肉体労働をともなう建設業は、「男性社会」のイメージが根強く残っています。
しかし、労働環境の改善により、建設業で働く女性は着実に増えています。
そこで今回は、建設業界に女性スタッフが増えている背景や、女性が建設業に向いている理由のほか、建設業に従事する際の注意点などについて解説します。
目次
近年、建設業界で活躍する女性が増えている
「厳しい肉体労働を伴う建設業での仕事は、女性には無理」という意識は、女性自身に限らず、世間一般に根強く残っています。
女性には、妊娠・出産・育児・介護など、さまざまなライフイベントが控えているケースが多いため、労働するには育休や産休、介護休暇などの福利厚生が必要になってくるでしょう。また、職場の環境面では女性用のトイレや更衣室の準備も必要になります。
建設業はこれまで、これらの整備が遅れていたため、女性が建設業を避けるのは当たり前の状況でした。
しかし、業界全体が長らく深刻な人手不足に直面しており、近年では女性の就業者を増やす取り組みに力を入れています。
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1 | 快適トイレの標準仕様の決定・導入の経費支援 |
2 | 女性技能者が働きやすいモデル工事現場の支援 |
3 | 次世代女性リーダーの育成 |
4 | 女性技術者同士の意見交換会、コミュニティの立ち上げ |
5 | 女子学生を対象とする、女性技術者の現場見学、意見交換会、セミナーなどの実施 |
6 | 女性技術者に対する、入札参加資格や工事成績点などの加点 |

このような取り組みの影響もあり、女性の施工管理や、技術者や技能者は増加傾向にあります。
2024年度(令和6年度)に発表された「建設産業における女性定着促進に関する実態調査」での女性就業者数と比率は次のとおりです。
技術者 | 10% | 16,898人 | 169,181人 |
技能者 | 2% | 363人 | 14,834人 |
事務系職員 | 38% | 24,781人 | 64,752人 |
その他 | 14% | 2,812人 | 49,236人 |
合計 | 17% | 44,854人 | 268,234人 |
次に、2015年度(平成27年度)に国土交通省が実施した「建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査」の結果と比較します。
技術者 | 4.5% | 4,986人 | 110,113人 |
技能者 | 4.2% | 549人 | 13,051人 |
事務系職員 | 37.6% | 15,843人 | 42,124人 |
その他 | 13.3% | 1,994人 | 15,009人 |
合計 | 13.0% | 23,372人 | 180,297人 |
2015年度と比較すると、2024年度の女性技術者の数は約3倍以上増え、割合も倍以上増加しました。女性技能者の比率は下がりましたが、男性の技能者が増えたことが要因と考えられます。
なお、2024年度の女性管理職は3,462人、比率は4%という結果でした。2015年度の2.5%からやや増えたものの、技術者、技能者と比べ、女性の管理者はまだまだ少ないのが現状です。
施工管理の仕事が女性に向いている理由
施工管理は実際の施工には携わらないため、女性でも働きやすい職種です。肉体労働がないという点以外に、女性ならではの特性が施工管理の業務に適しているといえます。
高いコミュニケーション能力や共感能力が役立つから
一般的に、女性は男性と比べて、コミュニケーション能力や共感能力が高いとされています。
施工管理は、施主・作業員・専門工事業者・役所などと打ち合わせをする機会が多々あります。このような場面でも、女性はスムーズなコミュニケーションができるため、関係者と良好な人間関係を築きやすいでしょう。

また、男性より女性のほうが話しやすいと感じる人が多い点も、女性が施工管理に向いている要因の一つです。
小さな異変を察知し、トラブルを未然に防ぐことが重要だから
女性は男性と比べ、細かい部分によく気が付く傾向にあります。そのため、建設現場に潜む危険を察知でき、ミスの防止や安全確保に役立ちます。
特に、事故防止で実施するヒヤリハット活動において、女性は丁寧な改善策を提案できると評価されることも多いようです。

また、女性は男性と異なる視点から物事を捉えるため、作業環境の改善や安全衛生面のチェックなど、女性の視点が役立つケースもあるでしょう。
女性が施工管理で働く際の注意点
建設業で働く女性は増えているものの、全体的に見るとまだまだ少ないのが現状です。女性が少ない建設現場で施工管理として働く際は、以下のことに注意しましょう。
求人に「女性」に関する記載があるか確認する
求人情報に「女性歓迎」といったキーワードがある求人は、女性のための制度や設備が整っている可能性が高いでしょう。また、「女性が活躍」という記載のある求人は、女性の先輩がいる可能性が考えられます。
女性に関する文言がない場合、未経験の研修制度がある企業や、働きやすい環境づくりに注力する企業を選びましょう。
日頃から体調管理に気を配る
施工管理は施工に携わらないとはいえ、建設現場の巡回・指導監督・写真撮影などの業務を行います。工期の遅れで残業が続く場合や、重い荷物を運ぶなど、体力的につらくなることもあるでしょう。
夏や冬も屋外で業務することもあるため、日頃から日焼け対策や寒さ対策など体調管理を怠らないことも肝心です。
家族から反対される可能性も
女性が建設業で働くことに対し、「危険な仕事」という理由で家族が反対する可能性も考えられます。建設業界には、いまだに「きつい・汚い・危険」という3Kのイメージが残っているためです。
施工管理に就くことを反対された場合を想定して、なぜ施工管理を選んだのか、仕事に対する不安を払拭できる明確な理由を準備しておくことをおすすめします。
施工管理技士になるためには資格取得が必要
施工管理業務は未経験や未資格でも従事することは可能ですが、施工管理技士の資格取得を目指す必要があります。
施工管理技士は国家資格で、1級と2級に別れています。1級と2級の違いは工事規模の違いや、1級の場合は監理技術者になれるといった点が違います。
また、施工管理技士を取得するためには、実務経験が一定年数必要です。実務を行いながら試験勉強を行うのは大変ですが、通信講座なら働きながら勉強することの両立がしやすいです。
SATの施工管理技士通信講座の場合、講義が収録された動画とフルカラーで作成されたテキストの2つを使って学習を進めます。動画はテキストに則って講義が進みます。
動画はオンラインでも視聴可能です(※Eラーニング講座をお申し込みの場合)。インターネットがつながっていればどこでも動画視聴できるので、通勤電車の中ではスマートフォンで動画視聴をし、帰宅後にPCで動画とテキストで学習をするといったことも可能です。

施工管理技士資格の取得には、通信講座はとても相性が良いです。無料の資料請求を行うとサンプル教材が受け取れるので、まずは資料請求をされてみてはいかがでしょうか。
女性でも施工管理で活躍できます!
建設業は男性だけの仕事というイメージは過去のもので、施工管理として活躍する女性は着実に増えています。女性の就業者を増やすため、トイレなどの設備面に加え、女子学生との意見交換会、リーダー育成といった取り組みが実を結んでいるといえるでしょう。
コミュニケーション能力と共感能力、細かいところに気が付くなど女性ならではの視点は、施工管理の業務で大いに役立ちます。

なかなか指示に従わない作業員がいたとしても、日々の業務に真摯に向き合えば必ず認めてくれるはずです。