【保存版】スプリンクラーの設置基準~消防設備士試験のポイント解説

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防災意識が高まっている現在、防災系の資格は非常に役立ちます。就職活動をするにあたって、最も有利な資格の1つといっても過言ではありません。

災害にもさまざまな種類がありますが、特に身近な災害は火災です。そこで、こちらでは火災予防に役立つ消火用スプリンクラーの基礎知識を解説することにしました。

  1. スプリンクラーの設置基準~消防設備の基本のキ!
  2. スプリンクラーの種類をチェック~設置基準との関連は?
  3. 消防設備に関する資格にはどんなものがある?

火災予防に携わる人気資格−消防設備士(第一類)を取得するには、消火用スプリンクラーの知識が不可欠です。こちらのページを読めば、スプリンクラーの仕組みや設置基準があっさりと頭に入ること間違いなし!


1.スプリンクラーの設置基準~消防設備の基本のキ!

消防用スプリンクラーは、火災発生時に水を撒(ま)いて鎮火するための設備です。基本的には火災発生時、自動的に反応して消火を開始します。小火(ぼや)が本格的な火災に発展する前に鎮火するという方向性なので、初期消火を図る設備と考えてください。

防災設備の中では“設置費用が高額”というネックがあるものの、初期消火の効果が高いので、多くの施設に設置されています。スプリンクラー1~3個ほどで十分に鎮火できるため、防災効果は抜群です。

実際、消防法でもスプリンクラー設備の設置基準が定められています。こちらでは、スプリンクラーの設置基準について解説することにしましょう。

1-1.消防法におけるスプリンクラー設置基準

スプリンクラーの設置基準は非常に複雑なので、ここではある程度、簡略化して解説することにします。まず、こちらで概要を理解してください。その上で、詳細に調べるのなら“消火設備設置基準の一覧表”を確認しましょう。最初に概要を把握しておけば、一覧表の内容を理解することも可能です。最初から1から10まで覚えようとせず、だいたいのルールを頭に入れるようにしてください。

1-2.スプリンクラーの設置基準が定められている施設とは?

消火設備にはスプリンクラーのほか、消火器具、屋内消火栓などが存在します。消火器具の設置だけで十分な施設なら、スプリンクラーを設置する必要はありません。何も、すべての施設にスプリンクラーの設置義務が課されているわけではないのです。

スプリンクラーの設置基準が定められているのは、主に以下のような施設になります。

  • 映画館・劇場などの会場施設
  • 集会場・公会堂などの集会施設
  • キャバレー・ナイトクラブなど歓楽施設
  • ダンスホール・カラオケなど娯楽施設
  • 飲食店
  • デパート・スーパーなどの店舗
  • ホテル・旅館などの宿泊施設
  • 病院・診療所などの医療機関
  • 老人ホーム・養護施設などの福祉施設
  • 幼稚園・養護学校など災害時の避難に不安がある人を対象とした教育機関
  • サウナなどの蒸気浴場・熱気浴場を有する公衆浴場
  • 地下街
  • 地上11階以上の階層にある商業施設・公共施設・事務所・集合住宅など

ただし、上記に該当する施設だからといって、必ずしもスプリンクラーの設置義務があるとは限りません。床面積、階層など、さまざまな条件によって設置義務の有無が決まるからです。

1-3.スプリンクラー設置基準は階層によって異なる!

次に頭に入れておくことは、階層ごとの基準です。スプリンクラー設備の設置基準を定めているのは消防法施行令第12条ですが、階層によって基準が大きく異なっています。階層の分類は大きく4つに分けられているので、まずは以下の4分類を頭に入れてください。

1-3-1.11階以上の高層階

地上階だけで11階建て以上の高層建造物において、11階以上の階には必ずスプリンクラーを設置しなければなりません。高層階で火災が発生した場合、建物の外に避難することが困難です。何としても、小火(ぼや)の段階で初期消火することが求められます。

1-3-2.4階から10階までの中層階

地上4階から10階までの階を中層階と考えてください。中層階は、“どんな用途で用いられている建造物なのか”によって、スプリンクラー設置義務の有無が変わってきます。

建造物の種類による違いは後述するので、今は4~10階が中層階であることだけ理解しておいてください。

1-3-3.地下または無窓階

地下1階、地下2階といった地下の階です。ただし、窓がまったくないフロアは、地上であっても地下と同じ扱いになります。重要なのは“地下であること”ではなく、“窓がないこと”だからです。火災発生時、窓がないフロアには煙がこもりやすくなります。また、窓から避難することもできません。たとえば、地上5階や6階なら飛び降りることはできませんが、はしご車による救助は可能です。窓がないフロアは、はしご車による救助もできません。

要するに、地下・無窓階は火災発生の危険性が高いわけです。そのため、スプリンクラーの設置義務がやや厳格になっています。地下・無窓階の場合、原則として床面積1,000平米以上ならスプリンクラーの設置義務があると覚えてください。

1-3-4.1階から3階までの一般階

地上1階から3階までの階層は一般階です。一般階は“どんな用途で用いられている建造物なのか”によって、スプリンクラーを設置するかどうかが異なってきます。

建造物の用途による違いは後述しますので、現段階では1~3階が一般階であることを理解してください。

1-4.スプリンクラー設置基準は施設の種類によって違う!

建物の用途によって、スプリンクラーの設置基準は異なります。ここでは、用途ごとの違いを解説することにしましょう。もちろん、階層ごとにスプリンクラー設置基準は変わってきます。ここまでに解説した階層の名称を思い出しながら、読んでください。

1-4-1.会場施設・集会施設・飲食店・公衆浴場

まずは、映画館・劇場などの会場施設、集会場・公会堂などの集会施設、飲食店、そしてサウナなどを有する公衆浴場です。以上の施設に関しては、次のような設置基準が定められています。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,500平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

注意するべきなのは、最後の項目です。11階建て以上になっている場合、建物の全フロアにスプリンクラー設置義務が生じます。11階以上の高層階だけに設置すれば良いというわけではありません。

1-4-2.歓楽施設・娯楽施設

次に、キャバレー・ナイトクラブなどの歓楽施設、ダンスホール・カラオケなどの娯楽施設です。以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,000平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

歓楽施設や娯楽施設の場合、中層階の設置基準がやや厳しくなります。また、11階建て以上の場合には、建物全体にスプリンクラー設置義務が生じるルールになっているので注意が必要です。

1-4-3.店舗

デパート・スーパーなど店舗型の商業施設では、以下のような設置基準が定められています。

  • 床面積3,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,000平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

店舗の場合、一般階の設置基準が非常に厳しくなっています。ほかの施設と比べて、半分の床面積でもスプリンクラーを設置しなければなりません。また、11階建て以上の場合には建物の全階層にスプリンクラーが必要です。

1-4-4.医療機関

病院・診療所などの医療機関は少し複雑です。医療機関の種類によって、スプリンクラーの設置基準が異なります。

1-4-4-1.特定診療科を有する有床医療機関の場合

特定診療科を有する有床医療機関とは、整形外科・リハビリテーション科・内科など特定の診療科を設置しており、4人以上の入院設備を持っている医療機関のことです。該当する医療機関の場合、階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。

入院患者がいて、さらに避難の困難な患者が多い医療機関であれば、火災の初期消火は絶対条件です。延焼してしまえば、避難に手間取っている間に多くの犠牲者が出るでしょう。全フロアにスプリンクラー設置義務があるのは、当然といえます。

1-4-4-2.特定診療科を有しない有床医療機関の場合

入院設備を持っている医療機関でも、特定診療科を設置していない場合は設置基準が緩くなります。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,500平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

ただし、平屋建ての場合は6,000平米以上であってもスプリンクラーの設置義務がありません。

1-4-4-3.無床診療所の場合

無床診療所というのは、入院設備を持たない医療機関のことです。無床診療所の場合、以下のような設置基準が定められています。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,500平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

無床診療所の場合、入院患者がいません。そのため、スプリンクラーの設置基準は通常の集会施設などと同様になります。

1-4-5.福祉施設

老人ホーム・養護施設などの福祉施設についても、複雑な区分が存在します。福祉施設の種類によって、スプリンクラーの設置基準が異なるのです。

1-4-5-1.老人・乳児を対象とする福祉施設の場合

老人ホーム、乳児院などの施設を指しています。火災発生時に自力で避難できない人々がいる施設ですから、当然、スプリンクラーの設置基準は通常と比べて厳格です。階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。

ただし、老人を対象とする施設については、“要介護者が含まれる施設”に限られるので注意してください。

1-4-5-2.特定の救護施設・障害児施設・障害者施設の場合

“特定の”という表現は、入所者のだいたい8割以上が“介助がなければ避難できない者”である場合を指しています。避難に困難を伴いますから、当然、スプリンクラーの設置基準は厳格です。階層を問わず、全フロアにスプリンクラーを設置しなければなりません。

1-4-5-3.一般の救護施設・障害児施設・障害者施設の場合

“介助がなければ避難できない者”の割合が8割未満の施設であれば、スプリンクラーの設置基準はやや緩くなります。床面積が275平米以上のフロアだけにスプリンクラーを設置すればOKです。

1-4-5-4.簡易な福祉施設の場合

福祉施設のうち、老人デイサービス、保育所といった施設はそれほど厳しい基準になっていません。次のような設置基準が定められています。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,500平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

原則として入所や宿泊を伴わないため、一般的な集会施設と同じ基準になっています。

1-4-6.幼稚園・養護学校

教育機関のうち、幼稚園と養護学校(特別支援学校)にはスプリンクラーの設置基準が存在します。

  • 床面積6,000平米以上の一般階
  • 床面積1,000平米以上の地下・無窓階
  • 床面積1,500平米以上の中層階
  • 11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

通常の教育機関は11階以上の高層階だけに設置すれば良いことになっています。しかし、幼稚園・養護学校は避難が困難な幼児・生徒を教育する機関です。通常より厳格な基準が適用されるのは当然でしょう。

1-4-7.地下街

地下街に関しては、延べ面積1,000平米以上の場合にスプリンクラーの設置が義務づけられています。窓がなく、避難経路が限られるため、地上より厳格な基準になっているのです。

1-4-8.11階以上の高層階

上述した施設ではなくても、原則、11階以上の高層階に関してはスプリンクラーの設置が義務づけられています。11階以上になると、はしご車による避難も困難でしょう。避難経路が限られるため、火災発生時には何としても初期消火しなくてはなりません。

1-5.スプリンクラー設置基準に関する届け出はどうするの?

これまで解説したように、建造物の用途・階層に応じてスプリンクラー設置基準が決まっています。建築物を建てる際には、地域の消防署に届け出を行い、ルールに適合する防火設備を設置する必要があるのです。

また、一部の地方公共団体では、消防法より厳格な基準を定めている場合があります。建築物を建てるときには消防法だけでなく、地方公共団体の条例も確認する必要があるのです。

もちろん、各種例外なども存在しますから、上記はあくまでも原則的な例に過ぎません。原則を頭に入れた上で“消火設備設置基準の一覧表”を参照し、同時に地方公共団体の条例もチェックする。スプリンクラー設置義務の有無を確認する手順は、非常に複雑です。

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