建築施工管理技士は、建設工事において建築物全体の管理を行う業務です。建物に関する計画・工程管理・安全管理などが主な業務となり、資格の種類は1級と2級にわかれます。
また、建築施工管理技士は業者の管理などにおいては特に人数が多くなる傾向にあります。そのため、上手くコミュニケーションを取りながら指示を出し、建物を完成に近づけていきます。
付随する空調や電気、土木工事の業者とも連携する場合もあるため、非常にやりがいのある資格といえます。
しかし、建築施工管理技士は全ての人が受験できる資格ではありません。そのため、ここでは建築施工管理技士の受験資格に触れたうえでおすすめの勉強法などについても触れて行きます。
目次
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士の仕事は、数多くの専門工事から成り立つ建設工事を総合的にまとめ、現場を監督することです。
現場が適切に進むように統括する役割があります。希少性が高いため、キャリアアップや転職をするにあたって有利になる資格といえます。
建築施工管理技士の受験資格を知ろう
建築施工管理技士は、取得している級によって行える工事の規模が異なります。また、受験資格もそれぞれ異なるため、受験前に確認しておきましょう。
1級の受験資格
ここでは1級の受験資格をみていきましょう。
学歴または資格 | 建築施工管理に関する実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | ||
大学 専門学校の「高度専門士」 | 卒業後3年以上の実務経験を有する者 | 卒業後4年6ヶ月以上の実務経験を有する者 | |
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
短期大学 5年制高等専門学校 専門学校の「専門士」 | 卒業後5年以上の実務経験を有する者 | 卒業後7年6ヶ月以上の実務経験を有する者 | |
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
高等学校 専門学校の専門課程 | 卒業後10年以上の実務経験を有する者 | 卒業後11年6ヶ月以上の実務経験を有する者 | |
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
その他(最終学歴を問わず) | 15年以上の実務経験を有する者 | ||
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
2級建築士試験合格者 | 合格後5年以上の実務経験を有する者 | ||
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
2級建築施工管理技術検定第二次検定合格者 | 合格後5年以上の実務経験を有する者 | ||
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
2級建築施工管理技術検定第二次検定合格後、実務経験が5年未満の者 | 短期大学 5年制高等専門学校 専門学校の「専門士」 | 卒業後5年以上の実務経験を有する者 | 卒業後9年以上の実務経験を有する者 |
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
高等学校 専門学校の専門課程 | 卒業後9年以上の実務経験を有する者 | 卒業後10年6ヶ月以上の実務経験を有する者 | |
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
その他(最終学歴を問わず) | 14年以上の実務経験を有する者 | ||
1年以上の指導監督的実務経験を含む | |||
2級建築施工管理技術検定第二次検定合格者検定 (※第一次検定のみ受験可能) | 実務経験年数は問わず |
指定学科は非常に細かく規定されており、大学や高等学校・専門学校に入学する時点で建築施工管理技士を想定した学科の履修が必要となります。
大卒の指定学科卒業の方でも3年以上の実務経験が必要です。
その他の学歴の場合では15年以上の実務経験が必要となってくるため、こちらはあまり現実的ではありません。
そのため、その他の学歴の方は、2級の建築施工管理技士を取得し、実務経験を積むことが最短のルートといえるでしょう。
また、2021年度の4月からは2級の第二次検定合格者であれば、1級の第一次検定のみの受験に限って実務経験が問われなくなりました。
第二次検定を受験するまでに実務経験が必要なことは変わりませんが、2級の第二次検定に合格した翌年に受験できるので、効率よく資格取得を狙えます。
また、第一次検定の合格者には新しい資格である「技士補」が付与されます。技士補が付与されると、第一次検定が免除されて第二次検定を何度でも受験できるとのことです。
近年、キャリアアップを積極的に狙える環境が整備されてきています。施工管理技士を目指す方にとっては、大きなチャンスといえるでしょう。
2級の受験資格
次に2級の受験資格をみていきましょう。以下の学歴と実務経験年数、技能士の条件に当てはまる方が該当します。
学歴と実務経験年数
最終学歴 | 建築施工管理に関する実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |
大学 専門学校の「高度専門士」 | 卒業後1年以上の実務経験を有する者 | 卒業後1年6ヶ月以上の実務経験を有する者 |
短期大学・5年制高等専門学校 専門学校の「専門士」 | 卒業後2年以上の実務経験を有する者 | 卒業後3年以上の実務経験を有する者 |
高等学校 専門学校の専門課程 | 卒業後3年以上の実務経験を有する者 | 卒業後4年6ヶ月以上の実務経験を有する者 |
その他(最終学歴を問わず) | 8年以上の実務経験を有する者 |
2級建築施工管理技士の第一次検定は、満17歳以上であれば誰でも関係なく受験できます。第二次検定の受験に限っては実務経験年数が必要です。
上記の実務経験年数もしくは次の実務経験年数のいずれかを満たしていれば第二次検定は受験できます。詳しくみていきましょう。
技能士(職業能力開発促進法による技能検定合格者)
受験種別 | 合格年度と級別 | 実務経験年数 | 検定職種 |
---|---|---|---|
躯体 | 平成15年度以前に右の検定職種に合格した者 | 実務経験年数は問いません | 注:〔 〕内は選択科目
|
“平成16年度以降に1級の右の検定職種に合格した者(単一等級エーエルシーパネル施工を含む) | |||
平成16年度以降に2級の右の検定職種に合格した者 | 4年以上の実務経験を有する者(合格後ではなく通算の実務経験年数です) | ||
仕上げ | 平成15年度以前に右の検定職種に合格した者 | 実務経験年数は問いません | 注:〔 〕内は選択科目
|
平成16年度以降に1級の右の検定職種に合格した者(単一等級れんが積みを含む) | |||
平成16年度以降に2級の右の検定職種に合格した者 | 4年以上の実務経験を有する者(合格後ではなく通算の実務経験年数です) |
※技能士の資格では、種別:建築は受験できません。
最終的に1級の資格取得を目指すのであれば、学歴によって必要な経験年数が大きく異なるので、実務経験年数は満たすのがおすすめです。
また、大卒の資格を有することで実務経験年数を大幅に下げることも可能なので、通信教育などで大卒の資格を取得するのも1つの方法といえるでしょう。
さらに詳しく!
【2023年版】1級・2級建築施工管理技士の受験資格を全解説
建築施工管理技士の受験資格に免除はある?
次にあげる[1]または[2]のいずれかに該当し「学科・実地試験」の受検資格を有する者は、第一次検定(学科)免除で第二次検定(実地)のみ受験申込が可能です。
No | 受験資格の免除 |
---|---|
[1] | 建築士法による1級建築士試験の合格者 |
[2] | 2級建築施工管理技術検定試験の「学科試験のみ」受験の合格者で有効期間内の者 |
[3] | 第一次検定の合格者 |
受験資格の証明の仕方
受験資格の証明の仕方を詳しく紹介します。
指導監督的実務経験の内容の作成
指導監督的実務経験とは、現場代理人、主任技術者、工事主任、設計監理者、施工監督などの立場で、部下・下請けに対して工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
なお、この実務経験には受注者の立場における経験のほか、発注者側の現場監督技術者等として、総合的に指導・監督した経験も含みます。指導監督的実務経験を現場ごとに抜き出して作成します。
指導監督的実務経験についても基準日は第一次検定(学科)の前日ですが、4月以降試験前日までの予定の実務経験として記入できるのは受験申し込み時点で契約または特定しているものに限ります。
誓約欄の作成
新規受験申込者は必ず署名・押印してください。署名・押印がない場合は、受験できません。
建築施工管理に関する実務経験の基準日について
基準日は第一次検定の前日とし、基準日まで実務経験を算定できます。第一次検定免除の方も、第一次検定の前日が基準日となります。
実務経験記入上の注意
実務経験は3月末までのものを優先して記入してください。それで実務経験が不足する場合に限り4月以降第一次検定(学科)試験日の前日までに予定される実務経験を記入しましょう。
技術検定実務経験証明書の証明印について
技術検定実務経験証明者欄は、勤務先の代表者等の署名・押印(公印)が必要です。
証明者は、実務経験証明書に記載された内容を確認のうえ、証明を行ってください。
虚偽申請の場合には、受験停止等の措置が行われます。この場合、受験料も返還されません。働いている機関によって内容が変わりますので注意しましょう。
(1)民間企業に勤務している方(株式会社等)
① 原則、会社の代表取締役の証明です。役職印と会社印の二つが必要です。 ただし、役職印と会社印を兼ねている印の場合は、一つで問題ありません。
② 代表取締役に代わる証明者は、人事権を持つ上司の方に限ります。(副社長、専務取締役、人事部長等で役職印をお持ちの方)
③ 証明印としては、私印(認印等)は不可です。
(2)民間組織で法人化(株式会社等)されていないところに勤めている方
① 原則は、(1)と同じとなります。
② 役職印がない場合は経営者の実印を押印してください。 会社印がない場合は「会社印なし」と空欄に赤で明記してください。
(3)公共機関に勤めている方 証明印は、市長等の公印または所属長など人事経歴を証明できる権限を持っている方の役職印を押印してください。
(4)受験申込者自身が代表者(経営者)である場合
① 原則は、(1)と(2)のとおりです。
② 証明者欄は、代表者名(受験申込者名)を記入し、証明者との関係欄は、「本人」と記入してください。
③ 受験申込者自身が代表者(経営者)であることの証として、名称および代表者の氏名等が確認できる「建設業許可通知書」のコピーを添付書類として付け加えてください。
なお、建設業の許可を受けていない場合には、代わりとして「工事請負契約書」(代表者の氏名および工事名等が確認できるページ)のコピーを添付してください。
受験資格保有者が建築施工管理技士を取得するメリット
建築施工管理技士を取得した場合、取得者の給与が上がりやすくなるだけでなく、建設業界で一定の評価を得ることが可能です。
給与が上がりやすくなる
建築施工管理技士は、1級と2級にわかれるものの、建設業界ではどちらの取得者であっても資格手当を支給している企業が非常に多いといえます。
月々の給料が数万円異なるだけでも年間では数十万円単位の違いが発生することでしょう。
資格は生涯にわたって有効なため、生涯賃金を考えると、資格の取得によるメリットは非常に大きいといえます。
規模の大きい工事ができるようになる
1級の建築施工管理技士は、建築に関わるどのような規模の施工管理も行うことが可能です。
厳密に言うと4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上を下請契約して施工する建設現場には1級資格保有者の監理技術者を設置する必要があります。
また、現場にて専任の1級技士補がいる場合には、監理技術者は2つの現場を兼任できます。このとき、1級技士補は主任技術者(2級施工管理技士)の資格を保有していなければいけません。
つまり、1級建築施工管理技士はより多くの工事にも関われるようになります。
2級の場合は4,500万円未満の工事の規模しか扱うことができないので、一戸建て住居や小店舗などの比較的小さい規模の工事に限定されます。
高年齢でも他社から評価(転職)されやすい
建築施工管理技士として長年活躍している場合、他社からも評価を得やすくなります。
現場で作業するのではなく、あくまでも管理監督をするのが仕事ですので、比較的高年齢でも大いに需要があります。
このように、多くの業界では年齢がネックとなるものの、建設業界においては資格の保有者に対して幅広く採用していることが多いため、50代以降であっても転職できるチャンスは非常に多い状況にあります。
建築施工管理技士の試験概要と試験日時
続いては、建築施工管理技士試験の概要と試験日時についてみていきましょう。
建築施工管理技士の試験は、第一次検定(学科試験)と第二次検定(実地試験)にわかれます。第一次検定と第二次検定の出題科目は以下のとおりです。
試験区分 | 試験科目 |
---|---|
第一次検定(学科試験) | 建築学等、施工管理法、法規 |
第二次試験(実地試験) | 経験記述、施工、施工管理法、法規 |
試験形式については、第一次検定(学科試験)は4肢択一式、第二次検定(実地試験)は記述式で出題されます。
また、令和5年度(2023年度)の試験の実施概要は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
---|---|
6月試験 | 第一次検定 |
願書配布期間 | 令和5年1月27日(金)~2月10日(金) |
試験日 | 令和5年6月11日(日) |
合格発表 | 令和5年7月14日(金) |
受験料 | 10,800円 |
実施団体 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
項目 | 詳細 |
---|---|
10月試験 | 第二次検定 |
願書配布期間 | 令和4年1月28日(金)~2月10日(木) |
試験日 | 令和5年10月15日(日) |
合格発表 | 令和6年2月2日(金) |
受験料 | 10,800円 |
実施団体 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
インターネットの申込みができるのは、再受験者、もしくは前年度の学科試験を合格した方になります。
建築施工管理技士の取得難易度
建築施工管理技士の合格率は、非常にばらつきがあります。しかし、近年では30%~40%が平均的です。そのため、適切な学習を行っていれば、資格の取得は難しくないといえます。
受験する年によっては、合格率が非常に低下することもあるものの、出題傾向が大きく変わるといったケースであっても合格することは可能です。
確実な合格を目指す場合は、通信講座や Eラーニングを駆使することをおすすめします。
例えば、数ある教材の中でも SAT の教材は、テキスト・ DVD ・動画を使用しているため、自分に合った学習方法を選択することが容易だといえます。
また、わからなくなった部分もサポートに聞くことができるため、安心して資格の取得を目指せます。
まとめ
建築施工管理技術検定の受験資格はどんなものが必要?
建築施工管理技士の受験資格は、一定の実務経験です。実務経験の期間は学歴によって異なります。
最も実務経験が短くて済むケースは「大学の指定学科を卒業した場合」です。学歴がなくても定められた期間実区経験を積めば受験資格を得られます。
ただし、学歴を満たしていても実務経験がなければ受験資格を得られません。
建築施工管理技士を取得するメリットは?
建築施工管理技士の資格を取得すれば、工事現場の監理技術者や主任技術者になることができます。
一定以上の規模の工事に場合、監理技術者や主任技術者の専任が必要なので、大きな工事を請け負う建築業者には常に一定の需要があります。
仕事の幅が広がり、出世の道も開けるでしょう。また、転職の際の武器にもなります。
建築施工管理技士の合格難易度は?
建築施工管理技士の難易度は、合格率の高さから考えると「普通」です。
国家資格の中では飛び抜けて難易度が高いわけではありません。しかし、受験者の多くが仕事をしながら勉強することになります。
しっかりと計画を立てて勉強しないと合格はできません。また、二次試験に不合格になると1年をふいにしてしまいます。
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Eラーニング形式であるため、通勤通学時などのちょっとした空き時間でも勉強でき、効率的に学習を進めることができます。
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