木材の伐採に欠かせないチェーンソーは、林業や建築業で広く使用されている工具です。便利な反面事故も多いため、使用方法によっては、特別教育の受講が必要になります。
では「個人で使う場合も特別教育の受講が必要なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、チェーンソーの使用に特別教育の受講が必要になる条件や、講習の具体的な内容、法改正のポイントまで分かりやすく解説します。
目次
仕事でチェーンソーを使う場合は特別教育の受講が必要

チェーンソーとは、鎖状の刃(ソーチェン)をエンジンやモーターで高速回転させて材木を切断する工具です。
林業はもちろんのこと、太い材木も容易に切断できるので建築現場でも重宝されています。チェーンソーにはさまざまな種類があり、ホームセンターでも販売されています。
結論から言えば、個人でチェーンソーを使う場合は、特別な資格は必要ありません。
ただし、チェーンソーは振動障害が発生したり、死亡事故にもつながりやすいキックバックなどの事故も起こる恐れがあります。技術の進歩により安全性も高まっていますが、十分に気をつけて扱いましょう。
一方、仕事でチェーンソーを扱う場合は、「チェーンソーによる伐木等特別教育」の受講が必要です。労働者を雇う事業主はもちろん、現場への入場条件として一人親方や自営業の方も受講を求められるケースがほとんどです。
特別教育とは、危険が伴う業務を行う従業員に向けて実施する教育の総称です。労働安全衛生法によって受講が定められており、労働安全衛生規則第36条において、法令で指定された危険有害な業務での安全教育の実施が義務づけられています。チェーンソーを扱う業務もその1つです。
特別教育を行わなかった場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。例えば、10日間ある仕事のうち1日だけしかチェーンソーを使わない場合も、仕事で使用するならば、特別教育を受講しなければなりません。
チェーンソーによる伐木等特別教育とは

冒頭でも述べた通り、チェーンソーによる伐木等特別教育は、林業や建設業などで伐木を実施する際に必要な特別教育です。伐木とは、樹木を切り倒すことをいいます。
伐木は、林業や建設業の現場で日常的に行われますが、毎年多くの死亡事故が発生しており、危険を伴う作業です。
そのため、労働安全衛生規則に基づいて定められた特別教育では、特別教育の実施が義務づけられています。

なお、チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するのは、業務でチェーンソーを使用する場合に限られます。例えば、個人で自宅の庭の木を伐採するといった場合には、受講の義務はありません。しかし、個人で受講する場合でも、チェーンソーを使用する際には十分に注意して扱いましょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するメリット
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講するメリットは、以下の通りです。
- 伐木に対する安全意識をさらに高められる
- 林業や建設業において仕事の幅が広がる
- キャリアアップにつながる
チェーンソーによる伐木等特別教育を受講することで、伐木に対する安全意識を今まで以上に高められます。結果、自分自身に起こりうる労働災害を防止したり、現場での安全に関する留意事項を共有し合ったりなどさまざまな場面で役立ちます。

特別教育を受講することで仕事の幅がこれまで以上に広がるのもメリットです。
仕事の幅が広がれば、企業からより評価される人材としてキャリアアップにつながる可能性もあります。
チェーンソーによる伐木等特別教育の法改正について
チェーンソーによる伐木等特別教育は、2019年に法律が改正され、2020年の8月より改正後の特別教育が実施されています。
法改正前では、伐木の対象が大径木と小径木に分類され、それぞれで受講内容が異なっていました。ただし、法改正後は講習が統合されて受講科目が増えました。
そのため、法改正前に講習を受講している方は、特別教育の一部(補講)を受講する必要があります。補講が必要な項目に関しては、以下の通りです。
|
分類 |
区分け |
必要な補講時間 |
|---|---|---|
|
大径木の |
チェーンソーを用いる場合において、胸高直径が70cm以上の立木の伐木、胸高直径が20cm以上でかつ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつている木の胸高直径が20cm以上であるものの処理の業務 |
学科:2時間 |
|
小径木の |
チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務を実施する場合 |
学科:2時間 |
法改正の前後で講習の内容が異なっているため、受講を修了した後でも定期的に情報を確認するのがよいでしょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育の需要の高さ
チェーンソーによる伐木等特別教育は、林業や建設業などで従事する方であれば、今後も需要の高い資格といえます。なぜならば、技術者自身に付加価値のつく資格であるためです。
現在はAIが登場し、事務作業などを含めてさまざまな業種のAI化が進んでいます。ただし、伐木に関しては技術者自身が行うものなので、AI技術を活用することはあっても、AI自体に仕事を奪われることは考えにくいといえます。
また、チェーンソーによる伐木等特別教育は、安全衛生規則に基づいて定められた安全衛生特別教育規定によって受講が義務づけられているのも特徴です。労働災害を防止するために必要不可欠なので、今後の需要もなくならないといえるでしょう。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講内容

ここまでで、チェーンソーによる伐木等特別教育の概要や需要について解説しました。とはいえ、特別教育がどのような内容で実施されるのかは気になる方も多いと思います。
ここからは、チェーンソーによる伐木等特別教育の受講内容や受講方法について詳しく解説します。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講資格
チェーンソーによる伐木等特別教育は、受講資格が特に定められていません。年齢や学歴に関係なく、誰でも講習を受講できます。
ただし、労働基準法(年少者労働基準規則第8条)により、18歳未満の年少者がチェーンソーを用いた伐木等の危険有害業務に就くことは厳格に禁止されています。実際の業務に就けるのは18歳以上になってからとなりますのでご注意ください。
また、受講対象者に関しても具体的な資格の保有者といったように定められていません。林業や建設業において伐木を実施する労働者に対して、特別教育の受講が義務づけられています。
チェーンソーによる伐木等特別教育の実施内容
チェーンソーによる伐木等特別教育は、学科講習と実技講習で構成されています。それぞれの講習時間について詳しく見ていきましょう。
学科講習の実施内容
学科講習の実施内容は、以下の通りです。
|
講習内容 |
講習時間 |
|---|---|
|
伐木等作業に関する知識 |
4時間 |
|
チェーンソーに関する知識 |
2時間 |
|
振動障害およびその予防に関する知識 |
2時間 |
|
関係法令 |
1時間 |
|
合計 |
9時間 |
学科講習は、伐木などの作業やチェーンソーなどの器具に関する知識をはじめとする合計9時間の内容で実施されます。実際に作業で従事する際に必要な知識を座学で学ぶ講習です。
知識がなければ、実際に従事する際に何が正しくて何が間違っているかを判断できません。そのため、現場で従事する際の安全意識を高めるためにも、講習は集中して取り組みましょう。
実技講習の実施内容
実技講習の実施内容は、以下の通りです。
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講習内容 |
講習時間 |
|---|---|
|
伐木等の方法 |
5時間 |
|
チェーンソーの操作 |
2時間 |
|
チェーンソーの点検および整備 |
2時間 |
|
合計 |
9時間 |
実技講習では、学科講習で学んだ知識をもとに、伐木の方法やチェーンソーの操作・点検・整備の方法を実技で学びます。学科講習と同様、合計9時間の内容で実施されるのが特徴です。
チェーンソーによる伐木等特別教育は、全講習(学科および実技)を修了すると修了証が交付されます。つまり、実技講習で学んだ内容は実際の現場ですぐに活用するということです。
そのため、実技講習で生じた疑問点などは講師などに質問して解消しましょう。必要な知識・技術を兼ね備えた状態で実際の現場に就くことが大切です。
つまり、学科講習が9時間、実技講習が9時間となり、合計で18時間の講習となります。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講料金
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講料金は、実施する講習機関によって異なります。15,000〜25,000円程度が受講料金の費用相場です。
また、講習機関によってはテキスト料金や修了証の発行料金が別にかかる可能性があります。そのため、講習を受講する前に実施機関の情報を確認し、費用がどのくらいかかるか確認しておきましょう。
チェーンソーの特別教育を受ける方法
チェーンソーの特別教育を受ける方法は、以下の3種類があります。
- 外部機関で受講する方法
- 会社内で受講する方法
- Web受講(学科講習のみ)
ここでは、1つずつ特徴やメリット・デメリットを紹介していくので参考にしてください。
外部機関で受講する方法
外部機関で受講する方法とは、教習所などで実施している講習会に受講者が出向いて講習を受ける方法です。 学科と実技の両方を1か所で受けることができ、受講する方は筆記用具など教習期間が指定したものを持っていくだけで受講ができます。特別教育の最もオーソドックスな形といっていいでしょう。
インターネットを検索すれば、最寄の実施場所が見つかります。現在は申し込みもネット上で行えるところが多いので、必要ならば利用してみましょう。
外部機関での特別教育を受講するメリットは、学科と実技の教育が一貫して受けられることです。一方、デメリットとしては実施場所が遠い所にあり、足を運ぶのに手間がかかる場合があることや、仕事のスケジュールと特別教育のスケジュールが合わないと、なかなか受ける機会がないことです。

特別教育を実施している施設が近くにあり、かつ仕事のスケジュール調整がしやすい会社向けといえます。
会社内で受講する方法
チェーンソーの特別教育を実施している団体の中には、一定数受講者がいれば講師を派遣して出張特別教育を実施してくれるところもあります。
全国に出張可能な団体もあれば、都道府県を限定して講師を派遣してくれる団体もあるので、必ず事前に確認しましょう。
講師を派遣してもらうメリットは、開催日時が会社の都合に合わせられることです。従業員が納得しているなら、会社が休みの日に特別教育も開催できます。
デメリットとしては、講習を実施している団体が少なく、利用できるケースが限られていることです。また、受講者を一定数集めなければならないことや、チェーンソーをはじめとする教材や教育を受ける会場などを自社で用意しなければならない点にも注意が必要です。
Web受講
Web講習とは、インターネットを通じて座学を受講する方法です。リアルタイムで受講する形と、あらかじめ録画しておいた画像を視聴する形で教育を受ける方法があります。
通信教育のSATでは、労働局に確認済みのAI顔認証システムを搭載したWeb講習を実施しています。Web講習の場合、受講したと確認するための監視人が必要でした。したがって、特別教育を受ける従業員を1か所に集める必要があります。
一方、SATの実施しているAI顔認証システムを利用すれば、従業員1人1人の顔認証が可能なので、監視人は必要ありません。
9時間の受講は細切れでも構わないので、昼休みや通勤時間を利用して学科の受講も可能です、修了証デジタルカードも即日発行されるので、できるだけ早く特別教育を終えたい場合も便利です。
ただし、実技の特別教育は別途対面での受講が必要です。実技の特別教育も9時間受講しないと特別教育を完全に修了したことにはならないので、注意してください。

とはいえ、学科の9時間だけでもWeb形式で受講できるのは大きなメリットでしょう。受講予定の方はWeb受講もぜひ検討されてはいかがでしょうか。
よくある質問
チェーンソーの資格取得に関して、特によく寄せられる代表的な疑問にお答えします。
チェーンソーを取り扱うにはどんな資格が必要ですか?
業務でチェーンソーを取り扱う場合は、樹木の太さや種類を問わず「チェーンソーによる伐木等特別教育」の修了資格が必要です。
以前は「大径木」「小径木」と分かれていましたが、現在は法改正により1つの共通資格に統合されています。なお、趣味やDIYなど完全なプライベートで扱う場合は法的な資格は不要です。
チェーンソーの資格取得には何日かかりますか?
チェーンソーによる伐木等特別教育は、学科9時間・実技9時間の計18時間の受講が義務づけられています。
一般的な対面の教習所では、通常3日間のカリキュラムで実施されます。少しでも日数を短縮したい場合は、学科9時間をオンラインのWeb講座で事前に済ませておくことで、対面での拘束日数を実技のみに減らすことが可能です。
チェーンソーによる伐木等特別教育の受講はオンラインの通信講座がおすすめ
「現場が忙しくて3日間も従業員を拘束できない」「近くに教習所がない」とお悩みの事業者様・労働者様には、SATのオンライン通信講座(Web受講)がおすすめです。
SATのチェーンソーによる伐木等特別教育講座は、スマホやPCがあれば24時間365日いつでもどこでも受講を始めることができます。労働局確認済みの高度なAI顔認証システムを搭載しているため、社内での受講監視人を立てる手前も一切かかりません。
学科修了後は、アプリ上でデジタル修了証が即日自動発行されるため、スムーズに次のステップ(実技講習)へと進むことができます。無駄な移動時間や拘束時間を極限まで減らし、効率的な資格取得を目指しませんか?
▶ SATの「チェーンソーによる伐木等特別教育」Web講座の詳細・お申込みはこちら
まとめ:仕事でチェーンソーを使うなら特別教育を受講しよう
チェーンソーはホームセンターでも簡単に手に入る電動工具なので、自営業の方も仕事で便利だと使用するケースが多いでしょう。
しかし、仕事でチェーンソーを扱うなら、必ず合計18時間以上の特別教育を受けなければなりませんので注意が必要です。
SATでは、Webを利用した特別教育講座を取り扱っています。労働局に確認済みのAI顔認証システムを搭載しているので、受講に監視人は必要ありません。自分のペースで座学の特別教育を受けられます。




