建築物環境衛生管理技術者(以下、ビル管理技術者)の業務内容は、空調設備管理や給湯・給水設備管理、ボイラや電気設備管理などを行います。また、商業施設やマンションなど3000平方メートル以上の建物には必ずビル管理技術者お設置しなければならないと法律で決まっています。そのため、ビル管理技術者は非常にニーズの高い資格だといえるでしょう。
しかし、ビル管理技術者の合格率は10%~20%前後となっています。では、ビル管理技術者の合格するために必要な勉強方法はどのような方法があるのでしょうか。この記事では、ビル管理技術者に合格するための勉強方法について解説していきます。
目次
ビル管理技術者の合格にはどのくらい勉強時間が必要なのか?
ビル管理技術者に合格するためには、3ヵ月で取得するためには、平日3時間・休日3~5時間、10ヵ月で取得する想定でも平日1時間・休日2~5時間程度の勉強時間は必要になります。
膨大な時間が掛かる理由はビル管理技術者が取り扱う業務が非常に多岐にわたるためです。また、学習する内容は憲法や化学物質、熱伝導の法則などの幅広い分野を含めるため膨大な学習時間が必要だといえます。
ビル管理技術者試験の難易度
ビル管理技術者試験の難易度について、直近3年間の合格率を基にみていきましょう。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和4年度 | 9,413人 | 1,681人 | 17.9% |
令和3年度 | 9,651人 | 1,707人 | 17.7% |
令和2年度 | 9,924人 | 1,933人 | 19.5% |
直近3年間の合格率は上記のとおりです。
冒頭で申し上げた通り、合格率が10%~20%と低い傾向の試験であることがわかります。
合格が不可能というわけではありませんが、計画的に効率よく勉強しなければ、合格は厳しいといえるでしょう。
次のセクションで紹介する内容を参考にして、ビル管理技術者の勉強方法を確認してください。
ビル管理技術者の勉強方法
ここでは、ビル管理技術者に合格するための勉強方法について詳しくみていきます。それぞれの傾向に合わせて最適な学習方法を選択していきましょう。
独学で学ぶ
勉強方法の1つ目が独学で学ぶといった方法です。
参考書や過去問、動画教材を用いた勉強方法が該当します。
参考書と過去問で学習する
参考書と過去問を用いた勉強法は1番王道なのが特徴です。
過去問題集を繰り返し解くといったシンプルな内容ですが、テキストの重要項目をおさえて勉強すると非常に効率よく対策できます。
コストも安いといったメリットもあるため、具体的に確認しておきましょう。
メリットと参考書での勉強がおすすめな人の傾向
メリット
参考書のメリットはコストが非常に低いことが最大のメリットだといえます。また、基礎的な学習内容と過去問を繰り返すことによって適切な学習を進めることが可能です。
どんな人におすすめの学習方法なのか
スケジュールを決めて学習を進めるだけでなく、学習レベルを自分で徹底的に把握し、対策を行える人におすすめです。また、得意分野と不得意分野を自分で理解し、学習を続けていける人におすすめといえるでしょう。
おすすめの参考書
基本的な内容を学習するのに適している参考書です。テーマが見開きで扱われており、図や写真が多いことから初心者でも学習しやすい内容となっているといえます。
ビル管理技術者試験の受験者から長く愛用されている参考書です。各項目の見開き構成でコンパクトかつ読みやすいのが特徴で、最新の出題傾向に沿った内容を掲載しています。
各章ごとに覚えるべきポイントや出題傾向が記載されているので問題集とあわせて使用することで今までよりも効率的に学習できるでしょう。
おすすめの過去問
過去6年分の問題が収録されている参考書です。解説がわかりやすく、テキストの内容を学習することによってビル管理技術者の合格を目指せるでしょう。テキストは非常にページ数が多いため、基本的な内容をゼロから学習する場合は他のテキストも併用することで合格の可能性を引き上げることが可能です。
過去8年間の問題(全1,440問)が掲載されている問題集です。ビル管理技術者はさまざまな業種にまたがっているので試験範囲が広く問題数も多いため、多くの問題を反復練習することが大切です。
この問題集は問題と解答、解説が並列掲載されているので、正解を確認しながら基礎知識も実践的に身に付けられるでしょう。
上記のサイトは、参考書や問題集ではありませんが、ホームページにて過去3年間の問題が掲載されています。
詳しく解説が施された問題集などと比較すると劣りますが、試験前の実力試しに用いたり、自分の実力を一度把握したりする際に役立ちます。
合格基準なども掲載されているので、試験データとあわせて確認してください。
動画教材で学習する
メリットと動画教材での勉強がおすすめな人の傾向
メリット
ビル管理技術者の試験勉強に動画を採用するメリットは、隙間時間を駆使し何処にいても学習が行える点にあります。テキストと合わせながら動画を視聴することで、学習レベルをより高めることができるでしょう。
どんな人におすすめの学習方法なのか
移動時間の多い方、平日に学習時間の確保が難しい人に特におすすめの学習方法です。
専門学校で学ぶ
ビル管理技術者を勉強する2つ目の方法が専門学校で学ぶといった手段です。
ビル管理技術者の専門学校は全国各地で48校あります。
参考書や問題集のみで独学する際と比較して受講料金が大幅に高くなりますが、カリキュラム付きで効率よく勉強できるので自分自身でスケジュールを立てる必要がありません。
受験資格や実務経験を有している方は、検討してみましょう。
メリットと専門学校での勉強がおすすめな人の傾向
メリット
専門学校や学校、通信教育を通して学習することによって自分でスケジュールを立てる必要がなくなります。特に2年の実務経験を有している方であれば、100時間以上の講義によってビル管理技術者の資格を取得することが可能です。
どんな人におすすめの学習方法なのか
ビル管理士技術者の受験要件を満たしているものの、自分だけでは学習の計画が立てられない方に特におすすめです。また、講義を受験できる時間があれば確実に資格を取得できるため、会社に許可を取ったうえで判断しましょう。
おすすめの専門学校
日本建築衛生管理教育センター
10万円程度の費用で講義を行っており、講義を全て受験することで資格の取得が可能です。また、講義以外の勉強方法は動画か独学、通信教育がメインとなっているため、会社の許可がとれる場合は講義の受講がおすすめです。
JTEX職業訓練法人日本技能教育開発センター
40,000円程度で申し込める通信講座です。ある程度スケジュールが定められており、JTEXの講座では短期間での学習を前提としています。また、過去問と平行して読むことによってより効率的な学習が可能となるでしょう。
ヒューマンアカデミー
25,000円程度で受講できる通信講座です。学習期間は4ヶ月となっており、レポートの添削もあるため、効率的な学習が可能といえます。また、提出したレポートによって学習レベルの把握も可能です。
ビル管理技術者に向けた具体的な勉強スケジュールの立て方
ここまでそれぞれの勉強法について紹介してきました。ここまでで自分に最適な勉強法の簡単なイメージはできたでしょう。しかし、それもきちんと計画を立て実行しなければ意味がありません。
ここからは具体的なスケジュールの立て方を紹介していきます。
基本的な用語を理解し、得意分野と不得意分野を理解する
実務経験を有していても基本的な用語を理解し、得意分野と不得意分野をはっきりさせる必要があります。そのため、1年を目安に学習する場合には、2~3ヵ月は状況の把握に努めましょう。
過去問を解き、問題文・解答の内容を理解する
動画やテキストを使用して学習する場合、過去問を徹底的に解き、ほぼ全ての問題や解答を理解できるほどの学習レベルが必要です。合格には65%以上の正答率で構わないものの、確実に合格するための学習レベルは決して低くないことに注意が必要だといえます。
合格に向けて勉強する際の注意点はなに?
では最後に合格に向けた勉強で注意するべきことを解説していきます。
独学の場合は自分の進捗度を理解する
通信講座・動画学習はある程度、自分の学習レベルを冷静に判断しなければなりません。また、テキストによる独学であれば、基礎的な用語の学習だけでは合格するのは難しい点には注意が必要です。通信講座と動画であれば、サポートもあるため、テキストのみによる学習が難しいと判断した場合は、サポートのある講座を選びましょう。
通学はほぼ講義のみ。講義であれば、受けられる時間と許可が必要
ビル管理士を通学によって取得を目指す場合、講義を受けるか職業訓練校に通うパターンが一般的です。しかし、講義の場合は会社からの許可、職業訓練校の場合は、通う場合失職している状態でなければ受講することが難しいといえます。
そのため、通学でビル管理士の取得を目指す場合は、企業や自宅が講義を受けられる場所にあることに加えて、許可を取る必要があるため難易度は非常に高いといえます。そのため、ビル管理技術者の合格を目指す場合は、テキストや動画による学習をおすすめします。
まとめ
ビル管理技術者の合格を目指す場合、かなりの学習時間が必要です。また、出題範囲が非常に広範囲にわたるうえに、全ての科目で一定以上の正答率がなければ、不合格となる難易度の高いものです。
そして、ビル管理技術者の勉強方法は、通学の難易度が非常に高いことから、独学や通信講座・動画がおすすめです。自分のライフスタイルにあわせた学習方法を選択していきましょう。