電験三種(第三種電気主任技術者試験)の試験制度が、2022年度から大きく変わったことをご存じでしょうか?
さらに2023年度にはCBT方式という新たな試験方法が開始されます。試験制度が変更される背景には、電気保安業界が抱える高齢化と人材不足の問題があります。
今回は、電験三種の新しい試験制度の全貌や、今後の受験対策について解説します。
目次
2022年、電験三種試験制度はどう変わった?
2022年以降に変更された、電験三種試験制度の具体的な内容を見ていきましょう。
試験回数が年2回に増加する
電験三種の新試験制度では、試験回数が年1回から年2回へと増えました。
上の動画でも紹介していますが、電気技術者センターより、2022年(令和4年)度の試験日は以下の通りでした。
- 上期試験…2022年8月21日(日)
- 下期試験…2023年3月26日(日)
1回目の試験で不合格になった場合でも、年内に再び受験できるのは受験生にとって大きなメリットです。
また、旧制度では試験日が選択できず、試験会場は試験センターが指定する方法をとっていました。受験票が届くまで試験会場がわからないため、不便な思いをする受験生も少なくありませんでした。
一方、新制度では、一定期間内で都合のよい日時、試験会場の指定が可能になります。平日の受験日も設定する方向性で検討されており、さらに受験しやすい環境に変化するでしょう。
新たに「CBT方式」が導入される
CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピューターを使って受験するシステムです。テストセンターに赴き、会場に用意されたパソコンを使って解答します。
CBT方式のメリットは、CBTテストセンターが全国各地にあり、受験会場や受験日時の選択肢が格段に広がることです。ですので、今までの試験制度と比較すると、悪天候や災害など、トラブルが発生した場合も柔軟に対応しやすくなったと言えるでしょう。
さらに、問題のランダム出題が可能なため、カンニングなどの不正防止も期待されています。 なお、CBT方式は、問題用紙と解答用紙がパソコンの画面上に表示され、キーボードやマウスで解答する方法です。
慣れない方法でやりにくい場合を考慮し、マークシート方式も選択可能とするか検討されています。 また、CBT方式の本格導入は2023年度(令和5年度)に導入されます。
従来のままのこと
科目合格の有効期限
科目合格とは、60点以上獲得した科目が以後5回試験を受けるまで免除される制度です。電験三種の試験は令和4年度より年2回になりましたので、1年に2回試験を受けるならば、2年半、科目合格を維持できます。電験三種の試験問題は範囲が広いため、はじめから複数回の試験を受ける計画を立てる方もいます。
試験の難易度
電験三種は電気関係の国家資格の中ではトップクラスの難易度です。令和 3 年度第三種電気主任技術者試験の合格率は11.5%でした。過去5年間の合格率も9~10%を推移しているので、電気工事士の資格を取得している方でも、一発合格は難しいでしょう。時間をかけてしっかりと勉強していくのが合格への近道です。
電験三種の価値
電験三種は独占業務が行える国家資格です。電気設備があるところは必ず選任が必要なので、将来的に需要が増えることがあっても減ることはまずないでしょう。また、資格は転職の武器にもなり、独立も可能です。仕事の幅を広げたい方や収入をアップしたい方にはとても有効な資格です。電気工事士と併せ持っても役立ちます。
電験三種の試験制度が変わる背景
電験三種で試験制度が変更される背景には、電気保安人材の高齢化と、人材不足の問題があります。現在は特に、保安系の外部委託業者における就職率の低迷が顕著な状況です。 電験三種有資格者が従事する業種を、就職率の高い順に紹介します。
電験三種取得者の就職状況 | ||
---|---|---|
No. | 職種 | 就職率 |
1 | その他 | 26% |
2 | 製造 | 26% |
3 | ビルメンテナンス | 14% |
4 | 公務員 | 13% |
5 | 電力 | 10% |
6 | 電気工事 | 6% |
7 | 建設(電工以外) | 3% |
8 | 外部委託 | 2% |
出典:経済産業省
ご覧のとおり、電験三種の取得後、保安系の外部委託業者へ就職する率は「2%」とごくわずかです。
電験三種の有資格者は人数が多い反面、多くの人が他業界に就職しているのが実態といえます。 外部委託業界では、2030年には2,000人も人材が不足する見込みです。
保安系の外部委託業者は、今後加速する再生可能エネルギー発電設備に欠かせません。特に、地方の再生可能エネルギー発電施設においては、保安人材の大幅な不足が懸念されています。
入職者を増やす取り組みを行い、仮に保安人材が1%増えたとしても、不足する2,000人の確保は困難でしょう。
そのため、電験三種の受験制度を見直し、有資格者の母数を増やすことで人材不足の解消につなげる狙いです。
なお、電気保安の外部委託承認制度の実務経験年数は、現行は5年以上と設定されています。一方、新制度では保管管理業務講習の受講を条件に、実務経験年数を原則一律3年に短縮する動きも進んでいます。
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【CBT方式の電験三種】有効な受験対策を紹介
受験制度の変更点を踏まえた、電験三種の受験対策を紹介します。
科目別合格制度を最大限に活用する
受験が年2回に増えることで、科目別合格制度がさらに利用しやすくなります。
科目別合格制度の3年間の有効期限は現時点では変更されない予定であるため、3年間のうちに受験の機会が2倍に増加します。
有効期限の年数を最大限に活用すると、1科目ずつ集中的に勉強する方法での合格も可能です。科目で不合格になったとしても、受験機会が多いことでモチベーションを保てるでしょう。
ただし、年2回に受験回数が増えると、かえって油断する可能性も考えられます。2022年の変更は試験制度が対象であり、試験の難易度は今までと変わりません。
試験対策が長期間におよぶ可能性もあるため、コツコツと勉強することが大事です。
出題範囲をまんべんなく勉強する
電験三種は、出題範囲が広く各科目の関係性が深いため、科目ごとの勉強は効率が悪い方法です。電力と機械は並行して勉強すると覚えやすく、法規は最後に勉強すると理解しやすくなります。
また、電験三種は早めの勉強が合否を左右するため、効率よく勉強できる通信講座を活用しましょう。
SATの通信講座では2023年度向けの対策を実施しており、これから電験三種を受験する方に最適です。 電気と数学が苦手な方には基礎講座を用意しており、わからない問題はZOOMで質問可能など、万全のサポート体制で勉強できます。
プロの講師が解説する動画はポイントを絞っており、より効率的な勉強が可能です。電験三種に最短で合格したい方は、ぜひSATの通信講座を活用してみてください。
CBT方式の電験三種試験は、はやめの対策がカギ!
2022年に電験三種の試験制度が変わる理由には、電気保安人材の高齢化と人材不足が挙げられます。再生可能エネルギー発電設備の増加が予想されるなか、現在は保安系の外部委託業者が極端に少ない状況です。
試験制度の見直しで、年2回への試験回数の増加、パソコンで回答するCBT方式の導入などで合格しやすい状況になるでしょう。しかし、電験三種試験の難易度自体は変わらないため、早めに勉強を開始することが大切です。
まとめ
電験三種の試験がどう変わる?
電験三種はの試験は2022年度より年1回から年2回に増えました。したがって、合格する可能性も高まるといっていいでしょう。
特に、科目合格を狙っている方にとっては、半年に1回試験が受けられるようになるのは大きなメリットです。
なお、「2022年度」なので、後期の試験が行われるのは2023年です。
CBT方式とは?
2023年より電験三種の試験はCBT方式になります。 従来の試験方法はマークシート方式でしたがCBT方式が導入されれば、パソコンにマウスやキーボードで解答を記入するようになります。
パソコンになれていない方にとっては不安かもしれません。しかし、従来のマークシート方式でも受験は可能なので安心してください。
今後の受験対策は?
試験方法の回数が増えて試験方式が変わっても受験対策は基本的に変わりません。 むしろ、年2回に試験が増える分勉強するモチベーションが保ちやすくなるでしょう。
また、2023年からはCBT方式導入により、試験会場が増えることが予想されます。CBT方式で試験を受けるならマウスの操作にも慣れておきましょう。
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