第三種電気主任技術者

電気主任技術者とは?役割・仕事内容・種類について徹底解説

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1 電気主任技術者とは

1-1 電気主任技術者とは電気設備の最終責任を担う役職

事業所のトップである所長の監督のもと、電気設備の管理責任を負う役職を電気主任技術者といいます。

電気担当員を率いて電気設備の点検を行い、電気設備の事故を未然に防ぐことを使命とする役職です。

事故が発生してしまうと、度合いによっては事業所の契約が打ち切られてしまうことがあります。

また、管理不行き届きにより、設備管理員が電気事故で命を落とすケースもあります。

これらの点から、電気主任技術者の責任は極めて重いといえるでしょう。

しかし、責任が重い分やりがいもあり、年収も高く、電気主任技術者は設備管理員にとっては目指すべき憧れのポジションといっても過言ではありません。

 

1-2 電気主任技術者の種類

電気主任技術者には3種類あります。それぞれの違いは、保安監督できる電気設備の電圧範囲です。

 

電気主任技術者の種類と取り扱える電圧の範囲
・第1種電気主任技術者→すべての事業用電気工作物
・第2種電気主任技術者→17万V未満の事業用電気工作物
・第3種電気主任技術者→5万V未満の事業用電気工作物(出力500 kW以上の発電所を除く。)

 

一般的なビルや工場は5万V未満であることが多く、第3種電気主任技術者でも管理できます。

しかし、中には5万V以上の大規模設備もあり、その際には、第2種電気主任技術者の選任が必要となります。

第1種電気主任技術者に関しては電圧の制限がありません。

第1種電気主任技術者が必要される職場は、電力会社が管理する超高圧発電所など限定的で、一般的な電気設備管理の仕事では必要とされる機会はほとんどありません。

 

2 仕事内容や必要性・種類

電気設備管理の主な業務は、①点検、②清掃、③故障対応などの指揮です。

この他の業務としては、省エネ対策新規設備の導入も任されることがあります。

それでは、主な業務について詳しく見ていきましょう。

 

2-1 電気設備の点検

電気設備の仕事の目的は、点検で異常を察知することです。

点検の種類は、毎日の日常点検月ごとの定期点検年に一度の年次点検などに分かれます。

 

点検の具体的な内容は、下記の4つが主として挙げられます。
・電流値や電圧値の確認
・絶縁抵抗測定
・配線のねじの緩みのチェック
・非常用発電機が動くかどうかの始動試験

 

2-1-1 電流値や電圧値の確認

各電気制御盤のメーターから電流値や電圧値を読み取り、点検用紙に記録していきます

※小型バッテリーの電圧値はメーターがない場合があるので、テスターで計測します。

記録したデータはPCに転記して、データ上で分析できるようにします。

分析の結果、異常があれば図面や機器説明書を見ながら、どこに問題があるかを特定します。

 

2-1-2 絶縁抵抗測定

電流が流れてはいけない部分に電流が流れてしまうことがあります。

この現象を絶縁破壊と呼びます。

絶縁破壊を防ぐために、絶縁破壊の起こりにくさを示す抵抗値の測定を点検の一環として行います。

 

2-1-3 配線のねじの緩みのチェック

電気制御盤の中は配線がたくさんまとめられており、配線の端子はねじで止められています

このねじが緩むと電流の流れが遮断され、それに伴って照明が消えたり電動機が止まることがあります。

また、ねじの緩み具合によっては、接触抵抗が大きくなりジュール熱で発熱し、配線が黒く焦げるなどの故障の原因となります。

そのため、ねじの緩みがないかを目視で確認することも点検に含まれています。

 

 

2-1-4 非常用発電機が動くかどうかの始動試験

事業所には、停電に備えて電気設備を復旧できるように非常用発電機が設置されている場合があります。

いざというときに動作するよう、定期的に非常用発電機の始動点検を行います。

始動の際、非常用発電機が動作するまでの時間や、燃料の消費量出力電圧などあらゆる角度から発電機に伴うデータを取得します。

 

2-2 電気設備の清掃

電気設備は掃除をしないとほこりが導体の役割を果たし、短絡してしまうことがあります。

短絡とは、電圧差のある部分同士が、電流が流れやすい導体でつながった場合に、過度な電流が流れてしまうことです。

年に1度しか点検しない分電盤などは、内部で短絡を起こしやすいといえます。

突然煙が上がって慌てることのないように、日ごろから掃除機やハケを使ってほこりの清掃をするのも、電気主任技術者の役目です。

 

2-3 電気設備の故障対応

点検の有無にかかわらず、電気設備機器は寿命があり、いつか故障します。

故障した場合、その部品を直せるようであれば修理現場で直せる人がいない場合はメーカーや電気工事士などの専門業者に依頼します。

誤解されがちですが、電気主任技術者といえどもすべての電気設備の修理ができるとは限りません

電気設備の修理は主に電気工事士が請け負っています。

ただ、一つでも多く修理できる電気主任技術者は、現場で重宝されます。

 

3 電気主任技術者と電気工事士との違い

電気主任技術者と電気工事士の役割の違いを表すと下記のとおりです。

電気主任技術者:    点検・故障の発見などの設備管理
電気工事士  :    配線・機器の取り付け・修理などの電気工事

 

電気主任技術者は電気設備の管理を主としています。

電気担当員の点検をサポートしながら、故障の発見をする立場であるため、工事がメインの電気工事士とは異なります。

しかし、電気主任技術者が故障発見した場合、対応可能であれば修理をすることもあるので、電気工事士も経験している電気主任技術者は現場で活躍する機会が多いです。

 

一方、電気工事士は建築の際、電気設備の利用環境を整備するために、ケーブルの配線や機器の取り付けを中心に行います。

そのほか、設備で配線や機器のトラブルがあった場合の故障対応も引き受けます

 

4 どうすればなれるのか?

電気主任技術者には3種類ありますが、一例として、第3種電気主任技術者になるために必要な条件を紹介します。

第3種電気主任技術者の資格を取得する方法は2通りあります。
・第3種電気主任技術者試験(筆記)に合格
・認定試験(面接)に合格

 

4-1 第3種電気主任技術者試験に合格

第3種電気主任技術者試験に合格しなければなりません。

試験科目は「理論」、「電力」、「機械」、「法規」の4種類です。

それぞれ100点満点で、各科目の合格点は60点ですが、難易度によって合格点が引き下げられることもあります。

すべての科目に合格すると、晴れて電気主任技術者になることができます。

合格した科目は3年間有効で、次の試験から免除されます。

 

4-2 認定試験に合格する

認定試験でも電気主任技術者の資格を取得できます。

試験内容は経済産業省 所轄保安監督部の担当官による面接です。

面接を受ける条件として、経済産業省が認定した教育施設を、所定の科目で卒業している必要があります。

また、提出書類には詳細な実務経験を記載しなければなりません。

面接では事業所の電気設備の実務に即した本質的な理解が問われることから、現場の仕事で分からないことがないといえるレベルでないと合格は厳しいです。

 

 

5 どんなことを学ぶのか?試験問題の内容

電気主任技術者試験の内容は細かくはランクによって異なりますが、前述した「理論」、「電力」、「機械」、「法規」の4つの分野からは共通して出題されます。

5-1 理論

オームの法則を基本とした理論の知識が問われます。

電流の大きさ、電圧の大きさ、抵抗の大きさの求め方を学習します。

オームの法則はシンプルです。

V=I×Rという公式で表され、二つの値が分かっているときに一つの値をこの公式から求めることができます。

理論を勉強することで、電気の異常を数値から読み取る力がつき、無資格者が見逃すことにも気づけるようになります。

計算問題が中心で出題されます。

 

5-2 電力

発電された電気が各事業所や家庭に配電されるまでの流れについての専門知識が問われます。

具体的には、発電所の種類や、発電した電圧を降下させる仕組み効率的な配電の仕方などです。

送配電には、発電機をはじめ、電線、鉄塔、変圧器などの構造物や機器、部材などがかかわっており、それぞれの部位名称や役割も必須知識です。

計算問題と暗記問題がバランスよく出題されます。

 

5-3 機械

機械分野では電気設備で主要な役割を果たす機械の仕組みについて学びます。

主な機械としては、モーター変圧器などです。

特にモーターは、エレベーターやベルトコンベアなどの動力供給を担う機器であり、電気主任技術者になるのであれば、深く理解すべきものです。

変圧器については電力分野でも取り扱いますが、機械科目では計算問題が出題され、難易度が高まります。

また、電気設備のIT化が進み、この科目でIT分野の問題が出題されるようになってきました。

ソフトウェアやハードウェアなどPC関連の用語の意味も最低限押さえておくとよいでしょう。

 

5-4 法規

電気設備に関係する法令を学びます。

具体的には、電気設備用語の定義電気設備の設置条件電気主任技術者の義務などです。

例えば、高圧電圧が示す電圧の範囲、湿気がある場所での電気工事の条件、事業所で事故が起きた場合の対応などの知識です。

暗記科目というイメージですが、計算問題も出題されることがあります。

 

6 併せて取りたい関連資格

電気設備管理では機械を取り扱うことから、電気だけに詳しいのでは不十分です。

そのため、点検する機械に関係した資格が仕事で役に立ちます。

また、電気主任技術者を経験した後は事業所の所長になるケースが多く、電気設備以外の設備を管理する必要があるため、設備関連の資格は取れるだけ取っておいたほうがよいでしょう。

 

主に下記の4点です。
・危険物取扱者
・ボイラー技士
・冷凍機械責任者
・消防設備士

 

6-1 危険物取扱者

引火性がある、付着すると炎症を起こしたりする液体などの危険物を取り扱うための資格です。

設備管理では危険物を取り扱うことがあり、発電機を回すために用いる重油もその一つです。

どのような危険物があり、どのように注意すべきという知識は、危険物取扱者の資格取得で学習できます。

 

6-2 ボイラー技士

上水設備の温度を調整するボイラーを管理するための資格です。

設備にはボイラーが常設されていますが、突然お湯が出てこなくなるというトラブルの際には、電気主任技術者がボイラー故障の対応を迫られることもあります。

このようなケースに備えて、ボイラー技士の資格もあった方がよいといえます。

 

6-3 冷凍機械責任者

空調設備を取り扱うための資格です。

工場であれ、オフィスビルであれ、空調設備は必ずあります。

空調の仕組みは、気体と液体の状態変化の性質を利用していますが、理科の内容が出題されます。

空調の点検や故障対応に役立てるためにも、冷凍機械責任者を取得するとよいでしょう。

 

6-4 消防設備士

建物に設置されている、火災感知器などの火災を防ぐための設備を扱う資格です。

建物には、未然に火災を防ぐためにさまざまな感知器が設置されています。

これらの感知器は種類が細かく、点検の際、専門知識が問われることがあり、消防設備士の資格が重宝されます。

 

7まとめ

電気主任技術者の概要についてお伝えしました。

電気設備に興味がある人には、やりがいのある役職だとお分かりいただけたかとと思います。

ただし、その分責任は重いので、資格取得の難易度は高いといえます。

しかし、実務経験を積めば、勉強もはかどるようになり、長期間学習を続ければ、取得不可能ではありません。

本記事で興味を持った方は、ぜひ試験を受けてみてはいかがでしょうか。

また、一度試験に落ちたとしても、あきらめないことが大事なので何度も挑戦しましょう。

 

 

 

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