河川や道路、橋梁やトンネルなど、日本では日々あらゆる場所でインフラ設備を整える工事が行われています。
これらは一般的に土木工事とよばれ、その土木工事には工事ごとに「土木施工管理技士」という資格を保有した、現場監督となる人材が必要なのです。
今回はその土木施工管理技士について、資格に関する説明のほか気になる合格率などを紹介します。建設業界で働きたいと考えている人は必見です。
目次
1級土木施工管理技士の合格率は?
早速ですが、気になる1級土木施工管理技士の合格率を見ていきましょう。
1級土木施工管理技士の合格率ですが、第一次検定(旧学科試験)では2023年度は49.5%、2022年度は54.6%、2021年度は60.6%でした。
第一次検定(学科)の合格率は過去10年間をさかのぼっても50〜60%程度の合格率を誇っており、難易度はそう高くないといえます。
しかし、第二次検定(旧実地試験)では2023年度は33.2%、2022年度は28.7%、2021年度は36.6%です。最終的な資格取得の場面では狭き門となることがわかります。
土木施工管理技士の受験には実務経験が求められるため、最終学歴によって受験年齢が大きく左右されやすいデメリットがあります。
試験全体の難易度は高くないと考えられますが、特定の学科を履修していない人が土木施工管理技士の資格を取得するには、実務経験以上に勉強をしなければ合格は難しいといえます。
1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士の合格率の比較
1級土木施工管理技士の資格取得を考えている方にとって合格率と難易度は重要な指標ですよね。
一般的には、1級土木施工管理技士は難関資格と思われていますが、実際の合格率は、第一次検定(学科)が約50%〜60%、第二次検定(実地)は約30%〜40%です。
これは、2級土木施工管理技士と合格率に大きな差はありません。下記の表をご確認ください。
<第一次検定(学科)合格率の比較>
年度 | 1級 | 2級 |
---|---|---|
2023年度 | 49.5% | 50.6% |
2022年度 | 54.6% | 65.3% |
2021年度 | 60.6% | 73.6% |
2020年度 | 60.1% | 72.6% |
2019年度 | 54.7% | 67.1% |
<第二次検定(実地) 合格率の比較>
年度 | 1級 | 2級 |
---|---|---|
2023年度 | 33.2% | 62.9% |
2022年度 | 28.7% | 37.9% |
2021年度 | 36.6% | 35.7% |
2020年度 | 31.0% | 42.2% |
2019年度 | 45.3% | 39.7% |
上記の表を見るとわかるように、1級と2級では合格率はほぼ変わりません。とはいえ1級のほうが専門性が高いため、試験内容の難易度は1級のほうが高いといえるでしょう。
しかも、2級よりも1級のほうがより現場での需要が高くなります。そのため、もし1級の受験資格をお持ちなら、最初から1級の試験を受けたほうが効率よいでしょう。
そもそも土木施工管理技士とはどんな資格?
自然災害からの復興事業や再開発事業などが進むなか、建設会社では土木施工管理技士の有資格者の確保が急務と言われています。ここではまず土木施工管理技士の資格について詳しく解説します。
土木施工管理技士とは
土木施工管理技士とは、建設業法で定められた国家資格者です。この資格を持つことで、土木工事が計画通りに進むように現場全体を統括・管理する「施工管理」に携わることができます。
また建設業を営むにあたり、設置が義務付けられている専任技術者の仕事にも携わることが可能です。このほか建設工事現場においては、監理技術者や主任技術者といった役割で工事の工程管理や作業員の配置などを行うこともできます。
土木施工管理技士には1級と2級の種別があり、専任技術者や監理技術者として選任されるのは1級取得者に限ります。
土木施工管理技士の資格を取得し、大手ゼネコンなどへ転職希望をする場合は、より上級資格である1級土木施工管理技士の資格が望ましいとされています。
建設工事には欠かせない資格
土木施工管理技士は工事の数だけ有資格者の配置が必要となるので、建設業界では引く手あまたの資格といえるでしょう。
特に、1級土木施工管理技士の有資格者は、専任技術者として届け出ることで土木工事の業種において建設業の許可を受ける要件が満たされます。
そういった現場では、土木施工管理技士は拠点長就任といった昇進の可能性もある資格です。
土木施工管理技士の受験資格(令和6年度版)
土木施工管理技士の受験資格は実務経験が問われますが、令和6年度から受験資格が大きく変更されることになりました。
特に大きな変更があったのが1級一次試験です。
これまでの受験資格では、1級では一次から必ず実務経験が必要でした。しかし、新しい受験資格では、一切の実務経験が不要となりました。
その代わり、新しい受験資格には年齢制限が加えられ、試験が実施される年度に満19歳をむかえる人であれば誰でも受験が可能となりました。
19歳という年齢だと大学生や専門学生の方も多いかと思います。従来の1級一次試験では実務経験が必要なため在学中に受験することができなかった方も新しい受験制度では受験することが可能です。
また1級の二次に関しては引き続き実務経験が必要なものの、以前は学歴によって定められていた実務経験の年数は今回の改正により、一次試験合格後からの実務経験に一律化されてました。
今回の制度改正は慢性的な建築業界の人手不足を少しでも解消するために実施されています。受験を検討していたものの受験資格のために受験を諦めていた方も、ぜひ挑戦をしてみてはいかがでしょうか。
なお、第一次検定の合格者には「技士補」が付与されます。技士補の存在によって監理技術者の配置義務が緩和されるので、仕事でも役立つことがわかります。2土木施工管理技士を目指す方にとっては、大きなチャンスといえるでしょう。
試験は第一次検定(学科)と第二次検定(実地)の2段階
土木施工管理技士になるには、第一次検定と第二次検定のいずれにも合格する必要があります。第一次検定は1級が年1回で2級が年2回、第二次検定は年1回の開催です。
全国主要都市で開催され、最寄りの受験地にて受験することができます。第一次検定の合格者のみが第二次検定を受験できるシステムです。
第一次検定は四者択一方式によるマークシート記述になります。96問が出題されて、そのうち65問に解答する試験です。合格ラインは60%以上の正答、つまり39問以上に正解する必要があります。
第二次検定は文章記述がメインとなります。こちらも60%以上の正答が合格ラインです。第一次検定では専門用語の要点把握のほか、法令や計算など広く知識を掘り下げることが求められます(試験年度により合格ラインは多少変更になる場合があります)。
また、第二次検定はこれまでの実務経験の蓄積が問われます。過去業務実績の振り返りはもちろん、過去問題を数多く解いていくことが大切です。
土木施工管理技士の勉強方法は?
ここまでは合格率や難易度を見てきましたが、では実際にどのように勉強をすれば合格をすることができるかを解説していきます。
自分の実力に合った勉強計画を立てる
大切なのは、自分の実力にあった勉強の計画を立てることです。今まで全く勉強をしてこなかった方が、いきなり1日2時間も3時間も勉強しようとしてもうまくいきません。
最初は1時間、慣れてきたら2時間と、徐々に勉強時間を増やしていくのがおすすめです。また、休日まとめて勉強するより1日30分でも継続して勉強する方が効果的です。
経験記述を優先して学習をする
経験記述とは、第二次検定でも特に難しいとされている問題です。自分の経験を元に記述しなければならないので、「こうすれば高得点がとれる」といった基準が分かりにくく、悩む方も多いでしょう。
また、経験記述は一種の小論文なので、「昔から作文が苦手だった」という方もハードルが高めです。
しかし、事前にある程度問題が予想できるので、経験記述試験の対策を早めにたてて繰り返し模擬問題を解くことが大切です。また通信教材の添削も大いに役立ちます。
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1級土木施工管理技士の資格概要と合格率まとめ
土木施工管理技士はどんな資格?
土木施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」のひとつで、土木工事の施工管理を行なえます。
資格区分は1級と2級があり、1級は主任技術者のほか、監理技術者にもなれるので仕事の幅がより広くなります。
また、役所へ提出する書類の作成、交渉なども仕事です。施工管理に関わる全てが仕事といえます。
1級土木施工管理技士の合格率は?
1級土木施工管理技士の合格率は、第一次検定が50%〜60%程度、第二次検定が30%〜40%程度を推移しています。
2級との合格率の差はそこまで大きくはなく、それだけ見れば格段に難しくは思えないかもしれません。しかし、より専門的な知識を問われるので難易度は確実に上がっています。
1級土木施工管理技士の勉強方法は?
1級土木施工管理技士の勉強方法は、参考書による独学、専門学校への通学、通信教材の利用などがあります。
しかし、通える範囲に専門学校がなく、独学は難易度が高いと思うならば、通信教材の利用がおすすめです。自宅でレベル高い教材を使って勉強できます。