建物の安全を守るために欠かせない「消防設備士」。消火器や火災報知器などの消防用設備を点検・整備・工事する国家資格として、社会的な需要が非常に高い仕事です。しかし、「実際にどれくらいの年収が稼げるの?」「未経験からでも挑戦できる?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、消防設備士の年収相場から、年収を決める要因、さらには年収1,000万円を目指す方法やおすすめの通信講座まで、詳しく解説します。
目次
消防設備士とはどんな資格?

消防設備士は、デパートやホテル、オフィスビルなどの施設に設置されている消防用設備等(消火器、スプリンクラー設備、自動火災報知設備など)の工事、整備、点検を行うために必要な国家資格です。建物の大型化や複雑化が進む現代において、人命や財産を火災から守る重要な役割を担っています。業務独占資格であるため景気に左右されにくく、安定した需要があるのが大きな特徴です。資格には「甲種」と「乙種」があり、対応できる業務範囲が異なります。
詳細な資格の概要については、以下の記事も参考にしてください。
関連リンク:消防設備士の難易度や合格率を解説!受験資格は?資格の種類は?
消防設備士の年収相場は?
消防設備士の全体の年収相場は、現在の求人市場のデータなどを総合すると、およそ400万円〜500万円程度が目安となります。日本人の平均年収と比較しても遜色ない水準であり、資格手当の有無や勤め先の規模、経験年数によってさらに年収を伸ばすことが可能です。
以下のグラフは、全国の消防設備士向け求人(正社員)における想定月給の分布です。平均想定月給は約30.9万円となっており、賞与(ボーナス)などを含めると先述の年収400万円〜500万円という相場と一致します。ボリュームゾーンは月給25万円〜35万円の範囲に集中していることがわかります。

ここでは、キャリアフェーズ別の平均年収を詳しく見ていきましょう。
未経験の平均年収
未経験から消防設備士の業界に飛び込んだ場合、平均年収は300万円〜350万円程度が相場となります。月給に換算すると20万円〜25万円前後からのスタートとなることが多いです。この時期は「見習い」としての期間に該当するため、まずは現場での業務フローを覚え、実務経験を積むことが最優先となります。最初は高く感じられないかもしれませんが、経験を積み、資格を取得していくことで着実に年収を上げていくことが可能です。
資格取得者の平均年収
消防設備士の資格(甲種・乙種)を取得し、現場で独り立ちできるレベル(主に30代・実務経験数年〜)になると、平均年収は400万円〜450万円前後に上昇します。企業によっては資格手当として毎月数千円〜数万円が基本給に上乗せされるため、取得する資格の種類(第1類〜第7類、特類など)が増えるほど年収アップに直結します。
管理職の平均年収
現場責任者や主任、さらには複数の現場を統括する管理職・部門長クラス(40代〜50代)になると、平均年収は500万円〜600万円程度、大手企業であればそれ以上になることもあります。このフェーズでは、単なる点検・工事の技術だけでなく、マネジメント能力や部下の育成、顧客との折衝能力なども評価対象となり、大幅な年収アップが見込めます。
再雇用後の平均年収
消防設備士の仕事は体力を酷使する作業ばかりではないため、定年退職後も技術者として長く働き続けることができます。60代で再雇用された場合や顧問として働く場合の平均年収は、350万円〜450万円程度が目安です。長年培ってきた専門知識やノウハウが高く評価され、シニア世代になっても安定した収入を得られるのは、国家資格である消防設備士ならではの強みです。
消防設備士の年収を決める要因
消防設備士の年収は、一律ではありません。保有している資格の種類や数、従事する事業の内容、そしてどのような雇用形態で働くかによって大きく変動します。
以下の表は、求人の「条件別」に見た想定月給の違いです。「資格手当」や「社宅対応可」といった条件が揃っている求人ほど、全体の平均よりも給与水準が高くなる傾向がはっきりと出ています。特に「資格手当」は月給に大きく影響(全体比+21.8%)するため、資格の取得が年収アップに直結することがわかります。

ここでは、年収を左右する3つの主要な要因についてさらに深掘りして解説します。
保有している消防設備士資格の種類やその取得数
消防設備士の資格は、乙種(点検・整備のみ)と甲種(工事・整備・点検が可能)に分かれており、さらに扱う設備によって第1類から第7類、特類などに細分化されています。甲種の方が業務範囲が広いため、乙種よりも高く評価されやすく、資格手当の額も大きい傾向があります。また、電気工事士や管工事施工管理技士など、関連する国家資格をあわせて複数取得することで、より難易度の高い案件を任されるようになり、年収に大きく反映されます。
事業内容
勤務先の事業内容が「点検メイン」か「工事・設計メイン」かによっても年収は変わります。一般的に、既存の設備の保守点検を主に行う業務よりも、新規のビル建設などに伴う消防設備の設計・施工(工事)を請け負う業務の方が、専門性や責任が重く、利益率も高いため給与水準が高くなる傾向があります。より高い年収を求めるのであれば、甲種資格を取得した上で、大規模な工事や設計を手掛ける企業を狙うのが一つの手段です。
雇用形態・独立
働く環境も年収に直結します。中小企業よりも大手ビル管理会社や大手設備工事会社の方が、基本給やボーナスが高く設定されていることが一般的です。また、企業に属する正社員だけでなく、経験と人脈を積んで「独立・開業」するという選択肢もあります。独立して複数の企業やオーナーから直接契約を獲得できれば、年収700万円〜800万円以上を稼ぐことも現実的な目標として視野に入ってきますが、それに伴う営業力や経営手腕が必要となります。
年収1000万を目指すなら
消防設備士として年収1,000万円を目指すことは、非常に難易度が高いものの、決して不可能ではありません。ただし、単なる点検作業員として働くだけでは到達できない水準です。年収1,000万円を実現するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
まず、複数の上位資格の取得と掛け合わせが必須です。消防設備士の甲種全類制覇はもちろんのこと、「第一種電気工事士」、「1級管工事施工管理技士」、「1級電気工事施工管理技士」といった需要の高い関連国家資格を併せ持つことで、大規模プロジェクトの現場代理人や監理技術者として重宝される人材になります。
次に、キャリアパスの選択です。大手ゼネコンや大手設備工事会社の管理職(プロジェクトマネージャーなど)まで昇進するか、あるいは自ら独立開業して経営者となる道のどちらかが現実的です。独立して法人化し、複数の従業員を抱えて大規模な保守契約や工事案件を安定して受注できる規模になれば、経営者として年収1,000万円以上を手にするケースも存在します。高い技術力だけでなく、営業力やマネジメント力を磨き続けることが成功の鍵となります。
消防設備士の受験資格
乙種
乙種消防設備士の試験は、受験資格が一切設けられていません。年齢、学歴、実務経験、国籍などを問わず、誰でも挑戦することができます。そのため、業界未経験の方やこれから設備管理・ビルメンテナンス業界を目指す方にとって、最初の足がかりとして非常に受けやすい資格です。まずは乙種(特に需要の高い第4類や第6類など)から取得し、基礎知識と実務経験を積み上げていくのが一般的なキャリアのスタートラインとなります。
甲種
甲種(第1類〜第5類)消防設備士の試験を受験するには、一定の要件を満たす必要があります。主な受験資格には、「国家資格等によるもの(第二種電気工事士、電気主任技術者など)」「学歴によるもの(大学や高専、高校などで機械・電気・工業化学、土木、建築などの指定学科を修めて卒業していること)」「実務経験によるもの(乙種資格取得後、2年以上の実務経験があること)」などがあります。また、電気工事士などの特定の国家資格保有者は、受験資格を満たせるだけでなく、試験科目の一部「免除」を受けられる制度もあるため、有利に学習を進めることが可能です。これらいずれかの条件を満たさなければ受験できないため、乙種よりもハードルが高くなっています。
※受験資格の詳細は公式機関のホームページをご確認ください。
参考:一般財団法人 消防試験研究センター「受験資格(甲種消防設備士)」
消防設備士の合格を目指すならオンラインの通信講座がおすすめ
消防設備士の試験は、専門的な用語や法令が多く、独学でテキストを読むだけでは理解につまずいてしまう方も少なくありません。着実かつ効率的に合格を目指すなら、SATのオンライン通信講座がおすすめです。
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まとめ
消防設備士は、建物の安全を守る上で欠かせない業務独占資格であり、将来にわたって安定した需要が見込める仕事です。全体の平均年収は400万円〜500万円程度ですが、取得する資格の種類や数、担当する業務内容(点検か工事か)、あるいは役職や独立といったキャリアの選択によって、収入を大きく伸ばすことが可能です。
未経験からでも乙種であれば誰でも受験できるため、異業種からの転職にもおすすめできます。年収アップを目指すなら、まずは乙種・甲種の資格取得に向けて動き出してみてはいかがでしょうか。忙しい社会人でも効率的に学べる通信講座などをうまく活用し、専門性の高い技術者への道を開拓してください




























