フルハーネス特別教育は、高所作業において墜落事故を防止するための正しい器具の装着方法を学ぶために必要な教育です。
2019年2月より、一部法改正があり、従来の安全帯からフルハーネス型の墜落制止用器具の着用が義務化されることになりました。
そのため、今後フルハーネス特別教育の受講は増えてくることでしょう。
今回は、フルハーネス特別教育の講師に資格は必要か、講師養成講習とはどのようなものなのかを詳しく紹介します。
目次
フルハーネス特別教育の講師に資格はいらない
結論から言うと、フルハーネス特別教育の講師をする場合、特別な資格は不要です。

しかし、労働安全衛生法には上級の資格を保有していること、もしくは講師自身が教育内容に関する十分な知識や経験を有している必要があると定められています。
具体的にどういった人を指すのかというと、講師養成講習を受けている人、または「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育インストラクターコース」を修了している人などが望ましいです。ただし、資格を持っているだけで現場経験の少ない人が講師をしても、内容が薄い講習になってしまうので注意しましょう。
事業所で特別教育を実施した場合は、実施した証明を記録しておかなければいけません。記録内容は、科目・時間・教材・講師名・名簿・修了証番号などで、その記録を3年間保存する必要があります。
事業所で開催した場合に留意しなければいけない点はもう1点あり、それは特別教育を受けている時間は労働時間になるということです。
みんながまとまって集まる時間がないからといって、お昼休み等で開催してはいけません。
フルハーネス特別教育の講師養成講習を受ける
フルハーネス特別教育の講師養成講習を開催している講習機関や団体はいくつかあり、代表的な講習を3つ紹介します。参考になる講習があれば、ぜひ申し込んでみましょう。
中災防のインストラクターコース
こちらのコースは、フルハーネス型墜落制止用器具を使用する労働者に対して行う特別教育を担当するインストラクターを養成する中災防(中央労働災害防止協会)の講習です。
こちらの講習機関は宿泊施設や食堂もありますので、数日にわたって行われる講習にも対応しています。
詳細についてまとめましたので、以下をご覧ください。
開催場所 | 東京・大阪 |
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講習費用 | 86,900円(テキスト代、消費税含む) |
No | 講習内容 |
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1 | 作業に関する知識 |
2 | フルハーネス型墜落制止用器具に関する知識 |
3 | 労働災害防止に関する知識 |
4 | 関係者との連携及び情報提供の進め方 |
5 | 関係法令 |
6 | 実技(フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法) |
7 | 教育の方法・指導案の作成要領 |
8 | 指導案の作成 |
9 | 教育演技 |
上記講習内容を3日間の日程で受講します。各講習の詳しい講習時間などは中災防のホームページをご覧ください。
修了後には、修了証が交付されます。申し込み方法は、専用の申込書をWebからダウンロードし、記入後にFAXまたは郵送で協会へ送付します。電子メールでの申し込みはしていませんので注意しましょう。
建災防の講師養成講座
こちらの講師養成講座はフルハーネス特別教育の講師になる方を対象に、作業方法や効果的な教育方法について習得する講座となっています。
詳細についてまとめましたので、以下をご覧ください。
開催場所 | 東京 |
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講習費用 | 35,000円(テキスト代、消費税を含む) |
No | 講習内容 |
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1 | 作業に関する知識 |
2 | 労働災害防止に関する知識 |
3 | 安全帯に関する知識 |
4 | 関係法令 |
5 | 教育の仕方 |
上記講習内容を1日で受講します。各講習の詳しい講習時間などは中災防のホームページをご覧ください。定員が60名までとなっており、定員に達すると締め切りとなります。
全国登録教習機関協会
一般社団法人全国登録教習機関協会ではフルハーネス特別教育の講師になる方を対象に、特別教育の講師に必要な知識を学ぶための研修を行います。
詳細についてまとめましたので、以下をご覧ください。
開催場所 | 全国各地 |
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講習費用 | 36,000円 (非会員50,000円) |
No | 講習内容 |
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1 | 作業に関する知識 Ⅰ |
2 | 作業に関する知識 Ⅱ |
3 | 墜落制止用器具(フルハーネス型に限る)に関する知識 Ⅰ |
4 | 墜落制止用器具(フルハーネス型に限る)に関する知識 Ⅱ |
5 | 労働災害防止に関する知識 |
6 | 関係法令 |
7 | 実技研修 フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法等 Ⅰ |
8 | 実技研修 フルハーネス型墜落制止用器具の使用方法等 Ⅱ |
上記講習内容を2日間の日程で受講します。各講習の詳しい講習時間などは全国登録教習機関協会のホームページをご覧ください。
講習費用は会員と非会員で異なります。講習を修了された方には修了証が交付されます。
さらに詳しく!
フルハーネス特別教育とは?概要・科目・資格取得の流れを解説
フルハーネス特別教育の受講対象者
フルハーネス特別教育の受講対象者は以下の作業を行う方です。受講が不要な場合もあわせて紹介します。
フルハーネス特別教育が必要な業務
フルハーネス特別教育が必要な業務とは、高さが2メートル以上で、かつ作業床の設置が困難な場所による作業です。
具体的には以下のようなものが該当します。
- 鉄骨上で鉄骨建て方の作業を行う
- 鉄塔の組み立て、解体、変更作業
- 足場を設置できない屋根上作業
- 作業床とみなされない急こう配の屋根上作業、滑りやすい素材の屋根上作業
- ホイストに乗った状態で天井クレーンのホイストを点検する業務
- チェア型ゴンドラで行う作業全般
- 電柱や通信柱での作業
- 送電線の架線作業
フルハーネス特別教育が不要な業務
逆に以下のような業務にはフルハーネス特別教育は不要です。
- 足場の手すりを一時的に外す業務
- パラペット端部や開口部で行う業務
- 高所作業車で行う業務
- デッキ型ゴンドラで行う業務
- ガーター歩道上で天井クレーンのホイストを点検する業務
フルハーネス特別教育の省略とは
一定の要件を満たすと、フルハーネス特別教育は省略することができます。まず、6ヶ月以上の従事経験があれば、次の3科目が免除されます。
- 作業に関する知識
- 墜落制止用器具に関する知識
- 墜落制止用器具の使用方法等
フルハーネスではなく胴ベルトでの業務経験だった場合、作業に関する知識のみが免除されます。
また、足場の組立て等特別教育受講者やロープ高所作業特別教育受講者は、労働災害の防止に関する知識が省略されます。
フルハーネスに関する知識を深めましょう
今回、フルハーネス特別教育の講師について紹介してきました。講師の資格がなくても講師として講習を開催できますが、講師養成講座を受講してから講習を行ったほうが相手への説得力もあります。また、少しでも実務の経験を積んだほうが、スムーズに講習できるはずです。
まだフルハーネス特別教育を受講されていない方は、ぜひSATの講座から始めてください。
SATのフルハーネス型墜落制止用器具特別教育は
Webでいつでもどこでも受講可能!
- 24時間365日、オンラインでの受講が可能!
- 労働局確認済みのAI顔認証システムで受講状況をしっかり担保!
- 修了証はスマホアプリで即日自動発行!修了後すぐに受け取れます。
※プラスチックカードの修了証をお求めの方は、5営業日以内に修了証を発送いたします。
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フルハーネス特別教育の講師についてのまとめ
フルハーネス特別教育の講師に資格は必要?
フルハーネス特別教育の講師に資格が必要というわけではありません。 ただし、労働安全衛生法には上級の資格を有していたり、講師が教育内容について十分な知識・経験を有していたりすることが条件とされています。 知識が不十分な方が講師をしても内容の薄い講習となるだけなので、事業者は責任を持って講師を選ぶことが大切です。
フルハーネス特別教育講師養成講習を開催している団体
フルハーネス特別教育講師養成講習を実施している団体はいくつかあります。
・中災防のインストラクターコース
・建災防の講師養成講座
・全国登録教習機関協会
フルハーネスの特別教育は高所作業における墜落・転落の労働災害防止を目的に実施される大切な講習です。 そのため、講師になるための養成講座を受講する方も責任感を持って必要な知識を身につけましょう。