建物の設計や工事監理ができる建築士において、登竜門といえるのが2級建築士です。2級建築士と名乗るためには、免許を取得する必要があります。しかし、試験に合格してから免許を取得するには、実務経験が必要になる場合もあるのです。こちらでは、2級建築士になるための流れと、受験の申込方法と注意点について解説します。
目次
2級建築士になるまでの流れ
2級建築士資格の基礎知識を踏まえ、受験の仕組みと免許取得までの流れを見ていきましょう。
2級建築士とは?
建築士の資格でできることは、建物の設計に加え、工事監理人として建設現場の指導監督、契約に関わる事務作業などの業務です。建築士には1級・2級・木造の3区分がありますが、業務は基本的に変わりません。
しかし、携われる建物の規模に制限があり、2級建築士では戸建て住宅ほどの規模に留まります。木造では3階まで(高さ13m以下、軒の高さ9m以下)、延べ面積1,000㎡以下、木造以外では3階まで、延べ面積300㎡以下となっています。
2級建築士試験の概要
学科試験と設計製図試験に合格すると、2級建築士の免許を取得できる資格が得られます。学科試験はマークシート方式、設計製図試験は手書きで製図をする試験です。
試験には受験資格が設定されていますが、建築士法改正により令和2年度から受験資格が緩和されました。受験資格の大きな変更点は、高校・中学で指定学科を修めると卒業年に受験できるようになったことです。大学卒や専門学校卒と同等の扱いになり、より早く2級建築士を目指せるようになりました。
免許の取得には実務経験が必要
大学や専門学校で指定学科を修了した場合、学科試験と設計製図試験に合格したらすぐに免許を取得することが可能です。しかし、高校と中学の場合、2年以上の実務経験を満たす必要があります。建築士法改正で以前の3年以上から短縮されたため、高卒・中卒の要件が大幅に緩和されたことがわかります。
ただし、実務経験と認められる業務は一定の条件があり、反対に認められない業務も存在します。免許をスムーズに取得するために、試験合格後に実務経験の要項をあらかじめ確認しておくといいでしょう。
2級建築士試験の受験方法
2級建築士試験の申込をする流れと、試験に必要な道具を紹介します。
受験申込書を受け取る方法
2級建築士の受験申込書は、受付窓口または郵送で受け取ることが可能です。
受験申込書を配布する受付窓口とは、建築士会の各都道府県支部です。申込書そのものは無料で受け取ることが可能で、受験料は別途で支払うことになります。
また、郵送の場合はホームページ上で請求し、配達された際に郵送費用をその場で支払います。自宅近くに支部の窓口がない方は、郵送を利用するといいでしょう。
受験票を受け取るまでの注意点
受験申込書の提出方法は、郵送、受付窓口、インターネット受付の3つから選ぶことが可能です。ただし、新規受験者のインターネット受付はできません。そして、受付期間が一律ではなく方法によって異なることに注意しましょう。
受験申込書が受理されると「受験申込書受付票」が発行され、受験票は後日郵送される仕組みです。受験票は6月上旬に発送されますが、それ以降になっても届かない場合は建築技術教育普及センター本部に電話で問い合わせましょう。
試験に持って行く道具
受験の必須道具である筆記用具、受験票のほかに、試験に使用する道具の持ち込みが認められています。
学科試験では、建築法規で使用する「法令集」のみの持ち込みが可能で、電卓や計算尺は認められていません。
手書きで製図作成する設計製図試験では、「製図板・各種定規・コンパス・ハケ・電卓・時計またはストップウォッチ」などが持ち込み可能です。ただし、使用できない条件が設定されているので、受験要項を必ず確認しましょう。
一方、製図試験に持ち込めない道具は、「ドラフター・点線スケール・そろばん・トレーシングペーパー・電動消しゴム」などが挙げられます。
さらに詳しく!
2級建築士の試験内容とは?学科の科目・製図の課題を全解説
2級建築士になるには2回の試験と実務経験が必要
2級建築士になるには、学科試験と設計製図試験をそれぞれ合格する必要があります。また、2級建築士の免許を取得するには、試験に合格するだけでなく、高校または中学卒の方は実務経験も必要になります。ただし、建築士法改正により、高校と中学卒の要件が大幅に緩和されたため、2級建築士がより受験しやすくなったといえるでしょう。
2級建築士の受験申込書を提出する際、3つの方法から選べます。受験票が後日届くため、万が一届かない場合は必ず確認しましょう。また、製図試験に持ち込める道具は、指定の条件が細かく決まっています。図面を作成する製図試験は道具が欠かせないため、試験要綱をしっかり確認してから準備しましょう。