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一人親方にも特別教育の受講義務|企業の対応は?

一人親方にも特別教育の受講義務|企業の対応は?

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2027年4月1日から、労働者と同じ場所で特別教育の対象業務を行う一人親方等本人に、特別教育を受ける義務が課されます(改正労働安全衛生法第59条第4項)。

※本記事では、労働者を雇わない個人事業者(一人親方など)や、一定規模以下の企業で自ら作業する事業主・役員を、まとめて「一人親方等」と表記します。

本改正によって、一人親方等本人だけでなく、仕事を発注する企業にも対応が求められます。また、企業が現場で担う役割によっては、下請事業者への指導や、作業時間・区域の調整なども法律で義務付けられています。

この記事では、本人の受講義務と企業による受講支援、企業の立場ごとに必要な安全衛生対策を解説します。

一人親方等の安全衛生対策はどう変わる?

2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法では、一人親方等を保護の対象に加えるとともに、本人が講じる安全衛生措置も定められました。

2027年4月1日からは、一人親方等が労働者と同一の場所で作業する場合には、対象となる機械や業務に応じて、次のような措置が求められます。

  • 構造規格や安全装置を備えていない機械等の使用禁止
  • 対象となる機械等の定期自主検査と結果の記録
  • 対象業務に従事する際の特別教育の受講
生徒
生徒

一人親方以外では、どのような人が対象ですか?

先生
先生

一人親方に加え、自ら作業を行う一定規模以下の事業者の事業主や役員なども対象です。事業主や役員については、業種別の労働者数などによって対象範囲が定められています(改正労働安全衛生法第42条第3項、改正労働安全衛生規則第24条の17など)。

一人親方等に特別教育が必要となる条件

特別教育は、法令で定められた危険・有害な業務に従事する際に必要な教育です。

生徒
生徒

一人親方等は、どのようなときに特別教育が必要になるのでしょうか?

先生
先生

労働者と同一の場所で対象業務に就くときに、特別教育が必要になります(改正労働安全衛生法第59条第4項)。

受講の要否は、以下の要件によって判断されます。

  • 労働者と同一の場所で作業すること
  • 実際に行う作業が、法令で定める特別教育の対象業務に該当すること

対象業務には、アーク溶接等、足場の組立て・解体・変更、フルハーネス型墜落制止用器具を用いる一定の作業、小型車両系建設機械の運転などがあります。

ただし、作業内容や機械の能力等によって、特別教育、技能講習、免許など、必要な教育・資格が異なります。具体的な作業内容と法令上の要件を照合しましょう(労働安全衛生規則第36条など)。

企業には、特別教育の受講について何が求められる?

生徒
生徒

一人親方等本人の受講に加えて、発注企業や元請企業にも対応が必要ですか?

先生
先生

はい。企業側には、教育の案内や受講機会の提供など、本人が受講できるよう配慮することがガイドラインで求められています。

今回、新たに特別教育の受講義務を負うのは、一人親方等本人です。発注企業に、一律に特別教育を実施する義務が課される改正ではありません。

ただし、厚生労働省の「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」では、仕事を発注する企業などに次のような配慮を求めています。

  • 安全衛生教育を行う教習機関を紹介する
  • 契約から作業開始までの間に、受講に必要な時間を確保する
  • 注文条件で作業時間を指定している場合は、受講できるよう時間を調整する
  • 自社の従業員向けに安全衛生教育を行う際、一人親方等も対象に含める

この受講支援は、ガイドラインが自主的な取組として示しているもので、法令に定められた「努力義務」ではありません(同ガイドライン1、4(3))。

厚生労働省の通達では、作業場所を管理する企業が現場の安全衛生管理を行う際に、作業内容に応じた教育の受講状況、技能講習の修了、免許の取得の有無を確認することが望ましいとされています(令和8年5月26日付け基発0526第1号・第2の4(4))。

なお、企業が雇用する従業員については、引き続き企業に特別教育の実施義務があります(労働安全衛生法第59条第3項)。

見落としがち?スキマバイトの安全衛生教育

一方、短時間・単発で働く「スキマバイト」は、一人親方等とは異なり、企業が直接雇用する労働者です。

そのため、雇用する企業には、雇入れ時の安全衛生教育を行う義務があり、特別教育の対象業務に従事させる場合には、特別教育も必要です(労働安全衛生法第59条第1項・第3項)。

しかし、東京商工リサーチが2026年10月に実施した調査では、スキマバイトを活用し、雇入れ時の安全衛生教育について回答した企業203社のうち、49.2%(100社)が「実施していない」と回答しました。

一人親方等とスキマバイトでは教育義務を負う主体は異なりますが、作業を始める前に、必要な安全衛生教育が行われているかを確認することが重要です。

出典:東京商工リサーチ「2026年10月 企業の『スキマバイト』に関するアンケート調査」

仕事を発注・管理する企業には、どのような義務がある?

企業による受講支援に加え、現場での立場に応じた法令上の義務もあります。主なものは次のとおりです。

仕事を発注する企業:安全を損なう発注条件を付けない配慮

仕事を他者に請け負わせる注文者は、作業方法、工期、納期などについて、安全で衛生的な作業を損なうおそれのある条件を付けないよう配慮しなければなりません。

例えば、安全な作業手順では対応できない納期や、必要な安全対策を行えない作業条件を指定しないことです。

これは法律に定められた配慮で、前述のガイドラインによる受講支援とは根拠が異なります(労働安全衛生法第3条第3項)。必ず守るようにしましょう。

元方事業者:関係請負人への指導・指示と、混在作業の管理

元方事業者とは、一つの現場の仕事を自社でも行い、その一部を下請事業者などに請け負わせている事業者です。該当する事業者が複数ある場合は、そのうち最も上位の請負契約の注文者が元方事業者となります。

元方事業者には、関係請負人やその作業従事者が労働安全衛生関係法令に違反しないよう指導する義務があります。違反を認めた場合は、是正のために必要な指示を行う義務もあります(労働安全衛生法第29条)。

そのため、2027年4月1日以降、元方事業者が、一人親方等による特別教育の未受講などの法令違反を認めた場合にも、是正に必要な指示を行う義務があります。

さらに、建設業・造船業の特定元方事業者には、自社と関係請負人の作業が同じ場所で行われる場合、作業間の連絡・調整、作業場所の巡視などが義務付けられています。製造業等の元方事業者にも、混在作業に伴う災害を防ぐための連絡・調整等が求められます。

これらの混在作業対策は、2026年4月1日から、一人親方等を含む作業従事者を対象としています(労働安全衛生法第30条、第30条の2)。

作業場所管理事業者:自社と請負先の作業を調整する

作業場所管理事業者とは、仕事を自ら行い、その仕事を行う場所を管理する事業者です。

2027年4月1日からは、自社と請負先の作業が同じ場所で混在し、法令で定める危険・有害な業務等が行われる場合、業種を問わず、作業間の連絡・調整等を行う義務が課されます(改正労働安全衛生法第30条の4、改正労働安全衛生規則第643条の10・第643条の11)。

対象業務には、特別教育の対象業務、貨物自動車による荷物の搬入・搬出、法令に基づく定期検査・補修などが含まれます。

管理する事業者に当たるかは、設備の使用許可、入退場の管理、作業順序や方法の調整などを、現場で実際に行える立場かどうかで判断されます。

例えば、作業時間や区域、車両と人の動線を調整し、自社と請負先の作業が重なることによる危険を防ぎます。

なお、一件の建設工事だけを行う現場などで、元請が一人親方等を含む全員を対象に、既存の規定に基づく作業間の連絡・調整などを行う場合は、引き続きその規定に従って安全管理を行います。(労働安全衛生法第30条第1項または第30条の2第1項、第30条の4第2項)。

企業が施行前に準備しておきたい4つのこと

受講支援と現場での安全衛生管理を進めるため、次の4項目を整理しておきましょう。

1.発注する作業と必要な教育を整理する

一人親方等に依頼している作業、使用する機械・設備、他の作業者との位置関係を洗い出します。

そのうえで、業務ごとに必要な特別教育や資格を整理します。現場責任者と発注担当者で、具体的な作業内容を共有しておきましょう。

2.作業開始前に受講状況を確認する運用を決める

必要な教育が分かったら、本人の受講状況を確認します。

生徒
生徒

受講状況は、何を確認すればよいですか?

先生
先生

教育の種類、受講した科目、実技教育の有無、修了を確認できる記録を確認します。

現場への入場前や作業開始前に、誰が、何を使って確認するかを決めます。作業内容を変更する際にも、追加で必要な教育がないか確認しましょう。

3.受講に必要な時間・経費を確保する

未受講の教育がある場合には、受講内容や受講先の情報を共有し、対象業務の開始に間に合うよう調整します。

教育費用は、注文者に一律に負担を求めるものではありません。ただし、厚生労働省の通達では、請負人が必要な教育経費を確保できるよう配慮することが示されています。

受講の手配や費用の扱いを事前に協議し、受講に必要な時間・経費を踏まえた発注条件に整えましょう(令和8年5月26日付け基発0526第1号・第2の4(3))。

4.受講確認と現場での連絡調整を併せて行う

受講状況の確認に加え、作業時間や作業区域の調整、立入制限、使用する機械・設備に関する情報共有も行います。

自社が担当する措置と、請負先が担当する措置を具体的に決め、一人親方等にも現場のルールを伝えましょう。

特別教育や雇入れ時の安全衛生教育にはeラーニングも活用できる

特別教育の学科教育や雇入れ時の安全衛生教育には、所定の要件を満たすeラーニングを活用できます。

特に、一人親方等やスキマバイトのように、作業開始前に集合研修の日程を確保しにくい場合には、オンラインで受講できる仕組みが役立ちます。

企業が受講方法を案内する際には、次の点を確認しましょう。

  • 法令で定められた教育内容と教育時間を満たしているか
  • 本人が受講したことや、必要な受講時間を確認できるか
  • 受講者の質問を受け付け、回答できる体制があるか
  • 実技教育が必要な場合、その実施方法が明確か

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本人の受講義務と、企業が担う対応を確認する

2027年4月1日から、労働者と同一の場所で対象業務に従事する一人親方等本人に、特別教育の受講義務が課されます。

発注企業には、ガイドラインに基づく受講支援が求められています。また、元方事業者や作業場所管理事業者には、法令に基づく指導・指示や作業間の連絡・調整などの義務があります。

まずは、一人親方等に依頼している作業と必要な教育、本人の受講状況を整理し、自社が担当する安全衛生上の措置を決めておきましょう。

参考資料

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)

厚生労働省「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」

厚生労働省「個人事業者等の健康管理に関するガイドラインに関するQ&A」

厚生労働省・令和8年5月26日付け基発0526第1号

厚生労働省「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」

厚生労働省・eラーニング等による安全衛生教育の実施に関する通達(令和8年9月2日改正)

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