土壌汚染対策法とはどんな法律?土壌汚染を防ぐことはできるの?

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土壌汚染とは、文字どおり土に有害な物質は染みこんでしまうことです。土壌汚染が発生すると、その土地が長期間使用不可能になることもあります。土壌汚染は大気や水の汚染よりも分かりにくいため、発見が遅れることも珍しくありません。では、どのように土壌の状態を調査すれば汚染を未然に防げるのでしょうか?

今回は土壌汚染を防止する方法や土壌汚染対策法などについてご紹介します。

  1. 土壌汚染とは?
  2. 土壌汚染はなぜ起こる?
  3. 土壌汚染を防ぐ方法とは?
  4. 土壌汚染調査をする方法とは?
  5. 個人でも土壌汚染調査は行えるの?
  6. 公害防止管理者の資格取得方法
  7. 土壌汚染に関するよくある質問
  8. おわりに

1.土壌汚染とは?

土壌汚染とは、重金属や有機溶剤・油・農薬などが土壌中に人の健康に悪影響を及ぼすほど含まれている状態のことを指します。かつて、土壌汚染が問題になっていたのは農地だけでした。汚染されている土地で農業を行うと、汚染物質が農作物に含有されてしまいます。しかし、現在では住宅や商業施設などを建設する土地も土壌汚染の有無を詳しく調べるようになりました。現在、東京の築地市場に移転問題が持ち上がっている原因のひとつが、移転先に土壌汚染が発見されたからです。

また、土壌汚染は空気や水の汚染よりも原因や責任者が特定しにくいといわれています。これは、土壌汚染が発生するまでに時間がかかることと、発生の時期が特定しにくいためです。たとえば、ある建物が立ち退いた後で土壌汚染の調査をしたら、汚染が確認されたとしましょう。しかし、立ち退いた建物は、汚染の原因となる物質を使っていませんでした。こうなると、汚染を行った責任者を特定するのは非常に困難です。そのため、土壌汚染の責任の所在を巡って裁判になったケースもあります。一度発生すると非常に厄介な汚染といえるでしょう。

土壌汚染が人体に与える影響

土壌汚染は、人体に直接的にも間接的にも影響を与えます。土に染みこんだ汚染物質は土と共に風に乗って舞い上がり、口や鼻・皮膚から体内に入り、悪影響を及ぼすこともあるでしょう。これが直接的な影響です。また、土壌に染みこんだ水や、土壌で育った植物も有害物質に汚染されます。それらを口にした場合も悪影響が出るでしょう。水や植物は、土そのものよりも広範囲に影響を与えることがあります。

大気汚染・水質汚染とは違う特徴は?

大気や水の汚染は、大気や水の動きにより比較的短時間に汚染物質が拡散します。そのため、汚染物質が広範囲に広がりやすいという問題がある一方、汚染物質の濃度が人体に影響ない程度に下がる時間も短いでしょう。しかし、土壌汚染の場合は、長期間にわたって汚染物質が同じ場所にとどまりやすいのです。一例をあげると、明治時代に鉱毒事件が発生した足尾銅山跡地に堆積している土砂からは、現在まで基準値を超える鉛が検出され続けています。

2.土壌汚染はなぜ起こる?

土壌汚染は、有害物質が地中に染みこむことによって発生します。というと、工場などが有害物質を土壌に垂れ流したというイメージを持つ方もいるでしょう。そのようなケースもあります。

しかし、そのほかにも有害性が当時は認められなかった物質を土中に埋めた結果、汚染物質がしみ出したというケースも珍しくありません。また、鉱山の跡地などから基準を超えた汚染物質が検出されることもあります。つまり、土壌汚染は人為的な原因だけでなく、自然発生する例もあるのです。

土壌汚染の原因物質としては、鉛・水銀・カドミウム・六価クロムといった重金属やベンゼン・ジクロロメタン・有機リン酸化合物といった化学物質が挙げられます。

近年で最も有名になった土壌汚染問題と言えば、中央卸売市場の移転先に選ばれた豊洲に関するものです。かつて豊洲には大きなガス工場があり、現在も基準値の100倍を超えるベンゼンが検出されています。また、東京オリンピックに備えて東京では各地で再開発が進んでいますが、板橋区など小さな工場が立ち並んでいた地域では、基準値を超える汚染物質が検出される場所も珍しくありません。

3.土壌汚染を防ぐ方法とは?

さて、このように一度発生してしまうと対処が難しくなることも多い土壌汚染ですが、それを防ぐためにはどのような対策がたてられているのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

3-1.土壌汚染対策法について

土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止などを目的に、2003年に制定されました。
「土対法」と略されることもあります。よく似ている法律に、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」がありますが、これは農用地に限定された法律です。それに対し土壌汚染対策法は用途に限らずすべての土地に適応されます。また、土壌汚染対策法は下水道法とセットで適用されることが多いでしょう。

3-2.法律に基づいた土壌汚染を防止する方法とは?

現在は、土壌汚染対策法と下水道法を適用して特定施設に土壌汚染の調査を義務づけています。特定施設とは、大気や水、空気を汚染する物質を放出する可能性のある工場や、業種の建物のことです。しかし、いつでも土壌汚染の調査を命じられるわけではありません。特定施設の使用が廃止されるときに、土壌汚染調査を行うことが義務づけられているのです。

また、3,000平方メートル以上の土地の形質変更を行う際、土壌汚染をする可能性があると都道府県知事が認める場合も、土壌汚染調査を行わなくてはなりません。さらに、発令されることはあまりありませんが、都道府県知事が「土壌汚染の可能性がある」と認めた場合は、ただちに土壌汚染調査を行う必要があります。

3-3.条例でさらに条件が指定されていることもある

環境保護に関する法律は、厳しいとはいえません。そこで、各自治体が条例を作って法律の足らない部分を補っているケースもあります。特定施設を廃棄したり、土壌汚染の可能性がある工事を行ったりする場合は、法律だけでなく自治体の条例に従って調査をしましょう。これに違反すると、都道府県知事の許可が下りずに工事が中止になるかもしれません。

4.土壌汚染調査をする方法とは?

土壌汚染調査は、土地の所有者(管理者・責任者)が環境大臣の指定を受けた調査機関に調査を依頼して行わなければなりません。特定施設は公害防止管理者の選任が義務づけられていますが、有資格者でもひとりで土壌汚染調査は行えないので注意しましょう。調査機関から報告された結果は、正確に都道府県知事に提出しなければなりません。数値を改ざんしたりすれば、大問題になります。

また、土壌汚染調査は原則的に土地の所有者が行うことになっていますが、管理者や責任者でも行えるのです。そのため、特定施設の持ち主と土地の持ち主が別人という場合は、どちらが調査を行うのか確認しておきましょう。土壌汚染調査には費用がかかります。はっきりと決めておかないとトラブルになりやすいでしょう。

土壌汚染に対しての公害防止管理者の役割

公害防止管理者とは、公害を発生させる可能性のある工場や施設などに常駐し、大気・水・振動・騒音などの検査を行うことのできる資格です。

  • 製造業(物品の加工業を含む)
  • 電気供給業
  • ガス供給業
  • ​熱供給業

のいずれかに該当し、

  • ばい煙発生施設
  • 特定粉じん発生施設
  • 一般粉じん発生施設
  • 汚水等排出施設
  • 騒音発生施設
  • 振動発生施設
  • ダイオキシン類発生施設

を備えている工場(特定工場)は、必ず公害防止管理者を選任しなければなりません。
公害防止管理者は、

  • 大気関係(ばい煙を管理し、空気汚染を予防する)
  • 水質関係(水質汚染を予防する)
  • 騒音・振動関係
  • 粉じん関係
  • ダイオキシン類関係

といった13の資格区分があります。土壌汚染は、汚染物質が水・大気・粉じんと共に土壌と接することによっても起こるでしょう。ですから、公害防止管理者は定期的に大気・水質・粉じん・ダイオキシンを検査することにより、土壌汚染を間接的に予防しています。なお、公害防止管理者の資格区分の中に土壌に関するものはありませんが、必要ならば土壌の検査をすることもあるでしょう。

5.個人でも土壌汚染調査は行えるの?

宅地を買ったが、土壌汚染が気になるという方は年々増加しています。個人でも土壌汚染調査を行いたいという方もいるでしょう。結論を申し上げると、土壌汚染調査は行えます。ただし、最近ではハウスメーカーや土地の所有者が土壌汚染調査を行っているところも多いので、神経質になりすぎることもないでしょう。

土壌汚染は前述したように自然界にある物質が原因でも起こります。たとえば、鉱脈がある場所の山が住宅地として開発された場合、地中から金属の反応が出ることも珍しくありません。ですから、土地を買う場合はその土地が以前何であったかを調べることも大切です。なお、土壌汚染が発覚したからといって、その土地が永久に使えなくなることはありません。土の表面だけ汚染された場合は、その土を取りのぞけば汚染はなくなります。もちろん費用がかかりますが、宅地として販売されるまでにハウスメーカーが工事を行ってくれることもあるでしょう。

また、特定工場に勤務する公害防止管理者は水質汚濁が確認された場合、念のために土壌汚染の調査を提案した方がよい場合もあります。

6.公害防止管理者の資格取得方法

公害防止管理者の資格を取得するには、技術士・ガス主任技術者・衛生工学衛生管理者・薬剤師など一定の資格を取得し、公害防止にかんする実務経験を積んだ後で認定講習会を修了する方法と、産業環境管理協会が主催する試験を受けて合格する方法があります。試験を受けるための資格などは定められていません。ですから、無資格無経験から公害防止管理者を目指したい場合は、試験を受けましょう。

なお、公害防止管理者の資格区分は現在のところ、13種類もあります。ですから、試験科目や試験科目免除の条件なども複雑です。資格取得を目指している方は、まず自分が取得したい資格区分を定め、産業環境管理協会のホームページをしっかりと確認しましょう。複数の資格区分を取得することも可能です。

7.土壌汚染に関するよくある質問

Q.土壌汚染が発見された場合、責任は誰に問えばよいでしょうか?
A.汚染物質を排出した施設に責任がありますが、施設が立ち退いてから時間がたっている場合は、因果関係を立証することが難しい場合もあります。

Q.土壌汚染が発見された場合、土地は使用禁止になるのでしょうか?
A.はい。汚染の状況によっては使用禁止になったり、学校や病院など特定の用途には使えなくなったりします。

Q.土壌汚染と水質汚染が同時に発生することはあるでしょうか?
A.はい。汚染された水が土壌に染みこめば土壌汚染も同時に発生します。

Q.土壌汚染は、個人宅でも起こることがあるのでしょうか?
A.焼却炉を設置している場合、有害物質が含まれているゴミを燃やし続けると、土壌汚染が発生する可能性があります。

Q.土壌汚染は、中和剤などで解消することはできませんか?
A.中和ができない毒物も多く、簡単にはいかないでしょう。

8.おわりに

いかがでしたか? 今回は、土壌汚染についていろいろとご紹介しました。日本は、昭和40年代にさまざまな公害病が発生し、たくさんに犠牲者が出た歴史があります。そのため、公害に対する法律が1970年代に急速に整えられました。しかし、土壌汚染対策法が制定されたのは2003年とまだ新しいのです。そのため、適用例も多くありません。「ついうっかり忘れてしまった」ということがないように注意しましょう。

また、土壌汚染は前述したように、古いものほど責任がどこにあるのか特定しにくくなっています。ですから、工業地帯の土地や工場跡地などを利用した土地を買う場合は、注意が必要です。土壌汚染は空気や水の汚染に比べると分かりにくく、影響が出るのにも時間がかかります。しかし、その反面長く影響が出ることもあるのです。現在特定施設に指定される場所は、土だけでなく汚水の管理にも気を配りましょう。汚水が染みこめば土は汚染されます。

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