飲食店の消防設備の点検とは? 必要な資格や設備など徹底解析

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多くの人が足を運ぶ飲食店は、安心・安全を確保するために‟消防設備”を整えておかなければなりません。火災などいざというときに消防設備が正常に作動すれば、その場にいる人の命を守ることができます。また、正常に作動するためには定期的な点検が必要で、消防設備の点検が行えるのは有資格者です。そこで、本記事では、消防設備の基礎知識や飲食店における点検の方法・必要な資格の種類などについて詳しく説明します。

  1. 消防設備の基礎知識
  2. 飲食店における消防設備とは
  3. 飲食店の消防設備の点検について
  4. 飲食店の消防設備に関する資格とは
  5. 飲食店の消防設備に関してよくある質問

この記事を読むことで、飲食店の消防設備に関する情報や必要な資格などについて知ることができます。点検管理の資格について知りたい方は、ぜひチェックしてください。


1.消防設備の基礎知識

急な火災が起きたときに、人の命を守る消防設備は必要不可欠なものです。消防設備の点検・管理を行うためにも、消防設備の概要や必要性・消防法について把握しておかなければなりません。それでは、詳しく見ていきましょう。

1-1.消防設備とは

消防法における消防設備は、消防の用に供する設備・消防用水・消火活動上必要な施設の3つに区分されています。さらに、消防の用に供する設備の場合は、消火設備・警報設備・避難設備にわかれているのです。また、消防法は「国民の生命、財産を火災から保護する」という目的を持っています。目的を果たすためにも、消防法に基づき、消防設備を正しく設置しなければなりません。

1-2.いつ、どんなときに、どこに必要か

火災は、いつどこで起きるのか予測できません。たとえば、電気設備のショートや配線の腐敗、ガスコンロの不調などによって火災が起きることもあります。いつどこで起こるかわからない火災に備えて、消防設備を常に整えておくことが大切なのです。もし、火災が起きたとします。消防設備の1つであるスプリンクラーが正常に作動すれば、すぐに消火できるのです。スプリンクラーは天井に設置します。また、火の気のある場所では消火器を設置するなど、火災が起こりやすい場所に必要です。

1-3.消防法について

消防設備の設置基準や機械器具類などについては、消防法で定められています。消防法は、火災を予防し、警戒し、国民の生命・身体および財産を火災から保護するための法律です。また、火災・地震などの災害による被害を軽減するほか、社会公共の福祉増進に資することを目的としています。消防設備の点検を正しく行うためにも、消防法をきちんと理解しておかなければなりません。

2.飲食店における消防設備とは

飲食店は、必ず火を使う場所です。不特定多数の人が集まって食事をする場所でもあるため、消防設備を整えておく必要があります。それでは、飲食店における消防設備について詳しくチェックしておきましょう。

2-1.飲食店の消防設備にはどんなものが必要か

消防法において、消防設備の設置・点検が義務づけられている場所に、飲食店が含まれています。設置が義務づけられている消防設備は、消火設備・警報設備・避難設備・消防活動用設備です。それぞれの特徴と代表的な種類を以下にまとめてみました。

<消火設備>

  • 特徴:水あるいはそのほかの消火剤を用いて消火を行う機械器具・設備
  • 代表的な種類:消火器、屋内・屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、ガス消火設備など

<警報設備>

  • 特徴:火災などを通報するため、建物内などに設ける感知・警報・通報の設備
  • 代表的な種類:自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、火災通報装置など

<避難設備>

  • 特徴:火災などの災害が発生したときに避難のために使われる機械器具や設備
  • 代表的な種類:はしごや救助袋などの避難器具、誘導灯および誘導標識など

<消防活動用設備>

  • 特徴:消防隊が消火活動の際に、利便が得られることを主眼として設置する設備
  • 代表的な種類:排煙設備、連結送水管、無線通信補助設備など

2-2.一般家庭との違いとは

飲食店は、特定防火対象物となっています。特定防火対象物は、防火対象物の中でも消防設備の設置基準が厳しく決まっている場所です。消防法では、「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」となっています。一般家庭は特定防火対象物には当てはまらず、設置義務はありません。消防法で定められている内容が、一般家庭と飲食店の大きな違いといえるでしょう。多数の者が出入りする場所だからこそ、いざというときのための設備が必要なのです。

2-3.特定防火対象物について

消防法において、特定防火対象物に指定されている建築物は以下のとおりです。

  • 劇場・映画館・演芸場または観覧場
  • 公会堂または集会場
  • キャバレー・カフェ・ナイトクラブなど
  • 遊技場またはダンスホール
  • 性風俗関連特殊営業を営む店舗など
  • カラオケボックス
  • 待合・料理店
  • 飲食店
  • 百貨店・マーケットなど物品販売業を営む店舗・展示場
  • 旅館・ホテル・宿泊所など
  • 病院・診療所・助産所
  • 老人短期入所施設・特別養護老人ホーム・乳児院・知的障害者施設など
  • 老人デイサービスセンター・老人福祉センター・保育所・障害者支援施設など
  • 幼稚園・特別支援学校
  • 蒸気浴場・熱気浴場など
  • 上記の特定用途を含む複合用途防火対象物
  • 地下街
  • 準地下街

3.飲食店の消防設備の点検について

それでは、実際に、飲食店の消防設備の点検はどのように行うのでしょうか。点検のタイミングや実施者・方法・手順・注意点について詳しく説明します。

3-1.点検はいつ、どんなときに必要か

消防設備の点検は、機器点検と総合点検の2種類があります。機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回義務づけられているのです。ただし、特殊消防用設備(地下街の防災システムなど)については、設備の設置維持計画に定める点検の期間ごとによります。また、毎日状態を確認する中で、設備の腐食などの異常が見られたときは、点検が必要です。

3-2.実施者について

消防設備の管理・所有者が責任を持って点検を行わなければなりません。実際に、消防設備の点検を行う者は、点検できる資格を持っている者です。消防設備に関する専門的な知識を持っている者でなければ、正しく取り扱うことはできません。実施者に関する資格については、【4.飲食店の消防設備に関する資格とは】で詳しく説明します。

3-3.点検の方法・手順

機器点検と総合点検それぞれによって、内容が異なります。6か月に1回行う機器点検は、防災や防火設備の機能・配置・損傷に関する基準に従い、簡易点検を行うものです。基本的に、消防設備の動作確認や外観をチェックします。そして、1年に1回行う総合点検は、機器点検よりも具体的に点検を行う内容です。消防設備と防火設備を実際に作動させて、異常がないかどうか入念に検査します。異常が見つかった場合は、原因に合わせた処置を行わなければなりません。

3-4.注意点

消防法において、点検結果は決まった期間中に、消防長または消防署長への提出が義務づけられています。特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回の報告が必要です。飲食店は特定防火対象物となるため、1年に1回報告しなければなりません。もし、報告を怠れば、点検報告義務違反として30万円以下の罰金、または拘留となります。

4.飲食店の消防設備に関する資格とは

飲食店の消防設備に関する資格には、一体どのようなものがあるのでしょうか。消防設備の点検を行う方は、資格を取得しておかなければなりません。

4-1.どんな資格があるか

主に、挙げられる資格は、消防設備士と消防設備点検資格者の2種類です。それぞれの資格について詳しく説明します。

4-1-1.消防設備士

消防設備の点検・整備・工事を行う場合は、消防設備士の資格が必要です。消防設備士は劇場・デパート・ホテル・飲食店などの施設にある、消防設備の点検・整備・工事を行います。資格種類は、大まかにわけると、甲種・乙種の2種類です。甲種は消防用設備または特殊消防用設備など、乙種は消防用設備などの整備・点検を行うことができます。より幅広い消防用設備を扱いたい場合は、甲種の取得がおすすめです。資格種類によって、扱える消防設備の範囲が異なるので注意してください。

4-1-2.消防設備点検資格者

消防設備点検資格者は、消防設備の点検だけ行うことができる資格です。消防設備士のように、消防設備の整備・工事を行うことはできません。つまり、点検に特化した資格といえるでしょう。消防設備点検資格者の種類は、第1種・第2種・特種の3種類です。それぞれ点検できる消防用設備および特殊消防用設備の種類が異なります。

  • 第1種:屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・消火器・パッケージ型消火設備など
  • 第2種:避難器具・自動火災報知設備・漏電火災警報器など
  • 特種:特殊消防用設備など

4-2.資格概要

消防整備士と消防設備点検資格者、それぞれの資格概要について説明します。

4-2-1.消防設備士

消防整備士の資格試験は、一般財団法人消防試験研究センターが実施しています。試験日程は前期(4月~9月)と後期(10月~3月)にわかれており、全国各地の実施場によって日程が変わるのです。そのため、ホームページで日程を確認しておかなければなりません。また、乙種は誰でも受験できますが、甲種は受験資格が決まっています。たとえば、甲種特類を受験する場合は、甲種第1類~第3類までのいずれか1つ、甲種第4類および第5類のうち、3種類以上の免状の交付が必要です。詳細は、こちら(受験資格ページ)をご覧ください。

4-2-2.消防設備点検資格者

消防設備点検資格者は、講習の受講が必要です。講習を受講して、講習内で行われるテストに合格すれば資格が取得できます。講習会は日本消防設備安全センターの実施で、年に4回行われているのです。地域によって講習実施日が異なるため、ホームページで確認しておきましょう。ただし、講習を受けるためには、受講資格が必要です。受講資格はこちらのページで確認できます。受講資格がある方は、必要な証明書類を用意しなければならないので注意してください。

4-3.資格取得のメリット

資格取得の最大のメリットは、消防設備の点検ができることです。資格を取得している者=消防設備の基礎や必要な知識を身につけている証拠となります。また、資格を取得することで、資格手当など給与面にも良い影響を与えるのです。スキルアップを目指したい方は、資格を取得しましょう。

4-4.資格取得のための勉強法

働きながら資格を取得するのは、簡単なことではありません。「勉強する時間がない」「毎日勉強を続けることができない」など、悩んでいる方は多いはずです。そこで、おすすめしたいのが「SATの通信講座」で、仕事と勉強が両立できると好評を得ています。SATの通信講座は、試験のポイントを押さえたテキストとDVDがセットになっている教材です。DVDはスマートフォンでも再生可能なため、あき時間や移動時間でも気軽に勉強できます。わからないところがあれば、メールで先生に尋ねることもできるのです。ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

5.飲食店の消防設備に関してよくある質問

飲食店の消防設備に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

5-1.毎日できる、消防設備のお手入れとは?

消火器や警報器にホコリがついてしまうと、扱いにくく・火災を感知しにくくなります。そのため、常に消防設備をキレイにしておかなければなりません。乾いた布などでキレイにふき取ってください。また、消火器の使用期限にも注意が必要です。

5-2.飲食店を開く際に、防火管理の報告は必要か?

開業する際は、防火管理者の選任・消防計画・テナントに入るビル全体の共同防火管理届け出などが必要です。どのような消防設備をどこに設置するのかなど、計画を立てなければなりません。報告内容がわからない場合は、近くの消防署に相談してみてください。

5-3.消火器を設置する際の注意点とは?

飲食店でよく見られる消火器は、避難に支障がない場所に設置しなければなりません。また、すぐに持ち出せる場所、床面から高さ1.5メーター以下に設置し、消火器の標識を見やすい位置につけることが義務づけられています。

5-4.消防設備士と消防設備点検資格者、どちらを取得すべきか?

消防設備の整備・工事ができる消防設備士のほうが、優位に見られがちです。しかし、消防設備点検資格者の受験資格は、消防設備士の資格を持っていることが条件の1つになっています。どちらか1つではなく、消防設備士・消防設備点検資格者の2つの資格を取得しておいたほうが、より幅広い消防設備の扱いができるでしょう。

5-5.消防設備士の合格率とは?

平成28年度における消防設備士の合格率は、甲種が30%前後、乙種がおよそ40%となっています。決して、難しい資格試験ではありませんが、地道な勉強が必要です。毎日数十分でもいいので、コツコツと勉強を続けてください。

まとめ

いかがでしたか? 飲食店は多数の人が出入りする場所です。火を扱う場所でもあるため、いざというときのために火災から身を守る消防設備を整える必要があります。消防設備が正常に作動すれば、飲食店にいる人たちの命を守ることができるのです。また、消防法において、飲食店は特定防火建築物に指定されています。基準に見合った設備の設置や点検が義務づけられているのです。正常に作動するためにも、定期的な点検を行わなければなりません。消防設備の点検は、消防設備士・消防整備点検資格者の資格が必要になるため、取得するための勉強を始めてください。きちんとポイントを押さえておけば、スムーズに資格が取得できます。