健康被害を及ぼす可能性のある石綿(アスベスト)等が使用されている建築物や、工作物で解体等の作業をする場合には、特別教育または作業主任者技能講習を受講する必要があります。
どちらも石綿取扱い作業に従事する際に必要な資格ですが、どちらが必要か悩んでいる方も多くいるでしょう。
この記事では、石綿取扱特別教育と作業主任者技能講習は何が違うのか、講習ではどのような内容が学べるのかをわかりやすく説明していきます。
目次
そもそも特別教育と作業主任者講習の免許の違いは何?

労働安全衛生法において、一定の危険有害な業務に就く際は、「特別教育」「作業主任者技能講習」または「免許」を取得している必要があると定められています。
無資格であることが発覚した場合には罰則もあり、個人だけでなく企業にも大きな影響を与えることになりますので、よく確認しておきましょう。
特別教育とは
特別教育は技能講習や免許と比較すると、難易度の低い講習です。
労働安全衛生法においては以下のように定められています。
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
特別教育は修了試験があるわけではないので、比較的容易に資格を取得することが可能です。
石綿取扱特別教育を受講修了すると、石綿取扱作業従事者として作業をすることが可能となります。
作業主任者技能講習とは
作業主任者技能講習は特別教育よりも難易度が上がり、労働者を指導する立場になれます

つまり、石綿作業主任者技能講習を受講すると石綿作業主任者として現場で作業できるようになります。
労働者を指導する立場ですので、当然特別教育を修了した人よりは知識が豊富である必要があります。また、指導だけでなく、機器の点検、安全対策などの職務も担うことになります。
講習修了後に修了試験があるのも技能講習の特徴の一つです。この試験に合格すると資格を取得することができます。作業現場で作業主任者として職務に就いている人は必ず技能講習を受けています。
免許とは
特別教育、技能講習よりもさらに難易度が高い資格が免許となります。
労働安全衛生法により定められた国家試験に合格することにより、免許を取得することができます。難易度も高いのでその分、合格率も低いです。
例えば、ガス溶接作業主任者があります。造船所や自動車工場で必要となる資格で、アセチレン溶接装置やガス集合溶接装置を使用した溶接を行う際、選任が義務付けられています。
石綿取扱作業従事者特別教育とは
それでは、石綿取扱作業従事者特別教育について説明します。
石綿取扱作業従事者特別教育の対象業務
この講習の対象となるのは、主に石綿等が使用されている建築物、工作物、または船舶の解体・改造・補修などの作業です。
また、石綿が封じ込められた製品の取り扱いや、それらに伴う清掃業務なども含まれます。
石綿取扱作業者とはどんな仕事?
石綿を取り扱ううえで必要な特別教育を修了することで、石綿取扱作業者となることができます。
対象となる業務は主に石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体等の作業です。
現在は石綿の製造・使用が禁止されているため、新設の工作物に使用されることはありません。

しかし、老朽化した建物が震災により倒壊した場合、改修や取り壊しが必要となります。
その際に、石綿を取り扱う作業ができる有資格者が必要です。ばく露防止対策として、しっかりと知識を身に付けておきましょう。
石綿取扱作業従事者特別教育で学ぶこと
石綿取扱作業従事者特別教育は学科のみの講習で実技はありません。講習時間は合計で4.5時間程度となりますので、1日で修了できる内容です。各科目の講習時間は以下のとおりです。
【学科】
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| 石綿の有害性 | 0.5時間 |
| 石綿等の使用状況 | 1時間 |
| 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置 | 1時間 |
| 保護具の使用方法 | 1時間 |
| その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項 | 1時間 |
| 合計 | 4.5時間 |
出典:中小建設業特別教育協会
石綿取扱作業従事者特別教育では、石綿を取り扱う際に必要な最低限の知識を身に付けます。
石綿の性質やなぜ危険なのかということから、それを抑制するために必要な措置、保護具の使用方法を学ぶことができます。
なお石綿取扱作業従事者特別教育のプログラムには実技講習はありません。
危険を伴う作業であるため、安全面を特に重点的に学ぶことになります。
石綿取扱作業従事者特別教育の受講方法3つ
特別教育を受けるには、主に「集合講習」「出張講習」「オンライン講座」の3つのルートがあります。それぞれの特徴を理解し、自身の環境に合ったものを選びましょう。
1. 集合講習(対面式)
各地域の講習機関が、特定の日時に会場を設けて開催する最も一般的な方法です。
メリット
講師から直接指導を受けられるため、不明な点があればその場で質問して解決できる安心感があります。また、同じ目的を持つ受講生と一緒に受けることで、学習のモチベーションを維持しやすい点が魅力です。
デメリット
開催日時が固定されているため、仕事のスケジュールを調整する必要があります。また、会場までの移動時間や交通費が発生します。
2. 出張講習(団体受講)
講師が企業の事業所や指定の会場へ直接出向いて講習を行う方法です。
メリット
自社の会議室などで開催できるため、従業員が移動する手間やコストを大幅に削減できます。自社の現場状況に合わせた具体的なアドバイスを受けられる場合もあり、社内教育としての効率が非常に高いです。
デメリット
一定以上の受講人数(例:10名以上など)がまとまっていないと依頼できないケースが多く、小規模な組織には向きません。
3. オンライン講座
PCやスマートフォンを使い、インターネット経由で動画視聴などを行う最新の受講方法です。
メリット
24時間365日、場所を選ばずに受講できるのが最大のメリットです。通勤時間や休憩などのスキマ時間を活用でき、近くに講習会場がない方に最適です。
特に「すぐに受講が必要」「スケジュール調整が難しい」といった方には、オンライン講座が有力な選択肢となります。
デメリット
自律して学習を進める必要があり、インターネット環境やデバイスの設定が苦手な方にはハードルに感じられる場合があります。
忙しい方にはオンラインでの講習会がおすすめです。
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石綿作業主任者技能講習とは

次に石綿作業主任者技能講習について説明します。
石綿作業主任者とはどんな仕事?
石綿作業主任者技能講習を修了することにより、石綿作業主任者としての職務に就くことができます。
石綿作業従事者が危険にさらされないように作業の方法を決定し、排気・換気設備の点検、保護具の使用状況の監視および労働者への作業指揮、退避指示、汚染の除去などを行います。
労働者を指導する立場ですので、特別教育よりも内容の濃い講習を受けることになります。
石綿作業主任者技能講習で学ぶこと
石綿作業主任者技能講習は、石綿取扱作業従事者特別教育よりも多くのことを学びますので講習時間も合計11時間となっています。
また講習後には修了試験が実施されます。合格基準を満たすと、資格を取得することができます。各科目の講習時間は以下のとおりです。
【学科】
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| 健康障害及びその予防措置に関する知識 | 2時間 |
| 作業環境の改善方法に関する知識 | 2時間 |
| 保護具に関する知識 | 4時間 |
| 関係法令 | 2時間 |
| 修了試験 | 1時間 |
| 合計 | 11時間 |
出典:厚生労働省
基本的には石綿取扱作業従事者特別教育の講習内容をより深く学習するカリキュラムとなっています。
石綿取扱作業従事者特別教育と異なる点は、最後に理解度を確認するための修了試験があることです。1時間の筆記試験が行われるケースが多いです。

試験の予習等は特に必要ありません。とはいえ、講習内容を聞いていないと不合格になってしまう試験です。しっかりと講習を受けるようにしましょう。
石綿作業主任者技能講習の受け方
石綿作業主任者技能講習は都道府県労働局長の登録を受けた講習機関だけが実施でき、修了証を発行できます。
ただし、講習機関によっては特別教育のみの講習で技能講習を受け付けていないところもあります。詳細については各講習機関のホームページをよく確認して申し込むようにしましょう。
石綿の特別教育または作業主任者技能講習を受講しよう
石綿を取り扱うためには、石綿取扱作業従事者特別教育または石綿作業主任者技能講習を修了する必要があります。
作業をするために最低限必要となる資格が特別教育で、指導する立場になれるのが技能講習です。どちらも安全に作業を遂行するためになくてはならない資格です。
自分の身を守るためだけでなく、周りの作業員の命を守るためにも、これから石綿取扱作業に従事される方はどちらが必要かをよく考えて講習を受けるようにしましょう。







