冷凍機械責任者はビルメンテナンスに役立つ資格の一つで、最上位の第一種は大型冷凍空調機器の保安業務に携わることができます。
第一種は第二種、第三種よりも難易度が高いため、どのような勉強法が効果的なのか知りたい方も多いでしょう。
そこで今回は、第一種冷凍機械責任者の試験内容を踏まえ、試験の難易度と効果的な勉強法について解説します。
目次
第一種冷凍機械責任者の概要と試験内容
第一種冷凍機械責任者の概要と、試験内容を見ていきましょう。
第一種冷凍機械責任者の概要
そもそも冷凍機械責任者は、高圧ガス製造保安責任者という資格の一つで、冷凍空調機器を備える施設で保安業務に携われるようになる資格です。
第一種を取得すると、大型の冷凍空調機器がある冷凍倉庫や冷凍冷蔵工場で、製造の保安業務と統括的な業務を行うことができるようになります。
なお、第二種、第三種は冷凍空調機器の冷凍能力に制限がありますが、第一種は冷凍能力に制限はありません。
第一種冷凍機械責任者の試験内容
第一種冷凍機械責任者は学科試験のみで構成されており、試験科目は「法令・保安管理技術・学識」の3科目です。各科目の出題内容をみていきましょう。
科目 | 出題内容 |
---|---|
法令 | 高圧ガス保安法に関する法令 |
保安管理技術 | 高圧ガス製造に必要な保安管理技術(圧縮機、凝縮器、冷却塔など) |
学識 | 高圧ガス製造に必要な応用化学および機械工学(2段圧縮1弾膨張冷凍サイクル、円筒圧力容器などの計算問題) |
計算問題がある学識のみが記述式で、他の2科目は選択式です。
試験の科目免除制度
第一種冷凍機械責任者の国家試験を実施する「高圧ガス保管協会」には、以下の講習を受講すると一部科目を免除する制度があります。
講習名 | 免除科目 |
---|---|
製造第六講習 | 保安管理技術が免除 |
第一種冷凍機械講習(高圧ガス製造保安責任者講習・冷凍) | 保安管理技術、学識が免除 |
第一種冷凍機械講習で規定される3日間で3科目の講義を各7時間受講することで、2科目が免除になります。講義を受講後、保安管理技術と学識の検定試験を受験することで、正式に2科目が免除になります。
費用は29,000円(インターネットから申込の場合)と安くはありませんが、科目免除になるメリットは大きいでしょう。
第一種冷凍機械責任者の難易度と過去問を使った勉強法
第一種冷凍機械責任者試験の合格率と難易度、過去問を使った効果的な勉強法を紹介します。
第一種冷凍機械責任者の合格率と難易度
第一種冷凍機械責任者試験の合格率は、全科目受験で20%~30%前後、科目免除は80~90%前後です。全科目と比較すると、科目免除がとても有利であるかが理解できるでしょう。
第一種のレベルは大学工学部程度といわれており、冷凍サイクルの理解や公式の暗記、圧縮機の構造と圧縮方法、p-h線図(モリエル線図)などの知識が必要です。
第一種冷凍機械責任者を過去問で勉強するポイント
試験勉強を独学で行う場合、過去問を演習し、わからない問題を参考書で調べる勉強法が基本です。第一種冷凍機械責任者の試験は過去問と傾向が似ているので、最低でも5年分の過去問をくり返し解きましょう。
法規は暗記系科目ということもあり、過去問で内容をしっかり暗記すれば対策が可能です。
計算問題が出題される学識では、基本的な四則演算で計算できる計算方法のパターンを覚えることがポイントです。過去問をくり返し解きながら、20ほどあるパターンを1つでも多く覚えましょう。
そして、保安管理技術では、冷媒噴射量や圧縮機吸い込み蒸気の比エンタルピーなど、公式を覚えることが大切です。
まずは第三種から勉強をはじめてみる
合格率の違いを見てもわかるように、講習を受講して科目免除になるメリットは大きいといえるでしょう。
しかし、第一種の講習は試験と同様に難易度が高いため、冷凍に関する基礎知識を身につけておく必要があります。大学工学部卒業程度のレベルに満たない方は、冷凍の基礎を身につけるために、まずは第三種冷凍機械責任者の勉強をはじめてみましょう。
通信講座のSATでは、第三種冷凍機械責任者の通信講座を開講しています。通信講座では、講義の映像を視聴し、専用のテキストを使って勉強します。過去問や参考書の文字ベースで勉強するよりも、視覚と聴覚を使うことで理解度が高くなるでしょう。
また、通信講座は質問できる体制が整っています。独学のモチベーション維持が難しい要因は、わからない問題で手が止まることです。いつでも質問できる安心感は、独学にはないメリットといえるでしょう。
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まとめ:第一種冷凍機械責任者はレベルが高い試験
第一種冷凍機械責任者は、大型冷凍空調機器の保安業務に携われる最上位資格で、大学工学部卒業程度とレベルが高い試験です。受験科目は3科目があり、保安管理技術と学識をいかに攻略できるかが合格の分かれ目といえます。
また、所定の講習を受講すると法規を除いた2科目が免除になるうえに、合格率は8割以上と合格に有利に働きます。科目免除が受けられる第一種冷凍機械講習は、試験内容と同様にレベルの高い講習です。
もし第一種の勉強内容が難しいと感じた場合は、第三種の勉強から始めるのが良いでしょう。冷凍の基礎を身につけることが前提のため、必要に応じて第三種冷凍機械責任者の通信講座で基礎を固めましょう。