建築物石綿含有建材調査者

アスベストとは?建築分野におけるおもな用途と問題点を紹介

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アスベストは断熱性、耐火性、吸音性などに優れた鉱物繊維です。

アスベストがもつ特性は建築分野で大いに活用され、輸入されたアスベストの約8割が建材として利用されたほどです。

しかし、健康被害を招く危険性があるため、現在ではアスベストの製造や使用が原則禁止になり、アスベストが使用された古い建物の解体などには対策が必要です。

今回は、アスベストの概要と建築分野での用途、今後も続くアスベストの問題点について解説します。

そもそも、アスベストとは?

アスベストは天然に存在する鉱物繊維で、かつては石綿という名称で広く知られていました。アスベストには6つの種類があり、日本でおもに使用されていたのはクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの3種類です。

アスベストの用途は3,000種類を超えるとされ、日常生活に欠かせないものとなっていました。 アスベストは熱や摩擦、酸、アルカリなどに強く、変化しにくい性質をもちます。

断熱性、耐火性、防音性、絶縁性に加えて結露対策も可能なアスベストは、安価な建設資材として広く普及しました。

60年代の高度成長期はビルの高層化、鉄骨構造化にともない、耐火材としてアスベストが大量に用いられました。

また、建材以外の工業製品の用途は、ブレーキパッドなどの摩擦材、シール材、電気絶縁板、配管などのガスケットに用いるジョイントシート、断熱材用接着剤など多岐にわたります。

建築分野におけるアスベストの用途

建築分野でアスベストが使われた場所、材料について見ていきましょう。

吹き付けアスベスト

吹き付けアスベストとは、建物の内部にアスベストを直接吹きかけるものです。アスベストとセメントを混ぜたものを、壁や天井、機械室、煙突などに吹き付け、施工を行ないます。

吹き付けアスベストは、防火、耐火、吸音、結露対策などを目的とした施工です。1955年~1975年の新築工事では吹き付けアスベストが用いられましたが、1975年に原則禁止となりました。

アスベストの含有量は、鉄骨耐火皮膜用で約60%、防音・結露用で約70%です。吹き付けアスベストは建材と異なり、室内に露出した状態で存在します。

そのため、経年劣化や損傷により、繊維が空気中に飛散するおそれがあります。

吹き付けロックウール

1975年に禁止された吹き付けアスベストに代わり、ロックウールによる吹き付けが行なわれるようになりました。

ロックウールとは、岩石を高熱処理した人造鉱物繊維のことです。 吹き付けロックウールにおいても、過去にはアスベストを含む製品が使用されていましたが、それも2005年の7月1日に完全に禁止になりました。

なお、吹き付けロックウール施工は現在も行なわれていますが、アスベストを含まないため健康被害に関する問題はありません。

アスベストを含む保温材や断熱材

かつては、ボイラーなどの配管、鉄骨、屋根裏、煙突などに、アスベストを含む保温材や断熱材、耐火被覆材が使用されていました。

これらの保温材や断熱材は、化学プラントやボイラー本体に加え、屋根裏や天井材にも用いられています。

保温材、断熱材のアスベスト含有率は90%以上と高いものもあるため、吹き付け施工の次にアスベストの飛散性が高いので注意が必要です。

アスベストを含む成形板

アスベストを含む成形板は、住宅の屋根や外壁、天井、床、壁紙など幅広い用途で使用されていました。

代表的なものは、スレートボード、せっこうボード、けい酸カルシウム板、サイディングなどが挙げられます。

アスベストがもつ耐火性、防火性、断熱性、防水性などの性質を活かした成形板は、ビル以外の一般住宅にも使用されています。

成形板は板状に固めているため、切断や穴開け、建物の解体などをしない限りアスベストは飛散しません。

吹き付け施工、含有量が多い保温材や断熱材に比べ、成形板はアスベストの飛散性は低いといえます。とはいえ、経年劣化で損傷した場合、アスベストが飛散する可能性があるので注意が必要です。

建築資材アスベストの問題点と今後の対策

アスベストが健康被害を招くメカニズムと、建築物に必要な対策について紹介します。

アスベストは健康被害を招く

アスベストが健康被害の原因になるのは、吹き付けや施工の際にアスベストの繊維が大気中に飛散するためです。

アスベストの繊維は極めて細いため飛散しやすいうえに、肺に繊維が沈着しやすい性質があります。長期間、かつ高濃度でアスベストの繊維を吸引すると、沈着したアスベストが原因で石綿肺、肺がん、悪性中皮腫などの病気を発症します。

なお、アスベストが「静かな時限爆弾」と呼ばれているのは、数十年の潜伏期間を経てようやく健康被害が明らかになるためです。

アスベストの健康被害が顕在化し、社会問題として認知されたのは2005年と最近のことです。

アスベストを長年扱っていた企業の従業員と家族の死亡が明らかになったことがきっかけでした。

建築分野はアスベストを使用する機会が多く、健康被害を受けた労働者が全国各地で訴訟を起こしています。数多くの訴訟を経て、2021年に最高裁判所が国と建材メーカーの賠償責任を認めました。

アスベストを含む建築物の解体には、特別な対策が必要

アスベストの使用に関する規制は、1975年以降段階的に行なわれていました。

現行における最後の規制は、2006年に重量の0.1%を超えてアスベストを含有するすべての物の製造、輸入などが全面禁止となったことです。

つまり、2006年の規制以前はアスベストの使用が全面的に禁止されていなかったため、建築物によっては微量でもアスベストを含む可能性があります。

ただし、2006年の規制以降の建築物であっても、改正年をまたいで建てられた建物の場合、アスベストが含まれているケースもあれば、2006年の規制前に建てられたものでも、アスベストを建材として使っていないものもあります。

2006年という線引きはあくまでも目安、と考えると良いでしょう。 アスベストを使用した建築物は続々と老朽化を迎えており、建物の解体や改修の需要が高まっている状況です。

国土交通省の2009年の試算では、アスベストを含む建築物の解体のピークは2030年頃とされました。 アスベストが飛散する危険性は、製品の製造工程や建設中だけでなく、解体工事においても同様です。

アスベストの有無を調査し、適切な飛散防止対策を講じたうえで解体工事を実施しなければなりません。 なぜなら、アスベストを吸引するリスクは、解体工事に携わる作業員だけに留まらないためです。

過去にアスベストで健康被害を受けたのは、アスベストを扱う労働者の家族、アスベスト工場の近隣住民も含まれます。

建築物を解体するには、アスベストの有無の事前調査、アスベスト飛散防止のための湿潤化や負圧隔離、保護具・保護衣の着用などが必要です。

建築に用いられたアスベストは、健康被害を引き起こすおそれがある

かつて大量に輸入されたアスベストはその用途の幅広さから、多くの建材に使用されてきたものです。

しかし、空気中に飛散したアスベストを吸引してしまうと、肺がんへの罹患など健康被害を引き起こす原因となりえることがわかり、2006年、重量の0.1%を超えてアスベストを含有するすべての物の製造、輸入などが全面禁止となりました。

ただし、それまでに建てられた建築物は、アスベストが含まれている可能性があります。 アスベストによる影響は、解体工事の従事者だけでなく、家族や近隣住民にも及ぶ可能性が考えられます。

特に規制前の2006年以前の建物に対しては、解体工事の際などに適切な措置を講じることが必須です。

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