冷媒ガスの性質や種類とは?こんなものも使われています。

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エアコンや冷蔵庫など、「ものや空気を冷やす」器具には「冷媒ガス」が使われています。今回は、その冷媒ガスの性質や種類をご紹介しましょう。冷媒ガスはかつてフロンガスが主に使われていました。しかし、オゾン層を破壊することが分かり、現在では別のガスが使われています。エアコンや冷蔵庫など器具が違えば、ガスも違うのでしょうか? また、それぞれのガスの特徴などもご紹介します。第三種冷凍機械責任者の資格取得を目指している方も、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. 冷媒ガスの性質や役割は?
  2. 冷媒番号って何?
  3. 冷媒ガスの種類は?
  4. 冷媒ガスを取り扱うことのできる資格は?
  5. 冷媒フロン類取扱技術者の資格取得方法
  6. よくある質問
  7. おわりに

1.冷媒ガスの性質や役割は?

エアコンや冷凍庫、冷蔵庫などは構造や役割は違っても「ものを冷やす」「ものを凍らせる」という仕組みは同じです。ものを冷やす方法は、大きく分けてふたつあります。

ひとつは、水をかける方法。水は外気温よりも大抵温度が低いので流水をかけ続けることによって、物質や空気を冷やします。業務用エアコンとして大型ビルや商業施設などに使われている冷水式エアコンは、水の力で空気を冷やしているのです。

もうひとつが、蒸発しやすい液体を圧縮ガスにして、蒸発する際の気化熱を利用する方法。これが、冷媒式エアコンや冷蔵庫、冷凍庫の仕組みです。冷媒ガスを調整弁で圧力を下げて冷却管に流し込むことで、冷媒ガスは低温で蒸発し、その際に周囲の熱を奪うことで空気やものを冷やしたり凍らせたりします。

ちなみに、冷媒ガスを利用した方が水を利用したエアコンよりも、室外機が小さくて済むというメリットがあるのです。ですから、家庭用のエアコンはほぼ冷媒ガス方式になります。その反面、冷却管が故障してガスがもれると、すぐに冷房や冷蔵が効かなくなるというデメリットもあるのです。

2.冷媒番号って何?

冷媒ガスには、いろいろな種類があります。しかし、冷媒ガスは無色透明ですから、見ただけでは区別がつきません。そこで利用されるのが「冷媒番号」です。

冷媒番号は、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒ガスの種類を表す番号のこと。全世界共通ですから、外国製のエアコンや冷蔵庫、冷凍庫でも冷媒ガスの種類が一目で分かります。冷媒番号は、Rから始まり3桁(けた)の数字と添え字から成り立っていますが、それぞれに意味があるのです。

千の位は不破炭素数に対する不飽和炭素結合の数。
百の位は、炭素原子-1、十の位は水素原子+1。
そして、一の位はフッ素原子の数です。

さらに、添え字には構造異性体や混合物における組織を区別するための数字を表します。ですから、冷媒番号を見れば、どのようなガスがどんな割合で入っているか、一目で分かるのです。

3.冷媒ガスの種類は?

この項では、冷媒ガスの種類をご紹介します。今は使用が中止されたものや、将来使用が中止されているものを含めてご紹介していきましょう。

3-1.特定フロン

特定フロンは、塩素を含みオゾン層を破壊する可能性が高い化合物です。冷媒番号はR11、R22、R502等になります。
かつてはエアコンから冷蔵庫まで幅広く使われていました。1995年に生産が中止されましたので、現在は特定フロンを冷媒ガスとして使ったエアコンなどは、ほとんど使われていないでしょう。しかし、古い冷蔵庫やエアコンが解体されずに物置などにしまってある、というケースもあります。ですから、古い冷蔵庫やエアコンなどを回収した場合は、冷媒番号をよく確認して不用意にガスを空気中に放出しないようにしましょう。

3-2.代替フロン

代替フロンは、塩素のほかに水素を含んでいるために、オゾン層を破壊する危険性が少ないフロンのことです。ですから、1995年から行われた規制の対象外になりました。しかし、2020年に全廃が予定されています。冷媒番号はR22、R123、R141bなどです。こちらも、現在は流通しているものは少なくなっていますが、使われているものは2020年までには冷媒ガスの入れ替えや器具の交換をしなければなりません。

3-3.新冷媒

新冷媒、といわれている冷媒ガスも代替フロンの一種です。しかし、塩素を全く含んでいないので、オゾン層を破壊する恐れがありません。ですから、空気中に放出しても問題はないのです。冷媒番号はR32やR410aなどになります。この新冷媒は、従来の代替フロンとほぼ同じ性能が得られるのです。しかし、作動圧が1.6倍になるのでものによっては、器具ごとの交換が必要でしょう。現在は、各メーカーが古い代替フロンを利用している家庭用エアコンを、新冷媒を使用しているものに交換するようホームページ上で呼びかけています。

3-4.アンモニアや二酸化炭素を利用する方式

さて、ここまで特定フロンや代替フロンによる冷媒ガスについてご紹介してきましたが、このほかにも、アンモニアや二酸化炭素を冷媒ガスとして利用する器具もあります。主に、大型の冷凍庫や冷蔵庫で、冷凍倉庫などにも利用されているのです。アンモニアの冷媒番号はR717、二酸化炭素の冷媒番号はR744になります。アンモニアは冷媒として非常に優秀です。戦前の電気冷蔵庫は冷媒ガスとしてアンモニアが利用されていました。しかし、濃度の高いアンモニアは人体にとって有害です。

また、二酸化炭素は空気中にたくさん存在しています。しかし、アンモニアと同じように濃度の高いものが密閉された空間に放出されれば、人体にとって有害です。ですから、このように危険性のある物質を冷媒ガスとして使う場合は、器具の安全性と有資格者による定期的な点検が大切になってきます。ちなみに、現在は二酸化炭素とアンモニアを同時に使う冷媒方式の冷凍庫もあるのです。また、冷凍倉庫ではなく圧力の調整を機械室で同時に行う施設も増えてきていますので、管理がより簡単に、しかも安全に使えるようになってきています。

とはいえ、古い施設ではまだ冷凍機械責任者の力量で冷凍機械の安全性が保たれているところもあるのです。ですから、アンモニアや二酸化炭素を冷媒ガスとして使う冷凍施設の管理を任された場合は、事故が起きないように一層気を配らなくてはなりません。

なお、最新の冷凍機械はたとえ冷媒ガスがもれても機械の外へ噴出しないような設計になっているものもあります。

4.冷媒ガスを取り扱うことのできる資格は?

冷媒ガスには、特定フロンや代替フロンなどがあることはご説明しました。これらの冷媒ガスを不用意に空気中へ放出すれば、環境破壊が起こります。そのため、平成27年度に冷媒の適切な管理のために「フロン排出抑制法」が制定されました。この法律に基づき、業務用冷凍空調機器への冷媒の充塡や整備、定期点検技術・漏えい予防保全・機器廃棄時の冷媒回収などを行える資格が、民間資格の冷媒フロン類取扱技術者です。平成26年度に制定されたまだ新しい資格ですが、業務用冷凍空調機器の取り付けや点検・保守サービスを行う上で、技術を証明することのできるものとして注目を集めています。

冷媒フロン類取扱技術者には第一種と第二種があり、第一種はフロンガスが使われているすべての業務用冷凍機器において、点検・回収、充てん(フロンガス)を行うことが可能です。第二種は、点検と充てんに一定の制限があり、回収は第一種と同じようにすべての業務用冷凍機器を行えます。

5.冷媒フロン類取扱技術者の資格取得方法

冷媒フロン類取扱技術者は、日本冷媒・環境保全機構が主催する講習を受講すれば取得できます。第一種は高圧ガス製造保安責任者・冷凍空気調和機器施工技能士・冷凍空調技士等の資格を取得していることが、受講条件です。第二種は、今ご紹介した資格のほか、フロン回収協議会等が実施する技術講習会合格者や、業務用冷凍空調機器の保守サービスの実務経験が3年以上あれば、受講できます。詳しくは日本冷媒・環境保全機構のホームページをご覧ください。

講習会は、年に数回全国で行われ、講習費用は第一種が25,700円、第二種が22,680円です。この資格は5年ごとに更新が必要ですので注意しましょう。

6.よくある質問

Q.フロンを使っていない業務用冷凍空調機器ならば、無資格者でも取り扱えますか?
A.はい。しかしまだそのような機器は最新のビルなど以外は、設置されていません。

Q.高圧ガス製造保安責任者の資格保持者ならば、すぐに第一種冷媒フロン類取扱技術者の資格は取得できますか?
A.はい。講習を受ければ大丈夫です。

Q 講習は何日かかるでしょうか?
A.1日で終了します。

Q.冷媒フロン類取扱技術者の資格を持たずに充てん作業などをした場合、法律で罰せられるでしょうか?
A.現在のところは罰せられるような法律がありません。

Q.冷媒フロン類取扱技術者の資格は取得しておいたほうがよいでしょうか?
A.もちろんです。技術の証明にもなります。

7.おわりに

いかがでしたか? 今回は冷媒ガスの種類や性質についてご紹介しました。一口に冷媒ガスといってもいろいろな種類があるのが、お分かりいただけたと思います。冷媒ガスは、通常一般の方の目に触れることはありません。しかし、家庭用のエアコンを着脱するときなどに、ガスが分手術することもあります。エアコンの着脱が素人には難しいのは、冷媒ガスの管理が難しいからなのです。現在は、素人でもエアコンの着脱ができる動画なども公開されています。専用の器具を用いればできないこともありませんが、ガスの放出のさせ方や、管の安全な通し方は素人では難しい場所も多いでしょう。ですから、費用節約にこだわりすぎず、プロに任せておいた方がよいのです。

また、大型の冷凍設備の場合は、冷凍機械責任者という専門の資格がないと管理できません。冷凍設備がある職場で働いているという場合は、資格を取得しているとより責任が重い立場を任されることも多いでしょう。機会があれば取得しておくとよいですね。