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技術士補がなくなる!?廃止が検討される理由と今後の動向を解説

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技術士補は、技術士の一次試験を受験後、指導技術士の下、実務経験を積むことで二次試験の受験資格が得られる制度です。

しかし、技術士補を取り巻く現状が変わり、技術士補制度の廃止が検討されていることをご存じでしょうか?

その背景には、二次試験の受験ルートとして技術士補を選ぶ人の少なさ、技術士補に技術を教える人材不足などの事情があります。

ここでは、技術士になる3つのルートと技術士補の役割、技術士補の現状と今後の動向について解説します。

技術士試験の仕組みと技術士補の役割

まずは技術士試験の概要を踏まえ、技術士補の役割について見ていきましょう。

技術士とはどんな試験?

技術士試験は一次試験に合格した後、所定の実務経験年数を満たすことで二次試験を受験できる仕組みです。

一次試験は年齢や学歴、実務経験年数などの受験資格が一切なく、誰でも受験できます。一次試験に合格すると修習技術者となり、以下の3ルートのうちいずれかを満たすことで二次試験の受験資格を得る仕組みです。

  • 技術士補として4年以上従事する
  • 科学技術に関する業務に7年以上従事している業務上の監督者の下で、4年以上従事する
  • 科学技術に関する業務に7年以上従事する
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なお、総合技術監理部門に関しては必要な業務経験の年数が違うのでご注意ください。

技術士補の役割

技術士補の役割は、技術士法に定める以下の3項目の規定に示しています。

No内容
1技術士第一次試験に合格し、又は指定された教育課程を修了し、同一技術部門の補助する技術士を定めて、法定の登録を受けていること
2技術士補の名称を用いて、技術士の業務を補助する業務を行うこと
3技術士補は、技術士を補助する場合を除くほか、技術士補の名称を表示して業務を行ってはならないこと

出典:公益社団法人 日本技術士会

つまり、技術士補は技術士になることを前提として、指導技術士から技能を習得するために技術士の業務を補助するのが本来の役割です。

技術士補を取り巻く現状と今後の動向

それではいよいよ、技術士補の現状と廃止が検討されている理由と、気になる今後の動向を紹介します。技術士補として二次試験の受験を検討する方は、今後の動向に注目しましょう。

技術士補の廃止が検討される理由

技術士補に登録して指導技術士の業務の補助を行うと、二次試験の受験資格を4年に短縮できるメリットがあります。

しかし、一次試験の受験時で7年以上の実務経験がある方が95%を占めており、技術士補で二次試験を受験するルートを選択する人は、2%にも満たないのが実情です。

加えて、技術を教える指導者(指導技術士)が身近にいないこともあり、存在意義が問われているということが現状です。

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しかしながら、技術士を目指すためではなく、「技術士補という名称を使用できる、手当が増える、業務で必要」といった立場上のメリットを目的に技術士補に登録する人がおられるようです。

技術士補で検討されている課題

技術士補を廃止する検討が進む中、技術士補制度の継続や見直しを検討する動きがあることも事実です。そこで、現在検討されている技術士補の新しいあり方と、各案の長所と課題を紹介します。

技術士補の名称変更

技術士補の制度を廃止せず、名称を、「(仮称)修習技術士」などに変更する案です。

現状では、技術士補の資格保有によるメリットを得るために登録する方も少なくありませんが、それは、技術士を目指すという技術士補の本来の目的とは異なる用途です。

そこで、技術士補の名称を変更することで、「あくまでも技術士になるためのステップである」という点を明確にする必要があると考えられています。

登録期間を制限する

技術士補として活動できる期間に制限を設ける案です。

技術士補から技術士に昇格した期間は10年程度が多いところ、15年を超えるとその数が一気に減少しています。そこで、技術士補の名称を用いることができる期間を15年程度に抑えることで、二次試験の受験を後押しする効果が期待されています。

指導技術士制度の見直し

技術士補で4年の実務経験を経て受験するケースが少ないのは、同部門の指導技術士の確保が難しいことも要因の一つです。技術士補の廃止・見直しに関わらず、指導技術士の部門を限定しないことで人材不足を解消する案が検討されています。

能力開発(IPDの実施)

能力開発「IPD」とは、修習技術者の資質と能力の向上を目的とした活動で、技術士になる人材に不可欠であると考えられています。

IPDの重要性を周知するため、「修習技術者のための修習ガイドブック」を作成し、活動の拡充に努めています。

在学中の一次試験受験者を奨励

近年の一次試験では、在学中の学生が受験するケースが増えており、2022年度では全受験者の15.9%、合格者に至っては全体の19.4%を占めます。

技術士補制度はそもそも「若手技術士の増加」が目的のため、在学中の一次試験受験者を奨励する動きが検討されています。例えば、大学等で技術士制度説明会の実施、大学技術士会等と連携して学生の受験を促進する、といった取り組みです。

技術士補は廃止と見直しの両面で検討中

技術士補は、一次試験に合格後、技術士の受験資格を得る手段の一つです。

しかし、すでに7年以上の実務経験があり二次試験をストレートで受験するケースがもっとも多く、技術士の技能習得を目指すための資格、という技術士補の本来の存在意義を果たせていない現状もあります。

そのような状況下で、技術士補の廃止が検討される一方、技術士補の課題とあり方を見直す動きも進んでいます。

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実務経験が4年に短縮される技術士補は、在学中の学生などにとって意義のある制度です。若手技術者は技術士の発展に欠かせないため、これから技術士を目指す方は今後の動向にも注目しましょう。

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