第三種電気主任技術者

実務経験無しでも第三種電気主任技術者になる方法!

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電験三種は、電気主任技術者になるために必要な資格の1つです。

取得はたいへん困難ですが、取得後は仕事の幅がグンと広がり、メリットが大きいといえます。

資格を取得するには【試験合格】と【認定取得】の2つの方法があります。そして、双方で実務経験の扱いが大きく異なります。

本記事では、実務経験がなくても第三種電気主任技術者になれるのか、また、どんなケースで実務経験が必要なのかについて解説します。

電験三種資格の2種類の取得方法

電験三種の取得方法は、以下の2種類に分けられます。

2種類の電験三種の取得方法

  1. 試験(第三種電気主任技術者試験)に合格する
  2. 学歴および実務経験の条件を満たしたうえで認定取得する

このうち、1番の「試験に合格する」を選んだ方は、実務経験が不要です。合格者は電気技術者試験センターへ申請することで、電験三種の有資格者になれます。

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つまり、実務経験がない人でも電気主任技術者になることはできますが、試験を受験し合格する必要があります。

一方、2番の認定取得される方は学歴に加えて実務経験が必要です。

次の項からそれぞれの取得方法を見ていきましょう。

① 試験(第三種電気主任技術者試験)に合格して電験三種を取得する

電験三種の試験は、4科目の筆記試験です。

科目は「法規」「機械」「理論」「電力」で、基本的には各学科100点満点中60点以上で合格となります(試験年度により多少の合格点の変更あり)。

試験は科目合格が認められており、60点以上取得した科目は以降試験5回分、試験が免除されます。

受験はマークシート方式ですが、2023年からCBT方式も導入されています。

CBT試験の方が試験日の日程も広く設定されており、直前の日程変更も可能ですので、今後こちらの方式が主流になるかもしれません。

試験を選んだ場合のメリット

電験三種の試験は、受験資格が設けられていません。年齢・性別・国籍問わず受験ができます。

したがって、電気に関する仕事をしている人だけでなく、畑違いの分野で仕事をしてきた人でも挑戦が可能です。また、2022年度より試験回数が年2回に増えました。

試験回数が増えれば、それだけ合格するチャンスもアップします。このほか、電験三種の試験は科目合格が認められているので、時間をかけての合格する方も多いです。

学生はもちろんのこと、社会人でもコツコツ勉強し続ければ合格するチャンスを掴めるでしょう。

試験を選んだ場合のデメリット

電験三種の試験の合格率は、10%前後で、10%を切ることもあります。

同じ電気関係の資格である電気工事士の試験の合格率と比べるとかなりの差があり、難試験といえます。科目合格も13~25%前後と低めです。

試験の内容は暗記と計算問題の両方が出題されます。ただ、参考書を丸暗記しただけでは解けません。

電気関係の仕事をしている人でも試験を突破するのは容易ではないでしょう。

物理の知識が全くない方や畑違いの分野から受験に挑戦しようとしている方はより長期間、計画的な勉強が必要です。電験三種を独学で勉強するのはかなり大変です。

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② 学歴と実務経験を満たして認定取得する

認定取得とは、経済産業省が定めた認定校を卒業して一定の実務経験を積んだ後で申請を行い、資格を取得する方法です。

電験三種の有資格者のうち認定取得した方は25%程度しかいないので、マイナーな方法といえます。
しかし、合格率10%前後の試験を受けずに合格できるのは大きなメリットです。

なお、認定校に通ったが単位が足りないという場合は、卒業して3年以内ならば科目等履修生制度を使って補講を受けられます。また、卒業して3年以上経っている場合は、試験の一部を受けることで単位を補うことも可能です。

認定取得を選んだ場合のメリット

認定取得を選べば、合格率が低い試験を受けなくても電験三種の資格が取得できます。

もともと電気関係の仕事に就くつもりで工業高校、工業系専門学校、大学の工学部に進学した方であればそのまま実務経験を積むだけで取得できる可能性は高いでしょう。

また、電験三種の資格試験は工業高校の生徒はもちろんのこと、大学の工学部に通っている学生でも難易度は高めです。

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したがって、勉強が苦手な学生は試験に何度も挑戦するより認定取得を選んだほうが早く資格が取れることもあります。

なお、卒業して何年以内に申請しなければならないといった制限はありません。

認定取得を選んだ場合のデメリット

電験三種を認定取得するには、認定校に通わなければなりません。

認定校には高校・高専・専門学校・大学がありますが、社会人になってから再入学するにはどれも敷居は高めです。

また、実務経験は学歴によって異なり、高校卒業では3年、専門学校・短大卒業では2年、大学卒業では1年となっています。

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これだけの時間があれば「勉強して試験に挑戦したほうが早く資格を取得できる」という方もいるでしょう。

また、申請すれば無条件に認定されることはなく、却下されることもあるわけです。したがって、現在認定校に在籍していなければ、選択するメリットはそれほどありません。

ここでは、電験三種を取得する2つの方法の概要、メリット・デメリットを解説しました。次の項から認定取得に必要な学歴や単位、実務経験についてより詳しく解説していきます。認定校に通っている方は参考にしてください。

認定取得に必要な学歴

学歴では大学や短大、高専や高校などの経済産業省が定めた認定校で、電気に関する以下の4分野をすべて履修している必要があります。

また申請には卒業証明書と単位取得証明書が必要なため、卒業した学校で早めに入手しましょう。

分野履修すべき内容
理論電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するもの
電力発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。以下同じ。)の設計及び運用並びに電気材料に関するもの
機械電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理に関するもの
法規電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理に関するもの

引用:「中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

電力・機械・法規のうち、1~2分野で履修した科目や単位の不足がある場合は、不足分野だけ「第三種電気主任技術者試験」に合格すれば学歴の条件を満たします。

ただし、電力と機械の両方とも不足する方は、認定取得ができません。

実務経験に認可されない場合に注意する

電験三種の認定取得において認められる実務経験は、以下のように細かく定められています。

実務経験に含まれる業務

・500V以上の発電設備、変電設備、送電設備、配電設備、給電・遠隔制御などの設備、需要設備に関する、工事や維持、運用の経験
・上記の業務を監督指導する業務、工事計画の認可申請書などの作成、電気事故防止対策業務など
出典:「中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

このため、実務経験に含まれない業務が多数あることに留意してください。
一例として、以下の業務があげられます。

実務経験に含まれない業務

・電力会社などから直接100Vや200Vで受電する(一般用電気工作物)施設での仕事
・電気工作物に関する知識を要さない監視や記録
・受電設備を含まない需要設備、負荷設備のみの維持、運用業務
・実験設備や試験設備における業務
・二次側にだけ高電圧を発生させる機械器具に係る業務(例:ネオン変圧器など)
・船舶、車両、航空機内の電気設備に関する業務
出典:「中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署「電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方」

したがって申請の際には、以下の記載が必要です。

実務経験の記載事項ポイント
  • 担当した業務の項目を羅列せず、「いつ」「どこで」「何を」「どのように」実施したか、業務や工事ごとにもれなく記載する
  • 担当した電気工作物の内容を記載する

審査は細部まで入念に行われますから、詳しい記入が欠かせません。

実務経験の最低年数は学歴によって異なる

ここまで解説したとおり、電験三種の認定取得には学歴と実務経験の両方が必要です。実務経験の年数は、学歴により異なります。

学歴実務経験の最低年数
大学1年
短大や高専2年
高校3年

なお実務経験の年数を計算する際、各学校を卒業する前の年数は半分として計上します。

実務経験がなくても電気主任技術者になれる

電験三種に合格していることは、電気主任技術者を選任する条件の1つです。そのため電験三種の合格者ならば、実務経験がなくても手続き上は電気主任技術者になれます。

一方で、実際に働くうえでは実務経験の有無がどう影響するのか、気になるところです。この点について説明していきます。

実務経験があれば、年収を上げやすくなる

実務経験を積んでいるということは、それだけ技術者としてのレベルが高いというわけですから、当然給料も上がるでしょうし、役職に就く可能性も高いといえるでしょう。

結果として年収があがり、電験三種を取得すれば将来的には独立も可能です。

いま第一線で活躍している電気主任技術者も、はじめはみな初心者だったわけです。そこから実務経験を積んで、年収を上げたり独立したりと、夢を実現してきました。

このため電験三種資格試験の受験を考えている方は、電気工事や設備管理の仕事に就いて、十分な経験を積むとよいでしょう。その後に電気主任技術者を目指せば、資格と実力を兼ね備えた人材として重宝されるはずです。

20代や30代の場合は、即戦力でなくても採用される可能性がある

20代や30代の方は、業界での経験が浅い方が多いでしょう。そもそも実務経験自体がない方もいるはずです。

しかし若手は経験が少なくても将来性を買われやすいため、自社で鍛え上げる人材として採用する企業は多いでしょう。

このため「未経験者応募歓迎」など、即戦力でなくても採用される可能性は大いにあります。

もちろん電気工事や設備管理の経験があれば、より有利に就職活動を進められます。

40代以上の場合は、電気工事や設備管理の経験が重要

40代以上の方は、実務経験が重要視されます。このため、電気工事や設備管理の経験があると選択肢が広がります。

もしまったくの未経験者の場合は、まずは実務経験を積むことから始めましょう。

そもそも電気は、取り扱いを誤ると大事故につながりかねません。40代以上の場合、経験豊富な即戦力と見なされることが多いでしょうから「経験がなければ仕事を任せられない」となっても仕方ないといえます。

一方で実務経験が豊富なら、60代以上の方でも働ける職場はあります。企業によっては、月に数回の巡視点検がメインの職務を任される場合もあります。

電気主任技術者の実務経験が積める職場

ここまで解説したとおり、電気主任技術者として働くためには実務経験が重要です。

ここからはどのような職場であれば実務経験が積めるのか、また電験三種の認定取得に結びつけられるのかについて解説します。

高圧や特別高圧で受電している施設を選ぶ

電気主任技術者の経験を積むためには、6,000V以上で受電する「高圧受変電設備」や、60,000V以上で受電する「特別高圧受変電設備」で働くことがおすすめです。

一例として、以下の施設が挙げられます。

高圧受変電設備、または特別高圧受変電設備がある施設の例

  • 工場
  • ショッピングセンターやアウトレットモールなどの商業施設
  • オフィスビルや、オフィスビルを主体とした施設複合施設
  • 病院
  • ホテル

これらの施設では「キュービクル」と呼ばれる箱型の設備が備え付けられていることがほとんどです。

また電気主任技術者の選任が義務付けられている施設ですから、どのような職務を果たすべきか間近で学べます。

逆に一般用電気工作物での経験は、実務経験として扱われません。そのため小規模な施設や一般家庭など、100Vや200Vを使う施設での経験はカウントされないことに注意してください。

電気に関する専門的な仕事ができることを確認する

せっかく電気主任技術者になれる施設で働き始めても、実務経験を積めない場合があります。たとえば施設の点検や備品の修繕といった業務は、実務経験になりません。

また「新たな電気主任技術者の養成は必要ない」と考える施設では、実務経験を積める仕事を任されない可能性もあります。

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このため応募の際には、事前に実務経験を積めるかどうか確認することが重要です。
企業の内情を知るためには、転職エージェントの活用もよい方法です。

試験合格と認定取得の比較整理!

電験三種の資格は「試験に合格する」「認定取得する」2つの方法で取得できます。どちらが適しているかは人によります。

すでに認定校に在籍しているなら、認定取得を目指してもいいでしょう。

特に、大学なら1年の実務経験で取得ができます。すでに社会人で認定校を卒業していない場合は、試験に挑戦するのが早道です。

試験合格を目指した方がよい人

認定校を卒業していない人や、畑違いの分野から電験三種の資格取得を目指す人は試験合格がおすすめです。

また、認定校を卒業していても、実務経験がない場合は試験合格を目指しましょう。

認定取得を目指した方がよい人

認定校に在籍しており、すでに実務経験が積めそうな職場に内定が出ている場合は、認定取得を目指しましょう。

工業高校・高専・専門学校・大学と認定校は幅広いです。また、社会人でも専門学校ならば再入学しやすいでしょう。

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電気主任技術者になる2つの方法「試験合格」「認定試験」のまとめ

実務経験0でも電気主任技術者になれる?

実務経験ゼロでも資格試験に合格さえすれば、電験三種の資格は取得できます。
ですから、全く畑違いの分野から転職のために資格試験にチャレンジする人もいます。
また、勉強が得意な人ならば、学生のうちに資格を取得し新卒で「電験三種」の資格を活かして仕事をするケースもあるでしょう。

試験合格のメリットとデメリットは?

電験三種の試験は、受験資格が設けられていません。年齢・性別・国籍問わず受験ができます。
したがって、電気に関する仕事をしている人だけでなく、畑違いの分野からでも挑戦できます。
その一方で、試験は難関です。科目合格が認められているとはいえ、合格率は毎回10%前後となっています。

認定取得のメリットとデメリットは?

認定取得は、試験を受けなくても単位と実務経験で電験三種の資格が取得できます。
もともと電気関係の仕事に就きたいと思っている学生ならば、この方法は大変有効です。
しかし、申請すれば必ず認定されるとは限りません。また、すでに社会人になっている方はハードルが高い方法です。

試験合格と認定取得のどちらを目指すべき?

試験合格と認定取得は、試験を受ける人の立場によって選びましょう。
認定校に在籍しているなら認定取得も視野に入れてください。
すでに社会人ならば、試験合格がおすすめです。難関試験ですが通信講座などもフル活用して勉強していきましょう。 そうすれば、合格の可能性が高まります。

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