労働安全衛規則が一部改正され、令和6年2月より、従業者が業務でテールゲートリフターを使った荷物の積み下ろしを行う場合は、特別教育の受講が義務化されました。
もし特別教育を受講せずに従業者がテールゲートリフターの積み下ろしを行った場合は、事業者が罰せられることになる可能性があります。
この記事では、テールゲートリフター特別教育の概要説明や法改正のポイント、特別教育の受講方法について解説しています。
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目次
テールゲートリフターとは
テールゲートリフターとは、トラックやバンといった車両で運搬した貨物の積み降ろしを行うための装置です。特に大型のトラックなどに備え付けられていることが多いです。
主に物流や運輸業界で使用され、車両の荷物や貨物を簡単かつ効率的に荷降ろしや積み込みを行うのに役立ちます。動作方法としては、電動式、油圧式、ワイヤー式などが一般的です。
テールゲートリフターの種類
テールゲートリフターの種類は主に以下のようなものがあります。
- 垂直式
- アーム式
- 後部格納式
- 床下格納式
上記のようにテールゲートリフターにはさまざまな種類がありますが、これらいずれの種類に対しても特別教育の受講が必要となります。
パワーゲートとの違い
テールゲートリフターはパワーゲートとも呼ばれることがあります。こちらは極東開発工業株式会社の商標名になります。他にはリフターと短くして呼んだり、単純に昇降装置と言ったりすることもあります。
いずれにしろ、トラック等の車両からの荷物の積み卸しを行うための装置ということは変わりません。
テールゲートリフター特別教育を実施する理由
今回の労働安全衛規則が一部改正された理由として、テールゲートリフターによる労働災害が多発しているということが挙げられます。
テールゲートリフターは大型の荷物を運搬するためなどには便利な装置ですが、誤った使い方をしてしまうと死亡事故などの重篤な労働最大が起こる可能性があります。
テールゲートリフターに関する正しい使用方法を理解するために必ずテールゲートリフター特別教育の受講を行い、身の安全を守りましょう。
テールゲートリフターに関する近年の法改正の振り返り
労働安全衛生規則の改正は、今までにも何度も行われています。ここでは、令和6年2月より施行された法改正も含めたこれまでのテールゲートリフターに関する法改正のポイント紹介します。
① 昇降設備の設置が義務付けられる貨物自動車の範囲の拡大(令和5年10月1日施行)
これまでは、最大積載量が「5トン以上」の貨物自動車で荷物を積み卸す作業を行うときは、昇降設備(テールゲートリフター)を設置することが義務となっていましたが、法改正により「2トン以上」の貨物自動車が対象となります。
② 保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲の拡大 (令和5年10月1日施行)
保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲が、これまでの「最大積載量5トン以上」に加えて、新たに「最大積載量2トン以上5トン未満で、荷台の側面が開放できるもの」と「最大積載量2トン以上5トン未満で、テールゲートリフターが設置されているもの」が追加されました。
なおこれらはテールゲートリフターで荷物の積み卸しを行う際に限られます。
③ 運転位置から離れる場合の措置 (令和5年10月1日施行)
運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる場合は、運転者が運転位置を離れる場合に義務付けられている「エンジン停止」と、「荷役装置を最低降下位置に置くこと」が適用除外となりました。ただし、ブレーキを確実にかける等の逸走防止措置は必要です。
④ テールゲートリフターを使用して荷物を積み卸す作業への特別教育の義務化(令和6年2月1日施行)
荷物の積み卸しを行う作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務が、特別教育の対象となりました。
貨物自動車に設置されたテールゲートリフターが対象となります。なお、荷物を積み卸す作業を伴わない定期点検等の業務や、 介護用の車両に設置された車いす用の装置等は対象外となります。
テールゲートリフター特別教育の内容
テールゲートリフター特別教育のカリキュラムは、法令によって定められています。
種別 | 科目名 | 実施時間 |
---|---|---|
学科 | テールゲートリフターに関する知識 | 1時間30分 |
テールゲートリフターによる作業に関する知識 | 2時間 | |
関係法令 | 30分 | |
実技 | テールゲートリフターの操作の方法 | 2時間 |
テールゲートリフター特別教育は、学科を4時間以上、実技を2時間以上実施する必要があります。これら両方を受講することで受講の修了証が発行されます。
テールゲートリフター特別教育の受講資格
テールゲートリフター特別教育は、満18歳以上であれば誰でも受講することが可能です。学歴や実務経験などは特に問われません。
テールゲートリフター特別教育の受講方法
テールゲートリフター特別教育の受講方法には主に下記の3つが挙げられます。
- 講習会場に行って受講をする
- 自社内で講習を行う(出張講習)
- Web講座を受講する
それぞれの受講方法について解説していきます。
講習会場に行って受講をする方法
テールゲートリフター特別教育は、全国の講習機関が実施する講習を受講することで修了できます。
さまざまな機関が講習を取り扱っているため、実施されている場所や日程と自身の業務の都合を比較して、講習機関を選択すると良いでしょう。
ただし、いずれの講習機関でも受講できる定員があります。自身のスケジュールが空いていても定員が埋まっていて受講できないケースもあるので注意しましょう。
自社内で講習を行う方法(出張講習)
テールゲートリフター特別教育は、出張講習を依頼して自社内で講習を行うことも可能です。出張講習とはテールゲートリフター特別教育を行うことができる講師に直接会社に来てもらい、その場で講習を行います。
出張講習を実施している機関はいくつかあります。特に社内の大人数で受講する場合に適している方法でしょう。しかし、出張講習の場合は最低受講人数が定められている場合が多く、少人数で受講する場合は出張講習を行なっていない機関も多くあるので、申し込みの際には注意しましょう。
Web講座を受講する方法
実は、テールゲートリフターはWeb講座でも受講することが可能です。Web講座はオンラインにて専門の講師が講義を行います。Web会議のように実施するものや、あらかじめ収録された講義動画を視聴して受講します。
Web講座の場合は、会場に行く必要がなくインターネットが接続できる場所であればどこでも受講できることや、少人数でも受講ができるといった点がメリットとして挙げれます。
注意点としては、オンラインのテールゲートリフター特別教育は実技を別途行う必要があります。実技は各事業者ごとに実技実施責任者のもと同一場所で対面にて行う必要があるので、必ず実技を2時間以上実施するようにしましょう。
テールゲートリフター特別教育はWeb講座の受講をおすすめ
テールゲートリフター特別教育を受講する方法は、オンライン講座が最もおすすめです。
既に紹介した通り、令和6年2月よりテールゲートリフター特別教育の実施が義務化されることとなりました。講習会場で行われる特別教育は義務化になる直前は講習の予約の定員が埋まりやすい傾向があるため、希望通りの日時に受講をすることが難しくなる可能性があります。
しかし、Web講座であればいつでも自分の好きなタイミングで受講することができます。さらにオンライン講座には定員がないため、定員オーバーで受講ができないといった心配もありません。
法改正により、テールゲートリフター特別教育の受講は義務化されることとなりました。
業務でテールゲートリフターを使用される方はなるべく早く受講するようにしましょう。