珍しくありません。詳しくは、日本無線協会のホームページに記載してある試験の案内をよく確認しましょう。

勉強方法には、独学以外にも通信教材を利用する方法があります。参考書は書店やインターネットショップでも豊富に販売されていますので、使いやすいものを利用しましょう。過去問は協会のホームページでも昨年度の分が公開されています。
SATの教材は、ブック式の参考書だけでなく、専門の講師が行った講義を収録したDVDやeラーニングもついていますので、まるで予備校に通っているような感覚で勉強ができると評判です。第一級陸上特殊無線技士の試験に1発で合格したい方や残念ながら独学で勉強して不合格になってしまった方は、ぜひ利用してみてください。

5.無線従事者に対するよくある質問

Q.アマチュア無線技士の資格を取得していれば、無線通信士の合格は容易ですか?
A.1級を取得していれば、合格は可能ですが総合無線通信士にチャレンジする場合は、3級からチャレンジした方が無難でしょう。陸上や海上・航空の場合も勉強せずに合格することはできません。

Q.無線従事者を取得すれば、どのような職場で需要がありますか?
A.陸海空それぞれの無線設備を備えてある職場で求人があるでしょう。特に、総合無線通信士は難易度が高いですので、需要もそれに比例して高くなっています。

Q.タクシーにも無線がありますが、運転手になるには無線従事者の資格が必要ですか?
A タクシードライバーは、ほとんどが主任無線従事者の監督下の元で無線を操作するという体裁を取っているため、免許は必要ありません。

Q.3級・4級の特殊無線技士でも需要はありますか?
A.小規模な無線局が増えていますので、求人は常にあるでしょう。

Q.やはり英語力も国家試験に合格するためには必要ですか?
A.総合無線通信士に合格するためには必要になります。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は無線従事者の国家資格について解説しました。無線従事者の資格を取得するにはいくつもの選択肢があるため、下位資格は比較的取得しやすいでしょう。その分、資格取得者も多いので、資格を活かして働きたい場合は電気工事士などの資格を併せ持っていると便利です。上位資格を取得するには専門的な知識が必要ですので、いきなりチャレンジせず、コツコツと下位資格から取得しておきましょう。学生のうちに3級や4級の特殊無線技術士の資格を取得し、社会人になってから上位資格を取得するという方法もあります。また、受講資格を満たしているなら認定講習を受けてもいいでしょう。職場によっては業務扱いで受講ができるところもあります。