農業は私たちの食を支える重要な産業ですが、その一方で多くの労働災害が発生している業界でもあります。農林水産省によると、農業では毎年250件前後の農作業中の死亡事故が発生しており、就業人口10万人当たりの死亡者数は他産業と比べても高い水準が続いています。事故の多くは、「慣れているから大丈夫」という油断や、安全教育不足によって発生しています。
本記事では、農業で実際に起きている労災事例を紹介するとともに、事故防止に役立つ特別教育について解説します。
目次
農業で実際に起きている労災事例
1. トラクターの転倒・転落事故

農業事故で最も多いのが、トラクターによる事故です。
例えば、圃場の法面(のり面)付近で作業していた際、車体がバランスを崩して横転し、運転者が車体の下敷きとなって死亡する事故が発生しています。シートベルトを着用していなかったことや、安全フレーム(ROPS)が装着されていなかったことが被害拡大の要因となるケースもあります。
2.コンバインへの巻き込まれ事故

収穫中、コンバインに稲わらが詰まったため、エンジンを停止しないまま除去しようとして手や足が巻き込まれ、重傷・死亡する事故が発生しています。
農業機械は「少しだけだから」と安全措置を省略したときに重大事故へつながることが少なくありません。
3. 刈払機による切創・飛来物事故

草刈り作業中に刈払機がキックバックを起こして足を負傷したり、高速で飛んだ石が周囲の作業者へ当たり重傷となったりする事故も多く発生しています。
農林水産省でも、刈払機作業は重点的な安全対策が必要な作業として啓発資料を公開しています。
4. チェーンソーによる事故

果樹園や山林に隣接する農地では、樹木の伐採や枝払い作業を行うことがあります。
チェーンソーのキックバックによる切創事故や、伐倒木・枝の落下による死亡事故は毎年発生しており、特に伐木作業には専門的な知識と技術が必要です。
5. 高所作業中の転落事故

果樹園では脚立や高所作業車を使用して収穫・剪定を行います。
脚立からの転落や、高所作業機と樹木との間にはさまれる事故なども報告されており、高所作業には十分な安全対策が求められます。
なぜ農業でも特別教育が重要なのか

農業では、「経験者だから」「長年やっているから」という理由で、安全教育が十分に実施されないケースがあります。
しかし実際には、農作業事故の多くは機械の誤操作や危険作業時の知識不足によって発生しています。また、農林水産業では、経験の浅い労働者で事故が多く発生していることから、雇入れ時教育や継続的な安全教育の重要性を示しています。
特別教育には、
- 危険性の理解
- 正しい機械の取扱い方法
- 保護具の使用方法
- 緊急時の対応
など、重要災害を防ぐために必要な知識・技能が含まれています。
万が一事故が発生した場合には、従業員の命や健康だけでなく、
- 労災対応
- 作業停止による生産性低下
- 人材確保への影響
- 企業・農園の信用低下
といった経営面への影響も避けられません。
安全教育は「コスト」ではなく、「事故を防ぐための投資」と考えることが重要です。
農業で受講を検討したい特別教育一覧
農業では作業内容によってさまざまな特別教育が必要になります。
| 特別教育 | 該当する作業例 |
|---|---|
| チェーンソーによる伐木等特別教育 | 果樹園の伐採・枝払い、農地周辺の樹木伐採 |
| 刈払機取扱作業者安全衛生教育(安全衛生教育) | 草刈り・除草作業 |
| フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 | 高所での剪定・設備点検・屋根作業 |
| 低圧電気取扱業務特別教育 | 農業施設や設備の電気設備の点検・保守 |
| 酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育 | サイロ、貯留槽、ピットなどでの作業 |
| フォークリフト運転技能講習※ | パレット積みされた肥料・資材・収穫物の運搬 |
| 小型移動式クレーン運転技能講習※ | 重量物や大型資材の積み込み作業 |
| 玉掛け技能講習※ | クレーンを使用した荷の吊り下げ作業 |
※技能講習であり、特別教育ではありません。
農業業界で特に需要の高い教育
業界へのアンケート調査などから、農業業界の方に特にお求めの高い特別教育のグループをご紹介します。
最もお求めが多いグループ
次いでお求めが多いグループ
皆さんは受講済みでしょうか。この際に確認しましょう。
eラーニングなら繁忙期でも受講しやすい
農業では繁忙期になると、まとまった時間を確保することが難しい事業者も少なくありません。
そのような場合は、eラーニングによる特別教育を活用することで、
- 作業の合間に受講できる
- 移動時間が不要
- 複数の従業員へ計画的に教育を実施できる
- 教育履歴を管理しやすい
といったメリットがあります。
繁忙期だからこそ、安全教育を後回しにするのではなく、効率的に実施できる方法を取り入れることが重要です。

SATのオンライン講座は24時間365日いつでも受講できるうえ、顔認証システムによって管理者がいなくても大丈夫です。アプリ版修了証も即日発行できるので、いろいろな場面で活用できます。
さらに、SATのWeb講座には以下の特徴があります。
- 労働局確認済みのAI顔認証システムで、受講の有効性を担保。
- スマホ、PCがあれば、通勤時間や休憩時間に少しずつ進めることが可能。
- 学科と実技修了後、プラスチックカード版の修了証も申請完了後1営業日以内に発送。
※プラスチックカード版修了証カードは、オプションです。
実技教育については自社等で実施する必要がありますが、学科をWeb化することで、従業員を集める拘束時間を大幅に短縮でき、コストと手間の両面で大きなメリットが得られます。
まとめ
農業では、トラクターの転倒、コンバインへの巻き込まれ、刈払機やチェーンソーによる事故、高所からの転落など、重大災害につながる危険が数多く存在します。こうした事故の多くは、適切な安全教育と正しい作業手順によって防止できます。
農作業の安全性を高めるためには、法令で義務付けられている特別教育や、安全衛生教育・技能講習を計画的に実施することが大切です。従業員の命を守り、安心して働ける職場づくりのためにも、自社の作業内容を見直し、必要な教育が漏れなく実施されているかを確認してみてはいかがでしょうか。


