建築物石綿含有建材調査者

アスベストの調査に必要な資格とは?関連資格も含めた6つの資格を紹介

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アスベストは石綿とも呼ばれる鉱物繊維で、戦後から建築資材や建物内の吹き付けなどに使用されてきました。

しかし、後に深刻な健康被害を招くことがわかったため、建物の解体や改修ではアスベストの有無を調べなければなりません。

アスベストの有無を調査するには、専門的な資格のほかに、取得すると調査に役立つ関連資格があります。

今回は、アスベスト調査の必要性を踏まえ、アスベスト調査に必要な資格や関連資格について解説します。

建物のアスベスト調査が必要である理由

まずはアスベストの概要、建物の解体や改修にアスベスト調査が必要な理由を見ていきましょう。

そもそもアスベスト(石綿)とは?

アスベスト(石綿)は天然の鉱物繊維で、熱や摩擦、薬品などに強く、変質しにくい性質をもちます。

保温断熱、防音などの目的で、建築資材や建物の吹き付け、セメント、シール材などの工業製品に使用されていました。

日本ではアスベストを輸入に頼っており、アスベスト使用のピークである70年代~90年代の輸入量は年間約30万トンにものぼります。

アスベストは重大な健康被害を引き起こす

アスベストは繊維が極めて細く、切断や研磨の際に繊維が空気中に飛散します。飛散した粉じんを吸引すると肺に蓄積され、肺がんや石綿肺などの病気を発症するおそれがあります。

健康被害が発症されるまでの潜伏期間が15~40年と長いことから、アスベストは「静かなる時限爆弾」とも呼ばれ、社会問題化している状況です。

先に述べたように、日本では70年~90年にかけてアスベストが大量に輸入されていました。

輸入されたアスベストの9割以上が建築分野で使用されており、当時建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性があります。

今後、建物の老朽化による解体、改修工事が増える見通しです。アスベストを含む建物は280万棟と推計されており、建物の解体や改修でアスベストにばく露する可能性があります。

そのため、アスベストの専門知識をもつ有資格者が事前にアスベストを調査し、健康被害を防ぐ必要があるのです。

アスベストの調査の資格3選

アスベストの有無を調査できる、3つの資格の概要を解説します。

石綿作業主任者

石綿作業主任者とは、工場、建築物等の解体・改修工事現場など、アスベストを扱う事業場の作業主任者になれる資格です。

労働安全衛生法に定められた国家資格であり、アスベストを扱う作業においては、石綿作業主任者を選任する必要があります。

石綿作業主任者は、アスベストの粉じんを吸引しないよう労働者を指揮すること、予防装置を点検すること、保護具の使用状況を監視すること、という3つの職務を担います。

石綿作業主任者になるために必要な技能講習は、以下のカリキュラムを学びます。

石綿作業主任者技能講習のカリキュラム

No.

講習内容

講習時間

1

健康障害及びその予防措置に関する知識

2時間

2

保護具に関する知識

2時間

3

作業環境の改善方法に関する知識

4時間

4

関係法令

2時間

5

修了試験

1時間

出典:公益社団法人 東京労働基準協会連合会

受講資格は特に定められていませんが、18歳以上のみ受講可能なケースが一般的です。

そして、全ての講習が修了した後に、試験に合格する必要があります。

アスベスト診断士

アスベスト診断士とは、既存建築物の使用調査、安全な取り扱いについてアドバイスできる資格です。

アスベストの使用場所、処理の要否と処理方法の判断、アスベストを含む建物の解体工事が適正かチェックするのが主な役割です。

アスベスト診断士になるには、アスベスト診断士養成研修会の受講が必要です。研修会では、アスベストの基礎知識、調査、分析、診断、処理方法について学びます。

アスベスト診断士養成研修会に参加するには、以下の資格を満たすことが条件になります。

No.

アスベスト診断士養成研修会の参加資格

1

石綿作業主任者技能講習修了者又は特定化学物質等作業主任者技能講習修了者

(平成18年3月まで)

2

第1種の作業環境測定士

3

建築士法に基づく、一級建築士及び二級建築士の免許登録者

4

建設業法に基づく、一級施工管理技士(建築施工管理)の資格を有する者

5

労働安全衛生法に基づく、労働衛生コンサルタントの資格を有する者

6

アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者

7

アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者

出典:一般財団法人 JATI協会

1~5は資格証明の写し、6~7は上司などが作成する業務経験証明が必要です。

また、アスベスト診断士も事前調査が可能ですが、2023年10月1日以降は「建築物石綿含有建材調査者」の事前調査が義務付けられます。

アスベストの事前調査は厚生労働大臣が定めた者が行うとされ、一般社団法人資格であるアスベスト診断士の事前調査が認められなくなります。

ただし、アスベスト診断士養成講座を修了すると、日本アスベスト調査診断協会に入会することが可能です。

アスベスト調査診断協会に入会・登録すると、2023年10月以降も引き続きアスベストの事前調査に携われます。

建築物石綿含有建材調査者

建築物石綿含有建材調査者とは、解体や改修する建物や構造物におけるアスベストの有無を、中立かつ公正に調査する有資格者のことです。

厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号に基づく講習を受講し、さらに修了考査に合格する必要があります。

建築物石綿含有建材調査者講習では、石綿を含む建材調査の基礎知識、現場調査の注意点、建築物石綿含有建材調査報告書の作成について学びます。

建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て、一般、特定という3つの区分があります。一戸建ては戸建て住宅や共同住宅の住居箇所の調査が可能です。

戸建て住宅等の共用部分の調査は、一般、特定の資格が必要です。一般と特定は、住宅を含む全ての建築物で事前調査に携わることができます。

建築物石綿含有建材調査者講習を受講するには、以下の受講資格を満たす必要があります。

建築物石綿含有建材調査者の受講資格

区分

学歴等

実務経験年数

1

学校教育法による大学(短期大学を除く。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する

実務経験年数:2年以上

2

学校教育法による短期大学(修業年限が3年であるものに限り、同法による専門職大学の3年の前期課程を含む。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した者(専門職大学の前期課程にあっては、修了した者)

卒業後の建築に関する

実務経験年数:3年以上

3

「2」に該当する者を除き、学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程を含む。)または高等専門学校において、建築に関する正規の課程又はこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する

実務経験年数:4年以上

4

学校教育法による高等学校または中等教育学校において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する

実務経験年数:7年以上

5

「1~4」に該当しない者(学歴不問)

建築に関する

実務経験年数:11年以上

6

建築行政または環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関わる者

実務経験年数:2年以上

7

7-a 特定化学物質等作業主任者技能講習(※1)を修了した者

7-b 第一種作業環境測定士(※2)または第二種作業環境測定士(※3)

石綿含有建材の調査に関する

実務経験年数:5年以上

8

8 綿作業主任者技能講習(※4)を修了した者(実務経験年数不問)

8-b 石綿作業主任者技能講習(※4)を修了した者

石綿含有建材の調査に関する

実務経験年数:5年以上

9

産業安全専門官もしくは労働衛生専門官、産業安全専門官もしくは労働衛生専門官であった者(※5)

10

労働基準監督官として従事した経験を有する者

従事経験年数:2年以上

11

11-a 建築物石綿含有調査者で、建築物石綿含有調査者として石綿含有建材の調査に関する実務経験年数が2年以上の者

11-b 建築物石綿含有調査者で、受講資格区分番号「1~7、8-b~10」に該当する者

※1  労働安全衛生法等の一部を改正する法律(平成十七年法律第百八号)に規定する改正前の労働安全衛生法別表第十八第二十二号

※2  作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)第二条第五号 

※3  作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)第二条第六号 

※4  労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)別表第十八第二十三号 

※5  労働安全衛生法第九十三条第一項

出典:SAT 建築物石綿含有建材調査者講習

なお、アスベスト診断士の章でも述べたとおり、2023年10月以降の事前調査は建築物石綿含有建材調査者の調査が義務となります。

建築物石綿含有建材調査者は、アスベスト調査が可能な資格のなかで最も重要度が高いといえるでしょう。

関連記事:建築物石綿含有建材調査者とは?石綿調査の必要性や講習内容を詳しく解説

アスベスト調査の関連資格3選

アスベストの事前調査と関連性がある、3つの資格を見ていきましょう。

作業環境測定士

作業環境測定士は、労働安全衛生法に定められた作業環境測定に必要な国家資格です。アスベストが飛散する可能性のある作業場で、アスベストの濃度や分析をするときに役立ちます。

なお、作業環境測定士は、第一種と第二種でできることが異なります。

第二種はアスベストの粉じんが発生するおそれのある指定作業場で、作業環境測定のデザイン、サンプリングを行うことが可能です。

分析の場合においては、検知管を用いた一定の有機溶剤、または特定化学物質の測定とデジタル粉じん計による粉じんの測定に限られます。

一方、第一種は第二種ができること全てに加え、特定化学物質にかかわる分析が可能です。

高所作業車運転特別教育

高所作業車運転特別教育とは、高所の工事や点検に用いる高所作業車の操作を学ぶ特別教育です。作業床の高さが2m以上、10m未満の高所作業車の運転において特別教育の受講が必要です。

天井の建材、吹き付けなどアスベストが高所にある場合、除去作業で墜落事故が起きる可能性があります。建物の解体工事に携わる方は、高所作業車運転特別教育を受講しておくと安心でしょう。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者は、酸欠や硫化水素の危険性がある現場の責任者として、指導・監督ができます。

本来は、酸欠や硫化水素の吸引による、労働災害を防止するための資格です。アスベストを含む建物の解体や改修で、作業環境を安全に保つ際に役立ちます。

アスベストの調査には専門的な資格が必要

かつて大量に輸入されたアスベストのほとんどは、建築資材や建物内の吹き付けなど、建設分野で使用されていました。

そんなアスベストの事前調査ができる資格は、石綿作業主任者、アスベスト診断士、建築物石綿含有建材調査者の3つです。

特に2023年10月以降は、建築物石綿含有建材調査者の調査が義務化されますのでご注意ください。

また、アスベストの事前調査に関連する資格は、作業環境測定士、高所作業車運転特別教育、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者が挙げられます。このほか、石綿(アスベスト)取扱作業従事者特別教育も関連業務に役立つ資格です。

アスベストの事前調査に携わる方は、ぜひSATの講習会を利用してみてはいかがでしょうか?

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