電気を取り扱う業務は、インフラや産業を支える非常に需要の高い仕事です。しかしその反面、感電災害や短絡事故といった深刻な労働災害のリスクと隣り合わせでもあります。
電気は、電圧の大きさに応じて「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つに分類されており、労働安全衛生法により、それぞれの電圧に応じた「電気取扱業務特別教育」の実施が事業者に義務付けられています。
本記事では、高圧・特別高圧の電気を取り扱う作業者が受講対象となる「高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育」について詳しく解説します。低圧との違いや、講習のカリキュラム、どこで受講できるのかといった具体的な受講方法まで、分かりやすくまとめました。安全な作業環境を整えるための参考に、ぜひ最後までご覧ください。
目次
高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育とは?

電圧は、大きさによって低圧・高圧・特別高圧の3区分に分けられています。
一定規模の工場や事業場では高圧を受電する受変電設備を設置していますが、高圧電気による感電災害や短絡事故も少なくありません。
感電災害においては、電圧が低圧よりも高いため、危険度が高いのが特徴です。
そのため、労働安全衛生法では、高圧・特別高圧の電気取扱業務について「危険または有害な業務」として定めており、業務従事者に対して高圧・特別高圧電気取扱者特別教育の受講が義務付けられています。
この特別教育は、高圧・特別高圧における電気災害の発生原因をもとに、適切な作業方法や保護具に関する知識など、災害防止に必要な知識や技能を作業者に教育するものです。
また、特別教育は「危険または有害な業務」に対し、事業者が行わなければならない法定教育なので、電気工事士といった資格の有無に関わらず実施しなければなりません。
高圧とは?
電気設備に関する技術基準において、電圧の区分は以下のように定義されています。
- 直流: 750Vを超え、7,000V以下
- 交流: 600Vを超え、7,000V以下
これを超えるものは「特別高圧」と呼ばれます。高圧電気は、主に工場や商業施設、病院などの高圧受電設備(キュービクル)内で扱われる非常に強いエネルギーです。
受講が義務付けられている人
労働安全衛生法第36条および安全衛生規則に基づき、以下の業務に従事する者が受講対象となります。
- 高圧もしくは特別高圧の充電電路の敷設、点検、修理の業務
- 当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理の業務
- 高圧・特別高圧の電路における開閉器(スイッチ)の操作業務
保守点検を行う作業員だけでなく、設備管理としてスイッチ操作のみを行う担当者も、それぞれの業務範囲に応じた教育を受ける必要があります。
高圧・特別高圧電気取扱者と低圧電気取扱者の違い

高圧・特別高圧電気取扱者と低圧電気取扱者には、取り扱う電圧と業務内容に違いがあります。ここでは、その違いについて解説します。
まず始めに、電圧の種類と区分についてです。次の表をご覧ください。
| 電圧の種類と区分 | ||
|---|---|---|
| 項目 | 直流 | 交流 |
| 低圧 | 750V以下 | 600V以下 |
| 高圧 | 750Vを超えて7,000V以下 | 600Vを超えて7,000V以下 |
| 特別高圧 | 7,000Vを超える電圧 | 7,000Vを超える電圧 |
上記が電圧の種類と区分です。低圧と高圧、特別高圧の電圧では大きな違いがあることがわかります。
続いて、それぞれの特別教育における業務内容が次のとおりです。
| 項目 | 安全衛生特別教育の業務内容 |
|---|---|
| 低圧 | 低圧の充電電路の敷設もしくは修理の業務または配電盤室、変電室など区画された場所に設置する低圧電路のうち、充電部分が露出している開閉器の操作業務 |
| 高圧・特別高圧 | 高圧もしくは特別高圧の充電電路もしくは当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理もしくは操作業務 |

このように、低圧と高圧・特別高圧電気取扱者とでは、電圧の種類や業務内容に大きな違いがあります。
高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育の講習会
労働安全衛生規則第36条第4号では、高圧もしくは特別高圧に該当する充電電路もしくは電路の支持物の敷設、点検、修理や操作業務が危険または有害な業務に該当することが定められています。
そのため、「高圧もしくは特別高圧の充電電路もしくは当該充電電路の支持物の敷設、点検、修理もしくは操作の業務を行う方」が特別教育の受講対象者です。
受講対象者は、自分に合った方法で特別教育を受講する必要があり、教育機関等が実施する講習に参加しなければなりません。なお、法律上「高圧」と「特別高圧」の教育は同じ項目に規定されているため、一つの講習で双方の知識を同時に習得することが可能です。
講習は、学科と実技で構成されています。ここでは、学科と実技の教育内容について解説します。
受講方法
高圧・特別高圧電気取扱者特別教育を受講するには、主に「公的機関・外部の講習団体を利用する」か、「社内で講師を立てて実施する」、あるいは「通信講座(オンライン)を利用する」という方法があります。
公的機関や信頼できる外部の講習団体としては、以下のような組織が全国で定期的に講習会を開催しています。
- 一般社団法人 日本電気協会(各地域支部)
- 一般社団法人 労働安全衛生普及協会
- 各都道府県の電気工事工業組合
- 公益社団法人 労働基準協会(各地区の協会)
これらの団体が実施する講習会に申し込むことで、法改正に準拠した最新の講義を受けることができます。会場で受講する対面形式の講習会は、学科だけでも丸2日間のスケジュールで組まれていることが一般的です。ただし、開催日程や定員、会場の場所が限定されているケースが多く、繁忙期などの直前の申し込みではすでに満席になってしまうことも少なくありません。そのため、自社の業務スケジュールを前もって調整し、数ヶ月前から早めに予約を入れる計画性が求められます。なお、企業向けの出張講習に対応している団体もありますが、一定以上の受講人数や会場の確保が条件となります。
学科
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の学科は、次のカリキュラムで実施されます。合計で11時間の学科講習を受講する必要があります。
| 講習科目 | 講習時間 |
|---|---|
| 高圧または特別高圧の電気に関する基礎知識 | 1.5時間 |
| 高圧または特別高圧の電気設備に関する基礎知識 | 2時間 |
| 高圧または特別高圧用の安全作業用具に関する基礎知識 | 1.5時間 |
| 高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の方法 | 5時間 |
| 関係法令 | 1時間 |
| 合計 | 11時間 |
実技
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の実技は、次のカリキュラムで実施されます。実技の講習は、各事業所(自社)にて実技実施責任者のもとで実施するか、実技に対応している外部の教習機関で受講する必要があります。
高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の業務を行う場合には15時間以上、充電電路の操作の業務のみを行う者の場合は1時間以上の実技時間が必要となります。
| 講習内容 | 講習時間 |
|---|---|
| 高圧または特別高圧の活線作業および活線近接作業の方法 | 15時間以上 |
| 充電電路の操作の業務のみを行う者の場合 | 1時間以上 |
高圧・特別高圧電気取扱者をオンラインで手軽に受講!
日頃、仕事が忙しくスケジュールの調整が難しい方は、高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育をオンラインで受講する方法があります。
ここでは、SATの講座を参考に詳細をみていきましょう。
SATの高圧・特別高圧電気取扱者のWeb講座について
SATの高圧・特別高圧電気取扱者特別教育は、高圧・特別高圧を取り扱う受講対象者が行うオンライン(Web)上で受講ができる講座です。
学科講義が全てオンライン上で完結するので、講習会場に向かう必要がありません。
顔認証によるWeb講座を実現しているのも特徴で、事業所にて監視人を設置する必要がありません。インターネットが接続できる環境であれば、PCやスマートフォン、タブレットを使って場所を問わず受講可能です。
ただし実技に関しては、各事業所にて15時間以上または1時間以上の実施が必要です。実技講習はオンラインではなく、実技実施責任者のもとで必ず対面にて行うようにしてください。
学科と実技の受講が完了次第、修了証が作成されます。なお、SATの場合はスマートフォンで利用できる修了証と、プラスチックカードタイプの修了証の2種類があります。

すきま時間で効率よく受講したい方は、オンライン講座の活用もぜひご検討ください。
高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の概要まとめ
今回の記事では、高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育について、低圧との違いや必要なカリキュラム、具体的な受講方法について解説しました。
高圧や特別高圧の電気は、低圧と比べてエネルギーが桁違いに大きく、一瞬の不注意が重大な労働災害に直結します。そのため、法律で義務付けられている特別教育を通じて、正しい安全知識と防護具の扱い方を身につけることは、作業者自身の命を守るために不可欠です。
受講方法には公的機関や各種協会が主催する講習会がありますが、スケジュールの確保が難しい場合は、24時間いつでも受講できるオンライン講座が非常に有効な選択肢となります。
SATのWeb講座であれば、労働局の基準に対応した顔認証システムにより受講の適正性が担保されているため、企業としても安心して導入いただけます。自社のワークスタイルに合わせた最適な方法を選び、安全な電気作業を徹底していきましょう。

本記事で解説した内容を参考にして、オンライン講習など自分にあった方法で特別教育を受講してください。



