社会人が働きながら国家資格である介護福祉士を目指す場合、実務経験を積みつつ通信講座や研修を活用して学習を進める実務経験ルートが主流です。
介護未経験からでも働きながら段階的にステップアップし、資格取得による給与増やキャリアアップを目指せます。この記事では、働きながら介護福祉士になる具体的な方法や4つの受験資格ルート、仕事内容の違い、取得するメリットを分かりやすく解説します。
本ブログでは社会人から介護福祉士を目指す方法について解説します。高卒で介護福祉士を目指したい方はこちらをご参考にしてください。
目次
社会人が働きながら介護士になるには

社会人が介護士を目指す場合、必ずしも最初から特別な資格が必要なわけではありません。介護業界は人手不足が続いており、無資格・未経験者の採用を積極的に行う施設や事業所が数多く存在します。
働き始める手段としては、主に2つのアプローチがあります。1つ目は「無資格・未経験歓迎」の求人に応募し、現場でのOJTを通じて基本的な業務を身につけていく方法です。正社員だけでなく、最初は週数日のパート勤務から始めて徐々に仕事に慣れていく社会人も少なくありません。2つ目は、介護職の基礎知識を学べる「介護職員初任者研修」をスクールや通信講座で修了してから就職活動を行う方法です。
資格取得支援制度を設けている事業所を選べば、受講費用を補助してもらいながらスムーズにキャリアをスタートできます。
無資格・未経験でも老人ホームなどの施設勤務であれば介護の仕事をスタートできますが、訪問介護事業所(ホームヘルパー)で働く場合は「生活援助」も含めて初任者研修以上の資格が必須です。
施設勤務の場合でも、未経験・無資格の間は清掃や配膳、見守りといった周辺業務から担当し、段階的に介助技術を身につけていくのが一般的です。
社会人が働きながら介護福祉士になるには
国家資格である介護福祉士になるには、一定の実務要件を満たした上で国家試験に合格する必要があります。働きながら目指すアプローチには「無資格から直接働く方法」と「研修を修了してから進む方法」の2通りがあり、それぞれ特徴が異なります。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 無資格・未経験から就職 | ・今すぐ給与を得ながらスタートできる ・職場の資格取得支援制度を利用できる場合がある |
・身体介助など一部の業務に制限がある ・資格手当がつかないため初期給与が低め |
| 研修修了後に就職・ステップアップ | ・基礎知識と技術を事前に習得できる ・資格手当が支給され採用時の選択肢が広がる |
・受講費用と受講のための時間が必要になる ・就業開始までに一定の学習期間がかかる |
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「実務経験について」
無資格・未経験から介護現場で働き始める方法
特別な準備期間を設けず、すぐに介護職としてのキャリアを始めたい方に適した方法です。未経験者歓迎の施設に入職し、先輩職員の指導を受けながらシーツ交換や清掃、見守りといった周辺業務から徐々に業務範囲を広げます。実務経験の日数(3年間・1,095日以上)を早く稼ぎ始められる点が大きな利点です。正社員はもちろん、非常勤やパート勤務の日数も算入できますが、3年間の在籍期間に加えて「実働540日以上」の従事日数を満たす必要がある点には注意しましょう。
初任者研修・実務者研修を修了してステップアップする方法
通信講座やスクールの夜間・土日コースを利用し、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修を修了してから現場に入る、あるいは働きながら順次修了していく方法です。最寄りのスクールの教室に通って実技を直接学ぶスクーリングと自宅学習を組み合わせることで、体系的な介護技術を無理なく習得できます。事前に基礎を固めておくことで現場での負担が軽くなり、資格手当による待遇向上や国家試験の受験要件クリアへと直結します。
介護士・介護福祉士とはどんな仕事?

介護士と介護福祉士は、どちらも要介護者の生活を支える専門職ですが、保有資格の有無や現場で求められる役割、専門性の深さに明確な違いがあります。
介護士の主な仕事内容
介護士(無資格または初任者研修修了者)の主な業務は、利用者の日常生活を直接サポートすることです。
- 身体介助:食事補助、入浴介助、排泄介助、移動や移乗のサポート
- 生活援助:居室の清掃、洗濯、買い物代行、食事の調理や準備
- レクリエーション・見守り:体操や趣味活動の企画・進行、利用者の安全確認
介護福祉士の主な仕事内容
介護福祉士は、高度な専門技術に基づいた直接介助に加え、現場の指導役としての役割を担います。
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- 身体介護:食事・入浴・排泄・着替え・移動など、日常生活に必要な動作をサポート
- 生活支援:炊事・洗濯・買い物などの家事を手伝い、利用者が安心して生活できるように支援
- 社会活動支援:地域活動への参加を促したり、人との交流を支援したりして、社会からの孤立を防ぐ
- 相談・助言:利用者やその家族からの相談に応じるほか、現場の介護スタッフへの指導や助言(ケアの質の向上)を行う
介護福祉士と社会福祉士は何が違う?
介護福祉士と社会福祉士は、どちらも福祉分野の国家資格ですが、主たる業務領域が異なります。
- 介護福祉士:利用者の身体に直接触れて介助を行う「直接援助」が主業務です。主に特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護現場で活躍します。
- 社会福祉士:生活に困窮している人や高齢者、障害者からの相談に応じ、適切な福祉制度やサービスへとつなぐ「相談援助」が主業務です。地域包括支援センターや行政機関、医療ソーシャルワーカーとして病院などに配置されます。
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」
介護士・介護福祉士が活躍できる場所
介護職が活躍できる職場は多岐にわたり、それぞれ提供するサービスや勤務形態が異なります。
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入所型施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホームなど)
24時間体制で利用者の生活全般を支える施設です。早番・日勤・遅番・夜勤のシフト勤務が基本となり、夜勤手当が付くため収入を高めやすい環境です。
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通所型サービス(デイサービス、デイケアなど)
自宅から通う高齢者を受け入れ、食事や入浴、機能訓練を提供する施設です。原則として日勤帯のみの勤務となるため、家庭やプライベートと両立しやすい特徴があります。
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訪問介護事業所(ホームヘルパー)
利用者の自宅を訪問し、身体介助や生活援助をマンツーマンで提供します。登録ヘルパーであれば週数日・短時間勤務など、柔軟な働き方を選べます。
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グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
少人数の認知症高齢者が共同生活を送る住居で、調理や掃除などを利用者と共同で行いながら自立を促します。
介護福祉士の年収目安
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所における介護福祉士の平均給与額は月額34万3,430円(基本給+手当+一時金)です。賞与等を含めた平均年収の目安はおよそ410万〜430万円程度となります。
一方で、保有資格のない介護職員の平均給与額は月額28万4,430円となっており、介護福祉士を取得している職員とは月額で約5万9,000円、年間換算では約70万円前後の給与差が生じます。
この差が生じる理由は、事業所が独自に支給する資格手当に加え、国の処遇改善加算において、経験・技能のある介護福祉士など現場のリーダー級職員へ重点的に賃金改善が配分される仕組みがあるためです。介護現場で安定した高収入を目指す上で、介護福祉士の取得は極めて有効な手段です。
介護士・介護福祉士の受験資格を取得する4つのルート
介護福祉士国家試験を受験するには、法律で定められたルートに従い、所定の受験資格を取得する必要があります。
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)」
実務経験ルート(社会人に最もおすすめ)
社会人が働きながら介護福祉士を目指す場合の標準的なルートです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験要件 | ① 介護現場での実務経験「3年以上(1,095日以上かつ従事日数540日以上)」 ②「介護福祉士実務者研修」の修了 |
| メリット | ・仕事を辞めずに給与を得ながら資格要件を満たせる ・実務で得た知識と技術が筆記試験対策に直接活きる ・実務者研修を修了すると実技試験が免除される |
| デメリット | ・3年間の実務従事期間が必要 ・就労と研修受講・筆記試験対策を両立する自己管理が求められる |
介護未経験からでも、施設に就職して働き始めると同時に実務経験のカウントをスタートできます。実務者研修は通信講座を活用すれば、自宅での課題提出とスクーリング数日間で修了可能です。最寄りの教室で実施されるスクーリング日程に合わせて受講計画を立てると無理なく進められます。

実務経験3年間(1,095日・従事日数540日以上)は、国家試験の実施年度末(3月31日)までに満たす見込みがあれば受験申込みが可能です。必ずしも出願時点で3年を満たしている必要はありません!
養成施設ルート(専門学校・大学)
厚生労働大臣が指定する介護福祉士養成施設(大学・短大・専門学校など)に通学して修了するルートです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験要件 | 指定の養成施設を修了すること(普通高校卒は2年以上、福祉系短大卒等は1年以上) |
| メリット | ・体系的な理論と実技を網羅的・専門的に学べる ・実技試験が免除される ・国家試験対策カリキュラムが充実している |
| デメリット | ・学費(年間数十万〜百数十万円程度)が発生する ・日中に通学する必要があり、フルタイム就労との両立が困難 |
社会人がこのルートを選択する場合、夜間部のある専門学校や通信制大学などを選ぶ必要がありますが、時間と費用の負担が大きいため実務経験ルートに比べるとハードルが高くなります。
福祉系高校ルート
文部科学省および厚生労働省が指定する福祉系高校に入学し、指定の教科・科目を修めて卒業するルートです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験要件 | 福祉系高校(または特例高等学校等)で指定科目を履修し卒業すること |
| メリット | ・高校卒業とほぼ同時に国家試験の受験資格が得られる ・最短の10代で国家資格を取得して即戦力になれる |
| デメリット | ・すでに社会人として生活している大人の再選択肢としては現実的でない ・卒業年度の区分によって実技試験が課される場合がある |
すでに高校や大学を卒業している社会人のキャリアチェンジとしては対象外となるケースがほとんどですが、制度上の主要な正規ルートの1つとして確立されています。
経済連携協定(EPA)ルート
日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムとの二国間協定(EPA)に基づき、外国人介護福祉士候補者として来日した方向けの特別ルートです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験要件 | 候補者として受入れ施設で研修を受けながら3年以上の実務経験を積むこと |
| メリット | ・受入れ制度に基づく公的なサポートを受けながら就労・学習できる ・合格後は在留資格「介護」へ変更して日本で長期就労可能 |
| デメリット | ・対象者がEPA協定国の外国人候補者に限定される ・高度な日本語能力と専門用語の習熟が求められる |
日本国籍の社会人や一般的な外国人労働者の転職ルートではありませんが、国際的な介護人材確保の観点から法的に規定されている受験資格ルートです。
介護士・介護福祉士に転職するメリット

介護職への転職や介護福祉士資格の取得には、雇用の安定性や金銭面、精神的な充足感において数多くのメリットがあります。
資格手当による年収増やキャリアアップが狙える
介護福祉士を取得すると、毎月の給与に1万円〜3万円程度の資格手当が上乗せされます。また、国の処遇改善施策により賞与や一時金の支給額も増加します。さらに、訪問介護のサービス提供責任者やフロアリーダー、自治体によっては生活相談員などの役職に就くための強い要件・強みとなるため、将来的なキャリアアップへの道が拓けます。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
超高齢社会において全国どこでも求人需要が高い
少子高齢化が加速する日本において、介護サービスに対する需要は衰えることがありません。全国47都道府県の都市部から地方まで無数の介護施設が存在するため、配偶者の転勤やライフスタイルの変化に伴う引っ越しがあっても、求人に困る心配がありません。一度資格を取得すれば、生涯にわたって安定した雇用を確保できます。
利用者や家族から直接感謝されるやりがいがある
介護業務は、利用者の生活を支える人間味にあふれた仕事です。日々の食事や入浴、会話を通じて信頼関係が深まると、「いつもありがとう」「あなたがいてくれて本当に助かる」といった感謝の言葉を日常的に受け取ることができます。自分の介助によって利用者が笑顔を取り戻す姿を間近で見られることは、大きなモチベーションにつながります。
介護福祉士の資格を取得するなら
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まとめ
社会人が働きながら介護福祉士を目指すなら、現場での実務経験を3年間積みつつ実務者研修を修了する「実務経験ルート」が最も現実的で確実な選択肢です。未経験からでも介護士として働き始めることができ、国家資格を取得すれば手当や処遇改善による給与アップ、将来の昇進など数多くの恩恵を受けられます。ご自身の生活リズムに合った学習環境を整え、国家試験合格に向けて計画的に準備を進めていきましょう。







