シックビル症候群とはどんなもの?その原因や症状とは?

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東京や大阪などの都市部ではビルの再開発が進み、高層ビルが次々に新しく建てられています。しかし、その一方で「シックビル症候群」に苦しむ人もいるのです。では、シックビル症候群とはいったいどんなものなのでしょうか?

そこで、今回はシックビル症候群の原因や症状をご紹介します。シックビル症候群はアメリカの方が発症は多く、ビル管理に関する法律が整っている日本では起こりにくいといわれてきました。しかし、絶対に発症しないとはいえません。建物環境衛生管理技術者の方は、ぜひこの記事を読んで対策の参考にしてください。

  1. シックビル症候群とは?
  2. シックビル症候群が発生しやすいビルとは?
  3. シックビル症候群が発生したかどうか見極める方法とは?
  4. シックビル症候群が発生した場合の対処法とは?
  5. おわりに

1.シックビル症候群とは?

シックビル症候群とは、アメリカで発見され名づけられた症状の総称です。ビルは、一般の住宅に比べて密閉性が高く、空調で空気を循環させているところが多いでしょう。大きなビルになるほど、新鮮な空気の出入りが少ないです。その結果、空気中に酸素や二酸化炭素が増加して、健康に悪影響を与えることがあります。

また、ビルを新築した際の建築材料の中にホルムアルデヒドが多く含まれていると、呼吸器官の粘膜が荒れたり、呼吸が苦しくなったりすることがあるでしょう。さらに、症状がひどいと肌に湿しんが現れたりめまいや吐き気が止まらなかったりします。ビルは、空気の出入りが少ないので空気中のホルムアルデヒドが一般住宅より長くとどまるため、このような症状が出やすいのです。

日本では、ビルの管理に関する法律が早く設定されたため、ビルでこのような症状を発症する人の例はほとんどありませんでした。その代わり、一般住宅や学校でホルムアルデヒドが原因のアレルギー症状が、90年代になると盛んに報告されるようになったのです。ですから、日本ではシックビル症候群ではなくシックハウス症候群と名づけられました。しかし、日本でもビルの空調に不備があれば、シックビル症候群が発症する可能性がゼロではないのです。

2.シックビル症候群が発生しやすいビルとは?

では、どのようなビルがシックビル症候群を発生しやすいのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

2-1.空気の出入りが少ないビル

高層ビルや、フロア面積が広いビルほど外部の空気が出入りしにくいです。入り口やロビー付近はドアの開閉で多少は空気が出入りしますが、高層階になるほど空気の清浄化は空調頼みになるでしょう。また、高層階だけでなく地階も空気の出入りはほとんどありません。

2-2.空調システムが古いビル

高層ビルの中には、築年数がたったものもたくさんあります。改修工事はされていても、空調など基本的な設備は古いままというところもあるでしょう。新しいビルは、外部からコンピューターで空調を管理しているところも珍しくありません。しかし、古いビルは管理室でコントロールされていることが多く、故障が起こってもすぐに発生場所や原因がつかめないことが多いでしょう。

2-3.最近、リフォームをしたビル

ビルの内装をリフォームすることは、珍しくありません。また、テナントが変われば家具なども変わるでしょう。リフォームに使われた接着剤や、家具などからホルムアルデヒドが大量に発生すると、シックビル症候群が発生する可能性があります。シックハウス症候群が問題になった後、建築資材に使うホルムアルデヒドの量は厳しく制限されました。しかし、前述したように、ビルの空気は通常の住宅に比べて循環しにくいのです。ですから、少量のホルムアルデヒドが長くビル内にとどまり続けた結果、アレルギー症状を発症する方もいるでしょう。

3.シックビル症候群が発生したかどうか見極める方法とは?

では、体調不良を訴える方が多数出た場合、それがシックビル症候群かどうか見極めるには、何に注目したらよいのでしょうか?この項で詳しくご紹介しましょう。

3-1.ビルの空気を調査した結果を確認する

一定の広さを持つビルは、定期的に空気の成分を調査しなくてはなりません。シックビル症候群の原因は、空気中の二酸化炭素や一酸化炭素の増加です。空気中にこのふたつの物質が増えすぎると、生あくびが出たり頭痛が起きやすかったりするでしょう。ですから、頭痛や気分の悪さなどを訴える人が多い場合は、空気中の一酸化炭素や二酸化炭素の値を確認してみてください。なお、空調に不調がありビル内にたくさんの人がいる場合は、1日あれば一酸化炭素や二酸化炭素が空気中に増えることもあるのです。

3-2.リフォームの有無を確認する

のどの痛みや不快感、気分の悪さや湿しんなどを訴える方が多い場合は、そのフロアがリフォームをしたかどうかを確認しましょう。テナントに賃貸するビルの場合は、賃借者が独自にリフォームすることをできる物件もあります。リフォームをしてから、体の不快感を訴える方が多くなった場合は、空気中の成分を分析してみてください。ホルムアルデヒドが高濃度で検出されるかもしれません。

4.シックビル症候群が発生した場合の対処法とは?

では、シックビル症候群が発生した場合はどのように対処すればよいのでしょうか? この項では、その方法を具体的にご紹介します。

4-1.空調を点検する

シックビル症候群は、空気の循環が悪くなると発症しやすいです。ですから、まずは空調を確認しましょう。新しいビルならば、コンピューターを確認すれば故障箇所も分かります。しかし、古いビルの場合は空調をすべて点検する必要が出てくるのです。ですから、建物環境生成管理技術者は、できるだけ早くビルのオーナーと連絡を取りましょう。場合によっては、ビルの使用を中止しなくてはなりません。損失などを気にされる方もいるでしょうが、重い症状の方が出てからでは遅いのです。

4-2.空気中のホルムアルデヒドの量を確認する

一酸化炭素や二酸化炭素の値が正常の場合は、空気中のホルムアルデヒドの量を測定しましょう。空気の検査を依頼している業者に頼めば、行ってくれるところもあると思います。ホルムアルデヒドの量が多い場合は原因を突き止めて、それを排除しましょう。壁紙のこともありますし、家具の場合もあります。その後、空調で空気を入れ換えれば症状は治まってくるはずです。ただし、化学物質に敏感な方の場合はしばらく症状が出ることもあるでしょう。ですから判断は慎重に下してください。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回はシックビル症候群の原因や症状、対処法をご紹介しました。
まとめると

  • シックビル症候群とは、空調の不調などにより空気中に一酸化炭素や二酸化炭素の割合が増えたことによって発症する。
  • 空気中にホルムアルデヒドの量が増えた場合も、アレルギーのような症状が出る。
  • 空調を調整して空気を検査する。
  • ホルムアルデヒドの量が多い場合は、原因となったものを排除する。

ということです。シックビル症候群が発生すると、原因究明と対策に時間がかかるでしょう。場合によっては、原因が分かって対処法が出るまでビルが使用できなくなる場合があります。そうなると、経済的な損失も大きいでしょう。ですから、建物環境衛生管理技術者の方は定期的な空気の検査の結果をしっかり把握しておいてください。特に、ホルムアルデヒドの場合は徐々に濃度が濃くなっていく可能性があるのです。