管工事施工管理技士には1級と2級が存在しますが、それぞれにおいて受験資格があるため、誰でも受験することはできません。
そのため、「資格を取得したいけど受験資格を有していないために受験できない」といった人は、すごく多い傾向です。
管工事施工管理技士試験に挑戦するためにも、1級・2級の受験資格、実務経験についての情報は集めておきましょう。
そこで今回は、管工事施工管理技士の受験資格について解説します。2021年度の4月から適用される受験資格の緩和についても必ず確認してください。
管工事施工管理技士の試験内容
まず始めに、管工事施工管理技士の試験内容について解説します。
試験の概要と出題内容、合格基準について確認してください。
試験概要
管工事施工管理士は、1級と2級で試験の概要が少し異なります。
令和3年に実施される試験の詳細をもとに、それぞれ見ていきましょう。
項目 | 1級管工事施工管理技士 | 2級管工事施工管理技士 | ||
---|---|---|---|---|
試験日 | 第一次検定(学科) | 令和3年9月12日 | 前期※1 | 令和3年6月6日 |
第二次検定(実地) | 令和3年12月5日 | 後期※2 | 令和3年11月21日 | |
試験地 | 札幌、仙台、東京、新潟、 名古屋、大阪、広島、 高松、福岡、那覇 | 前期 | 札幌、仙台、東京、新潟、 名古屋、大阪、広島、 高松、福岡、那覇 | |
後期 | 札幌、仙台、東京、新潟、 名古屋、大阪、広島、 高松、福岡、那覇 | |||
受験料 | 第一次検定(学科) | 10,500円 | 第一次・第二次検定 | 10,500円 |
第二次検定(実地) | 10,500円 | 第一次のみ 第二次のみ | 各5,250円 | |
申込方法 | 簡易書類郵便による個別申込に限る |
※1 前期:第一次検定(学科)のみ。 ※2 後期:「第一次・第二次検定」「第一次検定のみ」「第二次検定のみ」の3区分がある。
出題内容
次に、管工事施工管理技士の出題内容と出題数についてですが、これも1級と2級で少し異なります。
1級のほうが2級よりも出題数が多いのが特徴です。
受験する資格区分の出題範囲についてそれぞれ確認してください。
【1級管工事施工管理技士】
第一次検定(学科) | ||
---|---|---|
区分 | 出題科目 | 出題数 |
午前の部 | ||
原論 | 10問 | |
電気工学 | 2問 | |
建築学 | 2問 | |
空調・衛生 | 23問 | |
設備 | 5問 | |
設計図書 | 2問 | |
午後の部 | ||
施工管理法 | 17問 | |
法規 | 12問 | |
第二次検定(実地) | ||
区分 | 出題科目 | 出題区分 |
必須問題 | 設計全般 | 施工要領図 |
選択問題 | 設備全般 | 空調 |
設備全般 | 衛生 | |
選択問題 | 工程管理 | ネットワーク工程表 |
法規 | 労働安全衛生法 | |
必須問題 | 施工経験記述 | 工程管理 |
【2級管工事施工管理技士】
第一次検定(学科) | ||
---|---|---|
区分 | 出題科目 | 出題数 |
午前中実施 | ||
原論 | 4問 | |
電気工学 | 1問 | |
建築学 | 1問 | |
空調・衛生 | 17問 | |
設備 | 4問 | |
設計図書 | 1問 | |
施工管理法 | 14問 | |
法規 | 10問 | |
第二次検定(実地) | ||
区分 | 出題科目 | 出題区分 |
必須問題 | 設備全般 | 施工要領図 |
選択問題 | 設備全般 | 空調 |
設備全般 | 衛生 | |
選択問題 | 工程管理 | バーチャート工程表 |
法規 | 労働安全衛生法 | |
必須問題 | 施工経験記述 | 工程管理・安全管理 |
上記がそれぞれの試験の出題内容です。
出題区分が少し異なるため、受験する際には対策を取って試験に臨みましょう。
合格基準
管工事施工管理技士の合格基準は、1級・2級ともに同じです。 第一次検定、第二次検定それぞれにおいて「総得点の60%以上」となっています。
試験日の約1~2ヶ月後に合格発表がされるので、発表日当日に自分の合否について確認しましょう。
1級管工事施工管理技士の受験資格
ここでは、1級管工事施工管理技士の受験資格について解説します。
1級管工事施工管理技士では、学歴や所有資格に応じて実務経験の年数が定められており、これを満たすことで試験に挑むことができます。
また、現場の施工管理を行う従事者としてレベルアップするために、必要不可欠な資格となるため、実務経験は必ず積んでおきましょう。
実務経験として認められる業務については、次のとおりです。
実務経験として認められる業務 |
---|
冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、換気設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生器具設備工事、浄化槽設備工事、ガス管配管設備工事、管内更正工事、消火設備工事、配水支管工事、下水道配管工事 |
上記が実務経験と認められる業務です。
この業務を学歴または資格ごとに定められた年数だけ従事する必要があります。
試験を受験するために必要な実務経験年数については、次の表を見てください。
学歴または資格 | 管工事に関する実務経験年数 | ||
---|---|---|---|
指定学科※1 | 指定学科以外 | ||
大学 専門学校「高度専門士」 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 | |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6ヶ月以上 | |
高等専門学校 専門学校(専門士以外) | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6ヶ月以上 | |
その他 | 卒業後15年以上 | ||
2級管工事施工管理技士の取得者 | 卒業後5年以上 | ||
2級管工事施工管理技士の取得後5年未満 | 高卒 | 卒業後9年以上 | 卒業後10年6ヶ月以上 |
その他 | 卒業後14年以上 |
※1 指定学科とは、土木工学、都市工学、衛生工学、電気工学、電気通信工学、機械工学または建築学に関する学科のことです。
2級管工事施工管理技士と比べて、実務経験年数がかなり長くなります。
そのため、実務経験が無いために受験できないといった人は少なくありません。
また、2021年度の4月より施工管理技士全般の受験資格が緩和されます。1級管工事施工管理技士において2級の第二次検定合格者が第一次検定を受験する場合は、受験資格が不要です。
第二次検定を受験する場合には合格後5年以上の実務経験が必要ですが、2級の第二次検定合格の翌年から1級の第一次検定は受験できます。
ちなみに、今までは学科試験と実地試験の2種類で施工管理技士の試験は実施されていましたが、学科試験が「第一次検定」、実地試験が「第二次検定」に名称が変わります。
加えて、第一次検定の合格者には新規資格である「技士補」が付与されます。技士補が付与されると第一次検定が免除されて第二次検定を何度でも受験できるとのことです。
技士補になると監理技術者の配置義務が緩和されるといったメリットもあります。管工事施工管理技士を目指す方にとっては、大きなチャンスといえるでしょう。
2級管工事施工管理技士を取得して実務経験を積むのが1番最短なので、初めて受験する方は、まず始めに2級を取得してから1級に挑戦してください。
2級管工事施工管理技士の受験資格
ここでは、2級管工事施工管理技士の受験資格について解説します。
2級管工事施工管理技士も1級と同様に、実務経験が定められています。
これを満たさない限りは、受験することができません。
現場の主任技術者や、営業所の専任技術者を目指している方は必ず、現場で実務経験を積んで資格を取得してからレベルアップを試みましょう。
実務経験として認められる業務については、次のとおりです。
実務経験として認められる業務 |
---|
冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備、換気設備工事、給排水・給湯設備工事、衛生器具設備工事、浄化槽設備工事、ガス管配管設備工事、管内更正工事、消火設備工事、配水支管工事、下水道配管工事 |
上記が実務経験として認められる業務です。
学歴ごとに定められた実務経験年数は、これらの業務に携わることで満たされます。
受験する前に、必ず受験資格について確認しておきましょう。
2級管工事施工管理技士の受験資格については「第一次検定のみの受験」「第二次検定のみの受験」「第一次・第二次検定を同時受験」する場合で異なります。
それぞれの受験資格については、以下を参考にしてください。
【第一次検定のみ受験する方】
・受験年度中における年齢が17歳以上であること
※高等学校在籍中に第一次検定のみを受験する場合、指定学科以外の在籍者でも受験が可能です。
【第二次検定のみ受験する方】
・前年度の2級管工事施工管理技士 学科試験の合格者であること ・2年前までの学科試験の合格者で、受験資格を有していること ※詳しくは「こちら」で確認してください。
【第一次検定・第二次検定を同時に受験する方】
学歴又 | 管工事に関する実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科※1 | 指定学科以外 | |
大学 専門学校「高度専門士」 | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6ヶ月以上 |
短期大学 高等専門学校 専門学校「専門士」 | 卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
高等専門学校 専門学校(専門士以外) | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 |
その他 | 卒業後8年以上 | |
技能検定合格者 | 卒業後4年以上 |
2級管工事施工管理技士は実務経験が必要ですが、1級と比べて年数が短いため、初めて受験する方は2級のほうが受験しやすいのが特徴です。
また、第一次検定の免除は技術士法や学校教育法の関係によっても少し異なる場合があるため、詳しくは「こちら」で確認してください。公式サイトの情報が確認できます。
2級に合格後、5年間の実務経験を積むことで1級の受験資格を満たすこともできるので、まずは2級管工事施工管理技士から挑戦しましょう。
まとめ
今回の記事では、管工事施工管理技士の受験資格について解説しました。
記事の内容について簡単にまとめます。
管工事施工管理技士の試験内容 | |
---|---|
No | 詳細 |
1 | 1級と2級では、試験日が異なる ⇒1級は第一次検定と第二次検定が別々なのに対して、2級は同時受験することが可能 |
2 | 1級のほうが2級よりも出題数が多い ⇒出題区分も少し異なるため、それぞれで対策が必要 |
3 | 合格基準は「総得点の60%以上」 |
管工事施工管理技士の受験資格 | |
No | 詳細 |
1 | 1級と2級では、それぞれで受験資格と実務経験が存在する ⇒管工事に関する業務が実務経験年数として認められる |
2 | 実務経験の年数は1級のほうが長い ⇒初めて受験する方は、2級を取得してから1級に挑戦すると効率的 |
管工事施工管理技士は受験資格があるため、誰でも受験できる資格ではありません。
試験の範囲も広く簡単に合格できる難易度でもないので、資格取得を諦めがちになりますが、取得後は現場で重宝される資格です。
現場で実務経験を積んで知識を身につけながら、資格の取得に挑戦してください。