危険物取扱者

危険物取扱者の甲種、乙種、丙種の違いは?特徴を解説!

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危険物取扱者資格は消防法によって定められている「危険物」を取り扱う場合に必要な資格です。

比較的短時間の学習で合格できる国家資格ですが、就職先が多く有資格者には資格手当てが支給されることもある魅力的な資格です。

そして、危険物取扱者の資格には甲種、乙種、丙種の3種類があり、取り扱える危険物の範囲が異なります。

この記事では、危険物取扱者の甲種、乙種、丙種の違いについて詳しくお伝えします。

危険物取扱者とは?

ガソリンなどの可燃性物質・高圧ガス・高圧電流など危険なものは身近に多くありますが、危険物取扱者はこれら危険なものの中でも「消防法で指定された危険物」を取り扱うことができます。

石油・ガソリン・灯油などは、取り扱いを間違えると大規模な火災を招きかねないため、一定量を超える危険物を製造・貯蔵・取り扱う施設では正しい知識を持った危険物取扱者の配置が義務付けられています。さらに、甲種・乙種では保安監督や点検業務も担っています。

危険物保安講習について

危険物取扱者を取得した方の中で、危険物の取扱作業に該当する作業へ従事する方は、保安講習の受講義務も生じます。危険物の取扱作業は、たとえばガソリンスタンドや危険物を取り扱う化学工場での作業などを指します。

そして、保安講習には受講期限があるので、期限内に受講するのも重要です。

これから危険物の取扱作業に従事する場合は、その開始日から1年以内に保安講習を受講する必要があります。

他にもこれから危険物の取扱作業へ従事する方の中で、過去2年以内に危険取扱者の免状交付もしくは保安講習を受講した方は、免状交付もしくは受講した日以降から最初の4月1日を基準として、3年以内に受講しなければいけません。

また、前回保安講習を受講した危険取扱者の中で、継続的に危険物の取扱作業へ従事している方は、前回の受講日から最初の4月1日を基準として3年以内に保安講習を受講する必要があります。

なお、危険取扱者取得者の中で危険物の取扱作業へ従事しない方は、保安講習の受講不要です。それぞれ受講期限に関する条件があり、保安講習に関する確認も大切です。

危険物取扱者の甲乙丙の各種別でできることの違い

消防法で定められた危険物は、危険度によって第1類~第6類に分類しています。

危険物の分類
第1類塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体
第2類硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体
第3類カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質
第4類ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体
第5類有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質
第6類過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体

同じ危険険物取扱者であっても、甲乙丙種で取り扱うことのできる危険物は異なるので、それぞれの資格で取り扱える危険物と、できることを見てみましょう。

甲種で取り扱える危険物とできること

甲種では第1類~第6類の危険物全てを取り扱うことができます。つまり、甲種が危険物取扱者で一番上位の資格となります。

加えて、危険物取扱者としての実務を6カ月以上経験すると、「危険物保安監督者」になることもできます。

この危険物保安監督者は、危険物を取り扱う施設ならどこの施設でも必要だというけではなく、主に下記のような施設で危険物保安監督者の設置が必要とされています。

  • 製造所
  • 屋外タンク貯蔵所
  • 給油取扱所
  • 移送取扱所
  • 一般取扱所

また危険物保安監督者、甲種防火管理者の有資格者としても認めらます。

乙種で取り扱える危険物とできること

乙種では第1類~第6類の中で、試験に合格し資格を取得できた類(の危険物)のみ取り扱うことができます。

そのため、乙種1類や、乙種4類という言い方をします。

そして乙種は甲種と取り扱える危険物の類が違うだけでなく、できることも少し異なります。

たとえば、危険物保安監督者に選任される条件が、「乙種危険物取扱者の取得している類において、製造所等で実務を6カ月以上経験すること」といったように、できることが限定されてきます。

また、危険物保安監督者になっても、甲種防火管理者の学識経験者として認められることはありません。

ちなみに、危険物取扱者試験受験者の全体の内8割以上がこの乙種試験を受け、 その中でも第4類を受験される方が最も多いです。

乙種第4類はガソリン、軽油、灯油、重油などの生活に身近な石油類の取り扱いがメインなので、 多種多様な職場での需要が高いだけでなく、生活に身近ということもあり、比較的初心者でも理解しやすいことが受験者の多い理由だと考えられます。

丙種で取り扱える危険物とできること

丙種では取り扱える危険物が、ガソリン・灯油・重油・軽油・潤滑油・引火点130℃以上の第3石油類・第4石油類、動植物油類のみと限定されています。

つまり危険物取扱者は甲種>乙種>丙種の順に取り扱うことのできる危険物が限定されるイメージですね。

また丙種は無資格者への立ち合いができず、危険物保安監督者になることもできません。

できないことだらけで不便な印象を持たれた方もいるかもしれませんが、ガソリンスタンドなど丙種で取り扱える危険物の製造所等では活躍することができます。

危険物取扱者 甲乙丙種の試験内容の違い

ここまでは甲乙丙種のできる業務の範囲について解説してきました。ここからは試験内容の違いについてを紹介します。

受験資格が違う

乙種と丙種については、年齢や学歴などの受験資格がありませんので、誰でも受験可能です

甲種は一定の条件を満たすことが受験の条件となります。下記をご覧ください。

【甲種危険物取扱者試験の受験資格】

対象者大学等及び資格詳細願書資格欄記入略称証明書類
〔1〕
大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、高等学校の専攻科、中等教育学校の専攻科、防衛大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等大学等卒卒業証明書又は卒業証書(学科等の名称が明記されているもの)
〔2〕
大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
大学、短期大学、高等専門学校(高等専門学校にあっては専門科目に限る)、大学院、専修学校、大学、短期大学、高等専門学校の専攻科、
防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、
職業能力開発短期大学校、外国に所在する大学等
15単位単位修得証明書又は成績証明書(修得単位が明記されているもの)
〔3〕
乙種危険物取扱者免状を有する者
乙種危険物取扱者免状の交付を受けた後、危険物製造所等における危険物取扱いの実務経験が2年以上の者実務2年乙種危険物取扱者免状

及び乙種危険物取扱実務経験証明書
次の4種類以上の乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者
〇第1類又は第6類
〇第2類又は第4類
〇第3類
〇第5類
4種類乙種危険物取扱者免状
〔4〕
修士・博士の学位を有する者
修士、博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む。)学位学位記等(専攻等の名称が明記されているもの)

引用元:一般財団法人 消防試験研究センター

少しややこしいかもしれませんが、まとめるとこのようになります。

甲種危険物取扱者試験の受験資格まとめ

  1. 大学院等で化学に関する学科を専攻したうえで卒業し、卒業証明書でそれを証明できる
  2. 大学等で化学に関する授業科目を15単位以上習得し、単位修得証明書でそれを証明できる
  3. 乙種危険物取扱者の資格を取得したのち、2年以上実務に従事している
  4. 乙種危険物取扱者のうち、第1類または第6類・第2類または第4類にくわえて、第3類・第5類を合わせた4つの免状を持っている
  5. 修士・博士の学位を有する者

【受験資格のない方で甲種の取得を目指す方法】

  • 乙種のうち、いずれか一つを取得後、2年の実務を積む
  • 乙種のうち、上記受験資格まとめの4番の組み合わせに該当するように、4つ以上の免状取得を目指す
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もちろん、大学院や大学に入学して化学を専攻するという方法もありますが、一番費用と期間を抑えられるのがこの方法です。

試験科目が違う

甲乙丙種の試験に共通しているのは「3つの受験科目があること」と「3科目全てにおいて60%以上正解することが合格基準」ということです。

つまり、1科目でも60%に満たない科目があれば、他が60%以上でなおかつ高得点でも不合格です。

また、受験科目の3科目は甲乙丙種で内容が異なりますので、それぞれ確認しておくのも大切です

甲種の試験科目

甲種の試験科目出題数出題形式試験時間合格率(令和4年)
危険物に関する法令(法令)15問五肢択一のマークシート方式2時間30分38.5%
物理学および化学(物化)10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)20問

乙種の試験科目

乙種の試験科目出題数出題形式試験時間合格率(令和4年/乙類合計)
危険物に関する法令(法令)15問五肢択一のマークシート方式2時間50.5%
物理学および化学(物化)10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)10問

丙種の試験科目

丙種の試験科目出題数出題形式試験時間合格率(令和4年)
危険物に関する法令(法令)10問四肢択一のマークシート方式1時間15分60.9%
燃焼および消火に関する基礎知識(燃消)5問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)10問

引用元:一般財団法人 消防試験研究センター

受験科目一部免除についての条件

甲種については受験科目の一部免除はありませんが、乙種・丙種については一部免除条件があります。

①乙種の免除条件と試験内容
乙種は丙種に比べて免除条件に大きなメリットがあります。その最たるものがこれです。
「乙種危険物取扱者免状を有する者」は、試験科目が「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)」のみになります。ちなみに試験時間は35分です。
他に火薬類の免状を持っていると一部免除になりますが、条件が厳しいので詳細は割愛します。

②丙種の免除条件と試験内容
「5年以上消防団員として勤務していること」に加えて、「消防学校の教育訓練のうち基礎教育または専科教育の警防科を修了している」ことが条件です。
該当すると「燃焼および消火に関する基礎知識(燃消)が免除され、試験科目は以下のとおりです。

試験科目問題数試験時間
危険物に関する法令(法令)10問1時間
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消)10問

危険物取扱者の甲乙丙は結局どれを取得したらいい?

一番人気は乙種4類

甲乙丙の3つの中で一番人気が高いのは乙種4類です。その理由は他の種類と比較すると転職に強いというメリットがあります。

乙種4類を取得しますと引火性の液体を取り扱うことができるので、ガソリンや軽油などを取り扱うガソリンスタンドでの転職に役立ちます。他にも活躍できる職場は幅広く、タンクローリーの運転手もしくは、公共施設の設備管理員などにも転職可能です。

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企業によっては資格取得が採用条件となっていたり、昇給へと繋がったりする場合もあります。

立ち合い権限の有無で考える

どの種類を取得したらよいか考えている方は、立ち合い権限の有無を視野に入れて考えてみるのもいいでしょう。

無資格者が危険物を取り扱う場合、有資格者の立ち合いが必要となります。甲種、乙種には立ち合いの権限がありますが、丙種には立ち合いの権限がありません。

試験難易度からも考える

危険物取扱者の甲乙丙は、それぞれ試験難易度が異なるので、難易度も含めて考えてみるのも大切です。

乙種4類は、ガソリンスタンドをはじめさまざまな転職に役立つものの、各科目60%以上の正答率である必要があります。つまり、1科目でも60%未満の正答率ですと、合格できません。

初めて化学系の資格試験に挑む方、乙種4類のテキストを見て難しいと感じる方は、乙種よりも難易度の低い危険物取扱者丙種から受験を検討してみるのもいいでしょう。丙種は、物理学と化学を除いた基礎知識に限定していて、乙種や甲種の取得を目指す方にとって基礎を学ぶ良い機会です。

甲種は、乙種よりも難易度が高く物理学や化学に関する計算問題もあります。また、乙種・丙種と受験資格も異なるため、初めて危険物取扱者を受験する方や受験資格を満たさない方には難しいといえます。

危険物取扱者を取得するメリット

ではここで危険物取扱者の資格を取得すると具体的にどのようなメリットがあるのか、大きく3つのポイントに絞って紹介していきます。

①就職・転職のチャンスが広がる

先に触れたとおり、消防法で定められた規定量を超える危険物を製造・貯蔵・取り扱う施設は、危険物取扱者の「配置義務」があります。そのため、こういった施設を管理する企業では危険物取扱者の有資格者を必要としています。求人案件も多いので、危険物取扱者としての就職・転職のチャンスが広がります。

②国家資格の中では“取りやすい”資格

危険物取扱者は、化学や物理の知識が必要とされる資格なので、理系国家資格の登竜門呼ばれています。理系資格と聞くと文系の方は二の足を踏まれるかもしれませんが、ポイントを押さえて勉強すれば、1カ月もかからず十分に合格を目指すことのできる資格です。

③昇給・奨励金の対象になりやすい

危険物取扱者の配置義務がある企業では、有資格者を確保するために資格手当を支給するケースも多い傾向です。また、危険物を取り扱うメーカーなどでは、入社時に資格を持っていなくても入社後に資格取得することで奨励金を支給する場合もあります。

甲乙丙各種それぞれのメリットを理解して、資格取得を目指そう

自慢のSAT教材の内容をぜひご確認ください。

危険物取扱者は配置義務があるので、転職や就職にも有利な資格です。比較的取得しやすい国家資格なので、ポイントを押さえ勉強を行うことにより短期間で合格を目指すことができます。

また、乙種に限っていえば、1つを取得すれば試験科目が大幅に免除されるという、メリットだらけの資格です。特に乙種4類は就職・転職に非常に有利です。

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各種類の違いを把握したうえで、効率の良い資格取得を目指しましょう。

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