インターネット回線は、今や生活に欠かせないインフラの一つで、電話やインターネットなどの接続工事を行うためには、工事担任者の資格が必要です。
工事担任者資格のなかでも、第一級デジタル通信はデジタルデータ回線と端末設備などを接続する工事に従事できる資格で、今後も高い需要が見込まれます。
この記事では、第一級デジタル通信資格の概要と試験の申し込み方法、申し込みの際の注意点などについて解説します。
目次
第一級デジタル通信資格の概要
まずは、第一級デジタル通信資格の概要について紹介します。
工事担任者とは?
工事担任者とは、アナログ電話回線やデジタルデータ回線などの電気通信回線と、端末設備などを接続する際に必要な資格です。
電気通信事業者の回線にパソコンやIP電話機、OA機器、防犯システムなどを接続する工事や、企業内LANのネットワーク配線工事などを行います。
第一級デジタル通信でできること
工事担任者には、アナログ電話回線を扱うアナログ通信資格と、デジタルデータ回線を扱うデジタル通信資格の2区分があります。
デジタル通信はデジタル伝送路設備の端末設備などの接続工事ができる資格で、デジタル信号の入出力速度により第一級と第二級に分類されます。
第一級デジタル通信では、デジタル信号の入出力速度の制限がないため、すべてのデジタルデータ回線の工事や監督をすることが可能です。
令和3年4月1日より試験制度が変更
以前まで第一級デジタル通信は、工事担任者DD種と呼ばれ、第一種から第三種までの資格区分がありましたが、令和3年4月1日より試験制度が変更されました。
第一種が第一級、第三種が第二級に改称されます。第二種はアナログ通信、デジタル通信ともに受験者数が少ないことが原因で廃止とのことです。
ただし、交付済みの工事担任者資格者証は引き続き有効で工事、監督の範囲に変更はありません。また、試験科目は従来どおりで科目合格の有効期間(3年間)も引き続き有効です。
加えて、科目免除資格が追加されます。
電気通信主任技術者資格や無線従事者資格などを有している方だけでなく、電気通信工事施工管理技術検定(二級の第一次検定を除く)でも科目免除が可能とのことです。
必要な情報を確認して、自分にあった試験区分の資格を取得しましょう。
さらに詳しく!
第一級デジタル通信でできることは?種別による違いも紹介
第一級デジタル通信試験の申し込み方法
第一級デジタル通信試験の申し込み方法や資格者証交付までの流れについて紹介します。
第一級デジタル通信の試験実施地とスケジュール
第一級デジタル通信の試験実施地は、以下の全国37ヵ所です。
第一級デジタル通信の試験実施地 | ||
---|---|---|
1 | 北海道 | 旭川、札幌 |
2 | 東北 | 青森、盛岡、仙台、秋田、郡山 |
3 | 関東 | 水戸、小山、千葉、東京、横浜、さいたま |
4 | 北陸・中部 | 新潟、金沢、甲府、長野、静岡、名古屋、津 |
5 | 関西 | 京都、大阪、神戸、和歌山 |
6 | 中国・四国 | 米子、岡山、広島、周南、徳島、高松、松山 |
7 | 九州・沖縄 | 福岡、大村、熊本、宮崎、鹿児島、那覇 |
出典:電気通信国家試験センター
第一級デジタル通信の試験日は春と秋の年2回あります。例年の申し込み受付期間と試験日のスケジュールは次のとおりです。
試験スケジュール | |||
---|---|---|---|
No | 項目 | 春試験 | 秋試験 |
1 | 申し込み受付期間 | 2月上旬~3月上旬 | 8月上旬~9月上旬 |
2 | 試験日 | 5月下旬 | 11月下旬 |
3 | 合格発表 | 6月中旬 | 12月中旬 |
出典:電気通信国家試験センター
第一級デジタル通信の申し込み~資格者証交付までの流れ
第一級デジタル通信の申し込みは、申請書を郵送する方法とインターネットから申し込む方法の2種類があります。
2つの申し込み方法の詳細と、資格者証交付申請までの流れは次のとおりです。
申請書による申し込み方法
申請書で申し込む際は、工事担任者試験を実施する電気通信国家試験センターから申請書を取り寄せましょう。ゆうパケット、郵送、または日本データ通信協会の支部で取り寄せが可能です。
申請書には、受験の手引きにある記入例を参考に、申請者本人が必要事項を記入しましょう。
申請書の記入が完了したら、郵便局の窓口で試験手数料の払込みと申請書の郵送の手続きを行います。
インターネットによる申し込み方法
電気通信国家試験センターのホームページにアクセスし、インターネット試験申請受付ページよりガイダンスの手順に沿って申請者本人が必要事項を入力します。
入力が完了したら、完了画面を印刷して保管しておくようにしましょう。
申し込み後、指定したメールアドレスに受付完了メールが届きます。メールに記載されている試験手数料と払込み方法を確認し、期日までに手続きを完了させましょう。
申し込みが受理されてから、試験日の2週間前までに受験票が発送されます。万が一受験票が届かない場合は、電気通信国家試験センターに確認しましょう。
なお、申し込み後に試験種別と試験科目を変更したい場合、申し込み方法を問わず、受付期間中の変更が可能です。
資格者証交付申請までの流れ
試験日の3週間後、結果通知書が受験者本人に郵送されます。合格した場合は資格者証の交付申請が必要です。
資格者証の交付申請は、試験結果通知書に記載された合格日から3ヵ月以内に、各試験地を管轄する地方総合通信局または沖縄総合通信事務所で行いましょう。
第一級デジタル通信の試験手数料と支払い方法
第一級デジタル通信の試験手数料は、以下のとおりです。
No | 第一級デジタル通信の試験手数料(1試験種別当たり) | |
---|---|---|
1 | 受験する方 | 8,700円(非課税) |
2 | 全科目免除を申請する方 | 5,600円(非課税) |
出典:電気通信国家試験センター
試験手数料の支払い方法は、銀行での払込み・コンビニでの払込み・郵便局での払込みの3種類です。
銀行では日本データ通信協会の銀行口座への払込み、コンビニではスマートピット番号による店頭での支払い、郵便局では窓口に備付の払込用紙で窓口、またはATMで払込みとなります。
口座番号などの詳しい情報は、受付完了メールに記載されているのでしっかり確認しておきましょう。
第一級デジタル通信試験を申し込むときの注意点
第一級デジタル通信を申し込む際は、試験手数料を期日までに支払わないと受験不可となるので注意が必要です。
申込方法は、申請書の郵送またはインターネットからの申し込みの2通りあります。
インターネット申し込みの場合は後日に試験手数料を支払うため、忘れずに手続きを済ませましょう。
また、試験の科目合格者や一定の資格を有する者、実務経歴を有する者については、科目免除の申請が可能です。
科目免除の申請には経歴証明書が必要になる場合もあるため、申請書での申し込みのみとなります。インターネットによる申し込みはできないため注意しましょう。
第一級デジタル通信の申し込みは注意点を確認しよう
第一級デジタル通信試験の申し込み方法は、申請書の郵送またはインターネット申し込みから選ぶことが可能です。自分に合った方法で申し込みを行いましょう。
払込みの期日を過ぎてしまうと受験できなくなるため、試験手数料や支払い期日などをしっかり確認しておくことが大切です。
また、科目免除の対象になる方は、条件や必要書類を事前に確認するとともに、インターネットでの申し込みができない点についてもあわせて留意しておきましょう。