ロープ高所作業特別教育は、ロープで体を支えながら高所での作業に従事する作業員に受講が義務化されている教育です。
ロープ高所作業に従事する方は雇用形態にかかわらず受講しなければ、ロープ高所作業に従事できません。
また、フルハーネス型墜落制止用器具を使用して高所作業をする場合は、別の特別教育が必要です。
本記事では、ロープ高所作業特別教育とフルハーネス型墜落制止用器具特別教育の違いを解説します。
目次
ロープ高所作業特別教育とは
ロープ高所作業特別教育とは、ロープ高所作業に従事する方に講習が義務づけられている特別教育です。
ロープ高所作業とは、以下のような作業が該当します。
実施場所:作業床を設けることが困難で、高さ2m以上の場所
作業内容:昇降器具(ロープ)を用いて行う作業
そして、ロープ高所作業が発生する仕事には、以下のようなものが挙げられます。
- ビルの外装清掃
- 斜面やのり面上での工事 高木の枝選定など
- 高所の点検作業 高所でのレスキュー作業
なお、ゴンドラのように別所で昇降を操作する器具は該当しません。また、ロッククライミングやボルダリングなどロープによる昇降作業が必要なレジャーは、ロープ高所作業には該当しません。
ロープ高所作業特別教育は、ロープ高所作業を行う全ての方に講習義務があります。例えば、ボルダリングのインストラクターなどであったとしても、免除にはなりません。注意しましょう。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育とは、作業床を設けることが困難で高さが2m以上ある場所において、フルハーネス型墜落制止用器具を装着して作業を行う場合に受講が必要な特別教育です。
従来、高所作業における安全確保の主流であった胴ベルト型安全帯は、墜落事故がおこった場合に内臓の損傷や胸部等の圧迫による危険性がありました。 そのため、厚生労働省は2019年2月1日より一定の作業においてはフルハーネス型墜落制止用器具の装着と、特別教育の受講を義務づけました。
したがって、ロープ高所作業特別教育を受講していても、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講していない方は、フルハーネス型墜落制止用器具を装着してのロープ高所作業はできません。フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の受講が必要です。
これからロープ高所作業特別教育を受ける方は、一緒にフルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講するのがおすすめです。
ロープ高所作業特別教育の内容
ロープ高所作業特別教育は、学科と実技の2種類があります。それぞれの教育内容と時間は、以下の表のとおりです。
ロープ高所作業特別教育 講習内容 | ||
---|---|---|
内容 | 時間 | |
学科 4時間 | ロープ高所作業に関する知識 | 1時間 |
メインロープ等に関する知識 | 1時間 | |
労働災害の防止に関する知識 | 1時間 | |
関係法令 | 1時間 | |
実技 3時間 | ロープ高所作業の方法 墜落と労働災害防止の措置 安全帯と保護帽の取り扱い | 2時間 |
メインロープ等の点検 メインロープ等の点検と整備の方法 | 1時間 | |
合計 | 7時間 |
学科教育と実技教育の合わせて7時間の講習です。1日に学科・実技両方を受講する方法と、別の日にそれぞれを受講する方法があります。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の内容
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の内容は以下の通りです。
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 講習内容 | ||
---|---|---|
内容 | 時間 | |
学科 4.5時間 | 関係法令 | 30分 |
作業に関する知識 | 1時間 | |
墜落制止用器具に関する知識 | 1時間 | |
墜落制止用器具の使用方法 | 1時間 | |
労働災害の防止に関する知識 | 1時間 | |
実技 1.5時間 | 墜落制止用器具の使用方法等 | 1時間30分 |
合計 | 6時間 |
こちらは計6時間です。ロープ高所作業特別教育同様、学科と実技を1日で受講できる方法と別日に行う方法があります。 近年は外国人の作業者が増えたことにより、外国語での実習を実施するところも増えました。
ロープ高所作業特別教育とフルハーネス型墜落制止用器具特別教育の受講方法
ロープ高所作業特別教育・フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は両方とも、対面受講・出張受講・オンライン受講といった受講方法があります。ここでは、それぞれの受講方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。
対面受講を利用する方法
対面講習は、特別教育を実施している機関に出向いて受講する方法です。
両方とも技能講習協会や建設労働災害防止協会などが特別教育を実施しており、全国各地で受講できます。「お住まいの自治体名・受講を希望する特別教育」で検索すれば、すぐに該当する機関がヒットするでしょう。
申し込み方法は、電話とインターネットが主流です。ホームページ等に申し込み方法が記載されているので、確認のうえ、申し込んでください。
対面講習のメリットは以下のとおりです。
- 受講を受けさせる側に特別な準備は必要ない
- 学科教育と実技教育が1日で修了できる
対面講習は、教育の準備はすべて開催する側が行ってくれます。したがって、受講する側は思い立ったらすぐに受講ができます。また、実技と学科の両方が1日で修了するのも大きなメリットです。
例えば、1日目をロープ高所作業特別教育、2日目にフルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受けることもできます。ただし、1日に両方の特別教育は受けることは難しいでしょう。
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 受講できる日時が限られている
- 受講できなかった場合は予約から取り直しが必要
- 人気の曜日は予約が大変
対面講習は、一度受講日を決めたら、よほどのことがない限り受講日を移動できません。したがって、日程調整が必要です。また、実施できる会場が遠く、前泊が必要な場合があります。まずは、会社の近くに受講できる期間があるか確かめてみましょう。
出張講習を利用する方法
出張講習は講師に会社まで来てもらい、特別教育を実施する方法です。受講人数が多い場合は、対面講習よりも講師を自社に呼んだほうが予約の手間がかかりません。
また、対面講習を実施している機関も「一定人数以上の受講者がいる場合は、出張講習に対応します」と言っているところもあります。
出張講習のメリットは、以下の通りです。
- 受講日の融通がつけやすい
- 移動時間が必要ない
一方デメリットは、以下の通りです。
- 講師の確保が難しい場合がある
- 両方の特別教育は1日で受けられない
- 実技教育が実施できる場所の用意が必要
講師を自社に招く場合、自社で講習を受ける部屋、講師の控え室、講師の飲食物などを用意しなければなりません。
このほか、ロープ高所作業特別教育・フルハーネス型墜落制止用器具特別教育両方とも実技教育が課せられています。
実技教育の場所が用意できなければ用意できなければ、学科教育だけ出張講習で受け、実技教育を別所で受ける必要があります。
Web講習方法で学科講習だけを受ける方法
Web講習は、インターネット上で講習を受講する方法です。パソコンやスマホ、タブレットなど動画を視聴できる環境が整っていれば、場所を選ばず受講できます。
ただし、オンラインでは実技教育は受けられません。そのため学科教育だけWeb講習で受講し、実技教育は別所で対面で受ける必要があります。
Web講習は以下のような注意点もあります。
- インターネットをスムーズに受信できる環境がないと実施が難しい。
- 監督者を配置しないと講習が無効になるケースがある。
- 大画面で講習内容を視聴したい場合、別途器具が必要になる場合がある。
Webでの受講は、監督者を受講会場に置かないと本当に受講したかどうか証明ができないため、原則として監督者の配置が求められます。そのため、大画面で講習内容を視聴できない場合、複数の視聴デバイスを用意して一斉に視聴を開始しなければならないなど、Web講習のメリットが余り感じられないケースもあります。
SATのWeb講座であれば監督者不要でオンライン受講が可能
SATが提供するロープ高所作業特別教育やフルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、どちらもオンライン形式の特別教育で、以下のようなメリットがあります。
- 24時間365日、オンラインでの受講が可能
- 端末のカメラで受講状況をしっかり担保
- スマホアプリで修了証が即日自動発行
SATでは、労働局に確認済みのAI顔認証システムにより、受講が担保されています。監視者を別途用意しなくても、受講が無効になることはありません。
また、スマホアプリで修了証が即日発行されるので、教育を受講したことを証明したい場合も安心です。したがって、隙間時間に各々が手持ちのデバイスで講習を視聴でき、学科講習を効率よく修了できます。
まとめ:オンラインで特別教育を受講しよう
ロープ高所作業特別教育・フルハーネス型墜落制止用器具特別教育は、労働災害を防ぎ安全に作業を行うためにも必要な教育です。
これからロープ高所作業特別教育の受講を予定している方は、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育も一緒に受講するのがおすすめです。
SATの特別教育や安全衛生教育のオンライン講座は、24時間365日いつでも受講できるうえ、顔認証システムによって管理者がいなくても大丈夫です。修了証も即日発行できるので、いろいろな場面で活用できます。