はじめまして、T.Kと申します。
専門分野はVE(Value Engineering)でございます。VEをベースとさせていただき原価企画・商品開発、生産管理等のVEコンサルティング・教育などをご支援させていただいております。
ここでは、VEについての概要を簡単に解説させていただきます。
目次
自己紹介
まずは簡単に自己紹介からさせていただきます。
【所属】株式会社RKコンサルティング(東京都武蔵野市境南町4-10-5)
【専門】VE、原価企画、商品開発、生産管理
【略歴】
1986年 非鉄金属材料メーカーを経て、オリエンタルモーター㈱に入社
1998年 同社でVE(機能向上・原価低減)・コストマネジメントの全社推進を担当
2010年 技術コンサルティングの会社を設立 代表取締役
【業績】
重工業、家電、半導体など多くの企業にVEコンサルティング・教育などをご支援しております
【著書】
「VE成果のとらえ方」(日本VE協会 共著)
「VEリーダーのための実践事例集」(日本VE協会 共著)
そして、SAT PROの登録専門家でもあります。私のプロフィールをより詳しく知りたい方はこちらからアクセスください。ここからはSAT PROで私がお伝えできることについて紹介します。
コンサルティング内容
ご支援先様からのご依頼事項としては、新製品の場合であれば、「価値ある新製品が企画・開発できない!」、 「新製品が開発できても所定の利益が確保できない!」などが多くなっております。
また、既存品の場合であれば「もう原価低減のネタがない!」、 「顧客価値を高める改善アイデアが発想できない!」などが多くなっております。
以上のようなご依頼を支援するために、「価値ある新製品の企画・開発」、「顧客要求事項と目標原価の同時達成」、「既存品の機能向上・原価低減」などのコンサルティングをご支援しております。
VEについて
ここからはVEついての概要を解説させていただきます。
そもそもVEとは
VE(Value Engineering)は直訳しますと「価値工学」ですが、「製品やサービスなどの価値を向上させる技術」です。
製品やサービスの果たすべき「機能(役割・働き・目的)」とそのためにかける「コスト」の関係を把握し、システム化された手順によって「価値」を向上する技術です。企業活動の全体(マーケティング・新製品開発・生産活動・間接業務など)に活用できる技術です。
VEの歴史と発展
VEは、米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)社で1947年に開発されました。
同社のL.D.マイルズ氏が機能の分析に基づくコスト低減手法を開発し企業収益の向上に大きな成果を達成しました。米国では多くの民間企業がこの手法を導入し、1954年には米国国防省の海軍船舶局もこの手法を導入し発展しました。
日本には1955年に紹介され1960年頃から企業が導入をはじめました。
当初は、電機や自動車など量産型の製造業の資材調達で活用され、次第に製品の設計や開発などの上流段階で活用されるようになりました。建設分野では、1997年に政府が「公共工事コスト縮減に関する行動指針」を策定し具体的施策のひとつとしてVEの活用を盛り込み、公共工事でも活用されるようになりました。
VE・VA・CDの違い
GE社はこのコスト低減手法を「VA」(Value Analysis:価値分析)と名づけ、また、米国国防省の海軍船舶局は「VE」(Value Engineering:価値工学)と名づけて導入を行いました。従って、VEもVAも名づけた組織は異なりますが手法としては全く同等な考え方・進め方となります。
また、VEは活動を推進することで「機能向上」と「CD(コストダウン)」を達成させることができますので、単にCDだけの成果に留まらず、機能も向上させることで製品・サービスの価値を高めることができます。
VEで何ができるのか
VEは、対象となる製品・サービス・業務・作業の持つ「機能(役割・働き・目的)に着目します。「その製品は、どのような機能を持っているのか」を明確にし、「どの機能をどのように改善すれば顧客価値が向上できるか」を追求します。
VEの対象とする製品・サービス・業務・作業の必要で重要な機能に着目することで抜本的で斬新的な改善が可能となります。
そのため、VE活動により従来の製品・サービス・業務・作業は機能向上やコスト削減で目標達成が可能となり、新規開発の製品・サービス・業務・作業は高い価値が保証されたものを生み出すことができます。
VEの考え方
製品やサービスなどの最低のライフサイクル・コスト(開発・調達・製造・販売・使用・保守・廃棄のコスト)を追求し、必要な機能を確実に果たすものを生み出します。また、製品やサービスなど組織が生み出すすべてのものがVEの対象となり、機能とコストの関係から価値を追求します。
VEにおける問題解決には、役割や働きを分析する機能的研究法を活用し、活動は組織的努力によって達成されます。
VEには5つの行動指針と言える基本原則があります。
VEの基本原則
第1原則「使用者優先の原則」
お客様(使用者)の立場になってものを生み出す考え方です。
第2原則「機能本位の原則」
機能を思考の原点とする。
第3原則「創造による変更の原則」
より良いものや方法を創造して改善することです。
第4原則「チーム・デザインの原則」
各分野の優れた技術を結集して改善を進める。
第5原則「価値向上の原則」
機能とコストの関係で価値を向上させる。
VEの進め方
VE活動の進め方は、実施手順として3つの基本ステップがあります。
VEの3つの基本ステップ
- 機能(役割・働き・目的)を明確に分析する。
- 機能とコストの関係を分析する。
- 機能をもとにアイデアを発想し価値ある代替案を作成する。
各基本ステップにはいくつかの詳細ステップ(合計10ステップ)があり、このステップにしたがって問題解決を手順よく進めることによって、機能向上・コスト削減における価値向上の目的が達成できます。
このVE実施手順は、問題の焦点がおのずと明確になるだけでなく、実践する当事者にとっても高い動機が得られ、もれのないかつ密度の高い創造ができ価値ある代替案を提示することが可能となります。効果的な問題解決への加工工程であるため、どのステップも省略することなく、着実に実施するように心掛けることが大切となります。
目的追求型の改善
改善活動のアプローチは2種類ありますが、IE・QC活動は「原因追求型の改善活動」になります。
ムダ・ムラ・ムリの排除や不良・バラツキの排除のために原因を追求し改善を進めます。改善アイデアは、「現在のモノ」から「新しいモノ」を発想する「モノ本位のアイデア発想」を行います。
一方、VE活動は「目的追求型の改善活動」になります。
機能の向上やコストの削減のために「現在のモノ」の機能(役割・働き・目的)を分析します。分析した機能からその機能が達成できる新たな価値の高い手段を追求し改善を進めます。改善アイデアは分析された機能をもとにアイデアを発想する「機能本位のアイデア発想」となります。
役割・働き・目的を達成させるアイデアを自由奔放に批判厳禁で発想するため、思考を拡大させて創造ができ、必要な機能を達成できる斬新な代替案を提案することができます。
IE (Industrial Engineering) | QC (Quality Control) | VE (Value Engineering) | |
---|---|---|---|
目的 | 生産性向上 | 品質向上 | 価値向上 |
対象 | ムダ・ムラ・ムリの排除 | 不良・バラツキの排除 | 機能向上・コスト削減 |
アプローチ | 原因追求型 | 原因追求型 | 目的追求型 |
イメージ | 犯人探し | 犯人探し | 恋人探し |
指標 | 効率・能率 | 不良率・バラツキ値 | 機能向上・コスト削減 |
ツール | 工程分析・動作研究等 | QC7つの道具等 | 機能分析・コスト分析等 |
関連技法 | JIT・TPM等 | FMEA・FTA等 | DTC・原価見積り等 |
価値向上
VEでは「価値」を機能とコストの要素で捉え、Value=Function/Costのような概念式(価値=得られた効用の大きさ/支払った費用の大きさ)で表します。
価値向上には、同じ機能のものを安いコストで提供する(原価低減型)、同じコストでより優れた機能を提供する(機能向上型)、コストは少し高くなるがそれ以上に優れた機能を提供する(拡大成長型)、より優れた機能をより安いコストで提供する(革新製品型)の形態があります。
したがって、VEは単なるコストダウンとは異なり機能とコストの要素で顧客の価値を向上させる技術となります。
機能的研究法
VEでは、「機能的研究法」と呼ばれる体系的なVE実施手順を活用することにより、機能本位の思考を徹底し、価値の高い製品やサービスを生み出します。
必要な機能を達成させる「手段」は数多く存在します。例えば、「モノを固定する」の機能を自社で現状採用している手段はボルト・ナット方式であっても同業他社・異業種では別の手段を採用して顧客価値を高めている場合があります。
機能的研究法において価値の高い新しい手段が発明・発見される場合が多くあり、より価値の高い製品やサービスなどを追求し顧客満足度の向上を図る活動が可能となります。
VEをより詳しく学ぶためには
ここからはVEをより詳しく学びたい人のために、2つの方法を紹介します。
基本から学びたい人は、SATの技術者スターター講座100がオススメ
VEについて基本から学びたい方には、SATの技術者スターター講座100「VEセミナー」がおすすめです。
この講座は、VEについて初めて学びたい人や、基本からしっかりと学習したい人に向けて作られています。
カリキュラムは以下の通りです。
- はじめに
講師紹介
セミナー目的・概要・ねらい - VEの概要収益向上とVEVEとは、機能的研究法VEの定義、基本原則VEの適用対象、段階など
- 機能定義VE対象の情報収集
機能の定義
機能の整理 - 機能評価機能別コスト分析機能の評価対象分野の選定
- 代替案作成アイデア発想概略評価具体化詳細評価提案
- まとめVEの有効性目的思考期待できる効果
この講座を受講することで、VEの基礎を身につけることができ、収益改善に直結するスキルを身につけることができます。
さらにレベルの高い知識を得たい場合は、SAT PROがオススメ
SAT PROでは、VEのよりレベルの高い実践的な考え方と手順を習得することができます。
ご紹介させていただきましたVEの基礎知識や活用方法を演習で習得していただきます。
また、企業活動における価値向上活動へのコンサルティングもご相談をいただきたいと存じます。
多くの皆様のSAT PROへのご利用やご相談をお待ちしております。