消防設備士乙4は、火災報知設備に関する資格です。
取得することで、さまざまな火災報知設備の点検・整備に従事できますが、簡単に合格できる試験ではありません。
消防関係法令を始めとする多くの知識を身に付ける必要があるため、計画を立てて勉強しなければ、合格は難しくなるでしょう。
試験の情報や勉強方法、取得するメリットなどの情報を集め、試験勉強に対するモチベーションを維持させることが大切です。
そこで今回は、消防設備士乙4の概要について解説します。
仕事内容や試験の詳細についても一緒に確認してください。
目次
消防設備士乙4とは?
まず、消防設備士乙4がどういった資格なのかを解説します。
消防設備士の種類と乙4を取得するメリットについてみていきましょう。
消防設備士の種類
消防設備士には甲種と乙種があり、工事整備対象設備ごとに資格区分が設けられています。
「消防試験研究センター」にて掲載されている資格区分と工事整備対象設備について、それぞれ確認しましょう。
種類 | 工事整備対象設備等 | |
---|---|---|
甲種 | 特類 | 特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が当該消防用設備等と同等以上の性能があると認定した設備等) |
甲種又は乙種 | 第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備 |
第2類 | 泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備 | |
第3類 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備 | |
第4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型移住施設用自動火災報知設備 | |
第5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 | |
乙種 | 第6類 | 消火器 |
第7類 | 漏電火災警報器 |
上記が消防設備士の種類です。
この記事で紹介している乙種4類は、資格を取得することで自動火災報知設備を中心とする点検と整備に従事できます。
次に紹介するメリットを確認しながら、乙4についての理解を深めてください。
消防設備士乙4を取得するメリット
さまざまな火災報知設備の点検と整備に従事できる消防設備士乙種4類ですが、取得するメリットはあるのでしょうか?
結論としては、需要がなくならない資格である点が最大のメリットです。
現在の社会では、一般住宅やビル、病院や映画館などの建物で火災報知設備が設置されています。
こういった建物がある限り、乙4を取得している消防設備士の需要は絶えることがありません。
AI時代が到来している現在において需要がなくならない点は、大きなメリットといえるでしょう。
消防設備士乙4試験の合格率と合格基準
では、消防設備士乙4試験では、どういった問題が出題されるのでしょうか?
ここでは、消防設備士乙4試験の試験概要について解説します。
合格率や合格基準などの情報を参考になさってください。
試験内容と出題数
消防設備士乙4の試験内容と出題数については、次のとおりです。
消防設備士乙4の試験科目 | 出題数 | |||
---|---|---|---|---|
筆記 | 消防関係法令 | 法令共通 | 10問 | 6問 |
法令種別 | 4問 | |||
基礎的知識 | 電気に関する部分 | 5問 | ||
構造・機能・整備 | 電気に関する部分 | 15問 | 9問 | |
規格に関する部分 | 6問 | |||
合計 | 30問 | |||
実技 | 鑑別等 | 5問 |
上記が消防設備士乙4の試験内容と出題数です。
筆記試験はマークシート式、実技試験は記述式なので、それぞれの試験において対策をしておきましょう。
また、筆記試験が合格点に達していないと実技試験は採点されないため、まずは筆記試験の勉強からスタートしてください。
合格率
続いて、消防設備士乙4の合格率についてです。
過去7年間の実施データを参考にして、試験の合格率と傾向をみていきましょう。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元年度 | 6,036 | 2,038 | 33.8% |
平成30年度 | 6,783 | 2,260 | 33.3% |
平成29年度 | 10,405 | 3,367 | 32.4% |
平成28年度 | 10,072 | 3,277 | 32.5% |
平成27年度 | 12,068 | 3,418 | 28.3% |
平成26年度 | 11,156 | 3,789 | 34.0% |
平成25年度 | 9,682 | 3,693 | 38.1% |
上記が過去7年間の実施データです。
ここ数年間の合格率は32%~33%の間で推移しているため、難易度の低い試験ではないことがわかります。
ただし、試験当日までに効率良く試験対策を実践することが合格につながるため、要点を整理して継続することが大切です。
合格基準
消防設備士乙4の合格基準は、「筆記試験において科目毎に40%以上で全体の出題数の60%以上、かつ、実技試験において60%以上の成績」です。
そのため、全体で60%以上の点数が取れていたとしても、1つの科目が40%以下の場合は、足切りで不合格になるので注意してください。
各科目で点数を稼げるように勉強していきましょう。
消防設備士乙4の勉強時間と勉強方法
消防設備士乙4に合格するためには、必要な勉強時間を把握し、具体的な計画を立ててから勉強することが大切です。
ここでは、乙4の合格に必要な勉強時間と効率的な勉強方法について解説します。
全て大切な情報なので、必ず確認してください。
乙4の合格に必要な勉強時間
消防設備士乙4の合格に必要な勉強時間の目安は「1日2時間の勉強を10日以上継続すること」です。
1日2時間の勉強が厳しい方は、1日1時間の勉強でも問題ありません。
そういった場合は、勉強期間を20日以上設けてください。
ただし、知識ゼロからの状態や専門の知識をあまり有していない状態で勉強を開始するのであれば、余裕を持って1ヶ月以上の期間を設けるほうがよいでしょう。
合格の可能性を高めるため、長い時間をかけてじっくりと対策してください。
消防関係法令から勉強を開始する
資格試験の勉強で大切なのがモチベーションの維持です。
特に勉強を開始したばかりの頃は、どこから始めるのがよいかまったくわからないこともあるでしょう。
そういった際には、消防関係法令から勉強をスタートしてください。
消防関係法令は、消防関係で登場する用語や火災報知設備についての情報など、乙4で必要な基礎知識が多く学べる科目です。
暗記系が多く計算問題が少ないため、継続的に勉強することで比較的容易に点数を稼げます。
まずは、解ける問題を1問でも多くすることから始めましょう。
テキストと問題集を繰り返し解く
また、消防設備士の勉強をする際は、テキストと問題集を併用して行ってください。
実際の試験問題では、過去問題と類似した問題も登場するため、問題集を繰り返し解くことで点数を稼ぎやすくなります。
また、自分の苦手な分野と得意な分野を両方把握できるのもメリットです。
苦手な分野は克服し、得意な分野は伸ばすことを心掛けて対策するとより効率的に勉強できます。
通信講座を受講する
消防設備士乙4に合格するためには、最低でも毎日1時間以上の勉強が理想です。
しかし、仕事が忙しい社会人の方で「勉強が効率的に進まず、すぐに諦めてしまって長続きしない」といった方は少なくありません。
そういった方は通信講座を受講して勉強の効率を改善させましょう。
通信講座であれば、専門講師の説明を動画で確認し、テキストと併用して進めるため、独学よりもはるかに効率がアップします。
また、わからない問題に遭遇してもすぐに解決できるため、モチベーションの低下もしづらいのが魅力です。
高い受講費用が必要ですが、1日分に換算するとそうでもありません。不合格になり何回も受験することになるよりも、1回の受講で合格を狙うほうが絶対におすすめです。
独学に限界を感じている方は、通信講座を受講して今よりも質の良い勉強をしてください。
まとめ
今回の記事では、消防設備士乙4の概要について、仕事内容や試験の詳細と一緒に解説しました。
消防設備士乙4は、合格基準に40%の足切りがあるため、合格率が高い試験ではありませんが、1~2ヶ月の勉強で合格する力は身に付きます。
勉強は消防関係法令からスタートし、テキストや問題集で知識を深めて過去問題を繰り返し解き、受験者によっては通信講座を受講することがポイントです。
火災報知設備の点検・整備に従事できる乙4は、今後の需要も高まるため、積極的に取得を狙ってください。