近年、ビジネスの場においてさまざまなフレームワークを活用する事例が増えています。
DFSS(Design For Six Sigma)もフレームワークの一種で、主にトラブルを未然に防ぐために活用するフレームワークです。DFSSは、リーンシックスシグマに比べると知名度は低いですが、活用するメリットは大きいです。
本記事では、DFSSの概要や活用方法、学び方などを解説します。
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目次
DFSSとは?概要を解説
DFSS(Design For Six Sigma)とは、新たにプロセスや製品の設計を行う際に、品質や費用をはじめとする発生が予測される問題を防ぐためのフレームワークです。
新しい製品を開発したり生産したりする際、トラブルが発生することは珍しくありません。しかし、トラブルの中には事前予測が可能なものと不可能なものがあります。DFSS設計段階でトラブルの発生を未然に防ぐために活用できるフレームワークです。
DFSSの必要性
新規のプロセスや製品は、以下のようなステップを経て製造段階に至ります。
- 製品やプロセスの設計方針を決定する
- 設計方針に基づき設計をする 設計に基づきテストを行う
- 試作を作る 実際に製造する
製品やプロセスの品質は設計の段階で決まります。テストや試作は大きな問題がその段階で発生しなければ、「問題なし」とみなされてしまいがちです。
しかし、製造やプロセスを実施してみて「やはり問題が起きた」といったケースは決して珍しくありません。しかも、問題の中には「設計・テスト・試作の段階でわかったはず」といったものもあります。
しかし、製造の段階で問題が発覚しても、解決が難しいものもあるでしょう。 例えば、A→B→Cという工程で行わないと品質を保つのが難しいのに、設計の段階でA→C→Bの工程を組んでしまい、製造の段階で問題が発生しても改善までに時間と手間がかかり、結局プロジェクトがうまくいかなくなるケースもあります。
つまり、テストの段階まで「問題なし」とプロジェクトが進んでしまうと、その後に「やはり問題が見つかりました」となった際に解決できる問題が限られてしまうのです。小規模なプロジェクトならば「失敗した」「次に活かそう」で済むかもしれません。
しかし、大規模なプロジェクトの場合は多額のお金が動き、関わる人数も増えていきます。社運をかけたプロジェクトで問題が発生して解決が難しい場合、大きな損失を被ることになるでしょう。 このような事態を防ぐために、DFSSは重要です。
リーンシックスシグマとの違い
リーンシックスシグマとは、「リーン(贅肉のない)」「シックス(6)」「シグマ(標準偏差)」をかけ合わせた造語です。
リーンは、必要なときに必要な分だけ部品を製造するトヨタの生産方式を体系化したもの、シックスシグマとは100万個製品を作った際に、エラーが約3.6個の状態を指します。
つまり、生産体制の無駄を省いてできるだけエラーを少なくするためのフレームワークです。
例えば、生産過程で無駄が多かったり逆に必要な工程が抜けていたりしているといった問題があった場合、問題を明るみにして解決策を考え、それを実行すれば問題は解決します。当たり前のことですが、製造工程がしっかり決まっていると例え「問題があるのではないか」と感じている方が多くても、改善しにくいケースも珍しくありません。
リーンシックスシグマとは、製品を製造したりサービスを実施していく際に発生する問題を解決するために有効です。 リーンシックスシグマとDFSSは「問題を解決する」といった点では同じです。
しかし、リーンシックスシグマは、すでに発生した問題を解決するのに使われるのに対し、DFSSは発生が予測される問題を事前に防ぐために用いられます。
DFSSを用いても防ぎ切れなかった問題をリーンシックスシグマで解決するといった使い方をすれば、製品の製造やサービスの提供がより成功しやすくなったり売上を上げやすくなったりします。
DFSSのフレームワーク
DFSSのフレームワークの一例は、以下のようなものです。
- Define(顧客要求の定義)
- Measure(顧客仕様の把握)
- Analyze(顧客仕様の分析と実現方法の検討)
- Design(製品やプロセス・サービスの設計)
- Optimize(製品やプロセス・サービスの最適化)
- Verify(顧客要求・仕様との照合)
DFSSは、まず顧客が要求しているものを定義し、仕様を考えます。そのうえで分析して実現方法を検討します。設計をする前に、「顧客が何を要求しているのか」「要求に応えるには?」といった過程を経ることが特徴です。
DFSSを発展させたプラットフォームT7(technology7)について
プラットフォーム「T7」とは、DFSSを超える技術開発プロセスを構築することを目指し、開発された技術開発プロセスを設計するプラットフォームです。日本企業が国際競争力を取り戻すために組織化された「商品開発プロセス研究会」の研究成果として発表されました。
T2の特徴は、「すべての技術開発テーマに汎用的に活用できるプロセス設計ツール」であることです。これを活用すれば、商品開発の過程で起こりがちな「やり直し」を極力抑えることができます。
T7は2021年に発表され、すでに活用が進んでいます。DFSSは製造や商品、サービス開発を行っている企業の中でも、リーンシックスシグマに比べると知名度が低いフレームワークです。しかし、「DFSSは知らないがT7は活用している」というケースもあるでしょう。
DFSSを勉強する方法
DFSSは、製造業をはじめとして商品開発やサービス業まで広く活用できるフレームワークです。自社にも取り入れたいと考えているところもあるでしょう。ここでは、DFSSを勉強する方法を紹介します。
独学で勉強する方法
DFSSは、ビジネス系のサイトなどで一通りの解説が行われています。会員登録が必要なサイトもありますが、オープンなサイトで個人が解説を行っているものもあります。サイトを利用するメリットは、無料で一通りの知識が得られる点です。
ただし、会員登録が必要なサイトや有料サイトでないと、信ぴょう性が低いデメリットもあります。 フレームワークに関するビジネス書も多く発売されていますが、残念ながらDFSSについて専門的に解説しているビジネス書は現在のところありません。
ビジネスマガジンなどでDFSSについての記事が載る場合もあるので、小まめに確認してみると有益な情報が得られるでしょう。
講習会に参加する方法
DFSSへの理解を深め、自社に導入するには講習に参加するのが一般的です。
講習に参加すれば、専門講師による講義が受けられるので、最新のDFSSに関する知識が学べるだけでなく、自社に導入する方法なども教えてもらえます。自社への導入を考えて居るならば、講習会への参加も検討してみましょう。
SAT PROを利用してみよう
講習会は、開催日時が限定されているので会社によっては利用しにくい場合もあるでしょう。「専門講師によるレクチャーを受けたいが、日程が合わない」とお悩みの方は、SAT PROのご利用がおすすめです。
企業様が受講を希望する内容、レベル、日程等を入力していただければ、条件にあった講師をご紹介できます。 出張形式での講義を行うので、講習会に出向く必要もありません。
企業様に都合がよい日程でレクチャーを受けられるので、効率よくDFSSについて学べます。
まとめ:DFSSはやり直しを極力防ぐフレームワーク
DFSSは予測される問題を事前に防ぐために利用するフレームワークです。設計段階以降になると、設計由来の問題が発生してもやり直しが難しくなりがちです。DFSSを利用すれば、「試作まで作ったが、設計に問題があるとわかった」といった原因でのやり直しを極力防げます。
DFSSを自社に導入し、活用したい場合は当社による専門講師によるマッチングサービスのご利用がおすすめです。
DFSSは専門のビジネス書も少なく、独学で勉強するのは専門知識がないと困難です。当社のサービスをご利用頂ければ、企業様にあった講師による講義が受けられます。