第一種電気工事士

第一種電気工事士の作業範囲は?第二種との違いも押さえよう

第一種電気工事士の作業範囲は?第二種との違いも押さえよう

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第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位資格です。また、第二種電気工事士と比較して、専門性が高まっていたり、認められている作業範囲などが広がっていたりするのが特徴的です。

しかし、「作業範囲が広いというのは具体的にどういうこと?」といった、疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、第一種電気工事士の作業範囲や免状の有無による違い、試験概要まで分かりやすくお伝えします。

第一種電気工事士が作業できる範囲

まずは、第一種電気工事士で認められている作業範囲について、免状を持っている場合と持っていない場合の違いと共に解説します。

第一種電気工事士の免状を持っている場合

第一種電気工事士の免状を持っている場合は、資格取得証明を受け取ることが可能です。そして、作業範囲については、第二種電気工事で認められている範囲に加えて以下の内容も追加されています。

NO仕事内容
1最大電力500kW未満の自家用電気工作物で、需要設備に関する電気工事
2一般用電気工作物の電気工事

自家用電気工作物とは、高圧電力(600Vを超える)を必要とするビルや工場などで使用する設備や、低圧電力(600V以下)でも50kW未満の太陽光発電設備や、20kW未満の風力発電設備など(小出力発電設備に該当する設備)を指します。

また、一般用電気工作物とは、低圧電力で使用する電気設備のことです。一般用電気工作物と自家用電気工作物は、共通している項目もありますが高圧・低圧電力で分けられている部分が多い傾向があります。

第一種電気工事士の免状を持っている場合は、第二種電気工事士より作業できる現場が増えます。

また、以下の条件に該当する現場であれば、電気主任技術者として現場・設備管理も担当可能です。

NO条件
1最大電力500kW未満の自家用電気工作物に該当する需要設備(1)
2(1)を設置している設置事業者が主任技術者を選ぶ
3産業保安監督部長などの許可を受ければ主任技術者として(1)の管理が可能

本来は電気主任技術者(電験三種、二種、一種)の資格が必要ですので、今後現場管理や設備管理の仕事も長期的に関わりたい方は、電気主任技術者の資格取得も目指しましょう。

試験に合格したけれど免状を持っていない場合

第一種電気工事士の筆記試験・技能試験どちらにも合格し、免状は持っていない場合は作業範囲が限定されます。

具体的には、産業保安部長から認定電気工事従事者認定証の発行、受け取ることができれば簡易電気工事を行えます。簡易電気工事とは、自家用電気工作物のうち最大電力500kW未満の需要設備(電源設備など)で、なおかつ低圧電力に使用する現場での電気工事のことです。

そのため、一般用電気工作物の電気工事や、高圧電力の需要設備などでの作業はできません。

第二種電気工事士との作業範囲の違い

第一種電気工事士と第二種電気工事士の作業範囲は、第一種電気工事士の方が広いのが特徴です。

第一種電気工事士合格者で免状を持っている場合は、高圧電力での需要設備の電気工事が可能ですし、自家用電気工作物の作業も認められています。

しかし第二種電気工事士の場合は、低圧電力の一般用電気工作物に関する配線や受電設備の作業のみと定められています。

つまり大規模施設での作業は第一種電気工事士のみに許可されています。

NO作業範囲
1第一種電気工事士:低圧電力(600V以下)と高圧電力、工場やオフィスビル・商業施設などの電気工事
2第二種電気工事士:低圧電力(600V以下)の住宅や小規模オフィスでの電気工事

ただ、特定の条件をクリアしている第二種電気工事士取得者の場合は、一般用電気工作物の作業をおこなう簡易電気工事や、電気主任技術者としての業務も可能です。しかし、条件に違いがあるので、以下の内容から確認してみてください。

【簡易電気工事の条件】

NO条件
1第二種電気工事士取得後、実務経験3年以上(電気工事の会社へ就職し、現場経験を積んでいること)経過していること
2認定電気工事従事者認定講習受講後、産業保安監督部長から認定電気工事従事者認定証を交付される

【電気主任技術者の条件】

NO条件
1最大電力100kW未満のビルや工場に勤務していると、許可主任技術者として管理業務もおこなうことができる

さらに詳しく!
第二種電気工事士の試験内容は?試験日や勉強方法も押さえよう

第一種電気工事士の試験概要

ここからは第一種電気工事士の試験概要を、試験科目などに分けてお伝えします。これから試験対策を始める方は、とくに確認してみてください。

受験資格と免状交付の条件

第一種電気工事士の受験資格はありません。学歴や職歴、実務経験など一切問われないので、誰でも挑戦できます。

しかし、免状交付については3年以上の実務経験が必要です。

ちなみに実務経験については、一般用電気工作物あるいは自家用電気工作物の作業経験を指します。

試験科目は筆記試験と技能試験の2種類

第一種電気工事士は、筆記試験と配線などを規定時間に完了させる技能試験の2種類で交際されています。また、どちらも合格しなければ、免状交付されません。

筆記試験では、交流回路の特性など基礎理論や電気設備の構造、施工方法や工具や材料の名称や用途を問う問題などが出題されるのが特徴です。また、4択のマークシート方式で、第二種電気工事士よりも出題範囲は広くなっています。

技能試験は、試験前に13種類の候補問題が公開され、試験当日に13種類のうち1種類が出題されます。試験時間は60分で、指定工具(電工ナイフやドライバーなど)を用います。

試験の申し込み方法

第一種電気工事士の試験は、郵送もしくは一般社団法人電気技術者試験センターの電子申請にて、申し込み可能です。また、試験日は筆記試験と技能試験で異なり、筆記試験が先に実施されます。

受験手数料は郵送11,300円で、電子申請は10,900円と異なる点にも注意が必要です。

そして2023年の試験実施日については、以下の通りです。

NO実施日
1学科試験:8月24日(木)~9月10日(日)[CBT 方式]      10月 1日(日)[筆記試験]
2技能試験:12月10日(日)

申し込み期間は6月19日(月)~ 7月6日(木)までと定められているので、忘れないよう適宜確認するのも大切です。

まとめ

第一種電気工事士の作業範囲は、低圧電力だけでなく高圧電力の必要な工場やビルなども含まれるのが特徴です。

また、免状の有無で、認められる作業内容が異なるため注意しましょう。

第一種電気工事士の資格取得を目指す場合は、第二種電気工事士を取得し実務経験を3年以上積んだあとに受験すると、免状交付の条件をクリアした状態で手続きを進められます。

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