土木施工管理技士講座

土木施工管理技士とは?この資格と将来性について

土木施工管理技士とは 土木工事専門の国家資格です。

土木施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格で、ライフラインの基盤を整備する職業です。
具体的には、河川の堤防や護岸工事、ダム、橋などの整備の進捗管理を行いながら、責任者に指示を出す仕事です。

土木施工管理技士の試験は、一般財団法人全国建設研修センターが実施しています。
建築、管工事、電気工事、造園といった施工管理技士の中の1つで、土木施工管理技士は、土木工事専門の主任技術者や管理技術者になるための資格です。

仕事内容 土木施工管理技士が行う主な仕事内容は4つ!

土木施工管理技士は、一連の作業工程において施工計画が予定通り進行するように施工管理などを行います。
工事全体に係るすべてを把握して業務にあたりますが、その仕事内容は大きく分けて4つあります。

仕事
01

品質管理

施工計画した通り施工がなされているか、仕様書と照らし合わせながら品質管理をします。
また、発注者に報告することも業務に含まれています。

仕事
02

工程管理

工程通り工事が行われているかチェックします。工程に応じた人員手配や業者との打ち合わせなど、納期に間に合うようスケジュール管理を行います。

仕事
03

安全管理

体調が悪そうな人がいないかなど作業者の健康状態に気を配ったり、保護具の着用の確認を行ったりします。
また、工事を進行するに当たって危険がないかを事前に予測し、危険事項の対処をすることも重要な業務です。

仕事
04

予算管理

決められた予算内に工事が行われているかチェックします。人件費から材料費の費用まで予算を超えることのないようにコスト管理をします。

以上のように河川、道路、橋梁、港湾、鉄道、上下水道等の土木工事において施工計画を作成し工程管理にあたるのが土木施工管理技士の仕事です。

違いについて 土木施工管理技士の1級と2級の違い

1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士に分かれており、違いとしては工事の規模により選任が異なる点が挙げられます。

1級土木施工管理技士とは

1級土木施工管理技士は、建築物とは異なり、河川、道路、橋梁、港湾、鉄道、上下水道といったすべての土木工事の責任者である主任技術者、あるいは現場の全体を指揮する監理技術者といった業務内容で管理を行います。

1級土木施工管理技士の資格保持者が多ければ会社にとっても有利に働くため、将来性を見ても土木管理において活躍の場が期待できると言えます。

2級土木施工管理技士とは

2級土木施工管理技士は、土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3つの種類に分かれていて、河川、道路、港湾、鉄道、上下水道といったすべての土木工事において、主任技術者として工事の施工管理ができます。ただし、合格した3つのうち1つの専門分野においての主任技術者として施工管理が行えます。

1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士は、いずれも、品質管理、工程管理のほか安全管理、予算管理を含む施工管理を業務としていますが、若い世代だけでなく、年配者の人にも人気があります。

資格取得者は、企業からすれば土木工事において必要不可欠であり、貴重な人材であることから、転職や再雇用といった定年後を見据えた人にも働きやすいといったメリットがあります。

受験方式 土木施工管理技士の受験方式

施工管理技士の試験は1級・2級ともに「第一次検定」と「第二次検定」の二つに分かれています(2020年度まではそれぞれ「学科試験」と「実地試験」の名称で実施)。
両方に合格することで、資格の取得となります。

1級土木施工管理技士の試験概要

第一次検定は四肢択一形式が基本で、選択肢の中から正答を1つを選び解答をします。

第一次検定の試験範囲は以下の通りです。

検定科目 検定基準
土木工学等 1.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な土木工学、電気工学、電気通信工学、機械工学及び建築学に関する一般的な知識を有すること
2.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書に関する一般的な知識を有すること
施工管理法 1.監理技術者補佐として、土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識を有すること
2.監理技術者補佐として、土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力を有すること
法規 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識を有すること

 

 

一方、第二次検定は記述式で解答をする必要がありますので、文章力も必要となります。

第二次検定の試験範囲は以下の通りです。

検定科目 検定基準
施工管理法 1.監理技術者として、土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること
2.監理技術者として、土質試験及び土木材料の強度等の試験を正確に行うことができ、かつ、その試験の結果に基づいて工事の目的物に所要の強度を得る等のために必要な措置を行うことができる応用能力を有すること
3.監理技術者として、設計図書に基づいて工事現場における施工計画を適切に作成すること、または施工計画を実施することができる応用能力を有すること

 

 

2級土木施工管理技士の試験概要

第一次検定は四肢択一形式が基本で、選択肢の中から正答を1つを選び解答をします。

第一次検定の試験範囲は以下の通りです。

検定科目 検定基準
土木工学等 1.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な土木工学、電気工学、電気通信工学、機械工学及び建築学に関する概略の知識を有すること
2.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な設計図書を正確に読み取るための知識を有すること
施工管理法 1.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する基礎的な知識を有すること
2.土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な基礎的な能力を有すること
法規 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する概略の知識を有すること

 

 

一方、第二次検定は記述式で解答をする必要がありますので、文章力も必要となります。

第二次検定の試験範囲は以下の通りです。

種別:土木

検定科目 検定基準
施工管理法 1.主任技術者として、土木一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な知識を有すること
2.主任技術者として、土質試験及び土木材料の強度等の試験を正確に行うことができ、かつ、その試験の結果に基づいて工事の目的物に所要の強度を得る等のために必要な措置を行うことができる応用能力を有すること
3.主任技術者として、設計図書に基づいて工事現場における施工計画を適切に作成すること、または施工計画を実施することができる応用能力を有すること

出典:令和7年度 受験の手引(2級第二次検定)新受験資格

種別:鋼構造物塗装

検定科目 検定基準
鋼構造物塗装施工管理法 1.土木一式工事のうち鋼構造物塗装に係る工事の施工の管理を適切に行うために必要な一般的な知識を有すること
2.鋼構造物塗装に係る土木材料の特性等を正確に把握することができ、かつ、鋼構造物の防錆等の工事の目的に必要な措置を行うことができる高度の応用能力を有すること
3.設計図書に基づいて土木一式工事のうち鋼構造物塗装に係る工事の工事現場における施工計画を適切に作成すること、又は施工計画を実施することができる高度の応用能力を有すること

出典:令和7年度 受験の手引(2級第二次検定)新受験資格

種別:薬液注入

検定科目 検定基準
薬液注入施工管理法 1.土木一式工事のうち薬液注入に係る工事の施工の管理を適確に行うために必要な一般的な知識を有すること
2.薬液注入に係る土木材料の特性等を正確に把握することができ、かつ、地盤の強化等の工事の目的に必要な措置を行うことができる高度の応用能力を有すること
3.設計図書に基づいて土木一式工事のうち薬液注入に係る工事の工事現場における施工計画を適切に作成すること、又は施工計画を実施することができる高度の応用能力を有すること

出典:令和7年度 受験の手引(2級第二次検定)新受験資格

なお第一次検定に合格すると、土木施工管理技士補の資格がえられます。
土木業界の深刻な人手不足を少しでも解消するために、新たに設けられた資格になります。

1級の施工管理技士補を取得すると、監理技術者の補佐として従事することが可能になります。
2級の施工管理技士補は実務的な役割はありませんが、転職に有利になることはあるので、取得価値は十分にあると言えます。

土木施工管理技士の受験資格

土木施工管理技士では、第一次検定と第二次検定でそれぞれ別の受験資格があります。法改正により令和6年度試験より土木施工管理技士の受験資格が変更になりました。ただし、制度変更期間として、令和10年度試験までは従来の受験資格でも受験が可能です。第二次検定では実務経験が必要となります。

<新制度>1級土木施工管理技士 第一次検定の受験資格

新制度では、1級土木施工管理技士第一次試験の受験資格が年齢制限のみとなり、より受験がしやすくなりました。

必要条件
試験実施年度に満19歳以上になる者

<新制度>1級土木施工管理技士 第二次検定の受験資格

必要条件(①~③のうち、いずれかを満たしている必要あります)
①1級第一次検定合格者
・1級土木第一次検定合格後、実務経験5年以上
・1級土木第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
・1級土木第一次検定合格後、管理技術者補佐としての実務経験1年以上

②2級第二次検定合格者、かつ1級第一次検定合格者
・2級土木第二次検定合格後、実務経験5年以上
・2級土木第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上

③技術士第二次試験合格者
・技術士第二次試験合格後、実務経験5年以上
・技術士第二次試験合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上

<新制度>1級土木施工管理技士 第一次検定・第二次検定の受験資格

必要条件
2級第二次検定合格者
・2級土木第二次検定合格後、実務経験5年以上
・2級土木第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上

※当年度の1級土木施工管理技士試験第一次検定合格者のみ第二次検定を受験できます。

表にあります特定実務経験とは、建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(税込)以上の建設工事における、①監理技術者もしくは主任技術者(いずれも請け負った建設工事の種類に係る監理技術者資格証を有する者)の指導の下で行った土木施工管理の実務経験、②自ら監理技術者もしくは主任技術者として行った土木施工管理の実務経験、のいずれかの実務経験をいいます。ただし、

  • ・監理技術者もしくは主任技術者の指導の下で行った施工管理の実務経験において、その監理技術者、主任技術者と同じ企業(派遣・出向の場合は派遣先企業に属するものと見なす)に所属しない場合
  • ・工事発注者または工事監理業務等受託者の従業員としての経験
  • ・建設業の適用を受けない国外の工事や請負によらない工事
  • ・実務経験証明書において、まとめて記載された部分に含まれる工事
  • ・一式工事等に含まれる専門工事の実務経験(所属先が請け負った建設工事の種類のみが対象です)

 

 

の場合は特定実務経験とは認められません。

<旧制度>1級土木施工管理技士 第二次検定、第一次検定・第二次検定の受験資格

次のイ、ロ、ハ、ニのいずれかに該当する者が受験できます。

イ.最終学歴卒業後の実務経験年数

学歴 土木施工管理に関する必要な実務経験年数
指定学科 指定学科以外
大学卒業者
専門学校卒業者(高度専門士に限る)
卒業後3年以上 卒業後4年6月以上
短期大学卒業者
高等専門学校卒業者
専門学校卒業者(専門士に限る)
卒業後5年以上 卒業後7年6月以上
高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
卒業後10年以上 卒業後11年6月以上
その他の者 15年以上

ロ.2級合格者の実務経験年数

学歴 土木施工管理に関する必要な実務経験年数
指定学科 指定学科以外
2級土木施工管理技士第二次検定合格者 合格後5年以上
2級土木施工管理技士第二次検定合格後、実務経験が5年未満の者 高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
卒業後9年以上 卒業後10年6月以上
その他の者 14年以上

ハ.専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者

学歴 土木施工管理に関する必要な実務経験年数
指定学科 指定学科以外
2級土木施工管理技士第二次検定合格者 合格後3年以上
2級土木施工管理技士第二次検定合格後、実務経験が3年未満の者 短期大学卒業者
高等専門学校卒業者
専修学校卒業者(専門士に限る)
  卒業後7年以上
高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
卒業後7年以上 卒業後8年6月以上
その他の者 12年以上
その他 高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
卒業後8年以上 卒業後9年6月以上
その他 13年以上

ニ.指導監督的実務経験が1年以上、主任技術者の資格要件成立後、専任の監理技術者の指導のもとにおける実務経験が2年以上ある者

学歴 土木施工管理に関する必要な実務経験年数
指定学科 指定学科以外
2級土木施工管理技士第二次検定合格者 合格後3年以上
高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
指定学科を卒業後8年以上

 

 

2級土木施工管理技士の受験概要

<新制度>2級土木施工管理技士 第一次検定の受験資格

必要条件
試験実施年度に満17歳以上になる者

<新制度>2級土木施工管理技士 第二次検定の受験資格

必要条件(①~③のうちいずれかを満たす必要があります)
①2級土木施工管理技士第一次検定合格者
・2級第一次検定合格後、実務経験3年以上
②1級土木施工管理技士第一次検定合格者
・1級第一次検定合格後、実務経験1年以上
③技術士第二次試験合格者
・技術士第二次試験合格後、実務経験1年以上

 

 

<旧制度>2級土木施工管理技士 第二次検定の受験資格

学歴 土木施工に関する実務経験年数
指定学科 指定学科以外
大学卒業者
専門学校卒業者(高度専門士に限る)
卒業後1年以上 卒業後1年6月以上
短期大学卒業者
高等専門学校卒業者
専門学校卒業者(専門士に限る)
卒業後2年以上 卒業後3年以上
高等学校卒業者
中等教育学校卒業者
専修学校の専門課程卒業者
卒業後3年以上 卒業後4年6月以上
その他の者 8年以上

 

 

合格率 1級土木施工管理技士の合格率

1級土木施工管理技士の試験は出題範囲が広範囲で、勉強時間を要するため、効率的に勉強する必要があります。

問題傾向を知り、集中的に学習を繰り返すことで合格基準へ達するよう努力することが大事です。

1級土木施工管理技士の合格率は以下の通りです。

第一次検定合格率平均データ

 

【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。

1級土木
施工管理技士
第一次検定の
過去5年の合格率

53.8%
年度 総受験者数 合格者数 合格率
2024年度 51,193 22,705 44.4%
2023年度 32,931 16,311 49.5%
2022年度 38,672 21,097 54.6%
2021年度 37,726 22,851 60.6%
2020年度 29,745 17,885 60.1%

第二次検定合格率平均データ

 

【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。

1級土木
施工管理技士
第二次検定の
過去5年の合格率

34.1%
年度 総受験者数 合格者数 合格率
2024年度 27,220 11,224 41.2%
2023年度 27,304 9,060 33.2%
2022年度 24,462 7,032 28.7%
2021年度 26,558 9,732 36.6%
2020年度 24,204 7,499 31.0%

合格率 2級土木施工管理技士の合格率

1級と同じく、第二次検定は安定した合格率が続いているものの記述形式であることから、第一次検定より合格率が低くなっています。

しかし、合格率から見ても比較的難易度は高くはありません。
知識と実務経験が必要ですが、計画的にスケジュールを立てて勉強をすることで合格も夢ではありません。

第一次検定合格率平均データ

 

【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。

2級土木
施工管理技士
第一次検定の
過去3年の合格率

60.2%
年度 総受験者数 合格者数 合格率
2024年度 39,279 17,285 44.0%
2023年度 43,085 21,141 49.1%
2022年度 42,502 27,840 65.5%
2021年度 44,193 31,742 71.8%
2020年度 33,182 23,346 70.4%

第二次検定合格率平均データ

 

【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。

2級土木
施工管理技士
第二次検定の
過去3年の合格率

42.8%
年度 総受験者数 合格者数 合格率
2024年度 18,806 6,646 35.3%
2023年度 26,178 16,464 62.9%
2022年度 32,351 12,246 37.9%
2021年度 32,847 11,713 35.7%
2020年度 30,437 12,852 42.2%

需要はかなり高い 土木施工管理技士は常にニーズがある!

大雨等の自然災害の被害の復旧工事に土木工事は無くてはならないもので、2024年度の請負契約額の合計は140兆円にものぼります。
災害の多い地域は特に需要が高いため、土木施工管理技士の人材不足が叫ばれています。

特に、1級土木施工管理技士の需要のニーズは常に求められています。

例えば、下請け請負代金の総額4千万円、建築一式含む場合には6千万円以上の場合、主任技術者に代えて監理技術者を設置する義務があります。
監理技術者は、1級土木施工管理技士でなくては務まらす、このことからも1級土木施工管理技士は、土木建築業界の第一線で活躍できる土木のエキスパートと言っても過言ではないでしょう。

企業側からすれば、少しでも規模の大きい仕事を受けるには、人材確保も重要視しています。そうしたことから、資格取得することで就職、転職にはかなり有利に働く資格であることが分かります。

2級土木施工管理技士の場合でも、雇用条件に違いはあるものの必要不可欠な人材です。
主任技術者として活躍できることから、二級土木施工管理技士の中途採用も多く行われています。

実務経験を積んだり1級土木施工管理技士の資格を取得したりすることで、さらなるバージョンアップが出来、将来性のある職業です。