第三種電気主任技術者講座

電験三種とは?この資格と将来性について

 

電験三種(第三種電気主任技術者)とは、電気設備の保安監督に必要な国家資格です。
電気保安のスペシャリストと認められる資格で、取得することで電気設備の点検や保安をはじめ、さまざまな仕事に携われます。
電験三種は難易度の高い資格であるため、業界の需要も高く、独立することも可能です。

将来性があり社会ニーズも高い 電験三種は独占業務で価値のある資格

正式名称を「第三種電気主任技術者試験」といいます。

第三種から第一種に分類されている国家資格で、発電所や変電所、工場やビルの受電設備や配線など、電気設備工事・保守・運用に関する保安監督の仕事を行うための資格です。

電験三種は、独占的な業務であり、電気設備の運用には電気主任技術者が管理監督するように法律で義務づけられています。
また、電気業界のみならず、建設やビル管理業界など求められる場面が多いため、社会的ニーズが高く、将来的にも価値のある資格です。

電験三種取得の3つのメリットと勉強方法とは?

大掛かりな施設から電灯の交換まで! 電気主任技術者の仕事内容

電気主任技術者は電気のスペシャリストなので、電気に関する様々なことを業務とします。

仕事
01

電気設備の点検と保安

多くの施設には年次点検の義務があり、電気主任技術者が停電作業を行います。停電に関する開閉器・遮断器の操作も、電気主任技術者の役割となります。

また、接地抵抗測定、絶縁抵抗測定、各種継電器関係の動作確認、今後の更新計画の資料作成なども行います。

仕事
02

電気設備の更新計画

電気設備には、異常が発生してからの修繕に加え、予防保全という考え方もあります。

設備は経年劣化することが前提であり、耐用年数と経済性を考え、異常が発生する前に更新する必要があります。停電や火災のリスクを最小限にしつつ、お客様の利益にもつながる重要な仕事です。

このように、計画に主体的に携わることも電気主任技術者の大切な役目です。

仕事
03

電気設備の修理

電気設備に異常があった場合、電気主任技術者が修理を担当します。簡易的な修理を除き、施工業者を手配したうえで、電気主任技術者が作業を指示することになります。

電気主任技術者は施工に際し、計画、図面作成、各種遮断器操作、施工立ち合い、遮断器操作、機能確認など幅広い業務に携わります。また、施工完了後は報告書を作成し、管理者に提出および報告を行います。

電気はあらゆる施設で必要不可欠であるため、電気主任技術者は24時間体制で待機します。

仕事
04

電気工事の監督

大規模な工場など、電気設備が複雑な場所では、電気主任技術者が監督を務めることが一般的です。施工業者は施設全体を把握しているわけではないため、電気主任技術者による統括的な管理が求められます。設計、施工、管理、保安と業務をわけることで、より質の高い設備を作ることができます。

事故が起こった場合に電気主任技術者の責任が問われることもあるため、作業完了後は正常に稼働しているかチェックする必要もあります。

仕事
05

その他の電気関連の仕事

蛍光灯の交換や、スイッチの故障など、電気に関係する基本的な仕事を依頼されることもあります。ビルの電気に関わる全般管理を、電気主任技術者に一任することも少なくありません。

電験三種は求人で有利?どんな求人があるの?

景気に左右されにくい安定した仕事 電気主任技術者の仕事内容

前述のとおり、電気主任技術者資格は、第一種、第二種、第三種の種別があります。資格に種別を設けている理由は、保安監督できる電気工作物の範囲が異なるためです。

第一種~第三種で保安監督が可能な、電気工作物の範囲は次のとおりです。

電気主任技術者の種別
第一種電気主任技術者 すべての事業用電気工作物
第二種電気主任技術者 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物
第三種電気主任技術者 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く。)

電気工作物とは、電気を供給する発電所、変電所、送配電線路、建物内の受電設備、屋内配線、電気使用設備の総称です。

電気主任技術者が保安監督できる事業用電気工作物は、一般電気工作物以外の電気工作物です。一般電気工作物とは、一般住宅や小規模な事業所など、他者から600ボルト以下の電圧で受電する電気工作物のことです。

電験二種と電験三種は同時受験できる?併願の際のおすすめ勉強法も紹介

電験三種の試験はどれくらい難しい? 電験三種試験の難易度と合格率

電験三種の試験制度、試験の難易度と合格率について解説します

電鍵設備の点検と保安

電験三種試験は学科試験1回のみで、五肢択一のマークシート方式です。電験三種の試験科目は次のとおりです。

電験三種の試験科目
理論 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

電験三種試験は科目ごとに合否が決まる仕組みで、4科目全てに合格しなければなりません。

ただし、電験三種試験には「科目別合格制度」があり、申請により合格した科目の試験が免除されます。免除の期間は翌年度、および翌々年度までとなっており、3年間で4科目に合格すれば電験三種を取得できます。

電験三種は試験に合格するだけでなく、「電気主任技術者認定校」の卒業でも資格の取得が可能です。 ただし、認定校の卒業に加え、所定の年数の実務経験が必要です。

電験三種の試験はどれくらい難しい?

理論科目

電験三種試験の理論科目は、電気の性質や関連法則、電気系統がメインです。

電験三種の土台といえる科目で、ほかの3科目と関連性が強いのが特徴です。8割が計算問題で難易度が高く、集中的に対策する必要があります。

電力科目

電力科目では、発電から電気供給までの流れである、電気系統に関する問題が出題されます。 関係性がある理論の知識が必要なうえに、全問題のうちおよそ4割が計算問題です。

ただし、電力科目は基礎的な内容で難問も少ないため、基礎を固めれば十分に得点できるでしょう。

機械科目

機械科目では、発電や電気を使用する機械に関する問題が出題されます。
発電機、変圧器、電気化学、半導体と整流回路、自動制御と制御理論など、幅広い知識が必要です。 4科目のなかでも難易度が高く、合格を阻む科目といっても過言ではありません。

法規科目

法規科目では、電気を扱うための法律問題が出題されます。 法規は文章問題に加え、電気施工管理の分野は計算問題がメインです。

電験三種試験に合格するには、基礎となる理論の知識に加え、計算問題で得点できる学力が必要です。
過去問の演習や公式の暗記ではなく、問題で問われている内容を理解することが大切です。

なお、電験三種試験では、会場内に電卓の持ち込みが可能です。 計算問題を解く際に、電卓の使い方にも慣れておくとよいでしょう。

電験三種の合格率

理論科目

電験三種試験の理論科目は、電気の性質や関連法則、電気系統がメインです。
電験三種の土台といえる科目で、ほかの3科目と関連性が強いのが特徴です。 8割が計算問題で難易度が高く、集中的に対策する必要があります。

電力科目

電力科目では、発電から電気供給までの流れである、電気系統に関する問題が出題されます。
関係性がある理論の知識が必要なうえに、全問題のうちおよそ4割が計算問題です。 ただし、電力科目は基礎的な内容で難問も少ないため、基礎を固めれば十分に得点できるでしょう。

機械科目

機械科目では、発電や電気を使用する機械に関する問題が出題されます。 発電機、変圧器、電気化学、半導体と整流回路、自動制御と制御理論など、幅広い知識が必要です。
4科目のなかでも難易度が高く、合格を阻む科目といっても過言ではありません。

法規科目

法規科目では、電気を扱うための法律問題が出題されます。法規は文章問題に加え、電気施工管理の分野は計算問題がメインです。

電験三種試験に合格するには、基礎となる理論の知識に加え、計算問題で得点できる学力が必要です。過去問の演習や公式の暗記ではなく、問題で問われている内容を理解することが大切です。

なお、電験三種試験では、会場内に電卓の持ち込みが可能です。計算問題を解く際に、電卓の使い方にも慣れておくとよいでしょう。

電験三種 5年間の合格率
年度 受験者数 合格率 科目合格率
平成29年度 45,720 8.0% 26.6%
平成30年度 42,976 9.1% 28.7%
令和1年度 41,543 9.3% 32.0%
令和2年度 39,010 9.8% 29.9%
令和3年度 37,765 11.5% 32.5%

電験三種の合格基準は科目ごとに設定されており、試験後に電気技術者試験センターから発表されます。例年の合格基準は各科目60点以上ですが、問題の難易度により、合格基準の点数が調整される場合があります。

令和3年度の合格基準は全科目60点以上のところ、令和元年度の理論科目は55点以上、法規科目で49点以上と、合格基準が下げられたケースもあります。

電験三種の難易度や合格率は?合格のポイントも解説

幅広い年齢層が活躍できる 電験三種の平均年収400万円~450万円前後

電験三種で最も多い年収帯は、400~450万円となります。ビルメンテナンスや電気施設の保守管理等、電験三種を活かした仕事は幅広く存在しており、年収にばらつきがあります。

また、働いている年齢層も20~70代まで幅広く、なかには80代の電気主任技術者も少なくありません。

施設の規模にもよりますが、施設の保安として携わると引継ぎ業務が大変であるため、継続して勤務するのが一般的です。つまり、電気主任技術者は、景気に左右されない安定した仕事ともいえます。

電験三種の年収を上げるためにやるべき3つのこと

電験三種として年収を上げるため、以下の方法に取り組みましょう。

実務経験を積む

電験三種を取得したら、実務経験を地道に積むことが大切です。電気主任技術者として実務経験を積むことで、社内の評価が上がり、昇進や昇給につながります。知識と経験が豊富にあれば、待遇のよい企業に転職することも可能になるでしょう。

資格を取得する

電験は電気系資格で上位に位置するため、電験三種でも十分な強みになります。

さらなる年収アップを実現するには、電験二種、電験一種と、上位資格の取得を目指しましょう。

電験三種の平均年収は400~450万円のところ、電験二種は約540万円、電験一種は約560万円となっています。

ただし、あくまでも平均年収であり、電験二種では800万円程度、電験一種では800万円~1,000万円という高い年収を得られる可能性もあります。

関連資格を取得する

電験一種、電験二種以外の関連資格を取得すると、資格の組み合わせによる年収アップが期待できます。電験三種の年収アップに役立つ資格は次のとおりです。

電験三種の関連資格
電気工事士 電気設備の設計、施工に必要な国家資格
電気工事施工管理技士 電気工事の施工管理に関する国家資格
建築設備士 設計士に対し、建築設備の設計、工事監理のアドバイスができる国家資格
冷凍機械責任者 高圧ガス製造保安責任者資格の一つで、冷凍設備の保安監督業務に携われる資格
消防設備士 消火設備の整備、工事に必要な国家資格
電験三種の平均年収はどのくらい?年収を上げる方法も公開



電験三種の需要は高い 関連業界への就職・転職にも強い

大きなビルや施設、工場などの高圧受電設備の保守・管理には、電気主任技術者の選任が法的に義務付けられています。電気主任技術者に選任されるには、電験合格者である「電気主任技術者」が条件です。

つまり、電気施設を保有する事業者からすると、電気主任技術者の確保は必須で、当然需要は高く、人材確保のための求人を行っています。

また、この業界は高齢でも転職が容易なのが特徴です。電気主任技術者が必要な建物を取り壊すまでは必須とされるうえに、太陽光・風力発電設備なども増加傾向にあります。電験三種の需要は、今後も堅調が続くと予想されます。

電験三種保有者の転職は有利になる?転職事情と有利に進める方法を徹底解説!



フリーランス・個人事業者 独立するには、6つの条件を満たす必要がある

電気保安業務を行う個人事業者を、「電気管理技術者」といいます。電気管理技術者になるには、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 電気主任技術者免状の交付を受けている
  2. 第三種電気主任技術者としての実務経験年数4年以上
  3. 別に告示する機械器具を所有する
  4. 保安管理業務を実施する事業場が、別に告示する算定値未満
  5. 保安管理業務の的確な遂行に支障をおよぼすおそれがない
  6. 53条第5条による取り消しを受けた者で、取り消しから2年を経過しない者

電気設備の保安業務は電気主任技術者の選任が必要であり、個人事業主で独立する場合、別の電気主任技術者を雇用しなければなりません。
この不都合を解消するため、電気主任技術者の選任が不要になる「経済産業省の保安管理業務外部委託承認」を申請しましょう。

保安管理業務外部委託承認制度の要件は、電気管理技術者と同様です。
外部委託先として指名してくれる顧客がいる場合、保安管理業務外部委託承認制度を受けることで、電気管理技術者として独立できます。

承認には厳しい審査があるが、しっかりと業務を全うすれば問題はない

電気管理技術者の承認を受けるには、実務経験を含めた資格要件を確認する口頭試問が行われます。口頭試問とは、保安監督部の担当官から、実務に関する質問に答えるものです。

この審査は非常に厳しく、承認を得るために2~3回口頭試問を受けることになります。もちろん、実務経歴書に記述したとおりしっかりと実務を遂行していれば、質問に答えることは難しくありません。

個人事業者で独立して働く電気主任技術者は大変多く、定年後に無理のない範囲で仕事をし、趣味と両立するなど、さまざまな働き方が可能です。

2つのケースを紹介 第三種電気主任技術者の1日の仕事の流れ

CASE1工場の電気設備の保守・メンテナンス、その他付随業務

7:50 出勤
8:00 朝礼・作業内容の確認
8:30 電気設備の点検・保守
12:00 休憩・昼食
13:00 電気使用量のチェック
16:00 新しい装置の設計会議
17:30 業務終了・次の日の準備
18:00 退社

CASE2設備の点検・保守

8:40 出勤
9:00 3人チームで現場へ出発
9:30 作業開始
11:00 負荷試験の点検・実施
13:30 休憩
14:30 次の現場へ移動
15:00 発電機の負荷試験・メンテナンス
17:00 帰社後、作業報告書の作成
18:30 業務終了・次の日の準備
18:50 退社

電気主任技術者は自ら現場へ行き、メンテナンスや点検作業を行うことが一般的です。一日の作業が終わったあとに、作業報告書の作成や会議を行うなどのデスクワークも発生することがあります。

3年間で全科目合格を目指しましょう 電験三種は取得難易度の高い資格だが、高収入が期待できる

電気主任技術者は電気設備の保安監督者として従事できる資格で、電気工作物の電圧により第一種~第三種に分類されます。

電験三種で取り扱うことができるのは5万ボルト未満の事業用電気工作物に限られますが、電気保安業務においては需要の高い資格です。

電験三種試験の合格率は1割前後と低めの状況ですが、科目別合格制度があるため、3年間で全科目に合格できれば問題ありません。

電験三種の平均年収は450万円前後と、比較的高い収入が得られます。さらに年収を上げたい場合は、上位資格である電験二種、電験一種の取得を目指しましょう。電験二種、電験一種の試験対策は、SATの通信講座をご利用ください。

電験三種の「科目合格制度」とは?上手に活用して合格!