第二種電気主任技術者

電気主任技術者の試験内容と受験者データ(電験一種・電験二種・電験三種)

第二種電気主任技術者 試験内容全般 年に一度開催されています。

電気主任技術者試験の試験内容

スケジュール 年1回。第一種・第二種は10都道府県、第三種は47都道府県で開催(第三種のみCBT方式も開催)
試験項目 一次試験:学科4科目(マークシート式)。理論 / 電力/ 機械 / 法規
二次試験:学科2科目(記述式)。電力・管理 / 機械・制御

※第三種は二次試験なし
合格ライン 合格基準は年度ごとに異なる(発表日:試験日の翌日または翌々日の月曜日)
※令和4年度の例:一次試験は各科目6割以上、二次試験は2科目合計で6割以上かつ各科目平均点以上
合格制度 受験資格の制限なし
科目合格制度および認定合格制度あり
問題種類 計算問題 / 正誤問題(第三種のみ) / 空欄補充問題 / 論述問題

試験日程と受験までの流れ 電気主任技術者試験は年1回。一次試験は8-9月・二次試験は11月に例年開催

電気主任技術者試験(電験)では、どの免状に対しても受験資格による制限はありません。専門知識に自信があったり実務経験をある程度積んでいたりする人は、いきなり第一種や第二種を受験することも可能です。

電気主任技術者試験の開催は年1回で、一次試験は8月もしくは9月、二次試験は11月に実施されます。2023年(令和5年度)の試験日程は以下の通りです。

2023年 第二種電気主任技術者試験スケジュール

試験日 一次試験 2023年8月19日(土)
二次試験 2023年11月12日(日)
申込み受付期間 2023年5月15日(月)~6月1日(木)
試験問題と解答の公開 一次試験 問題・解答公表:2023年8月21日(月)
二次試験 問題公表:2023年11月13日(月)
二次試験 解答公表:2024年1月10日(水)
合格発表 一次試験 Web公表:2023年9月4日(月)~11月12日(日)
二次試験 Web公表:2024年1月26日(金)~2月26日(月)

申し込み方法・受験までの流れ
(個人申込 / インターネット申込の場合)

  1. 公式サイトからアカウントを作成(アカウントを作成済みであれば不要)
  2. 必要事項を記入して受験申込を行う
    ※顔写真の登録が必要
  3. 受験手数料を期限内に支払う
  4. 受験票の到着
  5. 試験会場にて一次試験を受験する
  6. 一次試験の試験問題・標準解答の公開
  7. 一次試験の合格発表および結果通知の発送
  8. 一次試験の試験結果通知書の到着
  9. 一次試験合格→二次試験の受験票の到着
  10. 試験会場にて二次試験を受験する
  11. 二次試験の試験問題・標準解答の公開
  12. 二次試験の合格発表および結果通知の発送
  13. 二次試験の試験結果通知書の到着
  14. 申請窓口から経済産業大臣に免状交付申請を行う

試験形式 第二種電気主任技術者試験は学科試験のみ。一次試験はマークシート式・二次試験は記述式

一次試験

1 理論

出題範囲 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するもの
問題数・配点 7題(令和4年度)
試験時間 90分(9:15~10:45)

2 電力

出題範囲 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(※)の設計及び運用並びに電気材料に関するもの
※屋内配線を含む
問題数・配点 7題(令和4年度)
試験時間 90分(11:25~12:55)

3 機械

出題範囲 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システム に関する情報伝送及び処理に関するもの
問題数・配点 7題(令和4年度)
試験時間 90分(14:15~15:45)

4 法規

出題範囲 電気法規(※)及び電気施設管理に関するもの
※保安に関するものに限る
問題数・配点 7題(令和4年度)
試験時間 65分(16:25~17:30)

二次試験(第一種、第二種で実施)

1 電力・管理

出題範囲 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(※)の設計及び運用並びに電気施設管理に関するもの
※屋内配線を含む
問題数・配点 6題中4題を選択(令和4年度)
試験時間 120分(10:00~12:00)

2 機械・制御

出題範囲 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクスに関するもの
問題数・配点 4題中2題を選択(令和4年度)
試験時間 60分(13:20~14:20)

電気主任技術者試験の一次試験では、第一種と第二種でほぼ同じ問題数が出題されます。なお第三種の問題数は第一種および第二種より大幅に多く、すべての科目で13問以上です。

試験時間については、第一種から第三種まですべての免状で共通しています。一次試験では法規を除く3科目がそれぞれ90分ずつ、法規が65分です。一次試験では同じ日にすべての科目を受験しなければならないので、高い集中力が求められます。

二次試験は複数用意された大問の中から一部を選び解答する方式で、問題数は第一種、第二種で差はありません。2科目で試験時間が異なり、電力・管理が120分、機械・制御が60分です。

電気主任技術者試験には認定合格制度があり、認定校の卒業者でなくても以下の条件を満たす場合は学科試験が免除されます。

第一種 第二種を取得後、5万ボルト以上の設備で5年以上の実務経験
第二種 第三種を取得後、1万ボルト以上の設備で5年以上の実務経験

免状ごとの電気工作物の範囲 電気主任技術者の各免状で扱える事業用電気工作物の範囲

第一種 電圧17ボルト以上のものを含むすべて
第二種 電圧17万ボルト未満
第三種 電圧5万ボルト未満
※出力が5,000kW以上の発電所は対象外

電気主任技術者は、発電所や工場などの事業用電気工作物において保安監督を行うのに必要な国家資格です。
取り扱える事業用電気工作物の電圧にもとづいて、免状の種類が第一種、第二種、第三種の3つに分けられています。

第一種電気主任技術者(電験一種)

第一種電気主任技術者(電験一種)は、電圧にかかわらずすべての事業用電気工作物に対して工事や維持、運用の保安監督をつとめられる最上位の免状です。一次試験で4科目、二次試験で2科目の試験が課せられています。

法規以外の科目については数学知識が必要な問題の割合が高く、マークシート式の一次試験であってもまぐれで正解するのは難しいでしょう。試験合格には長期間の勉強が必要です。

第二種電気主任技術者(電験二種)

第二種電気主任技術者(電験二種)は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物に限り保安監督業務を行える免状です。試験科目は一次試験、二次試験ともに第一種と共通で、一次試験4科目、二次試験2科目の受験が必要です。

第一種より難易度が下がるとはいえ難関資格には違いありませんが、超高電圧の事業用電気工作物以外は扱えるので人気がある資格です。17万ボルト以上の電気工作物に該当する設備はそれほど多くないため、不安がある場合や初受験の場合は第一種ではなく第二種の受験をおすすめします。

第三種電気主任技術者(電験三種)

第三種電気主任技術者(電験三種)では、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物が取り扱いの対象です。ただし5,000kWを超える発電所は例外的に対象外となっているので、念のため担当したい業務が第三種で行えるか確認しておきましょう。

第一種、第二種の一次試験と同じ科目の学科試験が課され、二次試験は実施されません。ほかの免状と異なり、選択問題の選択肢が5つに限定されています。設問の選択肢の数が少ない点および二次試験がない点から、初受験の人におすすめできる資格です。

各級の受験者数および合格率 合格ラインは年度ごとに試験委員会が決定

 

電気主任技術者試験の受験者数データ

年度 試験 一次試験
受験者 / 合格者数
ニ次試験
受験者 / 合格者数
令和4年度
(2022年度)
第一種 30.8%
1,436
442
20.9%
685
143
第二種 35.2%
6,189
2,178
24.0%
2,904
698
第三種 8.3%
33,786
2,793
-

令和3年度
(2021年度)
第一種 30.9%
1,225
379
8.0%
899
72
第二種 25.7%
5,979
1,539
17.2%
2,407
413
第三種 11.5%
37,765
4,357
-

令和2年度
(2020年度)
第一種 50.3%
1,508
759
14.4%
933
134
第二種 27.2%
6,235
1,695
27.9%
2,512
701
第三種 9.8%
39,010
3,836
-

令和元年度
(2019年度)
第一種 24.2%
1,566
379
17.2%
598
103
第二種 23.6%
6,915
1,633
22.8%
2,513
574
第三種 9.3%
41,543
3.879
-

平成30年度
(2018年度)
第一種 24.1%
1,566
378
13.7%
615
84
第二種 24.1%
6,631
1,600
14.5%
2,624
381
第三種 9.1%
42,976
3,918
-

合格基準点は試験委員会によって年度ごとに決められる仕組みで、試験結果発表日に発表されます。令和4年度の合格基準を紹介しますので、受験の参考にしてください。

令和4年度 一次試験の合格基準(合格点 / 満点)

免状/科目 理論 電力 機械 法規
第一種 48 / 80 48 / 80 48 / 80 47 / 80
第二種 54 / 90 54 / 90 54 / 90 54 / 90
第三種 60/100 60/100 55/100 54/100

令和4年度 二次試験の合格基準(合格点 / 満点)

免状/科目 2科目合計
第一種 108 / 180 (※)
第二種 108 / 180 (※)
  • ※100点満点換算で60点以上
  • ※各科目において平均点以上の得点が必要

第一種(電験一種)の一次試験の合格率

令和2年度試験を除いて20-25%と低い水準で推移しています。この狭き門を突破しても合格率20%未満の二次試験が待ち構えているため、超高難度の試験といえるでしょう。

第二種(電験二種)は一次試験の合格率が20-30%、二次試験が10-30%

第一種よりは若干合格率が高いものの、各試験の合格率は3割未満と十分高難度の試験ですので、しっかり勉強時間を確保しないと試験に合格できません。

合格率は第一種・第二種よりもさらに低く、5年間常に10%未満

第三種(電験三種)は一次試験のみですが、意外なことに合格率は第一種・第二種よりもさらに低く、5年間常に10%未満に落ち着いています。受験者数が第二種の5倍以上であり、難易度が高いというよりは気軽に受験できることが原因と推測されます。

取得難度が高いため、認定合格制度を利用できない場合、第一種・第二種は相当な時間を割いて試験対策を行う必要があります。電験二種の勉強方法については下記記事で解説していますので、受験予定の人はこちらもあわせてお読みください。

SAT教材で短期集中で合格を目指す勉強方法

試験問題の種類 電気主任技術者試験における試験問題の種類

電気主任技術者試験には実技試験や面接試験がなく、一次試験はマークシート方式、二次試験は記述式の学科試験のみが実施されます。設問のタイプとしては以下の4つに分類されます。

01

計算問題

設問で与えられた条件にしたがって、計算や式変形を行います。
法規以外の3科目で出題されており、電気主任技術者試験では主流の問題形式です。二次試験でも論述問題と組み合わせて出題されています。

02

正誤問題

選択肢から誤っているものや正しいものを選ぶ問題形式です。
第三種に特有の問題形式で、出題割合は高くないものの4科目すべてで出ています。

03

空欄補充問題

問題文の空欄に入る適切な式や数字、用語などを選択肢から選びます。
一次試験では全科目で出題されており、計算問題とともに出題頻度が高い問題形式です。

04

論述問題

設問で問われた内容に対して字数や与えられた条件を踏まえつつ解答する、二次試験独自の問題形式です。
専門用語・システムの仕組みの説明からある障害の対策の提案まで、幅広いテーマで出題されています。

試験対策とテクニック 3つのテクニックで合格率を高めましょう。

電気主任技術者試験で使える対策およびテクニックを3つ紹介します。

対策
01

解きやすい問題を優先して解く

計算で時間を取られる計算問題に取り組む前に、正しい用語を選ぶ問題をはじめ、時間のかからないものを解いてしまいましょう。

電気主任技術者試験では合格点が毎年異なるので、1点でも高い点数を取っておくと安心です。「時間が足りず手を付けられなかった」ということがないように、解きやすい問題で確実に得点を稼いでおきましょう。

対策
02

一次試験ではすべての問題にマークする

一次試験はマークシート式のため、まったく分からない問題でも必ず何かしらマークしておきましょう。とくに第三種は選択肢が5つしかなく、適当にマークするだけでも20%の確率で正解を選べるので有効な対策です。

第一種、第二種は選択肢が多いためランダムにマークしても当たる確率は低いですが、数個に候補を絞れていれば確率は上がります。厄介な捨て問や計算問題も正解できる可能性がある以上、やらない手はないテクニックです。

対策
03

二次試験の大問選びを適切に行う

二次試験では、複数の大問から一部を選択して解答します。大問ごとの配点はすべて同じなので、自分が解きやすい問題を選べるかどうかが合否に大きく影響します。

電気主任技術者試験では合格基準点以上の点数を取る必要があるため、解けない問題の割合が低そうな大問や、解答に時間がかからなさそうな大問を選ぶとよいでしょう。

「計算が苦手だから論述問題の割合が多い大問を選ぼう」など、試験当日の戦略を大まかに立てておくと落ち着いて試験に臨めるでしょう。