第二種電気主任技術者

電験二種の難易度・合格率とは?勉強時間や合格のコツも併せて紹介

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電験二種(第二種電気主任技術者)は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者になれる資格です。

試験ではマークシート式の一次試験と記述式の二次試験が行われ、その両方に合格する必要があります。

そこで今回は、電験二種の試験科目と難易度や合格率、必要な勉強時間、合格につながる一次試験と二次試験の攻略法について解説します。

電験二種の試験科目一覧

電験(電気主任技術者)の資格は、電験二種のほかに電験一種と電験三種があります。電気工作物の電圧、保守監督できる範囲を基準に、資格の区分が定められています。

免状の種類保安監督できる範囲
第一種電気主任技術者すべての事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督
第二種電気主任技術者電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督
第三種電気主任技術者電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く。)の工事、維持及び運用の保安の監督

なお、電験の有資格者は、電気工事士、認定電気工事従事者の資格を、実務経験だけで取得できます。 電験二種の一次試験・二次試験の試験科目と、科目ごとの内容は次のとおりです。

電験二種(第二種電気主任技術者)の一次試験科目
科目名科目の内容
理論電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター

電験二種(第二種電気主任技術者)の二次試験科目
科目名科目の内容
電力・管理発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理
機械・制御電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター

電験二種の試験は科目ごとに行われます。資格を取得するには、全ての科目で合格基準を満たさなければなりません。

一次試験で一部の科目のみ合格した場合、翌年度および翌々年度の試験で科目免除になる「科目別合格制度(科目合格保留制度)」を利用できます。3年間で全ての科目に合格すると、二次試験の受験資格が得られる仕組みです。

科目別合格制度は一次試験のみに設けられた制度で、二次試験は対象外です。ただし、一次試験に合格した年度の二次試験が不合格となった場合、翌年度の試験で一次試験が免除になります。

電験二種の難易度、合格率、合格点は?

電験二種の合格率、合格点、合格基準、試験の難易度について見ていきましょう。

電験二種の合格率

電験二種の一次試験・二次試験における、科目合格者と試験合格者の過去の合格率を紹介します。

電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率
年度一次試験合格率一次試験科目合格率二次試験合格率
平成29年度26.4%52.5%13.5%
平成30年度24.1%46.5%14.5%
令和元年度23.6%48.9%22.8%
令和2年度27.2%48.9%27.9%
令和3年度25.7%45.8%17.2%
令和4年度35.2%49.2%24.0%

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター

電験二種の合格点と合格基準

電験の合格点と合格基準は、毎年試験委員会で決定されます。一般的な試験の合格基準は固定値となっていますが、電験では毎年変動するので確認が必要です。

令和5年度の合格基準(二次試験)は、100点満点換算で60点以上、かつ各科目で平均点以上となっています。実得点は180点満点であるため、108点以上の得点が必要です。

電験二種の難易度

例年2割前後という合格率からわかるように、電験二種の試験は難易度が高いものです。

一次試験の科目合格率は50%前後と比較的高いため、科目別合格制度を活用し、数年がかりで合格する方も少なくありません。

令和5年度の一次試験における科目別合格者の内訳では、「理論科目」の合格率が16.6%と4科目の中で最も低いという結果でした。

ほかの3科目の合格率は電力科目で40.8%、機械科目で34.9%、法規科目で46.4%でした。理論科目の難しさが見て取れます。

そして、記述式である二次試験は、マークシート式の一次試験よりもさらに難易度が高くなります。高度な計算問題が登場するうえに、論述問題が試験の中心になるためです。

電験二種の計算問題では微分積分などの高度な数学の知識が必須で、学力によっては数学を勉強し直す必要があるケースもあります。

また、二次試験も2科目合格しなければならないため、計算問題も含めて苦手分野を攻略し、穴を作らないことが重要です。

電験二種の勉強時間と合格するコツ

電験二種の試験に挑む前に知っておきたい、電験二種の合格に必要な勉強時間、一次試験と二次試験に合格するためのコツを紹介します。

電験二種の合格に必要な勉強時間

電験二種だけを受験する場合、合格に必要な勉強時間は400時間〜600時間程度とされています。600時間のうち、記述式の二次試験に勉強時間を多く割く受験者が多いようです。

電験三種の合格後に電験二種を受験する場合には、電験三種の勉強時間を含めてさらに勉強時間が増えます。

ただし、数学や物理の基礎がない場合、追加で500時間~1,000時間の勉強が必要になるでしょう。 電気の根本は同じであるため、電験三種の知識があれば電験二種の一次試験対策が楽になります。

そのため、電験三種の合格から時間を空けず、電験二種を受験する方も多いようです。 ただし、「電験二種は電験三種の延長」と考えると、不合格になる可能性があります。

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電験二種では原理や仕組みを問う問題が多いうえに、出題の角度を変えるなど、問題の難易度が上がります。

電験三種の問題を解けるだけではなく、電験三種の内容をよく理解しておかなければ、電験二種の問題に太刀打ちできません。必要に応じて電験三種を勉強し直しましょう。

電験二種の一次試験攻略は理論と機械がカギ

合格率の章でお伝えしたように、一次試験では「理論」が最も難しい科目と言えます。

計算問題は出題されませんが、理論科目では微分積分やラプラス変換といった数学の知識が必要です。

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理論を攻略するためには、数学の参考書や問題集、過去問を組み合わせて勉強することをおすすめします。

また、「電力」「機械」「法規」の3科目は電験三種(第三種電気主任技術者)よりややレベルが高い程度といわれており、電験二種の過去問で対応可能です。

機械科目は出題範囲が広いため、勉強時間を多くとる必要があるでしょう。また、電力の勉強は二次試験の論述問題にも役立つことから、各科目をまんべんなく勉強することが大切です。

電験二種の二次試験は計算と記述の対策が必要

二次試験では2科目でそれぞれ計算問題が出題されます。 計算問題では有効数字を多めに使って計算することで、誤差を生じさせることなく、正しい回答を導き出すことが可能です。

二次試験対策を行う際には、有効数字を意識して勉強しましょう。また、試験中に電卓を使いこなすためにも、電卓の操作を完璧に覚えておくことが大切です。

二次試験は時間が足りないと感じる方が多いといわれているため、計算機の操作をマスターしておくと時間の節約につながります。

そして、二次試験を攻略するための重要なコツは、試験当日と同じ用紙で記述練習をすることです。 計算の過程をどこまで書けるのか、論述問題の解答のスペースが足りるかなど、実践的な視点で練習すると効果的です。

もう一つの論述問題対策として、試験官がスムーズに理解できる、整った文章を書ける力を身に付けておきましょう。

二次試験は、「機械・制御」で4問中2問、「電力・管理」で6問中4問を選択して解く仕組みです。問題の選択を間違えた場合、あとから別の問題を解くとタイムロスになります。

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タイムロスをしてしまうと試験全体の時間配分に悪影響をもたらすため、問題の選択に5分程度の時間を使って、どの問題を解くべきかを慎重に判断しましょう。

電験二種は難易度が高い試験

電験二種の資格を取得するには、一次試験、二次試験にそれぞれ合格することが必要です。

例年の合格率は10~20%前後と低い反面、科目別の合格率は40〜50%前後と比較的高い傾向にあります。

合格に必要な勉強時間は、電験二種のみ受験する場合は600時間程度、電験三種を含めると1,000時間程度がそれぞれかかる場合もあります。

電験三種を受験したほうが電験二種に合格しやすくなりますが、電験三種の問題の意味や、電気の原理、仕組みなどを理解する必要があります。

一次試験では数学の知識が必要な科目や、範囲が広く苦労する科目があるので、まんべんなく勉強しましょう。

二次試験は計算問題の解き方や論述問題の書き方など、記述式の実践的な勉強が役に立ちます。 二次試験での問題の選択は試験全体の時間配分に影響するため、最初にある程度の時間を使って問題を慎重に選ぶことが大切です。

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電験二種は難易度の高い試験ですが、科目別合格制度も活用しながら、長期的な計画を立てて勉強に取り組みましょう。

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