二級ボイラー技士は、ビルメンテナンスにとって欠かせない資格の1つです。
資格を取得することにより、ボイラーがあるすべての施設で働けるようになるため、資格取得のメリットは大きいです。
一方、学習期間は動画教材であれば5日間~4ヶ月程度と短くてすむので、資格取得の労力に見合う資格です。
この記事では二級ボイラー技士の合格率、資格取得後のキャリアアップについて解説していきます。
目次
1 2級ボイラー技士の資格取得の流れ
2級ボイラー技士の資格を取得するには下記の2つの条件を満たす必要があります。
①試験に合格
②下記の講習のいずれかを受講
・ボイラー実技講習
・ボイラー取扱技能講習(講習の受講だけでなく、さらに実務経験も必要)
※上記2つの講習は試験を受験していなくても受講できるので、まとまった時間が取れるときに受講しておきましょう。
ボイラー取扱技能講習は、講習受講後に小規模ボイラーを4ヶ月以上取り扱う実務経験が必要なので、特別な理由がない限りボイラー実技講習を受講しましょう。
講習の詳細
| ボイラー実技講習 | ボイラー取扱技能講習 |
期間 | 3日間(20時間) | 2日間(14時間) |
形式 | 座学2日、実習1日 | 座学のみ |
修了時の試験 | なし | あり |
備考 | 講習後、資格取得可 | 講習後、4ヶ月の実務経験の後、資格取得可 |
ただし、ボイラー取扱技能講習の場合は講習を受けただけで小規模ボイラーのみ取り扱えるようになるので、もし小規模ボイラーのみを必要としている場合であればおすすめです。
上記の講習は、どちらも事前の申込みが必要で、定員があるので早めの申込みをしましょう。
2 2級ボイラー技士試験の合格率と必要な勉強時間
2-1 2級ボイラー技士の合格率
2級ボイラー技士の合格率は、おおむね60%前後で推移しています。
2級ボイラー技士の合格率の推移
| H29年度 | H28年度 | H27年度 | H26年度 | H25年度 |
合格率 | 57.7% | 58.5% | 60.4% | 56.9% | 58% |
合格率からもわかる通り、しっかりと対策をすれば独学でも合格可能な試験です。
試験は多肢選択式で知識を問う問題が多く、計算問題が少ないことが特徴です。
しかし、試験の内容は専門知識が問われるため、甘くみているとあっさりと試験に落ちてしまいますので、気を抜かずしっかりと勉強をしましょう。
2-2 合格するために必要な勉強時間
勉強時間は、以下に示す時間を目安に進めていきましょう。
・初心者や試験に慣れていない方は、100時間程度
・経験者や危険物など関連資格の合格者は、50時間程度
例えば一日2時間、書籍で勉強をする場合は、経験者なら3~4週間、初心者なら7週間程度で合格圏内に入れる計算となります。
但し、全体のボリュームが多いわけではないので、集中して動画教材で学習すれば、知識ゼロから最短5日間の期間で合格できます。
3 ボイラー技士の収入と今後の見込
3-1 ボイラー技士の平均年収
厚生労働省の「平成29年度賃金構造基本統計調査」によると、ボイラーの運転に携わる方の給与は以下の通りとなっています。
・月収の平均額 282,200円
・年間ボーナスの平均額 667,400円
上記の額を合計すると、平均年収はおよそ405万円です。
DODAの調べによると、全職種の平均年収は414万円なのでこのため、ボイラーに携わる仕事は平均程度の年収です。
3-2 ボイラー技士が求められる場所
ボイラー技士は、以下に挙げるような場所が働く場所となります。
・工場
・発電所
・ホテル
・病院
・教育機関(大学や高校)
これらの施設では、大規模なボイラー設備が多く、常駐のボイラー技士が必要とされるので、安定的な需要があるといえます。
3-3 ボイラー技士を取得すると転職の際に有利になる
近年では、資格がなくても取り扱えるボイラーが増えてきていますが、まだまだ古いボイラーを大事に使っているところも多いです。
この先、資格が不要なボイラーが増えたとしても、ボイラー自体がなくなるわけではないので、ボイラー技士は必要とされます。
資格が不要なボイラーを扱う施設でも、ボイラーの仕組みを理解している技士にメンテナンスを任せたほうが安心なので、有資格者のボイラー技士は転職の際には有利となります。
3-4 2級ボイラー技士は狙い目の資格
資格が不要なボイラー(貫流ボイラー)の普及や、ボイラー技士の受験者数の減少などにより、今後はボイラー技士の有資格者が減少する見込みです。
一方でボイラー技士はさまざまな施設で活躍の場があるため、ボイラー技士の需要は変わりません。
ボイラー技師の需要は変わりませんが、有資格者数が減少するため、今後は有資格者が貴重な存在となっていくことが予想されます。
さらに、試験の難易度は高くなく、資格を取るまでの労力が比較的少ないため、まさに狙い目の資格といえます。
4 2級ボイラー技士からのキャリアアップ
設備管理の仕事をするなら、2級ボイラー技士だけ持っていればよいというわけでもありません。
2級ボイラー技士だけでも就職先はありますが、他資格を取得することによって、より多くの就職先を選択できるようになるため、資格取得後のキャリアアップも検討しましょう。
2級ボイラー技士取得後のキャリアアップには下記の2つがあります
・上位レベルのボイラー技士を目指す
・ボイラー以外の資格を取得する
4-1 上位レベルのボイラー技士を目指す
2級ボイラー技士を所持していれば、すべてのボイラーを取扱うことができます。
しかし、現場では作業員を管理する役割としてボイラー取扱作業主任者を選任することが義務付けられており、ボイラー技士の資格のランクによって、現場の規模が限られてしまいます。
資格 | 主任者となれるボイラーの 伝熱面積の合計 |
特級ボイラー技士 | 全て可 |
一級ボイラー技士 | 500㎡未満 |
2級ボイラー技士 | 25㎡未満 |
特級ボイラー技士が求められる職場は、大規模な工場や発電所などに限られますので、自分の状況に応じて取得するかどうか決めましょう。
4-2 2級ボイラー技士と共に取得したい資格
ビルメンテナンス業界には、俗にいう「ビルメン4点セット」という資格があります。
ビルメン4点セットとは、以下にあげる資格が該当します。
・2級ボイラー技士
・第二種電気工事士
・第三種冷凍機械責任者
・危険物取扱者乙種4類
上記に消防設備士乙種4類を加えて、「ビルメン5点セット」と呼ぶ場合もあります。
上記の資格を入社の必須条件とする企業もあります。
2級ボイラー技士に合格したら、他の資格にも積極的にチャレンジしましょう。
5 2級ボイラー技士の試験を受験するには
ここでは、2級ボイラー技士を受験してみようという方のために、受験までに必要な手続きを紹介します。
・受験料 6,800円
・試験時間 3時間
・申込み期間 試験の2ヶ月前〜試験日の14日前まで
※定員に達した場合、締切る場合があるので早めに申込みましょう
・試験会場 下記の2パターン
①全国に7箇所ある安全衛生技術センターでの受験
②都市部の大学や専門学校で行われる出張試験での受験
①全国に7箇所ある安全衛生技術センターでの受験
安全衛生技術センターでの試験は毎月行われています。
安全衛生技術センターで受験する場合は、以下のどちらかの方法で申込めます。申込みは、試験日の2ヶ月前から受付しています。
申込み方法 | 締切日 | 申込み手順 |
安全衛生技術センター窓口で提出 | 試験日の2営業日前 | 受験申請書と受験料を添えて申込み (受験料は、受験申請書にとじ込みの払込用紙で、前もって支払うことも可) |
簡易書留で提出 | 試験日の14日前(消印有効) | ・受験申請書にとじ込みの払込用紙を使い、郵便局または銀行で受験料を支払う ・「振替払込受付証明書」を受け取り、受験申請書とあわせて、安全衛生技術センターへ送付 |
② 都市部の大学や専門学校で行われる出張試験での受験
出張試験は全国各地で年1~2回行われており、会場ごとに申込み方法が異なります。
詳しくは安全衛生技術センターの「出張試験の日程」ページでご確認ください。
6 まとめ
工場や病院など、ボイラーを活用している施設はたくさんあり、ボイラー技士の需要は多いので、資格取得のメリットは大きいです。独学ではSAT教材を使えば知識ゼロから最短5日間で合格可能です。
さらに、2級ボイラー技士を取得すればすべてのボイラーの取扱ができるようになるため、設備管理技術者へのキャリアアップの近道となります。
2級ボイラー技士を取得した後も、1級や特級ボイラー技士を取得することで、主任者として活躍の場が広がります。
加えて、他の資格と組み合わせることで、今後のキャリアアップも狙うことが可能です。
しっかり試験対策を行うことで合格できる資格なので、積極的にチャレンジしましょう。