建築施工管理技士は建築現場に携わる方にとっては、取得しておきたい資格の筆頭ではないでしょうか。一夜漬けの勉強では合格は難しい試験です。受験のタイミングを考えている方は、今がおすすめです。
建設業法の改正や有資格者の高齢化により、有資格者の需要は高い状況にあります。今回は、建築施工管理技士の試験概要から、効率よく学習するためのコツまで解説していきます。
目次
建築施工管理技士の1級と2級の違いとは?
建築施工管理技士には1級と2級があり、最大の違いは「従事できる工事の規模」と「役割」です。
1級建築施工管理技士は、特定建設業の営業所ごとに置く「専任の技術者」や、工事現場ごとに置く「監理技術者」になることができます。大規模な超高層ビルや公共施設など、請負金額の制限なくあらゆる建築工事の施工管理を行うことが可能です。
一方で2級建築施工管理技士は、一般建設業の「専任の技術者」や「主任技術者」にはなれますが、監理技術者にはなれません。また、中小規模の工事が中心となります。キャリアアップや年収増を目指すなら最終的には1級を目指すべきですが、実務経験のハードルが低く、基礎を固められる2級から挑戦するのも賢い選択です。
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1級建築施工管理技士の難易度
1級建築施工管理技士の合格率は40%前後
1級建築施工管理技士は主任技術者だけでなく監理技術者になることができますが、実際のところはどうなのでしょうか。
第一次検定と第二次検定に分けて、ここ数年の合格率の動向をみてみましょう。
1級建築施工管理技士の過去の合格率の推移
【第一次検定】
| 実施年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2019年度 | 42.7% |
| 2020年度 | 51.1% |
| 2021年度 | 36.0% |
| 2022年度 | 46.8% |
| 2023年度 | 41.6% |
| 2024年度 | 36.2% |
| 2025年度 | 48.5% |
【第二次検定】
| 実施年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2019年度 | 46.5% |
| 2020年度 | 40.7% |
| 2021年度 | 52.4% |
| 2022年度 | 45.2% |
| 2023年度 | 45.5% |
| 2024年度 | 40.8% |
| 2025年度 | 39.0% |
第一次検定、第二次検定ともに合格率は40%前後と考えられます。
年度によっては合格率は半分を切っていますから、やはり簡単な試験というわけではありません。
ストレートでの合格率はどれくらい?
1級建築施工管理技士の第一次検定と第二次検定の合格率は、例年ともに40%前後です。これを単純に掛け合わせた数値は約16%(0.4×0.4=0.16)となりますが、実際にはこの合格率をさらに下回る可能性が高いと考えられます。
なぜなら、第一次検定の合格後に、休む間もなく全く異なる形式(記述式)の第二次検定対策を、多忙な業務と並行して完璧にこなさなければならないからです。精神的な持久力と戦略的な学習計画が求められるため、ストレート合格は数字以上に非常に高いハードルと言えるでしょう。
出題範囲が広い
出題範囲が広いことが、1級建築施工管理技士試験の難易度を上げている理由の1つと言えるでしょう。2025(令和7)年度の1級建築施工管理技士の試験科目は以下のとおりでした。
【第一次検定】(午前:2時間30分)
| No | 分野 | 区分 | 解答方法 | 出題数 | 必須解答数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 建築学 | 全問必須 | 四肢択一 | 6問 | 6問 |
| ② | 共通(建築学等) | 選択問題 | 四肢択一 | 9問 | 6問 |
| ③ | 施工管理法(知識) | 全問必須 | 四肢択一 | 5問 | 5問 |
| ④ | 躯体施工 | 選択問題 | 四肢択一 | 10問 | 8問 |
| ⑤ | 仕上げ施工 | 選択問題 | 四肢択一 | 10問 | 7問 |
| ⑥ | 施工管理法 | 全問必須 | 四肢択一 | 4問 | 4問 |
【第一次検定】(午後:2時間)
| No | 分野 | 区分 | 解答方法 | 出題数 | 必須解答数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 施工管理法 | 全問必須 | 四肢択一 | 6問 | 6問 |
| ② | 施工管理法 (応用能力) |
全問必須 | 五肢択一 | 10問 | 10問 |
| ③ | 法規 | 選択問題 | 四肢択一 | 12問 | 8問 |
| 合計(午前・午後) |
72問 | 60問 | |||
【第二次検定】(3時間)
| No | 試験範囲 | 解答方法 |
|---|---|---|
| 1 | 施工記述 | 記述式 |
| 2 | 施工管理 | 記述式 |
| 3 | 躯体施工(および工程管理) | 記述式 |
| 4 | 施工上の留意事項 | 記述式 |
| 5 | 法規 | 五肢択一 |
| 6 | 安全管理 | 五肢択一 |
※第二次検定に選択科目はなく、出題・解答数ともに各科目1問ずつとなっています。
このように出題範囲が広いので、全ての科目について満点を目指す必要はありません。全体の7~8割を狙う勉強が合格への近道です。
そして第二次検定にある施工記述問題はその名の通り記述式の試験で、文章力も問われます。
2級建築施工管理技士の難易度
第一次検定(学科)の合格率は40%前後
1級と2級では仕事内容に大きな違いはありませんが、取り扱える建物・工事現場の規模に違いがあります。
将来的には1級の取得を希望している方も、まずは2級からと考える方が多いのではないでしょうか。
2級建築施工管理技士の試験は、試験年度に満17歳以上であれば学歴に関係なく第一次検定だけは受けることができます。
ここ数年間では、40%前後です。しっかりと勉強すれば十分に合格が狙える範囲でしょう。
ここ数年の2級の合格率は以下のとおりです。
【第一次検定】
| 実施年度 | 合格率 | |
|---|---|---|
| 2020年度 | 【前期】 | 実施せず(※) |
| 【後期】 | 35.9% | |
| 2021年度 | 【前期】 | 37.9% |
| 【後期】 | 48.8% | |
| 2022年度 | 【前期】 | 50.7% |
| 【後期】 | 42.5% | |
| 2023年度 | 【前期】 | 37.7% |
| 【後期】 | 49.4% | |
| 2024年度 | 【前期】 | 48.2% |
| 【後期】 | 50.5% | |
| 2025年度 | 【前期】 | 48.5% |
| 【後期】 | 36.3% | |
※新型コロナウイルス感染拡大の影響のため実施せず
第二次検定の合格率は30%前後で1級よりも低い
一方で第二次検定の合格率は年度によってばらつきはありますが、概ね30~40%前後で推移しています。
【第二次検定】
| 実施年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2020年度 | 28.2% |
| 2021年度 | 35.1% |
| 2022年度 | 53.1% |
| 2023年度 | 32.0% |
| 2024年度 | 40.7% |
| 2025年度 | 32.7% |
第二次検定は、1級・2級ともに記述式問題が中心です。
2級の合格率が1級より低くなる傾向がある理由として、受験者に実務経験が少ない若手層が多く、現場での具体的な経験を文章にする「施工記述問題」で苦戦しているためだと推測できます。
ポイントは、試験科目の「施工記述問題」をいかに具体的にわかりやすく解答できるかです。

独学で難しい方は、通信教育などを利用するとその道のプロに質問できますし、押さえるべきポイントを教えてもらえるので活用するのも一つの方法です。
出題範囲は広いが内容は浅い
2級建築施工管理技士試験の科目は以下のとおりです。なお、下記データは2025(令和7)年度2級建築施工管理技士後期試験のデータです。
【第一次検定】(2時間30分)
| NO | 分野 | 区分 | 解答方法 | 出題数 | 必須解答数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 建築学等 | 全問必須 | 四肢択一 | 4問 | 4問 |
| ② | 共通 | 選択問題 | 四肢択一 | 10問 | 5問 |
| ③ | 共通 | 全問必須 | 四肢択一 | 3問 | 3問 |
| ④ | 施工 | 選択問題 | 四肢択一 | 10問 | 7問 |
| ⑤ | 施工管理法 (知識) |
全問必須 | 四肢択一 | 10問 | 10問 |
| ⑥ | 施工管理法 (応用能力) |
選択問題 | 五肢択一 | 5問 | 5問 |
| ⑦ | 法規 | 選択問題 | 四肢択一 | 8問 | 6問 |
| 合計 |
50問 | 40問 | |||
【第二次検定】(2時間)
| No | 試験範囲 | 解答方法 |
|---|---|---|
| 1 | 施工管理 | 記述式 |
| 2 | 施工管理 | 記述式 |
| 3 | 施工(留意事項) | 記述式 |
| 4 | 法規 | 四肢択一 |
| 5 | 施工(受験種別による選択式) | 四肢択一 |
※試験に選択科目はなく、出題・解答数ともに各科目1問ずつとなっています。
1級も出題範囲が広いですが、2級も幅広い分野から出題されます。ただし、建設業法の改正後に問題の出題数が65問から50問に減ったので、各分野は基礎を押さえる学習でも対応しやすくなっています。
とはいえ、不慣れな語句もたくさん出てきますので、一部に偏ることなくバランスよく勉強することが大切です。
建築施工管理技士の合格に必要な勉強時間の目安
建築施工管理技士に合格するために必要な勉強時間は、現在の知識量や実務経験によりますが、一般的に以下の時間が目安とされています。
- 1級建築施工管理技士:100時間〜200時間程度
出題範囲が非常に広いため、試験の3ヶ月〜半年前から計画的に学習を始める必要があります。 - 2級建築施工管理技士:50時間〜100時間程度
1級に比べると専門的な深掘りが少ないため、集中して1ヶ月〜3ヶ月程度取り組むことで合格ラインへの到達が可能です。
いずれの級も、現場仕事で多忙な毎日の中で、いかに「スキマ時間」を見つけて学習を継続できるかが合否を分ける鍵となります。
建築施工管理技士に合格するための勉強方法

答えを覚えるだけでなく理解する
何度試験を受けても合格できない人にはいくつか共通する特徴があります。
その1つが、問題を解いては解答だけを見て暗記していることです。試験は範囲が同じであってもそっくり同じ問題が出ることはありません。

解説を読んで理解し「どうしてこの解答になるのか」がわかると、問題が変化球であっても対応することができます。
動画教材+過去問題で効率よく覚える
人間は五感を使って覚えた記憶は定着しやすいです。通信教育の動画教材は視覚と聴覚に訴えかけてくれるので、短期間で基礎知識を得るのに向いています。
ただし、建築施工管理技士の第一次検定は出題範囲がたいへん広いので、学習期間が数か月にわたります。

基礎知識を動画教材でインプットしてから、過去問題を繰り返し解いて、理解できるまで解説をしっかり読みましょう。この順序での学習が一番効率のよい方法です。
第二次検定の施工記述問題対策をしっかり行う
第二次検定の施工記述問題は暗記だけすれば良いという科目ではありません。問題に対する解答をしっかりとまとめて、他人に文章で伝えなければなりません。
どれだけ熱意をもって文章を書いても、問題の趣旨に沿った解答でなければ正答とは認められません。施工記述問題の効率的な学習方法は以下がとても重要です。
- 「第三者に添削をしてもらう」
- 「添削の実例集を参考にする」

普段から文章を書き慣れていないと、自分で思うよりも必要なことだけを簡潔にまとめるのは難しいものです。
添削の実例集を見て学ぶことも多いので、ぜひ参考にしてください。
過去問を「年度別」ではなく「分野別」で解く
効率よく知識を定着させるには、過去問を分野ごとにまとめて解くのが効果的です。年度別に解くと、知識がバラバラに現れるため定着しにくいですが、分野別(構造、材料、施工など)に連続して解くことで、出題パターンの特徴や自身の弱点が明確になります。
試験日から逆算したスケジュールを立てる
建築施工管理技士の試験は年に1回(2級は一部2回)しかないため、不合格になると1年を棒に振ることになります。
特に第二次検定の記述対策は時間がかかるため、「試験の2ヶ月前には第一次検定の過去問で合格点を取れるようにし、残りの期間は記述対策に充てる」といった逆算スケジュールが合格への近道です。
建築施工管理技士の難易度まとめ
1級建築施工管理技士の難易度は?
1級建築施工管理技士の合格率から考えると、国家資格の中では「普通」程度の難易度です。
しかし、一夜漬けで合格できるほど甘くありません。特に1級は出題範囲が広いので、計画的に勉強していきましょう。
1日30分でも勉強する習慣を付けることが大切です。週末まとめて勉強するより、毎日勉強した方が力はつきます。
1級建築施工管理技士の出題範囲は?
1級の第一次検定では建築学等や施工管理法、法令などの分野が出題されます。第二次検定は施工記述を中心とした問題です。2021年度より今まで第二次検定に含まれていた問題の一部が第一次検定に移行されました。
2級建築施工管理技士の難易度は?
2級建築施工管理技士の合格率から考えると、1級同様「普通~やや易しい」くらいの難易度です。しかし、1級同様一夜漬けで合格できるほど甘くありません。
ただし、1級に比べると出題範囲が狭いので、まだ短い期間で合格に必要な力が身に付きやすいでしょう。
2級建築施工管理技士の出題範囲は?
2級の第一次検定も、建築学等や施工管理法、法令です。
しかし1級より範囲はやや狭めです。第二次検定は、施工記述、工程管理、法規などが出題されます。
出題内容は1級と2級で大きな差はないと考えていいでしょう。違いは範囲です。
















