「職場で1級電気工事施工管理技士の資格を取るようにすすめられた」、「キャリアアップのために資格を取りたい」と考えている方は、少なくありません。
資格を取得する際のポイントとしては、過去問を中心に継続して勉強を行うことです。これを実践できれば、独学でも合格が狙えます。
そこで本記事では、1級電気工事施工管理技士の資格概要をはじめ、電験三種や電気工事士と比較した難易度を中心に紹介します。
目次
1級電気工事施工管理技士とは
1級電気工事施工管理技士とは、電気工事の現場で施工や品質管理、作業員や周辺の安全管理も行うために必要な資格です。
それでは、1級電気工事施工管理技士の詳細をみていきましょう。
1級電気工事施工管理技士の資格概要
前段で触れたように1級電気工事施工管理技士は、電気工事の現場で施工管理や配線などの品質管理、日程管理や安全管理までを取りまとめるために必要な資格です。
1級電気工事施工管理技士は国家資格の1つで、多くの電気工事会社で必要とされる人材・資格でもあります。
さらに以下の現場などで業務を遂行できるのも、1級電気工事施工管理技士の強みです。
No | 1級電気工事施工管理技士の強み |
---|---|
1 | 特定建設業の電気工事の主任技術者および監理技術者 |
2 | 特定建設業の電気工事の専任の技術者 |
3 | 現場ごとの主任技術者として業務を遂行(2級でも可能) |
誰でも1級電気工事施工管理技士を受験できるわけではない
1級電気工事施工管理技士は、さまざまな電気工事の現場で役立つ資格です。しかし、受験資格があり誰でも資格試験を受験できるわけではありません。
また、第一次検定(旧学科試験)と第二次検定(旧実地試験)で異なる受験資格のため、受験前に確認することも重要です。
第一次検定の場合、1級では試験が実施される年度に満19歳以上であれば受験可能です。ちなみに2級では同様に17歳以上で受験可能となっています。
なおこちらは令和6年度に改正された新しい制度となります。それまでは第一次検定の受験にも実務経験が必要でしたので、以前よりはかなり受験がしやすくなったと言えるでしょう。
第二次検定を受験する場合には実務経験が必要です。ただしこちらも以前の制度よりは実務経験の条件が緩和されています。
以前までは学歴によって必要な実務経験が定められていましたが、新しい制度では第一次検定に合格後に所定の実務経験の年数が必要になりました。例を挙げると、監理技術補佐の実務経験がある場合は、わずか1年間の実務経験で第二次検定の受験可能です。
令和6年度の受験制度の改正の理由は、慢性的な人手不足に悩む建築業界に少しでも若い人材を入れたいためです。1級の第一次検定では実務経験が必要ないため、学生でも受験がしやすくなっと言えるでしょう。
1級電気工事施工管理技士の難易度は高い?
はじめに、1級電気工事施工管理技士の難易度を合格率や試験科目の面から紹介していきます。
第一次検定と第二次検定の平均合格率
1級電気工事施工管理技士は、第一次検定と第二次検定の両方に合格することで、資格を得ることができます。
第一次検定の解答方式はマークシート方式、第二次検定は記述方式です。
また、第一次検定と第二次検定の合格率は以下のとおりです。
実施年度 | 第一次検定 (旧学科試験) | 第二次検定 (旧実地試験) |
---|---|---|
令和元年度 | 40.7% | 66.3% |
令和2年度 | 38.1% | 72.7% |
令和3年度 | 53.3% | 58.8% |
令和4年度 | 38.3% | 59.0% |
令和5年度 | 40.6% | 53.0% |
第二次検定は第一次検定を合格しているか、第一次検定免除の条件を満たしている場合にのみ受験可能です。そのため、第二次検定の合格率が高くなっている可能性があります。
試験科目と難易度
続いて、試験科目について紹介します。
1級電気工事施工管理技士 第一次検定
第一次検定は、電気工学や施工管理法と法規が中心です。午前中に2時間半、午後に2時間の合計4時間半と長時間にわたる試験となります。
マークシートでの解答であり、ほとんどの問題が正しいものや不適切なものを選ぶ形式です。
午前に57問、午後に35問、合計で92問のうち、60問を選択して解答する形式となっているため、事前に過去問で問題選択のイメージをつかんでおくとよいでしょう。
もちろん選択だけでなく必須の問題もあるので、必須の問題は確実に解答できるように対策をするのがおすすめです。過去問を解くと必須問題の傾向がわかってくるでしょう。
第一次検定では、正確な知識が求められるため、繰り返し問題演習をして知識を定着させることが必要です。
1級電気工事施工管理技士 第二次検定
第一次検定に合格すると、第二次検定という試験を受けます。第二次検定は記述式の問題もあり、3時間の制限時間の中で解答することが必要です。
第一次検定のように知識の暗記や正誤の判断だけでは歯が立ちません。第一次検定で理解した知識をもとに、より実践的な問題が出題されます。そのため、自分の理解したことや経験を文章として書き起こす必要があります。
特に第二次検定で難易度が高いのは、「施工経験記述問題」とよばれるものです。あなた自身が経験した施工と絡めて問題を解いていくことが大切です。経験記述問題には、工事の概要を答える必要があ流ので、工事名や場所、工期などを暗記しておき記述する必要もあります。
それらの基礎が整ったうえで、問題で与えられるテーマに沿って経験を解答していかなければならず、対策が難しいといえるでしょう。
そのほかの問題では、指定されたテーマについて記述をしたり、法規の空所補充をしたりする問題などが出題されます。
1級電気工事施工管理技士試験は、独学でも合格を狙える
1級電気工事施工管理技士試験によくある質問として「専門学校や予備校には通うべき?」といったものがありますが、結論からお話しすると独学でも合格できます。
ただし、施工管理技士の勉強を独学で行う場合、経験記述試験の対策が難しいという問題があります。
しかし、通信講座では経験記述試験の採点を実施してくれるので、施工管理技士の勉強には通信講座がピッタリです。
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1級電気工事施工管理技士と電験三種の難易度の比較
1級電気工事施工管理技士の難易度や概要を理解できた後は、電気関係の資格と比較してみるのもよいでしょう。
ここでは、1級電気工事施工管理技士と電験三種(第三種電気主任技術者)の難易度を比較していきます。
電験三種と「合格率」を比較
電験三種は、4科目に合格する必要があり、どの科目も難易度の高い内容となっています。
近年は試験の実施回数が年に2回に増えたことや、CBT形式の試験が始まった子で合格率は上昇傾向にあるものの、それまでの例年の合格率は10%前後です。
1級電気工事施工管理技士の平均合格率は50~70%ですので、大きく異なる水準です。
つまり、1級電気工事施工管理技士は、電験三種と比較すると合格率の高い試験です。
また、電験三種は1発合格ではなく、何度か受験することを前提としているケースも多く、実際に電験三種には「科目合格制度」という合格した科目が2年間合格扱いになるという制度もあります。
こうした面から見ても、電験三種は1級電気工事施工管理技士よりも非常に難関といえるでしょう。
電験三種と「試験内容」の比較
電験三種の試験科目は4種類です。また、法規・理論・電気・機械の4科目で、計算問題を必要とする内容がほとんどですので、数学の勉強が必須です。
特に理論科目は、電磁気や電気回路、電子回路といった内容とともに計算も必要です。さらに他の科目は理論科目をベースとしているため、それぞれバランスよく理解しなければいけません。
1級電気工事施工管理技士は、第一次検定と第二次検定の大きく分けて2科目です。ただし、第一次検定は、施工管理法に関する問題や電気工学、電気設備といった内容から出題されます。そのため、試験範囲は広いといえるでしょう。
第二次検定は、施工体験記述問題(自身が経験した施工経験を整合性の取れた内容で記述)や、工程管理など施工管理・法律に関する内容で構成されています。
計算問題ではありませんが、ただの暗記ではなく意味を理解する必要があり、理論立てて施工経験を記述できるよう文章力も求められます。
電験三種は、数学も理解しなければいけませんが、1級電気工事施工管理技士にも特有の問題があり、どちらもしっかりと対策をしなければ合格できない試験であると言えます。
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1級電気工事施工管理技士と電気工事士との難易度の比較
今度は、同じような系統の資格である「電気工事士」と難易度や出題科目について比較をしていきます。
電気工事士と「合格率」を比較
まずは、電気工事士の合格率を紹介します。電気工事士試験には第一種と第二種があり、試験も筆記試験と技能試験がありますが、2022年度下期の合格率は、第一種の場合、筆記58.2%、技能62.7%となっています。そして第二種は筆記53.3%、技能70.5%となっています。
1級電気工事施工管理技士の平均合格率は50%~70%ですので、合格率自体の差はあまりないと考えられるでしょう。
ただし、出題範囲や求められる知識が異なるので、合格率のみで比較してはいけません。次の項目で紹介する、試験科目もみてみましょう。
電気工事士と「試験内容」の比較
では、試験科目の面では違いはあるのでしょうか。電気工事士の試験は筆記と技能にわかれています。
筆記試験では、電気に対する基礎理論や配線理論などから配線図まで全部で9科目から出題されます。過去問を解く中で、パターンや知識の定着をさせていくことが合格の近道となります。
技能試験は実技を行う試験で、配線図に沿って実際に電気工事作業を行います。合格の判断は、電線の接続から設置工事、故障箇所の修理などから検討されます。
難易度の高いポイントもありますが、実技講習会への参加などの方法で作業の正確性や速度を上げることは可能です。
電気工事士は、電気工事の知識と基礎技術を身に付けることがポイントです。
一方、1級電気工事施工管理技士は、電気工事はもちろん施工管理を中心とした試験内容となっているので、学習範囲は広い傾向です。
実技試験はありませんが、施工体験記述問題をはじめとした記述対策をしなければいけません。
つまり、実務経験から自分の言葉で解答をまとめる必要があり、1級電気工事施工管理技士は、電気工事士に比べて難易度は高いといえるでしょう。
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他の資格取得で1級電気工事施工管理技士の難易度が下がる?
最後に、1級電気工事施工管理技士の難易度を下げる「第一次検定免除」について紹介します。該当する資格があれば、第二次検定のみの受験で資格を取得することが可能です。
そのため、第二次検定のみの対策にフォーカスできて学習時間を確保することができるでしょう。
資格取得による免除規定
1級電気工事施工管理技士は、第一次検定の条件が2つあります。
1つ目は、前年度の1級電気工事施工管理技士第一次検定に合格をしている方です。そして、令和3年度以降の第一次検定に合格されている方は、第二次検定を何度でも受験し直すことが可能です。
もう一つの方法としては、技術士法による技術士の第二次試験を受験していることが前提のものとなっています。
その中で、技術部門の選択を、「電気電子部門」や「建設部門」、あるいは「総合技術監理部門」で選択科目が「電気電子部門」か「建設部門」としている方が対象です。
技術士は難易度が非常に高い試験ですので、ほとんどの方が1つ目に紹介をした「令和3年度以降の第一次検定に合格した場合」の制度を使うことになるでしょう。
1級電気工事施工管理技士のまとめ
1級電気工事施工管理技士の難易度はどれくらい?
1級電気工事施工管理技士の合格率は50~70%ととなっており、これは他の国家資格と比べると高い合格率となっています。
専門学校などに通わずとも独学で十分に合格が可能です。勉強時間の確保が難しい方は、通信講座の利用も検討してください。
1級電気工事施工管理技士は、電験三種や電気工事士より難しい?
電気工事施工管理技士の合格率は50%~70%ですが、電験三種の合格率は例年10%前後となっているため、合格率から見ても電験三種の方が難易度が高いと言えます。
一方、電気工事士とは合格率はほぼ同じです。ですが、電気工事施工管理技士の方が施工経験記述などの記述試験があるため、電気工事施工管理士の方が難易度が高いと言えるでしょう。